【セクシャルハラスメントのトラブル対応術】セクハラ加害者に対する懲戒処分の種類と選択の基準、処分手続について

セクハラ加害者への正しい懲戒方法

社内でセクハラ(セクシャルハラスメント)が起こった場合、企業は、加害者に対してどのような懲戒処分を行えばよいのでしょうか?

男女雇用機会均等法に基づき厚生労働省が定めた指針では、企業がセクハラの加害者に対しては必要な懲戒処分等の措置を行うことを求めています。

一方で、懲戒処分が重すぎるとして、裁判所で懲戒処分が無効と判断され、企業に多額の支払いを命じられたケースもあります。

例えば、企業が、慰安旅行の酒席におけるセクハラ行為を理由に東京支店長を懲戒解雇した事件で、東京地方裁判所は処分が重すぎるとして、懲戒解雇は無効であると判断しました。そして、裁判所は、企業に対し、この東京支店長が解雇のために受け取ることができなかった給与として、「約1300万円」の支払いを命じました。

このように、セクハラの加害者に対する懲戒処分が重すぎると、企業は重大な裁判リスクにさらされます。
懲戒処分は「重すぎず、軽すぎない」妥当な処分であることが必要です。

今回は、社内でセクハラが起こった場合に企業が加害者に対して行う懲戒処分の正しい方法として、懲戒処分の種類と選択の基準、処分手続についてご説明したいと思います。

 

今回の記事で書かれている要点(目次)

●最初に確認!セクハラ加害者に対して懲戒処分を行う目的
●セクハラのトラブル対応術!セクハラ加害者に対する懲戒処分の正しい方法とは?
●セクハラ加害者に対する懲戒処分の種類
●セクハラ加害者に対する懲戒処分の選択の基準
●セクハラ加害者に対する懲戒処分の手続

 

最初に確認!
セクハラ加害者に対して懲戒処分を行う目的

セクハラ加害者に対する懲戒処分の種類と選択の基準、処分手続についてご説明する前提として、まず最初に、「セクハラの加害者に対して懲戒処分を行う目的」を確認しておきたいと思います。

冒頭でもご説明したように、男女雇用機会均等法に基づき厚生労働省が定めた指針では、企業がセクハラの加害者に対して必要な懲戒処分等の措置を行うことを求めています。

そして、セクハラ加害者に懲戒処分を行う目的は、主に以下の2つです。

セクハラ加害者に対して懲戒処分を行う2つの目的

懲戒処分の目的1:
セクハラの被害者や他の女性従業員が安心して働ける環境を取り戻すこと。

懲戒処分の目的2:
セクハラに対して懲戒処分がされることを明確にし、セクハラの再発を防止すること。

以下でその内容を見ていきましょう。

懲戒処分の目的1:
セクハラの被害者や他の女性従業員が安心して働ける環境を取り戻すこと。

社内でセクハラがあった場合、被害者が周囲に相談するなどして、他の女性従業員にもセクハラの事実が伝わることがよくあります。

企業が加害者に対して懲戒処分を行うことには、企業がセクハラを許さない態度を明確にし、被害者をはじめとした女性従業員が安心して働ける環境を取り戻す目的があります。

懲戒処分の目的2:
セクハラに対して懲戒処分がされることを明確にし、セクハラの再発を防止すること。

セクハラが起こる背景として、セクハラに対して軽く考えたり、軽い性的な冗談であれば許容されると考える従業員が存在することがよくあります。

企業が加害者に対して懲戒処分を行うことには、企業がセクハラに対して厳しい処分を行うことを明確にし、同じ加害者による再発を防止することはもちろん、他の従業員によるセクハラについても未然に防ぐという目的があります。

まずは、セクハラの加害者に対する懲戒処分の目的には2つの目的があることをおさえておきましょう。

 

セクハラのトラブル対応術!
セクハラ加害者に対する懲戒処分の正しい方法とは?

