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【IT業界の方は必読】ITサービスの代理店契約書のリーガルチェックで確認すべき4つのポイント!

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  • 代理店契約書のリーガルチェック
    IT関連の顧問先からリーガルチェックのご依頼をいただくことが多い契約書の種類の1つが、各種ITサービスの代理店契約です。具体的には、他社が開発したクラウドサービス、ASP、アプリ、WebなどのITサービスについて、代理店になるための契約です。

    このような代理店契約書のリーガルチェックは万全でしょうか?

    他社が用意した雛形による代理店契約書を、十分検討せずに締結してしまうと、自社にとって著しく不利な内容になっていて、あとで思わぬ損害賠償トラブルや料金滞納トラブルが発生し、不利益を受ける危険があります。今回は、代理店側の企業の立場から、ITサービスの代理店契約書のリーガルチェックの基本的なポイントをわかりやすくご説明します。

     

    今回の記事で書かれている要点(目次)

    ●【最初にチェック】基本を確認!代理店契約には大きく分けて2種類ある。
    ●ITサービスの代理店契約書で必ずチェックすべき4つのポイントとは?
    ●ポイント1:「仕入れ型の代理店契約」か「紹介型の代理店契約」かを明記する。
    ●ポイント2:【仕入れ型の場合】エンドユーザーとの契約書を作成する際に免責事由に注意する。
    ●ポイント3:【紹介型の場合】代理店契約終了後も報酬が支払われるかを確認する。
    ●ポイント4:競合サービスの取り扱いを禁止する条項がないかを確認する。

     

    【最初にチェック】基本を確認!代理店契約には大きく分けて2種類ある。

    最初に、ITサービスの代理店契約書で必ずチェックすべき4つのポイントをご説明していく前に、代理店契約書のリーガルチェックに必要な前提知識として、代理店契約には以下の2種類が存在し、これによって、代理店の責任が大きく異なってくることを理解しておきましょう。

    代理店契約の2つの種類

    パターン1:「仕入れ型」の代理店契約

    サービス提供元から提供を受けるサービスについて、代理店がエンドユーザーとサービス提供の契約をするケースです。代理店がサービス提供元から仕入れてきたサービスを、代理店が利益を上乗せしてエンドユーザーに提供するイメージです。

    パターン2:「紹介型」の代理店契約

    サービス提供元のサービスについて、代理店がサービス提供元に顧客の紹介を行い、サービス提供元とエンドユーザーが直接契約をするケースです。このタイプには、「紹介をすれば代理店としての業務が終了するタイプ」のものと、「紹介後もエンドユーザーからの問い合わせやクレームの一次対応を代理店が行う内容になっているタイプ」のものの2パターンがあります。

    「仕入れ型」と「紹介型」は、「エンドユーザーが誰と契約するか」が根本的に異なります。

    エンドユーザーが代理店と契約するのが「仕入れ型」、エンドユーザーがサービス提供元と契約するのが「紹介型」になります。「仕入れ型」はディストリビューター方式、「紹介型」はエージェント方式などと呼ばれます。そして、このどちらの契約かによって、代理店とサービス提供元の責任の分担が大きく違ってきます。

    「仕入れ型」の代理店契約と、「紹介型」の代理店契約の責任分担の違いについて

    (1)「仕入れ型」の代理店契約の責任について

    1,バグや不具合に対する対応の責任:代理店が負担

    代理店がエンドユーザーと契約をするため、サービスのバグや不具合によりエンドユーザーに損害が生じた場合、代理店がエンドユーザーに対して、損害の賠償等の責任を負担します。そのうえで、代理店はエンドユーザーに対して賠償した損害について、サービス提供元に最終負担を求めることになります。

    2,エンドユーザーの代金不払いのリスク:代理店が負担

    エンドユーザーが代理店に利用料金等の代金を支払わなかった場合でも、代理店はサービス提供元に代金を支払う必要があり、エンドユーザーの代金不払いによる損失リスクを代理店が負担します。

