モデルの動画への出演契約書をサポートした事例
契約書の解決実績

モデルの動画への出演契約書をサポートした事例

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  • モデルの動画への出演契約書をサポートした事例

    この成功事例を紹介する弁護士

    • 弁護士  木曽 綾汰
    • 咲くやこの花法律事務所  弁護士  木曽 綾汰

      出身地:広島県福山市。出身大学:大阪大学法学部法学科。主な取扱い分野は、「労務・労働事件(企業側)、債権回収、消費者クレーム・取引トラブルの解決、IT関連トラブル、契約書のリーガルチェック、警備業法関連、顧問弁護士業務など」です。

    1,業種

     

    「Web制作会社」の事例です。

     

    2,事案の概要

     

    本件の相談者は、Web製作会社です。

    相談者は、顧客からホームページの制作を依頼され、Webに掲載する顧客店舗のPR動画を撮影することを予定していました。

    PR動画の掲載にあたり、掲載後に、動画に出演したモデル等から動画の公開を停止するように主張されるなどして、動画の公開を続けられなくなるリスクを懸念されていました。

    そこで相談者は、動画の撮影の前に、出演者(モデル)との間で締結する、動画への出演契約書の作成を依頼したいということで、咲くやこの花法律事務所にご相談がありました。

     

    3,問題の解決結果

     

    まず、どの動画撮影の契約書かが明らかになるように、動画撮影を行う際の、撮影場所や撮影時期等を確定して契約書に規定しました。

    また、相談者が動画の編集や公開を行う際に、出演するモデルから権利を行使されて自由に編集や公開を行えないといった事態が生じないように契約書を工夫しました。

    それに加えて、出演者への動画出演報酬について明記し、お金のトラブルが生じないようにすることで、相談者に満足いただける契約書を作成することができました。

     

    4,問題解決におけるポイント

     

    相談者はWeb制作会社ですが、ホームページに掲載する動画の撮影業務も行っていました。そのため、動画撮影は今回の1回だけでなく、今後も継続して行っていく予定でした。

    そこで、特定の動画撮影だけでなく、今後の動画撮影の際に継続して使用することができる契約書の作成をご依頼いただきました。

    このようなご依頼も踏まえ、契約書の作成にあたって、以下のポイントを検討しました。

     

    (1)撮影する動画の特定

     

    今回作成を依頼されていた契約書は、さまざまな動画撮影の際に使用することが予定されている契約書でした。また、同じ出演者(モデル)に複数の動画に出演を依頼することも今後出てくる見込みでした。

    そのため、契約の対象となる動画を特定することができるようにしていなければ、どの動画撮影に関しての契約か不明確になってしまいます。

    どの動画撮影に関しての契約かが不明確だと、出演者(モデル)との間でトラブルが起きた際に「その契約書は今回トラブルになっている動画撮影についての契約書ではない」と反論されてしまう恐れがあります。

    そこで、契約書の中で動画を特定したうえで、契約書がその動画について作成されたものであることを明確にする必要がありました。

     

    (2)報酬の明確化

     

    相談者は、動画の出演者に対して報酬を出していましたが、これが何に対しての報酬なのかが明確でないとトラブルになりかねません。

    例えば、相談者としては、報酬は1回のみ発生し、それ以降追加報酬は出ないと考えていました。しかし、出演者から、報酬は動画の出演料で、動画の公開を許可する報酬は別のものとして追加報酬を請求される可能性があります。

    そこで、このようなトラブルを避けるため、報酬が何に対しての対価なのかを明確にする必要がありました。

     

    (3)動画の編集や公開等の許諾

     

    動画の出演者には、著作権法上、撮影した動画をサーバーにアップロードしてインターネットで閲覧することができるようにすることなどを禁止できる著作隣接権(著作権法第89条)という権利が認められる可能性があります。

    また、著作隣接権に加えて、動画の内容等を変更しないように請求することができる実演家人格権という権利も認められる可能性があります。

    契約書になにも規定しなければ、出演者からこれらの権利を行使されて、相談者が自由に動画の編集や公開を行えなくなる可能性があります。

    そこで、このようなリスクを避けるための規定を置く必要がありました。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    著作権法上は、出演者が録画を許可した場合はインターネット上に公開することも許されることが定められています(著作権法第92条の2第1号)。そのため、出演者(モデル)が録画を許可している以上、インターネットでの公開も認められると考えることができますが、契約書の条項としては、念のため、インターネットでの公開が動画制作者の自由な判断で行えることを明記しておくことが紛争防止のために適切です。

    著作権法の条文は以下をご参照ください。

    ▶参考情報:「著作権法」の条文はこちら

     

    (4)モデルの肖像等の利用許諾

     

    人には、自分の顔や姿が撮影された写真や動画などを自分の許可なく公表などされない権利である肖像権があります。

    当然、出演者(モデル)にも肖像権がありますので、出演者から肖像権を主張されて、動画の公開が自由に行えなくなるリスクがあります。

    そこで、このようなリスクを避けるための規定を置く必要がありました。

     

    (5)モデルのイメージの保証

     

