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【IT業界の方は必読】レベニューシェア型の開発契約書のリーガルチェックで絶対に確認すべき4つのポイント!

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    ECサイトやiPhoneやAndroidのスマホアプリの開発で、レベニューシェア型の開発契約を提案されることがあります。制作会社の立場から見ると、レベニューシェア型の契約は、報酬が多額になることもある反面、報酬が全くもらえないこともあり、通常の開発契約よりもリスクが高い内容になっています。そのため、契約書のリーガルチェックがより重要になります。

    今回は、制作会社の立場で、ECサイトやiPhoneやAndroidのスマホアプリの開発についてレベニューシェア型の契約をするときに、絶対に確認しておくべきリーガルチェックのポイントについてご説明します。

     

    今回の記事で書かれている要点(目次)

    ●【最初にチェック】制作会社の立場から見たレベニューシェア型の契約のメリットとリスク
    ●レベニューシェア型の開発契約書のリーガルチェックで絶対に確認すべき4つのポイントとは?
    ●ポイント1:「報酬」の決め方に関する契約条項のリーガルチェック
    ●ポイント2:「著作権」の処理に関する契約条項のリーガルチェック
    ●ポイント3:「制作物の仕様」についての契約条項のリーガルチェック
    ●ポイント4:「制作後の運用」についての契約条項のリーガルチェック

     

    【最初にチェック】
    制作会社の立場から見たレベニューシェア型の契約のメリットとリスク

    ECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなどに関するレベニューシェア型の開発契約書のリーガルチェックのポイントについてご説明する前に、まず、レベニューシェア型の開発契約にどのような「メリットとリスク」があるかを制作会社(受託者)の立場から考えてみましょう。
    制作会社から見たレベニューシェア型の開発契約のメリットは以下のような点があげられます。

    制作会社から見たECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなどのレベニューシェア型の開発契約のメリット

    メリット1:
    プロジェクトが成功すれば、固定型の報酬のプロジェクトよりも多額の報酬を得られる可能性がある。

    メリット2:
    レベニューシェア型の報酬体系にすることで、委託者から委託してもらいやすくなり、受注を獲得しやすくなる。

    一方で、制作会社から見たレベニューシェア型の開発契約のリスクは、以下のようなものになります。

    制作会社から見たECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなどのレベニューシェア型の開発契約のリスク

    リスク1:
    プロジェクトが成功せずに、十分な報酬が得られないリスク

    リスク2:
    あまり必要のない機能やコンテンツについても開発を要請され、制作会社の負担が過大になってしまうリスク

    リスク3:
    プロジェクトが成功した場合に、委託者から早期に契約関係を打ち切られ、十分な報酬を得られないリスク

    以下で、リスクについて順番にご説明します。

    リスク1:
    プロジェクトが成功せずに、十分な報酬が得られないリスク

    レベニューシェア型の契約では、プロジェクトが成功しなければ十分な報酬を得られません。
    プロジェクトが成功しない原因としては、以下のようなものが考えられます。

    (1)ビジネスモデルや事業計画に問題がある。
    (2)プロジェクトの途中で委託者がプロジェクトについての意欲を失ってしまう。
    (3)制作物が完成しても、委託者が十分な広告あるいは運用を行わないため、成果が得られない。
    (4)プロジェクト以外の原因で委託者が倒産あるいは廃業してしまう。

    これらの原因でプロジェクトが失敗に終わり、その結果、十分な報酬を得られない可能性があることが、ECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなどのレベニューシェア型の開発契約のもっとも大きなリスクです。

    リスク2:
    あまり必要のない機能やコンテンツについても開発を要請され、制作会社の負担が過大になってしまうリスク

    レベニューシェア型の契約では、報酬が作業量に連動していないことから、委託者は、個々の機能やコンテンツの追加を要請しても、それ自体について制作費用を負担するわけではありません。そのため、成果との関連性が薄いと思われるような必要性の低い機能やコンテンツについても、委託者の側ですこしでも改善につながる可能性があると考えれば、委託者から開発を求められる可能性があります。その結果、制作会社の工数がかさみ、負担が過大になってしまうリスクがあります。

    リスク3:
    プロジェクトが成功した場合に、委託者から早期に契約関係を打ち切られ、十分な報酬を得られないリスク

    プロジェクトが成功した場合、委託者は、固定型の報酬の契約より高い報酬を受託者に支払うことになります。そのため、成功した場合に、委託者としては受託者との関係を早期に解消して、収益をひとりじめしたいと考えるケースもゼロではありません。このように、プロジェクトが成功した場合、委託者から早期に契約関係を打ち切られ、その結果、十分な報酬が得られないリスクがあります。

    以上ご説明しましたように、制作会社の立場から見た場合、ECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなどのレベニューシェア型の契約には、メリットがある一方で大きなリスクがあります。まず、この点をおさえていただいたうえで、リーガルチェックで確認すべきポイントを見ていきましょう。

     

    レベニューシェア型の開発契約書のリーガルチェックで絶対に確認すべき4つのポイントとは?

    ECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなど、レベニューシェア型の開発契約のリーガルチェックのポイントは契約書の内容によってケースバイケースの部分がありますが、どの契約書でも共通して絶対に確認すべき4つのポイントは以下の通りです。

    レベニューシェア型の開発契約のリーガルチェックで絶対に確認すべき4つのポイント

    ポイント1:
    「報酬」の決め方に関する契約条項のリーガルチェック

    ポイント2:
    「著作権」の処理に関する契約条項のリーガルチェック

    ポイント3:
    「制作物の仕様」についての契約条項のリーガルチェック

    ポイント4:
    「制作後の運用」についての契約条項のリーガルチェック

    前述のとおり、ECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなどのレベニューシェア型の開発契約には、十分な報酬が得られないリスクや、必要性の低い機能やコンテンツについて制作会社の負担で開発を求められるリスクがあります。これらのリスクが現実化することをできるかぎり防ぐためには、開発契約書の中身が重要です。

    以下で4つのリーガルチェックのポイントを順番に見ていきましょう。

     

    ポイント1:
    「報酬」の決め方に関する契約条項のリーガルチェック

    ECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなど、レベニューシェア型の開発契約書のリーガルチェックの1つ目ポイントは、「制作会社の報酬の決め方に関する契約条項の確認」です。

    レベニューシェア型の契約で、委託者から制作会社に支払われる報酬の決め方は、大きくわけて以下の2つのパターンがあります。

    レベニューシェア型の報酬の決め方の2つのパターン

    パターン1:
    一定期間の「売上」に対するパーセンテージで報酬を決めるパターン

    パターン2:
    一定期間の「利益」に対するパーセンテージで報酬を決めるパターン

    まずは、契約書がどちらのパターンになっているかを確認しましょう。

    特に、「利益」に対するパーセンテージで報酬を決めるパターンでは、ECサイトやiPhoneアプリ、Androidアプリをリリースした後も、広告費などがかさみ、しばらくは利益が出ない期間が続く可能性があることに注意しておきましょう。また、「利益」に対するパーセンテージで報酬を決める場合は、「利益の計算方法」を契約書で明記しておくことが重要です。具体的には、「利益」の計算にあたって、売上から「経費として差し引く項目」を契約書に明記しておくことがポイントになります。
    たとえば、以下のような決め方があります。

    【利益の計算方法についての定め方の例】

    例1:
    売上から広告費や商品仕入代金を差し引いた額を「利益」とするケース

    例2:
    売上から広告費や商品仕入代金だけでなく、運用に携わる従業員の人件費やサーバやドメインの費用も差し引いた額を「利益」とするケース

    どのような計算方法で「利益」を計算するのかを明記しておかなければ、あとで報酬の計算方法をめぐってトラブルになることがありますので、注意が必要です。

    さらに、報酬の決め方については、ECサイトやスマホアプリをリリースした後、どのくらいの期間を、報酬支払の対象とするのかについても決めておく必要があります。制作会社の立場からは、報酬支払の対象をできるだけ長くとり、かつ、契約終了時も双方に異議がなければ自動更新する内容にすることが、重要なポイントとなります。

    このように、ECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなど、レベニューシェア型の開発契約書の報酬の決め方については、「売上に対するパーセンテージで決めるのか、それとも利益に対するパーセンテージで決めるのか」、「報酬支払の対象期間はどのように設定されているのか」、「自動更新条項はあるのか」などが重要なリーガルチェックのポイントとなりますので、おさえておきましょう。

     

    ポイント2:
    「著作権の処理」に関する契約条項のリーガルチェック

    ECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなど、レベニューシェア型の開発契約書のリーガルチェックの2つ目のポイントは、「著作権の処理に関する契約条項の確認」です。

    著作権の処理については、大きく分けて、以下の2つの定め方があります。

    著作権の処理について

    パターン1:著作権を制作会社に残すパターン。
    パターン2:著作権を委託者に移転するパターン。

    もちろん、「パターン1」を採用したほうが、制作会社にとっては有利になります。制作会社に著作権を残すことによる具体的なメリットは以下の通りです。

    制作会社に著作権を残す契約条項にするメリット

    メリット1:
    受託者は著作権者である制作会社の同意がないと制作物を使用することができないため、契約期間満了後も契約を更新することになりやすい。

    メリット2:
    受託者は著作権者である制作会社の同意がないと制作物を修正することができないため、契約期間満了後も契約を更新することになりやすい。

    この2つの点から、著作権を制作会社に残すと、委託者から契約を更新してもらいやすく、その結果、長期間にわたって制作会社が報酬を受け取ることにつながりやすいというメリットがあります。また、プロジェクトが失敗に終わった場合も、制作会社に著作権があれば、制作物を他社に提供して報酬を得るなど、報酬確保の道が開かれるというメリットがあります。

