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ネットの画像や原稿を引用する場合の方法とルールとは?【メディア運営者は著作権侵害に注意】

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  • 著作権引用のトラブル

    最近、インターネット上で、自社のオリジナルメディアやキュレーションメディアなどの運営をする会社が増えてきました。また、従来からあったブログ方式による情報発信をされている会社も多いと思います。

    そのような中で、ブログやメディアの運営で注意しなければならないのが著作権トラブルです。

    『平成21年には、自社の健康食品の通信販売サイトのアクセスを増やす目的で、他社の健康情報に関する記事を自社のブログに転載した事例で、ブログの運営者が逮捕される事件が起きています。』

    気を付けなければならないのは、自分では正当な「引用」だと思って記事を転載していたら、法的には著作権侵害になってしまっていたというケースがあることです。著作権法上、他人の著作物の「引用」は適法とされていますが、それには、引用に関する著作権法上のルールを守ることが条件であり、ルールを守らなければ、著作権侵害になってしまいます。

    そして、著作権侵害を放置していると、刑事事件や民事訴訟などの深刻な法的トラブルに発展しかねません。そこで、今回は、著作権侵害トラブルを予防する観点から、他人の著作物を引用する場合に守らなければならないルールについて、ご説明したいと思います。

     

    今回の記事で書かれている要点(目次)

    ●著作物の引用のルールについての基本的な考え方
    ●「引用」する場合に守らなければならない5つのルールとは?
    ●「引用」のルールに違反して著作権を侵害し、賠償命令を受けた事例

     

    著作物の引用のルールについての基本的な考え方

    「他人の著作物を引用する場合に守らなければならない5つのルール」についてご説明する前に、まず、5つのルールの根本となる、基本的な著作権の引用の考え方をご説明したいと思います。

    著作権の引用の基本的な考え方について

    著作権の引用についての基本的な考え方とは、以下の内容のとおりです。

    『引用は、引用者のオリジナルのコンテンツを発信するために他人の著作物の引用が必要不可欠な場合に限り、適法とされる』

    逆にいうと、必要不可欠な場合以外に他人の著作物を転載することは、無断転載にあたり、著作権侵害です。
    たとえば、以下のようなケースは、著作権侵害の典型的な例です。

    【ケース1】
    自社でオリジナルのコンテンツを作る気がないのに、自社のWebサイトへのアクセスを増やす目的で他人の著作物を転載するケース

    【ケース2】
    引用が必要不可欠ではないのに、自社のWebサイトを見やすくしたりわかりやすくするために、他人に著作権がある画像を転載するケース

    このようなケースは、仮に出典を明記していたとしても著作権侵害になります。
    そもそも、他人の著作物の「引用」が正当とされるのは、著作権法32条1項に根拠があります。
    その条文は以下の通りです。

    【引用に関する著作権法32条1項の条文】
    『公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。』

    ●参考:著作権法32条1項が、「正当な引用であれば合法」としたのはなぜでしょうか?●

    他人の著作物を利用するためには、本来、著作権者の承諾が必要です。しかし、例えば他人の著作物を批評する記事を書きたい場合にも、承諾を得なければ他人の著作物を引用できないことになると、承諾をもらえない場合は批評自体が難しくなり、文化の発達にとってマイナスになります。そのため、著作権法32条1項は、特別に一定のルールに従った「引用」に限り承諾を不要としました。

    このように、「引用」は、「出典を明記していれば正当」というわけではなく、「引用者のオリジナルのコンテンツを発信するために、他人の著作物の引用が必要不可欠な場合に限り合法とされる」という著作物の引用に関する基本的な考え方をおさえておきましょう。

     

    「引用」する場合に守らなければならない5つのルールとは?