それでは、社内でセクハラが発生した際の加害者に対する懲戒処分の正しい方法について見ていきましょう。

こちらも冒頭でご説明した通り、セクハラ加害者に対する懲戒処分が必要以上に重すぎる場合、裁判所で懲戒処分が無効と判断され、企業に多額の支払いを命じられるなど、思わぬ裁判トラブルにつながることがあり要注意です。

企業がセクハラ加害者に対して懲戒処分を行う際の正しい方法として、以下の3つのポイントを必ずおさえておいてください。

セクハラ加害者に対する懲戒処分の3つのポイント

ポイント1:
セクハラ加害者に対する懲戒処分の種類

ポイント2:
セクハラ加害者に対する懲戒処分の選択の基準

ポイント3:
セクハラ加害者に対する懲戒処分の手続

ここからは、順番に各ポイントの詳細を見ていきたいと思います。

 

セクハラ加害者に対する懲戒処分の種類

最初に、セクハラ加害者に対する懲戒処分のポイントの1つ目として、「セクハラに対する懲戒処分の種類」について見ていきましょう。

懲戒処分は、各企業が定める「就業規則」に明記されています。
そのため、その内容は企業によって異なりますが、概ね以下のような懲戒処分が定められていることが多くなっています。

セクハラ(セクシャルハラスメント)に対する懲戒処分の種類

1,戒告、譴責、訓戒
2,減給
3,出勤停止
4,降格
5,諭旨解雇
6,懲戒解雇

以下で順番に内容を見ていきましょう。

1,戒告、譴責、訓戒

「戒告、譴責、訓戒」は、従業員を文書で注意する懲戒処分です。

企業によって、「戒告」、「譴責」、「訓戒」などの名称で規定されていますがいずれもほとんど同じ意味です。
企業によっては、始末書を提出させることを就業規則で定めているケースもあります。

2,減給

「減給」は、従業員の給与を減額する懲戒処分です。

3,出勤停止

「出勤停止」は、期間を定めて、従業員の出勤を停止する懲戒処分です。

期間中は無給です。

4,降格

「降格」は、従業員の役職や資格を引き下げる懲戒処分です。

5,諭旨解雇

「諭旨解雇」は、退職届の提出を勧告し、退職届を提出しない場合は懲戒解雇するという懲戒処分です。

懲戒解雇が従業員にとって不利益が大きいことから、懲戒解雇の前に退職届提出の機会を与えるものであり、懲戒解雇よりは軽い処分とされます。

6,懲戒解雇

「懲戒解雇」は、問題行動に対する制裁として、従業員を解雇する懲戒処分です。

▶参考:「懲戒解雇の正しい方法」について

 

このうち、「1」の「戒告、譴責、訓戒」については、処分による経済的な不利益はありませんが、「2」〜「6」の「減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇」は、いずれも経済的な不利益を伴う処分です。

特に、「諭旨解雇」、「懲戒解雇」は、職を失うことになる重大な処分です。

ここでは、セクハラ加害者に対する懲戒処分の種類をおさえておきましょう。

 

セクハラ加害者に対する懲戒処分の選択の基準

次に、セクハラ加害者に対する懲戒処分のポイントの二つ目として、「セクハラ加害者に対する懲戒処分の選択の基準」について見ていきましょう。

これについては、冒頭で述べたように、「重すぎず、軽すぎない」妥当な処分であることが必要です。

特に重すぎると懲戒処分は、「労働契約法第15条」で無効とされており、セクハラの加害者から不当な懲戒処分であるとして企業に対して訴訟を起こされれば、企業が敗訴するリスクがあります。

●参考●

労働契約法第15条
使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

このように、労働契約法第15条は、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は、企業による懲戒処分が無効になることを定めており、事案の内容に比して重すぎる懲戒処分もこの条文により無効となります。

●●●●

では、具体的には企業はセクハラの場面でどのように懲戒処分を選択すればよいのでしょうか?

まず、セクハラの懲戒処分を選択するときに考慮すべき主な要素としては以下の6つをあげることができます。

セクハラの懲戒処分を選択するときに考慮すべき主な要素

1,セクハラ行為の内容
2,セクハラ行為の頻度、期間、常習性
3,セクハラ被害者の数
4,上下関係を利用したセクハラであるかどうか
5,行為後の謝罪や反省の有無
6,過去の処分歴

