元請業者の下請業者の従業員に対する安全配慮について
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元請業者の下請業者の従業員に対する安全配慮について

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  • 2013年11月11日

    元請会社には,下請会社の従業員の安全についてどの程度の責任があるのでしょうか。

     

     

    大阪地方裁判所平成23年9月16日判決は,元請会社の製造所で下請会社従業員が仕事中にアスベストを吸い込み中皮腫により死亡したとして,下請会社従業員の遺族が元請業者に損害賠償請求をした事件です。

    これに対し、裁判所は元請業者に約4600万円の損害賠償を命じました。

     

    経営者は、会社経営にあたって従業員が安全に仕事ができる環境を整える責任があり、それをしていないで従業員が病気やけがになると会社が損害賠償責任を負うことになります。

    こういった責任は法的には「安全配慮義務」と言われます。

     

    今回の裁判例を踏まえて、経営者としては、以下の3点に留意する必要があります。

     

     

    ① まず、会社は下請先の従業員に対しても安全配慮義務を負うことがあるという点です。

    本件では、元請業者が管理する製造所で下請業者の従業員が一緒に作業をしており、元請業者の従業員が下請業者の従業員に作業や安全管理について指示をしていたことから、元請業者は自社の従業員に対してだけでなく、下請業者の従業員に対しても、安全配慮義務を負うとされました。

    下請関係があれば必ず下請業者の従業員に対しても安全配慮義務があるとまではいえませんが、本件のように一緒に作業するタイプの下請関係では、下請業者の従業員に対しても、元請業者の責任で安全教育、安全管理を徹底する必要があります。

     

     

    ② 次に、安全教育をした場合は、具体的な記録を残さなければならないという点です。

    本件では、元請業者が作業員に対して一定の安全教育を実施したと認めながら、その具体的内容は明らかではなく不十分であったと推認されるなどとして、元請業者の責任を認めています。

    万一、裁判になったときに、きちんと説明ができるように、どのような安全教育をしたのか具体的に記録を残す必要があります。

     

     

    ③ さらに、従業員が仕事が原因で病気やけがになった場合、労災からの給付だけでは対応できないという点です。

    本件でも、労災から一定の支払がされていますが、それでは足りない部分として前述の通り4600万円の損害賠償が命じられています。

     会社としては安全教育、安全管理を徹底する一方で、万一の事故の場合の補償に対応できるように、労災とは別に使用者賠償責任保険に加入するなどの対策を講じる必要があります。

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