    相談者が撮影する動画は、相談者の顧客から依頼を受けて制作するPR動画などです。

    そのため、その動画に出演する出演者(モデル)が過去に犯罪行為等を行っていたり、将来犯罪行為等を行ってしまった場合には、相談者の顧客のイメージも悪くなる可能性があります。

    そこで、出演者のイメージを保証するような規定を置く必要がありました。

     

    5,担当弁護士の見解

     

    上記の各ポイントについて、それぞれ起こり得るリスクを避けるために、以下のとおり契約書を作成しました。

     

    (1)動画の詳細を契約書の「別紙」で特定するようにした

     

    今回作成を依頼されていた契約書は、さまざまな動画撮影の際に使用することが予定されている契約書でした。

    そのため、契約書の条項の中で動画の詳細を規定することにすると、契約ごとに契約書の修正を行う必要が生じてしまいます。

    しかし、動画の詳細を規定しなければ、どの動画撮影に関しての契約書か不明確になってしまいます。

    そこで、契約書には、「動画の詳細は別紙記載のとおり」と規定したうえで、動画の撮影場所や撮影期間などの詳細は別紙に記載して特定するようにしました。

     

    (2)定められた報酬以外は請求できないことを明記した

     

    報酬に関して、単に、「本動画の出演料として1万円を支払う。」などと規定している場合には、出演料とは別に動画の公開許諾料などを主張されて追加報酬を要求されてしまう可能性があります。

    そこで、契約書には、出演者は契約書に定めた報酬以外は、どのような名目のものであっても請求することができない旨を定めました。

    これによって、出演者は、契約書に定められた報酬以外は請求できなくなります。また、出演者と相談者のどちらが負担するか争いになりやすい交通費などの経費については、契約書にどちらが負担するのか明記するようにしました。

     

    (3)出演者が権利を行使できないような規定を置いた

     

    出演者が著作隣接権や実演家人格権を行使した場合、相談者は自由に動画の編集や公開を行えなくなる可能性があります。

    そこで、出演者が権利を行使できないよう、著作隣接権は出演者から相談者に譲渡されるようにしました。出演者は、権利を譲渡することでその権利を使えなくなりますので、出演者から権利を行使されるおそれはなくなります。

    また、実演家人格権は、法律上譲渡することが禁止されています(著作権法第101条の2)。そのため、実演家人格権については、相談者に対する権利の行使を行わないことを約束させる規定を契約書に置きました。

    これによって、相談者は、自由に動画の編集や公開を行えるようになります。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    著作隣接権の譲渡についての契約条項を作成する際は、著作権法第103条で準用される著作権法第61条1項に注意する必要があります。

    この点は、著作権譲渡契約書と同様の注意点になりますので、以下の記事をご参照ください。

    ▶参考情報:著作権譲渡契約書の作成を弁護士が解説!安易な雛形利用は危険!

     

    (4)出演者が肖像権を行使できないような規定を置いた

     

    出演者が肖像権を行使できる場合、相談者は自由に動画を公開できなくなる可能性があります。そこで、動画の使用目的を特定したうえで、その使用目的の範囲内で使用される限りは、出演者に肖像権を行使しないことを約束させる内容の規定を置きました。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    出演するモデルに、肖像権を一切行使しないことを約束させるような契約条項は、一見すると撮影者に有利ですが、一方的すぎる契約内容であるなどとして効力を否定される危険もあります。

    動画の使用目的を契約書で限定したうえで、その目的の範囲内で使用される限りは肖像権を行使しないといった内容にしておくべきです。

    動画の使用目的の特定ができない場合も、最低限、風俗業の広告には利用しないことなど、モデルの名誉を害するような方法で使用しないことを約束するなどの条項を入れておくべきでしょう。

     

    (5)出演者に犯罪行為等を行っていないことを保証させるようにした

     

    出演者が過去に犯罪行為等を行っていたかどうかを調べることは難しいですし、可能であったとしても相当な手間がかかります。また、出演者が将来犯罪行為等を行うかどうかは契約段階ではわかりようがありません。

    そこで、出演者に、過去に犯罪行為等の動画のイメージに支障を与える行為を行っていないことを保証させるようにしました。

    また、出演者が将来にわたっても、犯罪行為等の動画のイメージに支障を与える行為を行わないことを約束させるようにしました。

    これによって、出演者が過去に犯罪行為等を行っていたり、将来犯罪行為等を行った場合には、契約違反として出演者に対する損害賠償請求等ができるようになります。

     

    6,解決結果におけるまとめ

     

    動画撮影においては、出演者との契約内容によっては、後になって出演者から動画の公開の停止を要求されたり、追加の報酬を請求されるおそれがあります。

    このようなリスクを回避するためには、どのようなリスクがあるか、どうすればリスクを回避できるかを把握した上で契約書を作成する必要があります。

    自分で契約書を作成することに不安がある方は、本件のように契約書の作成を弁護士に依頼することがおすすめです。また、自社で契約書を作成した場合も必ず弁護士へリーガルチェックをしてもらうようにしてください。

    契約書のリーガルチェックの重要性については、以下の記事で解説していますのでご参照ください。

     

     

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