そして、この中でも、「1」の「セクハラ行為の内容」が最も重要な要素になります。

一口に「セクハラ(セクシャルハラスメント)」といっても、その行為の内容は、様々です。

そこで、以下では、セクハラ行為の内容を「3つのケース」に分けたうえで、懲戒処分の選択の基準についてご説明したいと思います。

セクハラ行為の3つのケース

ケース1:
身体接触がないセクハラ

ケース2:
暴力や脅迫を伴わない身体接触のセクハラ

ケース3:
暴力や脅迫を伴うセクハラ

結論からいうと、セクハラ加害者に対する懲戒処分の選択の基準としては、以下のとおりです。

1,身体接触がないセクハラ

「卑猥な言動」や「しつこく男女関係を迫る」などのセクハラがこれにあたります。

●身体接触がないセクハラの懲戒処分選択の基準

常習性がなかったり、加害者の注意不足の側面があり反省しているようなケースでは、処分なしとして注意する程度にとどめるか、懲戒するとしても戒告程度にとどめるべきです。

一方、役職者が部下との上下関係を利用して執拗に卑猥な発言を繰り返したり、男女関係を迫るような悪質なケースは、出勤停止あるいは降格処分が妥当です。

以下では実際の裁判例でどのように判断されているかも見ていきましょう。

・身体接触がないセクハラの懲戒処分についての裁判例

裁判例1:
東京地方裁判所平成23年1月18日判決

事案の概要:

役職者が部下である妊娠中の女性従業員に対して、「腹ぼて」、「胸が大きくなった」などと発言したケース。

裁判所の判断:

会社は役職者を譴責処分とし、裁判所も有効と判断しました。

裁判例2:
最高裁判所平成27年2月26日判決

事案の概要:

男性管理職が派遣社員の女性に対し、自分の不貞相手とその夫との性生活の話をしたり、「俺のん、でかくて太いらしいねん」などと執拗に性的な話をしたケース。

裁判所の判断:

会社は、この男性管理職を出勤停止30日の懲戒処分とし、裁判所も出勤停止30日の懲戒処分を有効と判断しました。

 

 

このように、身体接触のないセクハラについては、比較的軽微なものについては戒告程度、悪質なケースでも出勤停止あるいは降格処分にとどめるのが妥当です。

身体接触のないセクハラの事例で懲戒解雇を選択することは、「過去にもセクハラで懲戒処分されたが再度繰り返した」などといった特別な事情がない限り、不当解雇と判断されるリスクが高いですので、注意を要します。

なお、「裁判例2」については、「セクハラの裁判例」の記事でもご紹介していますのであわせてご参照ください。

2,暴力や脅迫を伴わない身体接触のセクハラ

「肩を抱く」、「膝の上に座らせる」などのセクハラがこれにあたります。

●暴力や脅迫を伴わない身体接触のセクハラの懲戒処分選択の基準

暴力や脅迫を伴わない身体接触のセクハラのケースでは、出勤停止あるいは降格処分が妥当です。

ただし、「肩を抱く」などのセクハラで常習性がなく加害者も反省しているようなケースでは、処分なしとして注意する程度にとどめるか、懲戒するとしても戒告程度にとどめるべきです。

以下では実際の裁判例でどのように判断されているかも見ていきましょう。

・暴力や脅迫を伴わない身体接触のセクハラの懲戒処分についての裁判例

裁判例1:
東京地方裁判所平成22年10月29日判決

事案の概要:

役職者が飲みに行った帰りに、タクシーの車内で派遣社員の女性のスカートをたくし上げ、下着を露出させるなどしたケース。

裁判所の判断:

会社はこの役職者を降格処分とし、裁判所も降格処分を有効と判断しました。

裁判例2:
東京地方裁判所平成21年4月24日判決

事案の概要:

慰安旅行の宴席で東京支店長が女性従業員の手を握ったり、肩を抱くなどしたうえ、女性従業員に対して「誰がタイプか。これだけ男がいるのに,答えないのであれば犯すぞ」などと発言したケース。

裁判所の判断:

会社はこの東京支店長を懲戒解雇しましたが、裁判所は懲戒解雇は重すぎるとして、懲戒解雇を無効と判断しました。

この事例では、会社は、東京支店長が解雇のために受け取ることができなかった給与として、「約1300万円」の支払いを命じられています。

 

