宅直勤務と残業代計算の注意点
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宅直勤務と残業代計算の注意点

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  • 2014年05月15日

    サービス業の分野では、休日も緊急時の顧客対応があったときのために、従業員の中で当番を決めて、自宅での待機をさせることがあると思います。

     

    このような場合、従業員としては休日も携帯電話の受信に対応したり、あるいは自宅での待機をしなければならないことになります。

    そして、こういった自宅での待機時間について、一部の従業員が残業代を請求するケースがあります。

     

     

    このような自宅での待機(宅直勤務)の問題について、企業側としてはどのように扱うべきでしょうか。

     

     

    この点に関して参考になるのが、大阪高等裁判所平成22年11月16日判決です。

    この裁判は、病院に勤務していた医師が、休日も緊急時の対応のために交替で自宅待機(宅直勤務)をしていたというケースについて、医師のうち2名が、この宅直勤務についても残業代を支払うべきであるとして、病院側を訴えた事件です。

     

    これに対して、裁判所は、宅直勤務制度は医師のプロ意識に基づく自主的な取り組みであり、また、実際に宅直勤務中に医師が出動しなければならなくなるのは年に6~7回程度であったことなどを理由に、自宅での待機時間は労働時間にはあたらず、残業代の支払いを要しないと判断しました。

     

     

     

    最近では企業として年中無休でサービスを提供することが求められる場面が増え、特にシステムの保守や労働者派遣などの分野では、休日の自宅待機についてのご相談が増えています。

     上記の裁判例からすれば、緊急時の対応のために休日も当番を決めて自宅待機をしているが実際に出動しなければならないことはまれであるというようなケースでは、自宅待機時間についての残業代請求があってもそれを断ることが可能です。

    ただし、実際に出動した時間については、残業代の支払いが必要になります。

     

     

    また、緊急時の対応を嫌がったり、自宅での待機時間についてまで残業代を請求したりすることは、その従業員にプロ意識が育っていないことが原因と思われ、こういった部分をどのように育てていくかが企業経営の課題となります。

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