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派遣社員の就業規則の重要ポイント!厚生労働省のひな形も参考に解説

派遣社員の就業規則の重要ポイント!厚生労働省のひな形も参考に解説
  • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
  • この記事を書いた弁護士

    西川 暢春(にしかわ のぶはる)

    咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
  • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で400社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

派遣社員の就業規則は正しく整備できていますか?

派遣社員の就業規則は、労働者派遣法や「派遣元指針」、労使協定方式といった労働者派遣独自のルールへの対応が必要になり、注意すべき点が多いです。不備があると、派遣社員との労務トラブルが起きたときに十分な対応ができなかったり、労働局からの改善指導の対象となったりするなどのリスクがあります。

派遣のルールは法改正が多く、就業規則をその都度見直し、アップデートしていくことも必要です。

この記事では派遣社員用の就業規則について、作成の際の注意点や、そもそも派遣社員に派遣元・派遣先のどちらの就業規則が適用されるのかという問題、そして派遣用の就業規則の周知方法等についてもご説明したいと思います。

 

※参考:この記事では派遣社員用の就業規則に特有の点を中心に解説します。就業規則全般についてのより詳細な解説は、参考書籍「労使トラブル円満解決のための 就業規則・関連書式作成ハンドブック(西川暢春著、令和5年11月刊行) 」や、参考記事「就業規則とは?義務や作成方法・注意点などを弁護士が解説 」をご確認ください。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

派遣社員用の就業規則の作成や整備にあたっては、労働者派遣法や派遣業の実務、労働局の対応、派遣に関する裁判例等についての網羅的な知識が必要です。咲くやこの花法律事務所でもご依頼を承っていますのでご相談ください。

 

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1,派遣社員の就業規則とは?

派遣社員の就業規則とは?

派遣社員の就業規則とは、派遣社員に適用される就業規則のことです。派遣社員には派遣元の就業規則が適用され、派遣社員の労働条件を規律する効力を持ちます。派遣社員の就業時間や休日・休暇、賃金、退職や解雇に関する事項、懲戒制度、服務規律等を定めます。

派遣会社に雇用される従業員は、派遣社員と派遣社員以外の従業員(派遣事業者の事務や営業、マネジメント、経営等を担当する従業員)に分かれます。そして、以下の点から、派遣社員は派遣社員以外の従業員とは別の就業規則を整備することが適切です。

 

  • 理由1:就業時間や賃金体系が派遣社員以外の従業員とは異なることが多いこと
  • 理由2:派遣先で就業するため、服務規律(就業において遵守すべき規律)が派遣社員以外の従業員とは異なること
  • 理由3:派遣先の変更に応じて、就業時間や休日、就業場所等を柔軟に変更する必要があること

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

有期雇用の派遣社員と無期雇用の派遣社員の両方を雇用する派遣事業者においては、両者の労働条件の違いも意識して派遣社員用の就業規則を作成する必要があります。有期雇用の派遣社員の就業規則と、無期雇用の派遣社員の就業規則を分ける例も見られます。

 

2,派遣社員の就業規則における記載事項

派遣社員の就業規則における一般的な記載事項と、それぞれの項目について留意すべき点は以下の通りです。

 

就業規則の章立て 派遣社員用就業規則における留意点
1.総則 「就業規則を適用する従業員の範囲」等について定めます。特に有期雇用の派遣社員と無期雇用の派遣社員がいる場合は、そのどちらについての規定なのか、あるいは両方に適用するのかなど、適用範囲の規定の仕方を検討する必要があります。
2.採用・異動等 派遣先の変更に応じて、就業場所や業務内容等の変更が生じることを踏まえた規定とする必要があります。
3.服務規律 派遣先で就業することを意識して作成する必要があります。例えば、機密保持に関する規定においては、派遣元の機密情報に関する機密保持だけでなく、派遣先の機密情報に関する機密保持についても定める必要があります。
4.労働時間、休憩、休日 派遣先の変更に応じて、労働時間、休憩、休日等の変更が生じることを踏まえた規定とする必要があります。
5.休暇等 派遣社員についても、通常の社員と同様に有給休暇、生理休暇、産前産後休業、育児休業、介護休業等の制度が適用されます。
6.賃金 労使協定方式、派遣先均等均衡方式のいずれを採用するかを意識して作成する必要があります。両方を併用する場合は、両方の賃金制度について定める必要があります。
7.定年、退職、解雇 解雇事由については、一般的な解雇事由のほかに、派遣先が定めた就業に関する規律への違反や、派遣先による指示・命令に対する不服従も解雇事由にする必要があります。
8.安全衛生、災害補償 健康診断の実施や労働災害発生時の補償は派遣元の責任ですが、派遣労働者は派遣先による労働災害防止のための措置に協力する義務を負います。そのため、派遣先が行なう安全衛生上の指示に従うべきことも定めておく必要があります。
9.職業訓練 労働者派遣法で義務づけられるキャリアアップ教育訓練について定めるほか、同一労働同一賃金原則への対応として、教育訓練に関する、派遣先の従業員との均衡の確保にも留意する必要があります。
10.表彰及び制裁 懲戒制度等は、一般的な懲戒事由のほかに、派遣先が定めた就業に関する規律への違反や、派遣先による指示・命令に対する不服従も懲戒事由にする必要があります。

