今回は、リースで商品を販売する場合に注意すべきことについて書きたいと思います。
リースで商品を販売するというのは、具体的には、機械やソフトウェアなどの商品をそれを使う人に直接売るのではなく、リース会社に購入してもらい、リース会社から利用者に対して有料で貸し出す取引をいいます。
リース取引は商品が高額でそれをほしがっている利用者が商品代金を一括で払えない場合などに実質的に代金を分割にすることができる点で大変便利な取引です。
また税務上、会計上もメリットがあり、船舶や飛行機、工作機械、コピー機などさまざまなものがリースで販売されています。
一方で、リースの取引は、いろいろな取引形態の中でもトラブルが発生しやすい取引の1つです。
特に典型的なトラブルの1つが「空リース」と呼ばれるものです。
これは、実際には商品を利用する予定がないのに、商品を利用するかのように偽って、架空のリース取引をリース会社に申込み、リース会社から商品の売主へ商品代金を振り込ませる、詐欺的取引です。
資金繰りに行き詰まった会社が、商品販売業者と結託して、架空のリース取引をでっちあげ、リース会社に商品代金を振り込ませて資金繰りに充てるケースが典型ですが、販売業者の知らないうちに空リースが行われる場合がまれにあるので注意が必要です。
たとえば、商品販売業者がリースで販売する商品の仕入れや納品を別のA社にまかせていたころ、A社が顧客と結託して、実際には商品を納品していないのに納品したこととして、リース会社から商品の代金を振り込ませる手法があります。
商品販売業者としては、商品が納品されていないなどとは思いませんので、リース会社から振り込まれた商品代金の中から商品の仕入代金をA社に支払います。
この金をA社と顧客(ユーザー)でわけてしまうやり口です。
それでも顧客がリース代金を払い続けているうちはいいのですが、だいたいは途中で資金繰りに行き詰まり、倒産してしまいます。
そこではじめて商品が納品されていないことにリース会社が気付き、支払った商品代金を返せと商品販売業者を訴えてくるのです。
このように売り主が知らないうちに、売り主の外注先とユーザーが共謀して行い、後日多額の訴訟をリース会社が売り主に起こしてくるケースがありますので、十分に注意する必要があります。
では、このようなケースを防ぐためにはどのようにすればいいでしょうか??
このような販売業者の知らないところで、トラブルが起こるのは、商品の仕入れはともかく、納品まで他社にまかせてしまっていることが原因です。
販売業者の知らないところで空リースが行われないようにするためには、商品がきちんと納品されているかを販売業者自身が確認することが大切なのです。
最近はリース会社のほうでも商品の納品を確認しにくるところが多くなっていますが、必ずしもすべての取引についてリース会社が納品を確認しているわけではありません。
商品が納品されたことの確認を、販売業者、リース会社、ユーザーの3者で確実に行うことがトラブルを防ぐ大きなポイントです。
空リースのトラブルは、損害賠償額が高額になり、企業の存続にかかわります。
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著者:弁護士 西川 暢春
発売日:2021年10月19日
出版社:株式会社日本法令
ページ数:416ページ
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