    (2)「紹介型」の代理店契約の責任について

    1,バグや不具合に対する対応の責任:サービス提供元が負担

    サービス提供元がエンドユーザーと直接契約をするため、サービスにバグや不具合が生じた場合にも、代理店は損害賠償等の責任を負担しません。

    2,エンドユーザーの代金不払いのリスク:サービス提供元が負担

    サービス提供元がエンドユーザーと直接契約をするため、エンドユーザーからの代金回収の責任はサービス提供元にあります。エンドユーザーが代金を支払わなかった場合、代金不払いによる損失はサービス提供元が負担します。

    まとめると、以下の表の通りになります。

    紹介型と仕入れ型の比較表

    このように、「仕入れ型」は「紹介型」より代理店の責任が重くなっています。

    「仕入れ型」の代理店契約をする場合は、「バグや不具合の場合の損害賠償の負担のリスク」や「エンドユーザーの代金不払いのリスク」を代理店が負担することになることを考慮してマージンを設定することが必要ですので、覚えておきましょう。

     

    ITサービスの代理店契約書について必ず確認すべき4つのポイントとは?

    次に、代理店契約書のリーガルチェックに必要な前提知識として、代理店契約には2種類が存在していることを理解していただいた上で、ITサービスの代理店契約書の内容には、その提供するサービスの性質に応じてさまざまなものがありますが、共通して重要なチェックポイントをご説明していきます。
    以下がITサービスの代理店契約書の重要なチェックポイントの4点です。

    ITサービスの代理店契約書について必ず確認すべき4つのポイント

    ポイント1:
    「仕入れ型の代理店契約」か「紹介型の代理店契約」かを確認する。

    ポイント2:
    【仕入れ型の場合】エンドユーザーとの契約書を作成する際に免責事由に注意する。

    ポイント3:
    【紹介型の場合】代理店契約終了後も報酬が支払われるかを確認する。

    ポイント4:
    競合サービスの取り扱いを禁止する条項がないかを確認する。

    これらのポイントを見過すと、たとえば、以下のような問題が起こります。

    代理店契約書のチェック不足が招くトラブル事例

    トラブル事例1:
    サービスに不具合が生じた場合の損害賠償トラブル

    サービスにバグやシステム障害などの不具合が生じた時に、サービス提供元が開発したサービスにもかかわらず、代理店の負担で、エンドユーザーからのクレームや損害賠償に対応しなければならなくなる危険があります。

    トラブル事例2:
    エンドユーザーの料金滞納のトラブル

    エンドユーザーが料金を滞納した場合も、その期間に応じた利用料金を代理店の負担でサービス提供元に支払わなければならなくなる危険があります。

    トラブル事例3:
    代理店報酬の支払いをめぐるトラブル

    代理店契約が終了した後、契約期間中に獲得したエンドユーザーがサービスを利用し続けても、代理店報酬をもらえなくなってしまう危険があります。

    トラブル事例4:
    競合サービスへの乗りかえをめぐるトラブル

    競合サービスの取り扱いを禁止する条項が代理店契約書に入れられていた場合、より優れた他社の競合サービスがあらわれたときも、他社との代理店契約ができなくなってしまい、事業運営に支障が生じる危険があります。

    このようなトラブルを事前に防ぐためにも、サービス提供元から提示された代理店契約書に安易に捺印せず、適切なリーガルチェックを行い、自社に不利な内容は修正してもらうことが大変重要です。

    次項から4つのポイントについてそれぞれ詳しく解説していきますので、チェックしてきましょう。

     

    ポイント1:
    「仕入れ型の代理店契約」か「紹介型の代理店契約」かを明記する。

    まず最初にポイントの1つ目として、「仕入れ型の代理店契約」か「紹介型の代理店契約」かによって、代理店の責任が大きく異なりますので、「代理店契約書」にどちらのタイプの契約であるかを明記しておくことが必要不可欠です。

    サービス提供元から代理店契約書をもらった場合も、この点が明記されていない場合は、必ず、確認し、明記しておきましょう。
    たとえば、以下のような条項を追加することで、この点を明記することができます。