 

なお、派遣業に限らず、労働基準法第89条において、就業規則に必ず記載しなければならない項目が定められていることにも注意が必要です。就業規則の記載事項についての一般的な説明については以下の解説もご参照ください。

 

 

▶参考情報:労働基準法第89条

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
四 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

・参照:労働基準法の条文はこちら

 

3,就業規則がない場合の問題点

派遣社員用の就業規則がない場合、以下の問題点があります。

 

(1)労働基準法違反となる

労働基準法では、常時10人以上の従業員を使用する事業所がある事業主に就業規則の作成を義務付けています(労働基準法第89条)。そのため、派遣社員も含めて10人以上の従業員を雇用する事業所において、就業規則が整備されていない場合、労働基準法違反となってしまいます。

また、常時10人以上の従業員を使用する事業所がある事業主は、その事業所で就業する全ての従業員について漏れなく就業規則を整備しなければなりません。そのため、派遣社員以外の従業員に適用する就業規則のみを整備して、派遣社員用の就業規則を整備しない場合も労働基準法違反となります。

 

▶参考情報:就業規則作成義務については以下でも解説していますのでご参照ください。

就業規則の作成義務についてはこちら

 

(2)労務管理に支障が生じる

就業規則が整備されていない場合、単に労働基準法違反になるだけでなく、「派遣社員に対する懲戒処分ができなくなる」、「派遣社員に対する服務規律を明確にできない」、「派遣社員の病気休職時の対応のルールが不明確になる」といった問題も生じます。派遣社員以外の従業員に適用する就業規則のみが整備され、派遣社員用の就業規則が整備されていない場合も同様の問題が起こります。

 

▶参考情報:就業規則がない場合に生じる問題については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

就業規則がない場合どうなる?違法になる?リスクや対処法を解説

 

4,厚生労働省のモデル就業規則との関係

厚生労働省は一般の事業者による利用を想定して、「モデル就業規則」を公表しています。

 

 

これに対して、派遣社員用の就業規則については、厚生労働省のモデル規定はありません。ただし、以下の「派遣元事業者のための就業規則の作成のポイント」のリーフレットが厚生労働省から公表されており、派遣社員用就業規則を作成する際の参考にすることが可能です。この記事内でも、適宜、このリーフレットの内容をご紹介します。

派遣元事業者のための就業規則の作成のポイント

 

 

5,派遣先?派遣元?どっちの就業規則が適用されるのか?

派遣社員に、派遣先、派遣元のうちどちらの就業規則が適用されるのかを迷う方もいるかもしれません。この点については、派遣元の就業規則が適用されることになります。派遣社員との間で労働契約関係にあるのは派遣元(派遣事業者)のみだからです。

派遣先と派遣社員との間には労働契約関係はありませんので、派遣先の就業規則は派遣社員には適用されません。ただし、派遣元の就業規則において「派遣先の就業規則の遵守」を義務付けることも可能であると考えられます。

 

6,派遣社員用就業規則作成の際の注意点

派遣社員用就業規則を整備する際は、労働者派遣法への対応はもちろん、派遣の特有の事情を踏まえることが必要です。この記事では、派遣社員用就業規則を作成するために注意すべき点として以下の点をご説明したいと思います。

 

  • 労使協定方式への対応
  • 教育訓練時間の取り扱い
  • 休業手当に関する規定のポイント
  • 解雇制限に関する規定のポイント
  • 派遣先の変更に備え、就業条件の柔軟な変更を可能にする

 

▶参考情報:なお、就業規則の作成全般に関する基本的な解説は以下をご参照ください。

就業規則とは?作成方法・注意点などを弁護士が解説

 