    では、著作権の引用の基本的な考え方を踏まえたうえで、他人の著作物を引用する場合に守らなければならない「5つのルール」についてご説明します。

    著作物を引用する場合に守らなければならない5つのルール

    ●ルール1:分量的にも内容的にも、自社のオリジナルのコンテンツが主であり、引用されているコンテンツが従であること。
    ●ルール2:引用の必要があること。
    ●ルール3:引用されているコンテンツと、引用者のオリジナルのコンテンツが明確に区別されていること。
    ●ルール4:引用元が明記されていること。
    ●ルール5:引用する他人のコンテンツに修正を加えていないこと。

    上記の5つのルールについて、順番にご説明したいと思います。

    ルール1:分量的にも内容的にも、自社のオリジナルのコンテンツが主であり、引用されているコンテンツが従であること。

    引用が合法とされるためには、自社のオリジナルのコンテンツが「主」であり、引用されているコンテンツが「従」でなければなりません。

    たとえば、以下のようなケースがあります。

    『サッカーで有名な中田英寿さんの中学生時代の詩を無断で「引用」し、「中学の文集で中田が書いた詩。強い信念を感じさせる」という簡単なコメントをつけて掲載したケースで、裁判所は、掲載の目的は詩の紹介自体にあり、オリジナルのコメント部分が主になっていないとして、著作権侵害を認定しました.(東京地裁平成12年2月29日判決)。』

    このように、オリジナルのコンテンツの部分が分量的にわずかであったり、あるいは創作性のない説明書き程度の場合、正当な「引用」にはあたりません。

    ルール2:引用の必要があること。

    引用が合法とされるのは、「引用の必要がある場合」に限られます。「引用の必要がある場合」とは、他人のコンテンツを引用したうえで、それについて批評、講評するなどして、自社のオリジナルのコンテンツとして発信するような場合です。

    たとえば、以下のようなケースがあります。

    『インターネット上に他人のブログの一部を掲載して、「○○さんは…と書いているが、私はこう思う」というように、他人のコンテンツを批評・講評する場合は、「引用の必要がある場合」にあたります。「○○さんは…と書いているが、」の部分がなければ、他人のコンテンツを批評・講評する内容のコンテンツとして発信できないため、引用の必要性が認められるのです。』

    しかし、最近、自社のWebサイトにアクセスを集める目的で他人のコンテンツを転載したり、自社のWebサイトの訪問者の目を引く目的で他人の画像を転載するケースがあり、話題になっています。このようなケースは、「引用の必要がある場合」にはあたりません。

    そのような目的であれば、自社でオリジナルのコンテンツを作れば済むことであり、他人のコンテンツを転載する必要がないためです。

    ルール3:引用されているコンテンツと、引用者のオリジナルのコンテンツが明確に区別されていること。

    引用が合法とされるためには、引用部分がオリジナルの部分と明確に区別されていることが必要です。

    引用部分についてまで、あたかも引用者のオリジナルのコンテンツであるかのように見えてしまうような転載方法は、正当な「引用」にはあたりません。

    ルール4:引用元が明記されていること。

    引用が合法とされるためには、引用されているコンテンツの出典を明記する必要があります。

    ●Webサイトからの引用の場合は、Webサイト名とURLを明記する必要があります。
    ●書籍からの引用の場合は、書籍の名称、著者名を明記する必要があります。

    ルール5:引用する他人のコンテンツに修正を加えていないこと。

    他人のコンテンツを引用する場合は、修正を加えずにそのまま引用しなければならず、修正を加えて引用することは許されません。

    この著作権の引用の5つのルールをすべて守った場合にのみ、「引用」が合法となります。更に、この中でも一番重要なのは、「ルール2」の「引用の必要があること」です。「引用」というのは、他人のコンテンツについてオリジナルのコメントを加えて批評・講評することを指しており、それ以外の目的で他人のコンテンツを無断で転載することは著作権侵害になることを理解しておきましょう。

     