    契約書の参考例

    条項例:「仕入れ型」の代理店契約の場合

    「代理店がエンドユーザーとの間で、本サービスの利用契約を締結し、本サービスを提供するものとします。」

    条項例:「紹介型」の代理店契約の場合

    「サービス提供元が代理店から紹介を受けたエンドユーザーとの間で、本サービスの利用契約を締結し、本サービスを提供するものとします。」

    さらに、紹介型の代理店契約においては、エンドユーザーからの代金回収の責任、クレーム対応の責任はサービス提供元にあることを明記しておくことをお薦めします。
    たとえば、下記のような条項を設けることがお薦めです。

    条項例:

    「エンドユーザーからの利用料金の回収、エンドユーザーからのサービスの不具合、障害等に関するクレームの対応は、サービス提供元がその責任で行うものとします。」

    このように、代理店契約書のチェックにおいては、まず「仕入れ型」なのか、「紹介型」なのかを明確にすることが重要ですので、おさえておきましょう。

     

    ポイント2:
    【仕入れ型の場合】エンドユーザーとの契約書を作成する際に免責事由に注意する。

    ポイントの2つ目として、「仕入れ型」の代理店契約の場合、エンドユーザーと代理店の間の契約書を作成する際に免責事由に注意することが必要です。すなわち、ITサービスの代理店契約では、システムの障害、サーバーの障害によるサービスの中断がサービス提供元の免責事由として規定されていることが通常ですが、「代理店契約書にあるサービス提供元の免責事由と同じ内容を、代理店とエンドユーザーの間のサービス提供契約でも免責事由として規定する」ことが重要です。

    ポイント1でご説明した通り、「仕入れ型」の代理店契約の場合、サービスにバグや不具合が生じた際の対応の責任やエンドユーザーに発生した損害の賠償の責任を代理店が負担します。そして、代理店がエンドユーザーとの関係でサービスの不具合による損害賠償請求を受けた場合、代理店としてはサービス提供元にそれを請求することになります。

    しかし、代理店契約書で免責事由として規定されている項目については、代理店からサービス提供元に損害を請求しても、サービス提供元は応じてくれません。そこで、代理店とエンドユーザーの間の契約書でも、「サービスの不具合などの場合にエンドユーザーに発生する損害については代理店は責任を負わない」旨の免責条項を定めておくことが必要です。

    これを忘れてしまうと、システムの障害、サーバーの障害によるサービスの中断があったときに、代理店の負担でエンドユーザーに損害賠償を支払うことになってしまいますので、注意が必要です。また、同様に、ITサービスの代理店契約書では、サービス提供元の事情でサービスを廃止することがあること、その場合でもサービス提供元は代理店に発生した損害について責任を負わないことが規定されることが通常です。

    この場合は、代理店とエンドユーザーの間の契約書でも、「サービス廃止の場合に代理店はエンドユーザーに発生した損害について責任を負わないこと」を規定しておくことを忘れないようにしなければなりません。

    これを忘れてしまうと、サービス廃止でエンドユーザーに損害が発生したときに、サービス提供元は責任を負ってくれないのに、代理店はエンドユーザーに責任を負担することになってしまいますので、注意が必要です。

    このように「仕入れ型」の代理店契約では、エンドユーザーと代理店の契約書を作成する際に工夫することで、代理店が損害賠償等の負担をするリスクを回避することが重要です。

     

    ポイント3:
    【紹介型の場合】代理店契約終了後も報酬が支払われるかを確認する。

    ポイントの3つ目としては、ITサービスの「紹介型」の代理店契約では、代理店契約終了後も報酬が支払われるかを確認することが必要です。

    ITサービスの代理店契約では代理店への報酬支払いが1回きりで終わるのではなく、顧客がサービスの利用を継続する限り、毎月あるいは毎年、代理店に報酬が支払われるケースが多くみられます。このような場合には、サービス提供元と自社の代理店契約が終了した場合であっても、エンドユーザーがサービスを利用する期間中は、代理店に報酬が支払われることが合理的です。