(1)労使協定方式への対応

まず、上記で注意すべき点として最初にあげた「労使協定方式への対応」からご説明します。

派遣社員の賃金については、「労使協定方式」「派遣先均等均衡方式」のいずれかの方式により、同一労働同一賃金ルールに対応しなければなりません(派遣法第30条の3~30条の5 ※4)。

 

▶参考:派遣業の同一労働同一賃金については以下をご参照ください。

派遣会社は対応が必要!派遣業でも同一労働同一賃金が義務化

 

そして、「賃金の決定」に関する事項は就業規則に必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項です(労働基準法第89条2号)。そのため、上記のうちどちらの方式をとるかについては、就業規則(または賃金規程)に記載が必要です。

また、労使協定方式を採用する場合は、「就業の実態に関する事項を公正に評価し、その賃金を決定すること」「就業の実態に関する事項の向上があつた場合に賃金が改善されるものであること」が要件とされています(労働者派遣法第30条の4第1項2号ロ、同3号 ※4)。これらの点は、「昇給に関する事項」にあたり、就業規則に必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項です(労働基準法第89条2号)。

さらに、労使協定方式の採用にともなって、退職金制度や前払退職金、その他新たな賃金項目を設定する場合も、その内容について、就業規則あるいは賃金規程や退職金規程で定めることが法律上の義務であることに注意する必要があります(労働基準法第89条2号、3号の2)。

 

▶参考:労使協定方式については以下をご参照ください。

労使協定方式による派遣法対応の5つの重要ポイント

 

(2)教育訓練時間の取り扱い

事業者が「職業訓練」に関する定めをする場合は、その種類及び程度を就業規則において定めることが求められています(労働基準法第89条9号)。この点に関して、派遣社員の就業規則において注意しなければならないこととして、「教育訓練時間の取り扱いに関する規定の整備」が必要です。具体的には「派遣社員に対する教育訓練の受講時間を労働時間として扱い、賃金を支払うこと」を派遣社員の就業規則で明記することが必要です。

これが必要になる理由は以下の通りです。

 

ア,派遣社員の就業規則に教育訓練時間の取り扱いに関する規定が必要になる理由

平成27年9月の労働者派遣法改正により、派遣会社は派遣社員に対してキャリア形成を目的とする教育訓練を行わなければならないことが、労働者派遣法に明記されました(労働者派遣法第30条の2 ※4)。たとえば、1年以上の雇用見込みのあるフルタイム勤務の派遣社員に対しては、毎年概ね「8時間」以上の教育訓練が必要とされています。

そして、新たに労働者派遣事業の許可を申請する際や派遣業の事業所を新設する際は、この教育訓練の時間について派遣社員に対して給与を支払うことを派遣社員用の就業規則に明記しているかどうかを、労働局が確認することになりました。

派遣会社の事業所が派遣先から非常に遠く終業後に教育訓練を行うことが困難であるような場合で、eラーニングの設備もない場合は、通常の教育訓練のかわりに、自主教材を渡すなどの方法による教育訓練が認められていますが、その場合も学習時間についての給与の支払いが必要です。

これらの点に対応した、派遣社員用就業規則における教育訓練時間の取り扱いに関する規定例は以下の通りです。

 

イ,「教育訓練時間の取り扱いに関する規定」の記載例

 

第〇条(教育訓練)

1 会社は、派遣労働者のキャリア形成を目的として、派遣労働者に段階的かつ体系的な教育訓練を行う。
2 前項の教育訓練は、有給かつ無償のものとする。
3 会社は、第1項の教育訓練を実施することが困難であることに合理的な理由がある場合は、派遣労働者に対してキャリアアップに係る自主教材を渡す等の措置を講ずることにより、第1項の教育訓練を行うことができる。この場合、会社は、当該派遣労働者に対して、教材の学習に必要とされる時間数に見合った給与を支払う。

 

特に事業所の新設の際には、就業規則の該当箇所の写しを労働局に提出させられ、この点の規定が正しく設けられているかどうかを確認されますので、十分注意が必要です。

 

(3)休業手当に関する規定のポイント

休業手当に関する規定についても注意を要する点があります。「派遣会社が、次の派遣先を見つけられない等の理由により派遣社員を休業させた場合には、派遣社員に対して休業手当を支払うこと」を派遣社員用の就業規則に明記しておきましょう。これが必要になる理由は以下の通りです。

 

ア,派遣社員に適用される就業規則に「休業手当に関する規定」が必要になる理由

法律上、以下の2つの場面では、派遣事業者から派遣社員に対して、休業手当の支払いが義務付けられています。

 