    このように、プロジェクトが成功した場合も、失敗に終わった場合も、著作権が制作会社に残されているかは重要なポイントになります。この点を念頭に置いて、著作権を制作会社に残す契約にしておくことをお薦めします。

     

    ポイント3:
    「制作物の仕様」についての契約条項のリーガルチェック

    ECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなど、レベニューシェア型の開発契約書のリーガルチェックの3つ目のポイントは、「制作物の仕様についての契約条項の確認」です。

    最初の項目で、「リスク3」として、レベニューシェア型の開発契約書では、「あまり必要のない機能やコンテンツについても開発を要請され、制作会社の負担が過大になってしまうリスク」があることをご説明しました。
    この点に対する対策として、以下の点を契約条項に盛り込むようにしましょう。

    制作物の仕様についての契約条項のポイント

    ポイント1:
    開発契約書に、発注段階で開発を予定している仕様を明記する。

    ポイント2:
    予定していた仕様からの修正や追加は、その都度、委託者が制作会社と協議し、双方が同意した場合にのみに行うことを明記する。

    ECサイトやiPhoneアプリ、Androidアプリなどの開発契約では、当初予定していた仕様で制作を完了した後も、その後の運用を踏まえて改善し、機能の追加や修正を行っていく必要が出てくることがよくあります。しかし、レベニューシェア型の契約の場合、追加や修正を行っても、その分の費用を委託者が負担するわけではありません。そこで、委託者から必要性の低い機能やコンテンツについても無制限に開発を要請され、制作会社の負担が過大にならないように、開発契約書に定めた仕様からの修正や追加は、制作会社が同意した場合にのみ行うことを契約書に明記しておくことが必要です。

    この点も、ECサイトやiPhoneアプリ、Androidアプリなど、レベニューシェア型の開発契約の重要なチェックポイントとなりますので、確認しておきましょう。

     

    ポイント4:
    「制作後の運用」についての契約条項のリーガルチェック

    ECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなど、レベニューシェア型の開発契約書のリーガルチェックの4つ目のポイントは、「制作後の運用についての契約条項の確認」です。

    最初の項目で、「リスク1」の「(3)」としてECサイトやiPhoneアプリやAndroidアプリが完成しても、委託者が十分な広告あるいは運用を行わないため、成果が得られず、その結果プロジェクトが失敗に終わるリスクがあることをご説明しました。このリスクをできる限り避けるために、制作完了後の運用の方法についても具体的に契約書に定めておくことをお薦めします。
    たとえば、以下のような点を定めておくとよいでしょう。

    制作完了後の運用の方法について定めておくべき項目

    項目1:
    委託者において運用を担当する担当者がだれか。

    項目2:
    制作完了後に委託者においてどのようなマーケティング施策を行うか。

    項目3:
    制作完了後に委託者において毎月どの程度の広告費をかけて運用を行うか。

    項目4:
    ECサイトの場合、商品の仕入れや購入者への発送、顧客からの問い合わせに委託者がどの程度の人数を割いて対応するか。

    プロジェクトの成功は、完成したECサイトやiPhoneアプリ、Androidアプリの運用にあたり、委託者が意欲をもって、必要なリソースを割くかどうかに左右されます。意欲を持って適切な運用がされる体制を確保できるように契約書に運用方法の詳細を定めておくことが必要ですので、おさえておきましょう。

     

    まとめ

    今回は、制作会社の立場から見たECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなどのレベニューシェア型の契約のメリットとリスクをご説明したうえで、レベニューシェア型の開発契約書のリーガルチェックの絶対に確認すべきポイントについてご説明しました。

    ECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなどのレベニューシェア型の契約は、まず制作会社が開発のために人件費等のコストを投資し、それを長期間かけて、事業収益の中から回収していくというモデルです。事業が成功しても成功しなくても報酬が約束されている、固定型の報酬の契約よりも、制作会社のリスクは高くなりますので、十分なリーガルチェックが不可欠です。

    また、ECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなどのレベニューシェア型の契約は、制作会社と委託者がいわば一緒に事業を行うという関係に近く、制作会社と委託者の事業意欲と信頼関係が長期的に続いて、はじめて成功します。そのため、ECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリのレベニューシェア型の契約は、過去に開発を成功させたことのある取引先で、仕事の進め方についてトラブルが起きなかったところに限定して検討することをおすすめします。

    一度も取引したことがない委託者との間でレベニューシェア型の契約をすることは、仮に契約内容自体が魅力的な条件であっても失敗に終わる可能性がかなり高いと考えなければなりません。この点も、ECサービスやiPhoneアプリ、Androidアプリなどのレベニューシェア型の開発契約の注意点としておさえておきましょう。


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