    そこで、「紹介型」の代理店契約をチェックする際は、「代理店契約終了後であってもエンドユーザーがサービスの利用を継続する期間中は代理店報酬が支払われる」旨の条項を入れてもらえるように交渉することが必要です。
    たとえば、以下のような条項を代理店契約書に盛り込んでもらえるように交渉することがお薦めです。

    契約書の参考例

    条項例:

    「本契約が終了した後であっても、エンドユーザーが本サービスの利用を継続する間は、サービス提供元は代理店に対し、代理店報酬の支払いを継続する。」

    このような条項をいれておかなければ、たとえば代理店契約が期間満了により終了した場合に、契約終了間際に成約したエンドユーザーについては、わずかな期間しか、代理店報酬を得ることができないことになってしまいますので、注意が必要です

    「紹介型」の代理店契約では、代理店契約終了後の報酬の支払いの有無に注意しなければならないことをおさえておきましょう。

     

    ポイント4:
    競合サービスの取り扱いを禁止する条項がないかを確認する。

    ポイントの4つ目として、「仕入れ型」、「紹介型」のどちらのタイプでも、代理店契約書では、「競合する同種のサービスについて、自社で提供したり、他社の代理店になることができない」旨の条項が規定されることがあり、注意が必要です。
    このような規定には、大きく分けて2種類のパターンがあります。

    競合サービスの取り扱い禁止規定の2種類のパターン

    パターン1:
    代理店契約の期間中に、競合する同種のサービスについて、自社で提供したり、他社の代理店になることを禁止する内容の条

    パターン2:
    代理店契約の期間中だけでなく、契約終了後も何年間かは、競合する同種のサービスについて、自社で提供したり、他社の代理店になることを禁止する内容の条項

    代理店契約書にこれらの条項が入っている場合、そのままの内容で締結すると、競合する同種のサービスについて自社で提供することや、他社の代理店になることができなくなり、自社の事業運営に制約が加わることになりますので、できれば削除に向けた交渉をするべきです。さらに、「パターン2」のタイプの条項については、契約終了後も競合サービスを扱うことを禁止する内容になりますので、より注意が必要です。

    パターン2のような条項を含む代理店契約書を締結してしまうと、例えば、他のサービス提供元から、さらに機能が優れたサービスや、条件のよい代理店契約が提案された場合に、現在のサービス提供元との代理店契約を解約して他社との代理店契約に乗り換えたいと考えても、すぐに他社と代理店契約をすることができません。この「パターン2」のタイプの条項は、代理店となる企業にとって重大な制約になりますので、慎重な判断が必要です。

    このように、代理店契約書をチェックする際は、競合する同種のサービスについて取り扱いを禁止する条項がないかどうか確認が必要ですので、見落としがないようにチェックしましょう。

     

    まとめ

    今回は、クラウドサービス、ASP、アプリ、WebなどのITサービスの代理店契約書について、以下の4つのリーガルチェックの重要なポイントをご説明しました。

    ポイント1:「仕入れ型の代理店契約」か「紹介型の代理店契約」かを確認する。
    ポイント2:【仕入れ型の場合】エンドユーザーとの契約書を作成する際に免責事由に注意する。
    ポイント3:【紹介型の場合】代理店契約終了後も報酬が支払われるかを確認する。
    ポイント4:競合サービスの取り扱いを禁止する条項がないかを確認する。

    これらのポイントは、ITサービスの代理店契約書をリーガルチェックするうえでの基本的な項目ですので、ぜひ活用してみてください。くれぐれも、相手方からもらった代理店契約書をそのまま鵜呑みにすることのないように、契約書の記載内容はよくチェックする習慣をつけましょう。

    また、ITサービスの代理店契約では、上記の4つのポイント以外にも、サービスの性質に応じた個別のリーガルチェックのポイントが含まれることが通常です。きちんとしたリーガルチェックのために、早めに弁護士への相談体制をつくっておきましょう。

    咲くやこの花法律事務所でも「IT分野」に関しては相談数と実績が多数ございます。ITに強い弁護士が担当いたしますので、是非、不安な点がありましたらお気軽にご相談下さい。


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