  • 場面1:派遣会社が無期雇用派遣労働者を「次の派遣先を見つけられない」等の理由により休業させる場合
  • 場面2:派遣会社が有期雇用派遣労働者を「次の派遣先を見つけられない」等の理由により、有期雇用契約の期間中に休業させる場合

 

「休業手当」は労働基準法第26条により、通常の賃金の6割以上の額とされています。そして、「休業手当」が支給されることを明確にするために、平成27年9月の労働者派遣法改正を機に、派遣業に関する新規の許可申請あるいは事業所の新設の際には、派遣社員の就業規則に「派遣社員を次の派遣先を見つけられない等の理由により休業させた場合には、休業手当を支払うこと」を規定しているかどうかが、労働局によりチェックされることになりました。

この点に対応した、休業手当に関する派遣社員の就業規則の規定例は以下の通りです。

 

イ,派遣社員の就業規則における休業手当に関する規定の例

 

第〇条(休業手当)

1 会社は無期雇用派遣労働者又は有期雇用派遣労働者であるが労働契約期間内に労働者派遣契約が終了した者について、次の派遣先を見つけられない等、使用者の責に帰すべき事由により休業させた場合には、休業手当として、派遣労働者の平均賃金の100分の60を支払う。
2 前項の場合、民法536条2項は適用しない。

 

上記の規定例を参考に、自社の就業規則に、休業手当に関する規定があるかどうか、正しく規定されているかどうかを確認しておきましょう。

 

(4)解雇制限に関する規定のポイント

派遣社員の就業規則のうち、解雇に関する部分についても注意点があります。派遣社員に適用される就業規則には、「派遣元指針を踏まえた解雇制限条項を設けておくこと」が適切です。

具体的には、以下の2点を就業規則に定めておきましょう。

 

ア,解雇制限について派遣社員用就業規則に定めるべき2つのポイント

 

  • ポイント1:無期雇用派遣労働者を派遣先との派遣契約終了のみを理由に解雇しないこと
  • ポイント2:有期雇用派遣労働者を派遣先との派遣契約終了のみを理由に、有期雇用契約の期間内に解雇しないこと

 

その理由は以下の通りです。

 

イ,派遣社員用就業規則に解雇制限に関する規定を設けることをおすすめする理由

労働者派遣法上、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」(いわゆる派遣元指針)の第2の2(4)において、以下の解雇は禁止されています。

 

  • 理由1:無期雇用派遣労働者を派遣先との派遣契約終了のみを理由に解雇すること
  • 理由2:有期雇用派遣労働者を派遣先との派遣契約終了のみを理由に、有期雇用契約の期間内に解雇すること

 

▶参照:「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」については以下をご参照ください。

派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針(pdf)

 

そして、この点について、平成27年9月の労働者派遣法改正で、新規の許可申請や、事業所の新設の際には、労働局に「労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇しないことを証する書類」を提出することが義務付けられました。

労働局が確認するのは、派遣社員の就業規則や派遣社員との雇用契約書が以下の2つのポイントをおさえているかという点です。

 

ウ,労働局が確認する「派遣社員の就業規則や派遣社員との雇用契約書」の2つのポイント

 

  • ポイント1:無期雇用派遣労働者を派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がないか
  • ポイント2:有期雇用派遣労働者についても、雇用契約期間中に派遣先との派遣契約が終了した場合に、派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がないか

 

このように、積極的に「解雇しないこと」の規定を就業規則に設けることまで求められているわけではありませんが、就業規則において解雇制限に関する規定として、上記のような解雇をしないことを明記しておけば、労働局による確認等にもよりスムーズに対応できます。

派遣社員の就業規則における解雇制限に関する規定の例は以下の通りです。

 

エ,解雇制限に関する規定の例

 

第〇条(解雇制限)

会社は、次の理由による解雇を行わない。
(1)無期雇用派遣労働者について、派遣先との契約終了のみを理由とする解雇
(2)有期雇用派遣労働者について、派遣先との契約終了のみを理由とする有期雇用契約の期間内の解雇

 

この解雇制限に関する規定についても、自社の派遣社員用就業規則を確認したうえで、規定がなければ、追記しておかれることをおすすめします。

 

▶参考情報:派遣労働者の解雇については以下の記事でも詳しく解説していますのであわせてご参照ください。

派遣社員の解雇についてわかりやすく徹底解説

 

