リフォーム会社のための補修工事の弁護士相談②
クレーム対応について

リフォーム会社のための補修工事の弁護士相談②

  • ツイート
  • シェア
  • はてブ
  • LINEで送る
  • Pocket
  • 2013年07月25日

    リフォーム工事において、顧客が細部にわたってなんども工事のやりなおしを要求し、それを拒否すれば何度も際限なく電話をかけてくる、あるいはいつまでたっても工事の完了を認めず工事残金を支払わないというトラブルが増えています。

     

    こういった顧客に対してリフォーム会社としてはどう対応すればよいのでしょうか。

     

     

    回は、クロスの貼り方に関するクレームについて考えてみます。 当然のことですが、顧客がクロスの貼り方について気に入らなければ、顧客が納得いくまで貼り替え工事をしなければならないというわけではありません。

    通常求められる水準の工事をしていれば、顧客が納得するかどうかはともかく、補修の要求を断ることができます。 問題はどういう場合に補修をしなければならいかという点です

     

    これについては、クロスの端ですきまが生じている箇所や,クロスを貼った際に用いられたボンドがはみ出ている箇所,クロスとクロスの継ぎ目にすきまが生じてしまっている箇所については、工事の瑕疵にあたり、補修しなければならないとされるのが一般です。

     

    しかし、その場合でも、補修の方法としては、クロスの全面貼替えは必要ありません。

     

    裁判所の判例でも、リビングのクロスの貼り方が問題になった事例があります。

    この裁判例で、裁判所は、壁紙の端ですきまが生じてしまっている箇所については、その部分にコークボンドを注入してすきまを埋めれば足りるとしています。

    また、ボンドがはみ出ている箇所についてはこれをぬぐい取れば足りる、継ぎ目にすきまが生じている箇所は,すきまが出ている付近の壁紙に改めて接着剤を塗って貼り直せば足りるとしています。

    こういったクレームのケースでは、顧客はクロスの貼り方が気に入らなければ、全面貼り替えを求めてくるのが通常です。

     

    しかし、そのような要望にこたえることは法的には必要ありません。

     

    このようにリフォームの工事では、顧客が納得するまでやり直し工事に応じなければならないわけではありませんし、顧客が納得するまで残金を支払わせることができないわけではありません。

     

    顧客に残金を支払わせることができるかどうかの判断基準は、「そのリフォーム工事が当初予定していた最後の工程まで終えているかどうか」です。

     

    つまり、クロスの貼り方に問題があったとしても、当初予定していた最後の工程まで終えていれば、残金を請求できます。

     

    この判例でも、裁判所はリフォーム代金の残金が約150万円あるのに対し、工事に瑕疵があるとしてもその補修に要する費用は約12万円にすぎないとして、顧客にリフォーム代金残金の支払を命じています。

    顧客の側は慰謝料なども含め約350万円の賠償をリフォーム会社に請求していましたが、裁判所はクロスの張り替えの費用やその他の補修費用として約12万円について顧客の請求を認めたのみでした。

     

     

    工事会社として誠実に対応する必要があることはもちろんですが、顧客の中には際限なく要求をエスカレートさせる者もいます。そういった顧客に対しては、どの程度まで要求に応じる必要があるかを見極めた上で、工事が完了した時点で残金を請求していくことが必要になります。

     

     

     

    弁護士法人咲くやこの花法律事務所では、クレームにお困りの会社のために、法律事務所が窓口になって対応し、クレーム解決、残金回収にあたっています。

    クレームでお困りの方は気軽に咲くやこの花法律事務所にご相談下さい。

     

     

    顧問契約をご希望の経営者の方の面談を随時行っておりますので、https://kigyobengo.com/contact.htmlからお申し込みください。

    なお、このブログの内容はメールマガジンによる配信も行っております。

    https://kigyobengo.com/mailmagazinにメールマガジン登録フォームを設けておりますので、ぜひご登録をお願いいたします。

     

  • ツイート
  • シェア
  • はてブ
  • LINEで送る
  • Pocket
  • 業法務に特に強い弁護士が揃う 顧問弁護士サービス

    企業法務の取扱い分野一覧

    企業法務に強い弁護士紹介

    西川 暢春 代表弁護士
    西川 暢春(にしかわ のぶはる)
    大阪弁護士会/東京大学法学部卒
    小田 学洋 弁護士
    小田 学洋(おだ たかひろ)
    大阪弁護士会/広島大学工学部工学研究科
    池内 康裕 弁護士
    池内 康裕(いけうち やすひろ)
    大阪弁護士会/大阪府立大学総合科学部
    片山 琢也 弁護士
    片山 琢也(かたやま たくや)
    大阪弁護士会/京都大学法学部
    堀野 健一 弁護士
    堀野 健一(ほりの けんいち)
    大阪弁護士会/大阪大学
    所属弁護士のご紹介

    書籍出版情報


    労使トラブル円満解決のための就業規則・関連書式 作成ハンドブック

    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2023年11月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:1280ページ
    価格:9,680円


    「問題社員トラブル円満解決の実践的手法」〜訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方

    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2021年10月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:416ページ
    価格:3,080円


    書籍出版情報一覧へ

    運営サイト

    大阪をはじめ全国の中小企業に選ばれ続けている顧問弁護士サービス
    弁護士西川暢春の咲くや企業法務TV
    中小企業や士業(社労士・税理士)のための労務セミナー情報サイト

    弁護士会サイト

    大阪弁護士会
    日本弁護士連合会
    企業法務のお役立ち情報 咲くや企業法務.NET遠方の方のご相談方法