このように、暴力や脅迫を伴わない身体接触のセクハラのケースでは、懲戒解雇は重すぎると判断されることが多くなっていますので、おさえておきましょう。

3,暴力や脅迫を伴うセクハラ

「無理やりキスをする」、「押し倒して性行為に及ぶ」などのケースがこれにあたります。

●暴力や脅迫を伴うセクハラの懲戒処分選択の基準

「無理やりキスをする」、「押し倒して性行為に及ぶ」などのケースでは、懲戒解雇が妥当です。

実際の裁判例も見てみましょう。

・暴力や脅迫を伴うセクハラの懲戒処分についての裁判例

裁判例1:
東京地方裁判所平成17年1月31日判決

事案の概要:

男性上司が女性の部下2名に対し、飲食を共にした際に無理やりキスをしたり、深夜自宅付近まで押し掛けて自動車に乗せ車中で手を握る、残業中に胸をわしづかみにするなどしたケース。

裁判所の判断:

会社はこの男性上司を懲戒解雇し、裁判所も懲戒解雇は有効と判断しました。

裁判例2:
東京地方裁判所平成22年12月27日判決

事案の概要:

部長職にあった男性従業員が、ホテルの客室内で、業務委託先の派遣社員2名に対して、無理やりキスをする、服の中に手を入れて乳首を触るなどしたケース。

裁判所の判断:

会社はこの部長を懲戒解雇し、裁判所も懲戒解雇は有効と判断しました。

 

 

このように、無理やりキスをするなどのケースでは、裁判例でも懲戒解雇が有効とされています。

以上をまとめると、セクハラの懲戒処分の選択の基準としては、まず、「1」身体接触がないセクハラ、「2」暴力や脅迫を伴わない身体接触のセクハラ、「3」暴力や脅迫を伴うセクハラ、のうちのどれにあたるかを見極めたうえで、「セクハラの頻度・期間・常習性の有無」、「被害者の数」、「上下関係を利用したセクハラであるかどうか」、「行為後の謝罪や反省の有無」、「過去の処分歴の有無」なども考慮して、適切な懲戒処分を選択することが必要です。

以上、セクハラ加害者に対する懲戒処分の選択の基準についておさえておきましょう。

 

セクハラ加害者に対する懲戒処分の手続

最後に、セクハラ加害者に対する懲戒処分のポイントの三つ目として、「セクハラ加害者に対する懲戒処分の手続」についてご説明しておきたいと思います。

セクハラ加害者に対する懲戒処分は以下の6つの手順に沿って進めることが必要です。

セクハラ加害者に対する懲戒処分の6つの手順

手順1:
被害者からの事情聴取

手順2:
加害者からの事情聴取

手順3:
関係者、目撃者からの事情聴取

手順4:
就業規則の規定の確認

手順5:
懲戒処分の決定と本人への通知

手順6:
懲戒処分の公表

以下で順番に1つずつ見ていきたいと思います。

手順1:
被害者からの事情聴取

セクハラの被害者から被害の申告を受けた場合は、すぐに被害者からの事情聴取を行いましょう。

事情聴取のタイミングが遅れると、企業が誠実な対応をしていないという印象を与え、被害者の両親や外部の第三者が介入してきて、トラブルが拡大する恐れがあります。

事情聴取の結果は、詳細に記録をとり、被害者本人に確認してもらった上で、被害者の署名、捺印をもらいましょう。あわせて被害者と加害者のメールやLINEのやりとりで、セクハラの証拠となるような履歴が残っていないかどうかも、被害者本人に確認しましょう。

セクハラの懲戒処分については、懲戒処分が不当であるとして裁判になるケースもありますので、裁判になったときのための証拠確保を意識して、手順を踏むことが必要です。

手順2:
加害者からの事情聴取

加害者からの事情聴取は、被害者に同意を得たうえで行いましょう。

ここでも、事情聴取の結果は、詳細に記録をとり、本人に内容を確認してもらった上で、署名、捺印をもらいましょう。また、被害者と加害者のメールやLINEのやりとりで、セクハラに関連する履歴が残っていないかも、加害者に確認しましょう。