(5)派遣先の変更に備え、就業条件の柔軟な変更を可能にする

派遣社員が通常の従業員と大きく異なるのは、派遣先の変更によって就業条件が変更されるという点です。

無期雇用の派遣労働者については、現在の派遣先との派遣契約が終了する場合、派遣会社において別の派遣先を確保することが必要になります。また、有期雇用の派遣労働者についても、派遣先による派遣契約の途中解除や派遣先の倒産等の事情で、現在の派遣先での就業ができなくなり、派遣会社において別の派遣先を確保することが必要になることがあります。

そして、新しい派遣先を確保できるまでは、派遣会社は派遣社員に対して前述の休業手当の支払義務を負います。一方で、新しい派遣先を提案しても派遣社員がその派遣先での就業を拒むときは、それ以降は、派遣会社の責任により休業させているわけではないため、休業手当の支払義務を負わないというのが基本的な考え方になります。

ただし、ここで問題になるのは、新しい派遣先はどのような派遣先でもよいわけではないということです。派遣先の変更に伴い、始業時刻や終業時刻が変更になったり、業務の内容が変更になったりすることが、派遣社員とのトラブルの原因になることがあります。トラブル防止のためには、どのような派遣先であれば、派遣社員としてそれを受け入れ就業する義務を負うのかということを、就業規則において明確にしておくことが望ましいでしょう。

この点については、厚生労働省の「派遣元事業者のための就業規則の作成のポイント」においても、「就業規則に就業先の変更に伴う勤務場所の変更について記載する例」として、以下のひな形を公開しており、参考になります。

 

(就業場所の変更)

第〇条 会社は業務の都合により、雇入れ時に示した派遣先又は派遣先における就業場所(以下、就業場所という。)を変更することがある。
2 会社は前項により、就業場所の変更を行なう場合は、派遣スタッフの不利益にならないよう次の労働条件を確保するものとする。
1)通勤時間が増加する場合でも、現就業場所から60分の増加が限度であること
2)所定就業時間は、現就業時間の概ね10%以内の増減であること
3)対象業務が、派遣スタッフにおいて登録している職種又は現就業職種であること
4)時間給は、現就業条件に定める時間単価の100%が補償されるものであること

・参照元:「派遣元事業者のための就業規則の作成のポイント」(その1(PDF:2,833KB))7頁

 

7,厚生労働省が公開しているひな形

就業規則のその他の部分についても厚生労働省が公開しているひな形が参考になる項目があり、以下でご紹介したいと思います。

 

(1)有期雇用派遣労働者の契約更新について

有期雇用の派遣労働者について、特に従業員としての資質に問題があり、派遣先の業務をこなすことができなかったり、あるいは派遣先でトラブルを起こすといった場合に、スムーズに雇用を終了できるようにしておく必要があります。

この点については、労働契約法第17条 ※3 により、有期雇用の場合の雇用期間中の解雇は「やむを得ない事由がある場合」に限定されることから、雇用期間が満了するタイミングにおいて契約を更新しないことにより雇用を終了することが現実的です。これを「雇い止め」といいます。

ただし、雇用期間満了のタイミングで契約を更新しない雇い止めについては、一定の場合に更新を強制する「雇止め法理」(労働契約法第19条 ※3)との関係が問題になります。有期雇用の派遣労働者の雇用を派遣会社の判断で終了する場面で、雇い止め法理の適用を巡るトラブルをできる限り回避するために、有期雇用の派遣労働者について、雇用契約は自動更新ではないことを就業規則上も明確にしておくことが適切でしょう。

この点について、厚生労働省は、「派遣元事業者のための就業規則の作成のポイント」において、「契約を自動更新しないことを記載している例」として、以下のテンプレートを公表しており、参考になります。

 

〈雇用期間〉

第〇条 派遣スタッフの雇用契約の期間は、原則として1年を超えないものとし、雇用契約により定める。
2 前項の雇用契約の期間は、会社が次の基準に基づき必要と判断した場合に、派遣スタッフに事前に通知し、派遣スタッフの同意を得た上で更新することがあるが、自動更新はしない。
1)派遣先との契約更新の有無
2)派遣業務の内容又は契約の条件変更の有無
3)契約期間中の勤務成績、態度又は勤怠状況
4)業務遂行能力、又は業務効率性
5)派遣業務の進捗状況
6)派遣業務量の変更の有無
7)派遣人員数の変更の有無
8)会社及び派遣先が徴求する勤怠その他各種帳票類の提出状況
9)本規則を含む会社規定の遵守状況
10)その他上記各号に準じる状況の有無
3 派遣スタッフと会社との雇用契約期間の定めのある契約であり、前項の会社からの通知が派遣スタッフに行われない限り、派遣スタッフと会社との雇用契約(更新した場合は更新後の雇用契約)の期間が終了した日をもって、派遣スタッフと会社との間の雇用関係は期間満了により終了する。ただし、期間の定めのある契約を3回以上更新した又は雇入れからの期間が1年を超えた派遣スタッフについて、期間満了により雇用契約を終了させる場合は、終了させる30日以上前に契約を更新しない旨の予告を行う。

