経営悪化の際に定年後の再雇用を拒否するときの注意点
企業向け法律講座ブログ

経営悪化の際に定年後の再雇用を拒否するときの注意点

  • ツイート
  • シェア
  • はてブ
  • LINEで送る
  • Pocket
  • 2014年03月13日

    高齢者雇用安定法への対応として、60歳の定年後も65歳までの再雇用制度を設け、その5年間は有期雇用の更新を繰り返すことで雇用を継続している会社が多いと思います。

    このような制度を採用している会社が、経営が悪化したことを理由に再雇用制度で雇用中の従業員の契約を更新しないことは許されるのでしょうか。

     

    この点について参考となるのが大阪地方裁判所平成23年8月12日判決です。

    この事件は、経営が悪化した建設会社が定年後の再雇用を原則として中止することとしたことについて、その制度の対象であった従業員らが再雇用を求めて会社を訴えた事件です。

    裁判所は、高齢者雇用安定法がある以上、有期の雇用契約といっても雇い止めをするには正当な理由が必要であるとした上で、この会社が実際に経営難に直面しており、役員報酬の減額、経費削減の徹底その他の措置もとられていること、会社が再雇用の中止にあたり組合と誠実に話し合いをしていることなどを指摘して、会社が再雇用を中止したことは正当であると判断しました。

     

     

    高齢者雇用安定法で、65歳までの雇用の確保が義務づけられています。

    この判決からも明らかなように、会社の経営上の必要から人件費を削減する必要が生じ、65歳までの雇用を確保できなくなった場合に、高齢の従業員を再雇用しないことによって人件費を削減することは法的にも認められます。

     

     

    ただし、その場合、役員報酬の削減や経費の削減などをすでに実行していることが必要です。

    さらに、会社側が組合や従業員の代表者と積極的に話し合いをもって、人員削減がなぜ必要なのか、どの様な基準で対象者を選ぶのか、対象者にどの様な条件で退職してもらうのか、などの重要事項について誠実な交渉をしていることが必要です。

    有期の雇用契約であるからといって、これらの点を考慮せず、再雇用を中止することは裁判所でも不当とされるでしょう。

     

    逆に言えば、これらのルールを守る限り、経営が悪化したことによる解雇や雇い止めを進めることは問題が無く、むしろ早期に経営を改善するための人件費削減は早めに着手すべきです。

    経営の悪化による人件費の削減や定年後の再雇用の中止をめぐる労務の問題でお困りの企業様はぜひご相談ください。弁護士が経営者の立場にたってご相談をお受けします。

    ▼ この記事を読んでいただいた方にお勧めの記事はこちらです。 ▼

    ○ 定年後の再雇用の選別基準と高齢者雇用安定法 https://kigyobengo.com/blog/labor/1205

    ○ 高齢の従業員を嘱託社員として雇用する場合の注意点 https://kigyobengo.com/blog/3250

    ○ 労働問題でお困りの方はこちら http://roumubengo.com/

    ○ ご相談はこちらから https://kigyobengo.com/contact

    ○ ブログの一覧はこちらから https://kigyobengo.com/blog

     

    ご相談はhttps://kigyobengo.com/contactから気軽にお申し込みください。

    顧問契約をご希望の経営者の方の面談を随時行っておりますので、https://kigyobengo.com/adviserからお申し込みください。

    なお、このブログの内容はメールマガジンによる配信も行っております。

    https://kigyobengo.com/mailmagazinにメールマガジン登録フォームを設けておりますので、ぜひご登録をお願いいたします。

     

  • ツイート
  • シェア
  • はてブ
  • LINEで送る
  • Pocket
  • 業法務に特に強い弁護士が揃う 顧問弁護士サービス

    企業法務の取扱い分野一覧

    企業法務に強い弁護士紹介

    西川 暢春 代表弁護士
    西川 暢春(にしかわ のぶはる)
    大阪弁護士会/東京大学法学部卒
    小田 学洋 弁護士
    小田 学洋(おだ たかひろ)
    大阪弁護士会/広島大学工学部工学研究科
    池内 康裕 弁護士
    池内 康裕(いけうち やすひろ)
    大阪弁護士会/大阪府立大学総合科学部
    片山 琢也 弁護士
    片山 琢也(かたやま たくや)
    大阪弁護士会/京都大学法学部
    堀野 健一 弁護士
    堀野 健一(ほりの けんいち)
    大阪弁護士会/大阪大学
    所属弁護士のご紹介

    書籍出版情報


    労使トラブル円満解決のための就業規則・関連書式 作成ハンドブック

    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2023年11月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:1280ページ
    価格:9,680円


    「問題社員トラブル円満解決の実践的手法」〜訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方

    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2021年10月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:416ページ
    価格:3,080円


    書籍出版情報一覧へ

    運営サイト

    大阪をはじめ全国の中小企業に選ばれ続けている顧問弁護士サービス
    弁護士西川暢春の咲くや企業法務TV
    中小企業や士業(社労士・税理士)のための労務セミナー情報サイト

    弁護士会サイト

    大阪弁護士会
    日本弁護士連合会
    企業法務のお役立ち情報 咲くや企業法務.NET遠方の方のご相談方法