契約社員に弁護士から解雇ではなく期間満了による労働契約の終了であると説明して紛争解決した事案
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契約社員に弁護士から解雇ではなく期間満了による労働契約の終了であると説明して紛争解決した事案

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  • 契約社員に対して弁護士から解雇ではなく期間満了による労働契約の終了であることを説明して紛争を解決した事案

    この成功事例を紹介する弁護士

    • 弁護士  池内 康裕
    • 咲くやこの花法律事務所  弁護士  池内 康裕

      出身地:兵庫県姫路市。出身大学:大阪府立大学総合科学部。主な取扱い分野は、「労務・労働事件(会社側)、保険業法関連、廃棄物処理法関連、契約書作成・レビュー、新商品の開発・新規ビジネスの立ち上げに関する法的助言、許認可手続における行政対応、顧問弁護士業務など」です。

    1,業種

     

    「小売業」の事例です。

     

    2,事案の概要

     

    本件は、契約期間満了により雇用契約が終了をすると会社から従業員に連絡したところ、従業員側から解雇理由通知書を送付するように主張された事案です。

    会社からの依頼により、弁護士が窓口となり、従業員との交渉にあたりました。

     

    3,問題の解決結果

     

    従業員に対して、解雇ではなく契約期間満了による労働契約の終了であることを説明して、紛争を解決しました。

     

    4,問題の解決における争点

     

    本件では、解雇理由通知書を求める従業員との間で、どのようにトラブルなく、雇用を終了するかという点が問題になりました。

    この点については、有期雇用の法律上のルールを踏まえた対応が必要です。

    まずは、有期雇用に関する法律上のルールからご説明します。

     

    (1)有期雇用は、期間満了とともに終了するのが原則

     

    1か月とか半年などというように、雇用契約書等で雇用期間を決めて雇用するケースを「有期雇用」といいます。

    有期雇用の場合、この期間が終了すると同時に契約が終了するのが大原則です。

    厚生労働省の通達でも、一定の期間を定めた労働契約であれば、その期間満了とともに労働契約が終了するものであって、解雇ではないとされています(昭和23年1月16日基発56号)。

    例外的に、契約社員が担当している業務が臨時のものではなく事実上自動更新となっている場合や契約終了後の雇用継続を期待させる会社側の言動が認められる場合等については、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」がない限り、契約更新を拒絶することができないというのが法律上のルールです。

    このルールは雇止め法理と呼ばれ、労働契約法第19条に定められています。

     

    ▶参考情報:労働契約法第19条(有期労働契約の更新等)

     

    有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

    一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

    二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

    ・参照:労働契約法第19条(有期労働契約の更新等)はこちら

     

    本件では、雇用契約書で、契約を更新しないことが合意されていたので、原則どおり、期間が終了すると同時に契約が終了すると考えてよい事案でした。

     

     

    (2)有期雇用の場合、期間途中で解雇することは極めて困難

     

    一方、有期雇用の場合、契約期間途中での解雇は「やむを得ない事由」がなければ、解雇無効となります(労働契約法17条1項)。

     

    ▶参考:労働契約法第17条1項(契約期間中の解雇等)

    使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

    ・参照:労働契約法第17条1項(契約期間中の解雇等)はこちら

     

    この「やむを得ない事由」が裁判所で認められることはほとんどなく、そのため契約社員を期間途中で解雇することは極めて困難です。

    本件では、会社として従業員に対して、契約期間の途中で契約を終了させると伝えた事実はありませんでした。

    そのため、法的には「解雇」ではないという理解が正しい事案でした。

     

     

    5,担当弁護士による見解

     

    以下では、担当弁護士の方針について解説していきます。

     

    (1)解雇理由通知書ではなく退職証明書を交付する

     