・参照元:「派遣元事業者のための就業規則の作成のポイント」(その2(PDF:2,710KB))9頁

 

▶参考情報:なお、雇止め法理についての基本的な解説は、以下をご参照ください。

雇止め法理とは?弁護士がわかりやすく解説

 

(2)損害賠償について

派遣業では派遣先からの損害賠償請求のトラブルにも備える必要があります。特に派遣社員が不正行為により派遣先に損害を与えたときや、派遣社員の重大な過失により派遣先に損害を与えたときは、派遣会社は派遣先から損害賠償請求を受ける危険があります。その場合に、派遣会社としてはその派遣社員に損害賠償を請求できるように、就業規則を整備しておく必要があります。

 

▶参考情報:派遣先からの損害賠償請求の対応方法については、以下の記事で具体的に解説していますのであわせてご参照ください。

【派遣会社向け】派遣先からのクレームや損害賠償請求の対応方法

 

この点、一般企業の就業規則では、従業員が故意または重大な過失により自社に損害を与えたときに会社に対する損害賠償責任を負う旨の規定が設けられることが多いです。しかし、派遣業における就業規則では、自社に損害を与えたときだけでなく、派遣先に損害を与えたときも損害賠償責任の対象としておくべきでしょう。

この点について、厚生労働省は「派遣元事業者のための就業規則の作成のポイント」において、「損害賠償を本人に求める例」として以下のテンプレートを公表しており、参考になります。

 

〈損害賠償〉

第〇条 派遣スタッフが故意又は重大な過失によって会社に損害を与えたときは、会社は派遣スタッフに、その損害を賠償させることがある。また、派遣スタッフが損害を賠償したとしても、会社は、原則として、懲戒規定に基づき懲戒等を行うものとする。
2 派遣スタッフが派遣先に損害を与えたときは、派遣スタッフにその損害を賠償させることがある。
3 派遣スタッフの損害賠償の義務は、退職又は解雇後においても免責又は軽減されるものではない。

・参照元:「派遣元事業者のための就業規則の作成のポイント」(その2(PDF:2,710KB))17頁

 

(3)機密保持について

就業規則では機密保持に関する規定も置かれることが通常です。

派遣社員用の就業規則において機密保持に関する規定を設ける際は、派遣元の機密情報に関する機密保持だけでなく、派遣先の機密情報に関する機密保持についても定める必要があります。この点についても、厚生労働省は「派遣元事業者のための就業規則の作成のポイント」において、「守秘義務及び機密情報にあたる事項を定める例」として以下のテンプレートを公表しており、参考になります。

 

〈守秘義務〉

第〇条 派遣スタッフは、業務上知り得た情報や、取引先、顧客その他の関係者、会社・派遣先の役員・従業員等の個人情報を正当な理由なく開示したり、利用目的を超えて取扱い、又は、漏洩してはならない。会社を退職した場合においても同様とする。
2 派遣スタッフは、会社の定めた規則を遵守しなければならない。
3 会社は、必要に応じて、会社の機密情報にかかる秘密保持に関する誓約書を提出させることがある。
4 会社の業務の範囲に属する事項について、著作・講演・執筆などを行う場合は、あらかじめ会社の許可を受けなければならない。
5 会社の機密情報とは次のものをいう。
1)会社が業務上保有している顧客の個人情報(メールアドレス、氏名、住所、電話番号等)
2)会社の取引先に関する情報(取引先会社名、住所、担当者名、取引商品等)
3)会社の企画及び商品内容に関する情報(進行中の企画内容、システムの仕様等)
4)会社の財務及び人事に関する情報
5)会社との事業提携に関する情報
6)子会社及び関連会社に関する上記各号の事項
7)その他、会社が機密保持を必要として指定した情報

・参照元:「派遣元事業者のための就業規則の作成のポイント」(その3(PDF:2,459KB))19頁

 