    「引用」のルール違反に違反して著作権を侵害し、賠償命令を受けた事例

    引用のルールを守らなかった場合、法的には著作権侵害となり、引用元の著作権者から訴訟を起こされるなどの深刻なトラブルになる危険があります。

    実際に、著作権トラブルの訴訟になったケースには、以下のようなものがあります。

    事例1:インターネット上での絵画の画像の引用について52万円の損害賠償を命じたケース

    (東京地方裁判所平成21年11月26日判決)

    この事件は、絵画のオークション業者が、出品する絵画の画像をインターネット上で引用して販売に使用したケースです。引用された絵画の著作権者がこれを著作権侵害であるとして、オークション業者に対して訴訟を起こしました。裁判所は、引用されている絵画に比べ、引用したオークション業者によるオリジナルの記載部分がごくわずかであり、著作権侵害にあたると判断し、52万円の損害賠償を命じました。

    事例2:インターネット上で月刊誌連載記事の一部を引用したことについて41万6000円の損害賠償を命じたケース

    (東京地方裁判所平成22年 5月28日判決)

    この事件は、月刊誌に連載されていた記事の一部を、病院がwebサイト上で引用して掲載したケースです。引用された連載記事の著作権者が、これを著作権侵害であるとして、引用した病院に対して訴訟を起こしました。裁判所は、病院のWebサイトの該当ページは、分量的に、引用されている連載記事が「主」であり、病院のオリジナルのコンテンツが「従」であるとして、著作権侵害にあたると判断し、41万6000円の損害賠償を命じました。

    事例3:インターネット上で多数のビジネス書を引用したことについて110万円の損害賠償を命じたケース

    (東京地方裁判所平成13年12月 3日判決)

    この事件は、Webサイト上に多数のビジネス書の要約を掲載し、Webサイトの有料会員を募ったケースです。引用されたビジネス書の著作権者らが著作権侵害にあたるとして、Webサイトの運営者を訴えました。裁判所は、要約の際に引用部分に修正を加えていること、Webサイトの運営者によるオリジナルのコンテンツの部分がわずかであることを理由に、著作権侵害にあたると判断し、110万円の損害賠償を命じました。
    このように、引用した側は「出典を明記しているから合法だ」などと思って引用したケースでも、著作権侵害と判断して賠償を命じる判決が多数出ており注意を要します。

    また、他人の著作権を侵害してしまった場合、賠償の問題だけでなく、著作権侵害であるとしてネット上で非難されて炎上し、運営するブログやオリジナルメディア、キュレーションメディア自体の信用性が失われる事態に発展することも危惧されます。

    さらに、冒頭でも記載した通り、悪質と判断されれば刑事事件として逮捕されたり、罰金を科されることもあります。このようにルール違反の「引用」に対するペナルティーは想像以上に厳しいことを肝に銘じておきましょう。

     

    まとめ

    今回は、最近Web上でも「メディアなどでの画像や原稿の引用に関する著作権トラブル」が急増していることなどから、著作物の「引用」のルールについて、「引用は、引用者のオリジナルのコンテンツを発信するために他人の著作物の引用が必要不可欠な場合に限り、合法とされる」、という基本的な考え方をご説明しました。

    そのうえで、著作物を引用する場合に守らなければならない「5つの引用のルール」についてご説明し、最後に実際のトラブル事例をご紹介しました。

    誤った理解に基づきブログやメディアの運営を続けてしまうと、あとで著作権侵害と判断された場合に、逐一、該当箇所を作り直す必要があり、大変な手間がかかることになります。また、著作権侵害が発覚すれば、賠償問題に発展したり、ブログやメディアが炎上して閉鎖に追い込まることもあります。

    この機会に、ぜひ社内で著作物の引用のルールを確認して、著作権の観点からも問題がないブログやメディアを運営していきましょう。また、自社で運営しているブログやメディアが著作権侵害しているか不安で自社で判断が できない場合は、IT問題や著作権問題に強い「咲くやこの花法律事務所」にお気軽にご相談下さい。

     

     

    企業法務におけるお悩みは、企業法務に強い弁護士へ。「咲くやこの花法律事務所」へご相談下さい。

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