裁量労働制の労使協定の有効期限に関する注意点について
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裁量労働制の労使協定の有効期限に関する注意点について

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  • 2011年02月07日

     税理士事務所や公認会計事務所、ゲーム開発、システム開発などの業種で残業代のリスクを減らすために利用できる可能性があるのが専門型裁量労働制」という制度です。

     

     この制度は専門性の高い一定の職種について、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるとして、実際の労働時間の長短にかかわらず、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。

     

     この制度を利用すれば、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ決めた時間勤務したものとみなすことができ、残業代を発生させないことができます。


     そもそも、残業代の問題以前に、専門性が高く裁量の幅が大きい職種については、労働時間で賃金を決めるというやり方は、経営者にとっても働く方にとっても不合理に感じられます。裁量労働制はそうした専門性が高く裁量の幅が大きい従業員の働き方にあった制度だといえます。


     これについては一度、ブログでも、「残業代の請求から会社を守る方法⑤」(http://ameblo.jp/sakuyakonohana-law/entry-10622389239.html ) としてお話ししました。

     

     今回は、この制度を使う場合の注意点です。

     

     この制度の採用にあたっては、労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることが必要です。

     

     そして、労使協定には有効期間を記載する必要があるとされています。

     

     有効期間の設定は自由ですが、厚生省の通達で「3年以内にすることが望ましい」とされていますので、「3年」としている企業がほとんどです。

     

     ということは、3年後に期限が切れたら、もう一度同じように労使協定を締結し、労働基準監督署に届けなければなりません。

     

     これを忘れると大変なことになります。

     

     期限が切れたのを忘れていて、労使協定を労働基準監督署に届けていなかった期間については、残業代が通常通り時間単位で発生するため、多額の残業代未払いが知らないうちに発生しているということになります。

     

     裁量労働制を採用されている会社は、一度、労使協定書の有効期間を確認してみましょう。

     

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