8,派遣用の就業規則についての意見書の取得

就業規則案を作成した後は、事業場ごとに過半数代表者の意見を聴き、意見書を書いてもらうことになります(労働基準法第90条 ※1)。

この意見聴取手続きについては以下で解説していますのでご参照ください。

 

 

派遣社員用の就業規則についても、派遣社員ではない従業員も含む事業場の全従業員により選出された過半数代表者から意見を聴取する必要があります。過半数代表者が派遣社員である必要は必ずしもありません。ただし、労働者派遣法第30条の6(※4)において、派遣労働者に適用される就業規則を作成または変更するときは、「当該事業所において雇用する派遣労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めなければならない。」とされています。

 

9,派遣用の就業規則の届出

意見聴取手続きを終えたら、意見書を添付して、管轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります(労働基準法89条 ※4)。就業規則の届出の方法について、詳細は以下をご参照ください。

 

 

10,派遣用の就業規則の周知について

派遣用の就業規則の周知をどのような方法により行うかも問題になります。就業規則の周知については、以下のいずれかの方法により行うことが労働基準法上義務付けられており、この点は派遣業においても同様です(労働基準法106条1項 ※1、労働基準法施行規則52条の2 ※2)。

 

  • 1.常時各作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付ける。
  • 2.コピーを従業員に交付する。
  • 3.電子媒体に記録し、それを常時パソコンのモニター画面等で確認できるようにする。

 

ただし、派遣業においては、周知対象である派遣社員の就業場所が派遣先の様々な場所に散らばっています。このことを踏まえれば、派遣事業者の事業所内における掲示等の方法による周知よりも、コピーの交付等による周知のほうが望ましいといえます。厚生労働省の「派遣元事業所のための就業規則の作成のポイント」においても、「派遣労働者の場合、通常は派遣先の職場で働いており、派遣元事業者の事業所に立ち寄ることは少ないことから、できるだけ一人ひとりに配布するか、電子媒体に記録し、それを常時モニター画面等で確認できるようにすることが望まれます。」と記述されています。

 

11,派遣用の就業規則の変更について

会社は就業規則を所定の手続きを踏むことにより変更することができます。過半数代表者の意見を聴取したうえで、その意見書を添付して労働基準監督署長に届け出ること、変更後の就業規則を周知することが必要です。これらの点は、派遣社員に適用される就業規則についても同様です。

ただし、変更が従業員にとって不利益な内容を含む場合、変更前の就業規則の下で雇用された従業員に変更後の就業規則が適用されるためには、その従業員が同意するか、変更が合理的なものであることが必要です(労働契約法10条 ※3)。

 

▶参考情報:就業規則の変更方法については、以下で詳しく解説していますのでご参照ください。

就業規則の変更方法は?手続きと不利益変更・同意書取得などの注意点を解説

 

なお、有期雇用の派遣社員については、形式的には有期の雇用契約が繰り返し締結されることになるため、就業規則が派遣社員にとって不利益な方向で変更されたとしても、その後に締結した有期の雇用契約は変更後の就業規則を前提とするものであり、変更の合理性を問わずに新しい就業規則が適用されるという考え方もありうるところです。

しかし、この点について、東京高等裁判所判決平成30年11月15日(阪急トラベルサポート事件)は、このような就業規則変更は、一定期間継続している派遣社員との間の労働契約を一律に変更する効力を果たしていることから、労働契約法10条の趣旨があてはまるとして、変更が効力をもつためには、変更の合理性が要件となるとしています(当時の登録型派遣社員の事案)。有期雇用の派遣社員の就業規則の変更の際も、このように変更の合理性が要件になりうることに注意する必要があります。

 

12,派遣社員用の就業規則に関して派遣業に強い弁護士に相談したい方はこちら

咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

「咲くやこの花法律事務所」における派遣業向けの就業規則に関するサポート内容もご説明しておきたいと思います。咲くやこの花法律事務所では、派遣業における就業規則について以下のサポートを行っています。

 

  • (1)就業規則の作成
  • (2)就業規則のリーガルチェック

 

順番に見ていきましょう。

 

(1)派遣業における就業規則の作成

「咲くやこの花法律事務所」では、派遣業の顧問先も多く、これまで派遣業の事業者から、就業規則の作成や整備のご依頼を数多く承ってきました。

また、派遣会社の顧問弁護士として、派遣社員との労務トラブル、ときには労働裁判や労働審判を多数解決してきました。そのような経験を生かして、咲くやこの花法律事務所では、就業規則の内容を実際の労働問題や労務トラブル、労働裁判においても対応できる内容にすることについて、常に改善、研究を行っています。

