定年後の再雇用の選別基準と高齢者雇用安定法~定年制度について〜

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労務問題について

定年後の再雇用の選別基準と高齢者雇用安定法~定年制度について〜

2012年02月27日

「定年制度と高齢者雇用安定法について」(1)のブログ(http://kigyobengo.com/blog/labor/1120をご参照ください。)で、高齢者雇用安定法への対応についてお話ししました。

 

特に会社が全従業員を60歳を超えても雇用するということではなく、

60歳を超えて働いてもらう従業員を選別したい場合には、あらかじめその選別基準を労働者代表との間で、書面で合意しておかなければならない

という点がポイントでした。

 

 

従業員が高齢化すると、

健康に問題があって思うように働けなかったり、

能力や意欲が低下してしまう従業員が出てくることがあります。

 

 

 

会社がそのような従業員についてまで60歳を超えて雇用するのは難しいのが現実でしょう。

 

 

そこで、従業員を選別するための具体的な選別基準を設けておかなければなりません。

 

この選別基準が設けられていない場合は、希望者については原則として継続雇用しなければならないことになってしまいます。

 

 

今回は、この選別基準の具体的な定め方についてお話します。

 

法律上、選別基準は、従業員から見て、自分が定年後も働き続けられるのかどうか判断できるよう、客観的なものでなければならないとされています。

客観的な基準が定められていないと、何も基準が定められていないものとみなされてしまって、結局、希望する従業員全員を65歳まで継続雇用しないといけないことになりかねません。

 

例えば、

 

「従業員が60歳になった時点で、65歳まで働く意思と能力があると会社が認めるものについて、継続雇用する。」

 

という基準では、従業員から見て、自分が定年後働き続けられるのかどうかまったくわからないので、ぜんぜんダメです。

 

 

ですから、基準については、わかりやく細かく定めておく必要があります。

会社としても、たくさんの判断項目を定めておいて、総合的に継続雇用するかどうかを判断した方が、より有用な人材を会社に残しやすいというメリットがあります。

 

継続雇用の基準の項目としては、次のようなものがあります。

 

①「働く意思・意欲」に関する基準

②「勤務態度」に関する基準

③「健康」に関する基準

④「能力・経験」に関する基準

⑤「技能伝承等その他」に関する基準

 

 

 

 

①の、「働く意思・意欲」に関する基準としては、例えば、

 

「定年退職○年前の時点で、本人に継続雇用の希望を確認し、気力について適当と認められること」

 

を継続雇用の条件とすることが考えられます。

 従業員が定年後の生活について、じっくりと考えることができるように、時間的余裕をもって、働く意思の確認をすることが重要です。

早めに従業員の意思を確認した方が、人事計画を建てやすいという会社としてのメリットもあります。

 

 

 

②の、「勤務態度」に関する基準としては、例えば、

 

「過去○年間の出勤率○%」

「無断欠勤がない」

 

ことを継続雇用の条件とすることが考えられます。

 これは、継続雇用の選別基準の中に、必ず入れておかれることをお勧めします。

そうでないと、無断欠勤があったり、出勤率が低かったりする従業員まで継続雇用の対象となりかねません。

出勤率や無断欠勤がないことのように、争いとなり得ない、明確な事実を継続雇用の条件とすることは、非常に有用です。

 

 

 

③の、「健康」に関する基準としては、

 

「直近の健康診断の結果、業務遂行に問題がない」

「60歳以降に従事する業務を遂行する上で支障がないと判断される」

 

ことを継続雇用の条件とすることが考えられます。

 これも継続雇用の基準の中に入れておかれることをお勧めします。

一般的に、従業員の病気やけがを理由にして従業員を解雇することには大変な困難があります。最近多くなっているうつ病やメンタルヘルスの問題ではなかなか解雇することは難しいのが実情です。

継続雇用の条件のところに、健康に関する条件を入れておかないと、健康状態に問題のある従業員まで無条件に継続雇用の対象となってしまいます。

 

 

 

④の「能力・経験」に関する基準としては、

 

「人事考課の平均が○以上である」

 

ことを継続雇用の条件とすることが考えられます。

ここで重要なことは、人事考課の基準を従業員から見て、客観的なものとしておかなければならないということです。

そのためには、従業員が60歳になる以前から、人事考課の結果を必ずその従業員にフィードバックして、会社がその従業員をどのように評価しているのかが伝わるようにしておきましょう

このことは、従業員の業務への意欲を高める上でも大切なことです。

 

また、例えば人事考課を「ABCD」評価でつけている場合に、最低の「D」の評価をつけるときには、

「○月○日、~という業務を行うに当たって、~というミスをしたことから、Dとする。」

といったように、低い評価をつける具体的な理由を文書に残して、従業員に知らせることも、基準の客観性を高める一つの方法です。

 人事考課制度の導入はしていないという会社であっても、たとえば、営業職について売上や利益の額による選別基準を設定することが可能ですので、ぜひ検討してみてください。

 

 

 

⑤の「技能伝承等その他」に関する基準としては、

 

「指導教育の技能を有する者」

「定年退職後直ちに業務に従事できる者」

「勤続○年以上の者」

 

などの基準を設けることが考えられます。

このように、60歳を超えて働いてもらう従業員の選別基準を、できるだけ細かく定めておいて、かつ、これらを従業員に公表しておけば、継続雇用の選別から外れた従業員から、「なぜ私は選ばれなかったのだ」などと言われて争われることを防止できます。

 

 

 

これらの、明確な基準を定めて公表しておくことに加えて、

 

(1)継続雇用制度や基準の内容について、早期に(例えば、57歳の従業員について)説明会を行って、従業員に理解してもらう

(2)選別基準に該当しそうにない従業員について、早めに面接を行って、選別基準に該当しそうにないこととその理由を説明して、納得してもらう

 

といったことで、従業員に理解してもらっておけば、後の争いは、さらに防止できます。

 

 

継続雇用する従業員の選別基準の定め方で困っておられる経営者の方、継続雇用の選別から外れた従業員から雇用を継続するように求められて困っておられる経営者の方は、ぜひ咲くやこの花法律事務所にご相談ください。

 

 

 

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