    上述したとおり、本件は「解雇」には該当しないので、解雇したことを前提とする解雇理由通知書を交付することはできません。

    一方で、労働基準法22条1項では、会社は、従業員から退職の理由について証明書を請求された場合、退職時証明書を従業員に交付しなければならないとされています。

     

    ▶参考情報:労働基準法第22条(退職時等の証明)

     

    1 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

    2 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。

    3 前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。

    4 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第一項及び第二項の証明書に秘密の記号を記入してはならない。

    ・参照:労働基準法第22条(退職時等の証明)はこちら

     

    (2)雇止めの理由についても明示が必要

     

    また、労働基準法に基づく厚生労働省の告示では、従業員が雇止めの理由について証明書を請求した場合、雇止めの理由についての証明書を交付することが義務付けられています。

     

     

    そして、ここで明示する 「雇止めの理由」 は、 単に「契約期間の満了」とするのではなく、より具体的な理由を記載することが必要です。

    例えば、以下のような記載をすることが求められます。

     

    「雇止めの理由」についての記載例

     

    • ●前回の契約更新時に、 本契約を更新しないことが合意されていたため
    • ●契約締結当初から、 更新回数の上限を設けており、 本契約は当該上限に係るものであるため
    • ●担当していた業務が終了・中止したため
    • ●事業縮小のため
    • ●業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
    • ●職務命令に対する違反行為を行ったこと、 無断欠勤をしたこと等勤務不良のため

     

    (3)弁護士が文書を作成して送付

     

    ご相談をお受けして、本件では、雇用契約を更新しないことがあらかじめ合意されていたことが「雇止めの理由」になると判断しました。

    そこで、弁護士から、従業員に対しては、解雇をしていないので解雇理由通知書の交付することはできないこと、雇用契約期間が残っているので期間満了までは出勤する必要があることを文書で伝えました。

    また雇い止めの理由についても、弁護士が文書を作成し、従業員に送付しました。

    契約を更新しないことの合意は、雇用契約書に記載されていたので、雇用契約書のコピーも従業員に対して送付しました。

    これに対して、従業員側からクレームや異議はなく、無事解決することができました。

     

    6,解決結果におけるまとめ

     

    以下では、本件の解決結果におけるまとめをご覧下さい。

     

    (1)「契約終了」と「解雇」の違い

     

    契約社員の雇用終了において、「期間満了による契約終了」と「解雇」では、まったく意味が異なります。

    解雇をしていないのに、解雇理由証明書を交付してしまった場合、解雇予告手当の支払いを求められたり、不当解雇の主張をされるリスクがあります。

    しかし、このような「期間満了による契約終了」と「解雇」の違いを十分な理解せずに、間違った対応をしてしまい、重大なトラブルに至っているケースが少なくありません。

     

    (2)契約社員の雇用終了の場面はトラブルに注意が必要

     

    本件では、期間満了による契約終了であることを前提に、弁護士が根拠を示して説明したところ、大きな紛争になる前に解決することができました。

    契約社員の契約終了の場面は、トラブルになることが多い場面の1つです。

    特に、契約社員に正社員と同じような仕事をしてもらっているケースでは、トラブルになりがちです。

    そのような場合は、例えば以下のような労務管理上の工夫が必要です。

     

    • ●従業員本人が正社員となることを通常希望しない学生アルバイトなどを中心に雇用する
    • ●当初から契約回数の上限を設ける
    • ●上限を設けない場合、更新の基準を設けて、更新の基準に照らして更新するかどうか、その都度判断し、その都度契約書を作成する
    • ●契約社員について正社員登用制度を設け、正社員登用基準に満たない契約社員は雇用を終了することを明確化する
    • ●契約を終了させる場合、できる限り早めに本人に伝え、再就職等本人の生活にも配慮する

     

    また、契約社員の雇用契約書を正しく作成することも、大前提として非常に重要です。

     

     

    契約社員の労務管理や雇用終了に関するトラブルでお困りの際は、咲くやこの花法律事務所にご相談ください。

     

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