 

「咲くやこの花法律事務所」に派遣社員用の就業規則の作成をご依頼いただくことで、就業規則を万が一の労務トラブルや労務裁判にも対応できる内容に整備することができます。

 

派遣業に強い弁護士への相談料

  • 初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
  • 就業規則の作成費用:20万円+税~

 

(2)派遣社員用就業規則のリーガルチェック

「咲くやこの花法律事務所」では、既に就業規則を作成済みの派遣事業者のために、弁護士による就業規則のリーガルチェックサービスも行っています。

派遣業は労務トラブルが起こりやすく、就業規則の整備が重要になる業種の1つです。また、派遣業における就業規則の整備は、労働者派遣法や厚生労働省が公表している「労働者派遣事業関係業務取扱要領」などを十分に踏まえたうえで、労務トラブルの防止だけでなく、労働局による調査や立入検査への対応も意識して作成する必要があります。残念ながら、これらの観点を十分に踏まえない就業規則となってしまっており、労働局による調査で改善指導を受けたり、労務トラブル発生時に対応できないような内容になってしまっている例が少なくありません。

咲くやこの花法律事務所のリーガルチェックを受けていただくことで、就業規則を実際の労務トラブルの現場や労働局による調査等の場面でも対応できる内容に仕上げていくことが可能です。派遣業における就業規則の整備については、派遣業について豊富な経験を持つ「咲くやこの花法律事務所」に、ご相談ください。

 

派遣業に強い弁護士への相談料

  • 初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
  • 就業規則のリーガルチェック費用:10万円+税~

 

(3)顧問契約によるサポート

咲くやこの花法律事務所では派遣会社向けに顧問弁護士サービスによるサポートを提供しています。派遣社員との労務トラブル、派遣先との契約トラブルのご相談をお受けし、迅速に解決することはもとより、派遣会社において必要となる就業規則や就業条件通知書、労使協定、労働者派遣契約書の整備等のご相談にも対応してきました。

咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては以下をご参照ください。

 

 

また、派遣業における顧問弁護士の役割について以下でも解説していますのでご参照ください。

 

 

(4)咲くやこの花法律事務所の派遣業に関する解決実績

咲くやこの花法律事務所では、多くの派遣会社から顧問契約のご依頼をいただき、改正法の対応や派遣社員とのトラブル、派遣先とのトラブルについて実際に解決をしてきた実績があります。また、就業規則や派遣契約書の整備などについても派遣会社からご依頼いただき、実施してきました。

以下では咲くやこの花法律事務所の派遣業に関する実績の一部を紹介しておりますのであわせてご参照ください。

 

 

(5)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法

派遣法など派遣会社に関する相談は、下記から気軽にお問い合わせください。また、今すぐお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

【お問い合わせについて】

※個人の方(労働者側)からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。

「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

 

13,まとめ

この記事では、派遣社員用の就業規則について、就業規則がない場合の問題点をご説明したうえで、派遣業特有の留意点として以下の点をご説明しました。

 

  • 労使協定方式への対応
  • 教育訓練時間の取り扱い
  • 休業手当に関する規定のポイント
  • 解雇制限に関する規定のポイント
  • 派遣先の変更に備え、就業条件の柔軟な変更を可能にする

 

また、派遣社員用の就業規則の周知や届出についてもご説明しました。この記事がお役に立てば幸いです。

 

▶参照:この記事内で紹介した根拠条文について

・※1 労働基準法

・※2 労働基準法施行規則

・※3 労働契約法

・※4 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)

 

14,【関連情報】派遣業に関する他のお役立ち記事一覧

この記事では、「派遣社員の就業規則の重要ポイント!厚生労働省のひな形も参考に解説」についてご紹介しました。派遣会社の労務管理に関しては、知っておくべき情報が幅広くあり、正しい知識を理解しておかなければ派遣社員との重大なトラブルに発展してしまいます。

そのため、以下ではこの記事に関連する派遣業の労務分野に関するお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもご参照ください。

 

派遣と休業補償・休業手当について。6つの場面ごとにわかりやすく解説

派遣法の3年ルールについて解説。派遣会社のとるべき対策は?

【平成27年9月労働者派遣法改正対応】労働者派遣契約書の作り方【雛形付き】

2015年派遣法改正を踏まえた「労働者派遣基本契約書」作成の注意点

 

記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2024年1月23日

 

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    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2021年10月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:416ページ
    価格:3,080円


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