「団体交渉に強い弁護士が教える労働組合対応の基本①」のブログ(https://kigyobengo.com/blog/labor/425をご参照ください。)では、労働組合と団体交渉を行うにあたっての、日時・場所の決め方についてお話ししました。
今回は、団体交渉の内容面の注意点についてお話していきます。
労働組合からの、団体交渉の申し入れは、突然やってきます。
最近では、会社の外部の労働組合から団体行動が申し入れられることも増えてきており、今社内に労働組合がないからといって、安心してはいられません。
労働組合は、団体交渉を行うにあたって、
「団体交渉申入書」
という書面を会社に送ってくることがあります。
そして、その「団体交渉申入書」には、
「就業規則を検討したいので、これを労働組合に引き渡せ。」
という内容のことが記載されている場合があります。
このように、書面で就業規則の引き渡しを要求されてしまうと、
渡さないといけない
と勘違いをして、渡してしまう経営者の方が大勢おられます。
しかし、労働組合に就業規則の引き渡しを要求されても、
会社には、これを渡す義務はありません。
むしろ、渡すべきではありません。
法律上、経営者には、従業員に対して就業規則を周知する義務、
つまり、就業規則を、従業員がいつでも見られる場所に掲示するなどして、
従業員にわかるようにしておく義務があります。
他方で、労働組合に求められたら、
就業規則を労働組合に渡さなければならない
などと定めた法律はどこにもありません。
労働組合に、就業規則を渡す必要はないのです。
むしろ、就業規則の全文を労働組合に渡してしまうと、
細かいところまでいちいち検討されて、本来論点とされていなかったところまで問題とされてしまう危険があります。
たとえば、従業員の解雇が問題になっているのに、全く関係のない有給休暇や介護に関する規定について問題点を指摘されるというのでは、話が全く前にすすみません。
もちろん、会社には、労働組合と誠実に交渉を行う義務があるので、就業規則を見ないと問題点がわからず交渉にならないときには、就業規則を見せる必要があります。
しかし、このときも、就業規則の全部を丸ごと見せるのではなく、
必要となる部分をその都度コピーして渡していくべきです。
このように、労働組合から就業規則の引き渡しを求められても、これを渡すべきではありません。
「きちんと従業員が見れるところに掲示しているので、何も問題はありません。今回の交渉で必要な部分だけ渡します。」
と明確に伝えるべきでしょう。
弊事務所では突然労働組合から団体交渉を申し込まれてお困りの経営者の方のために、団体交渉に関するご相談をお受けしています。
また1人では対応が不安という方のために、弁護士が団体交渉の場に同席することもしております。
場所についても弊事務所の会議室を使って弁護士同席の上団体交渉に臨むこともできますので、
もしお困りの方はいつでも咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
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著者:弁護士 西川 暢春
発売日:2021年10月19日
出版社:株式会社日本法令
ページ数:416ページ
価格:3,080円