手順3:
関係者、目撃者からの事情聴取

被害者と加害者の言い分が食い違う場合で、関係者、目撃者がいる場合は、関係者、目撃者からも事情聴取を行いましょう。

ここでも、事情聴取の結果は、詳細に記録をとり、本人に確認してもらった上で、署名、捺印をもらっておくことが必要です。

手順4:
就業規則の規定の確認

事情聴取の後、懲戒処分の決定の前に行わなければならないことは、「就業規則の懲戒処分の規定を確認すること」です。

具体的には就業規則において以下の2つの項目を確認しましょう。

●就業規則で確認しておくべき2つの項目

項目1:
セクハラについて就業規則でどのような種類の懲戒処分が定められているか。

項目2:
就業規則で懲戒についてどのような手続きが定められているか。
「項目1」については、懲戒処分は就業規則に定められた懲戒事由に該当する場合でなければできないことが原則です。

そこで、自社の就業規則において、セクハラについてどのような種類の懲戒処分が定められているのかを確認しておくことが必要です。

「項目2」については、就業規則によっては、懲戒の際に、懲戒委員会を開くことを規定していたり、処分対象者に弁明の機会を与えることを規定しているケースがあります。

就業規則上で懲戒処分の手続が定められている場合は、これに従うことが重要です。

就業規則で懲戒委員会を開くことになっているのにこれを開かないケースや、弁明の機会を与えることが規定されているのに機会を与えないケースでは、懲戒処分が無効と判断されるリスクがありますので注意しておきましょう。

手順5:
懲戒処分の決定と本人への通知

就業規則の規定を確認した後に、懲戒処分を決定します。

懲戒処分の決定にあたっては、まず、事情聴取の結果を踏まえ、企業として、事実関係の判断を行う必要があります。特に、加害者と被害者の言い分が食い違う場合は、どちらが事実なのかを、正しく判断することが必要です。

事実関係の判断が難しい場合は、弁護士に相談しましょう。
そして、企業が判断した事実関係に基づき、懲戒処分を決定し、加害者本人に通知します。

このときの懲戒処分の選択の基準は、「セクハラ加害者に対する懲戒処分の選択の基準」でご説明した通りです。

手順6:
懲戒処分の公表

懲戒処分については社内で公表することが一般的です。

これは、「懲戒処分の目的」の項目でご説明したように、懲戒処分の目的の1つとして、企業がセクハラに対して厳しい処分を行うことを明確にし、他の従業員によるセクハラについても未然に防ぐという目的があるためです。

この目的のためにも懲戒処分は公表することが望ましいです。

ただし、被害者のプライバシーや加害者の名誉にも配慮する必要がありますので、公表の内容は、例えば、「セクハラに該当する行為があり降格の懲戒処分をした」などといった程度にとどめ、被害者名やセクハラの具体的な内容までは公表しないことが適切です。

以上、セクハラ加害者に対する懲戒処分の手続についておさえておきましょう。

 

まとめ

今回は、セクハラ加害者に対する懲戒処分について、最初に以下の通り「懲戒処分を行う目的」をご説明しました。

懲戒処分の目的1:
セクハラの被害者や他の女性従業員が安心して働ける環境を取り戻すこと。

懲戒処分の目的2:
セクハラに対して懲戒処分がされることを明確にし、セクハラの再発を防止すること。

その上で、「懲戒処分の種類」をご説明したうえで、「適切な懲戒処分の選択の基準」についてご説明し、最後に、「懲戒処分の手続」についても以下の手順をご説明しました。

セクハラ加害者に対する懲戒処分の6つの手順

手順1:
被害者からの事情聴取

手順2:
加害者からの事情聴取

手順3:
関係者、目撃者からの事情聴取

手順4:
就業規則の規定の確認

手順5:
懲戒処分の決定と本人への通知

手順6:
懲戒処分の公表

セクハラにおける懲戒処分では、正しい方法で行わなければ、「逆に裁判所から多額の支払い命令を受ける」などの怖いトラブルになるリスクもあります。「懲戒処分が重すぎず軽すぎないこと」と「懲戒処分の手続が正しく行われていること」の両方が重要ですので、おさえておきましょう。

社内でセクハラ(セクシャルハラスメント)のトラブルが発生した際は、最初の動き出しのスピードと正しい対応が重要です。そのため、トラブルが発生した際は、セクハラトラブルの解決実績が豊富な咲くやこの花法律事務所にご相談下さい。

 

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