知らないと大損することも!債権回収で全額回収のために知っておきたい「預金差押え」のポイント

債権回収の時につかえる預金差押えのポイント

「商品代金が支払われない!」、「リフォームなどの工事代金が支払われない!」、「サービス利用料金が支払われない」、「Web制作代金やシステム開発代金が支払われない!」など、取引先の未払いトラブルは会社経営をしていると多くの会社で起こるトラブルです。

このような未払いトラブルが発生した際の債権回収の解決策の1つが、取引先の「銀行預金の差押え」です。

今回は、成功すれば債権回収に効果絶大な「預金差押え」について、おさえておくべきポイントをご説明します。

 

今回の記事で書かれている要点(目次)

●絶対におさえておこう!債権回収に役立つ「預金差押え」の重要ポイント!
●「預金差押え」のポイント1:預金の調査を行う。
●「預金差押え」のポイント2:預金の差押えのタイミングに注意する。
●「預金差押え」のポイント3:預金を差し押さえたらすぐに銀行に取り立てをする。
●「預金差押え」のポイント4:「仮差押え」を活用する。

 

絶対におさえておこう!
債権回収に役立つ「預金差押え」の重要ポイント!

「預金差押え」とは、裁判で勝訴判決をもらっても取引先が支払いをしない場合に、取引先の銀行預金を強制的に債権者側に入金させる手続きをいいます。

未払いトラブルになっている取引先が判決が出ているのに支払わないというケースの主な理由は、「支払うお金がないから」です。ただ、本当に全くお金がないというのはケースはごくわずかであり、実際には、「お金はあるけれども、他の支払いを優先しているため、支払いができない」というケースがほとんどです。たとえば、「事務所の賃料や従業員の給与を優先して払っているために、判決で命じられた支払いにお金が回らない」というケースがその典型事例です。

そして、「預金の差押え」はこのようなケースで、未払いトラブルを起こしている取引先の銀行預金を強制的に自社に入金させることができます。そのため、成功すれば、未払い債権回収に絶大な威力を発揮します。ただし、「預金の差押え」を成功させるためには、おさえておくべき重要なポイントがいくつかあります。
今回は、その中でも基本的な知識である、以下の4つのポイントをご説明したいと思います。

債権回収で「預金差押え」を成功させるためにおさえておくべき4つのポイント

●ポイント1:預金の調査を行う。
●ポイント2:預金の差押えのタイミングに注意する。
●ポイント3:預金を差し押さえたらすぐに銀行に取り立てをする。
●ポイント4:「仮差押え」を活用する。

以下で順番にご説明していきます。

 

預金差押えの重要ポイント1:
預金の調査を行う。

「預金差押え」を成功させるためにおさえておくべき重要ポイントの1つ目は「預金の調査の方法」です。

「預金差押え」を行うためには、取引先が預金を預けている「銀行の名前」と「支店の名前」を把握している必要があります。預金口座の番号は必要ありません。しかし、取引先がどこの銀行のどの支店に預金を預けているかについては、わからないことがほとんどです。そのため、取引先が預金を預けている銀行と支店を調べることが必要になります。

この調査の方法はさまざまですが、以下の点をおさえておきましょう。

預金の調査の方法の具体例

方法1:
これまでの取引の経緯から、取引先の預金がある銀行がわからないか、調べてみましょう。

たとえば、取引先から物を買ったり、あるいは返金をしたりしているケースでは、その支払先の銀行口座がわかるはずです。

方法2:
債権回収の交渉の際は、取引先の決算書を預かりましょう。

決算報告書の勘定科目内訳明細書には、預金のある銀行名、支店名、預金残高が記載されています。取引先から、自社に対する支払いが遅れるなどの連絡があり、支払期限の延長の要望をうけたときは、期限までに支払えないことを確認するためにも決算書を預かることをおすすめします。決算書を預かっておけば、その後に預金差押えの手続をとる場合に、必要になる、預金のある銀行名や支店名の情報を取得できます。

方法3:
取引先の預金口座を知っていると思われる第三者がいる場合は、弁護士を通じて、その第三者に照会をかけてみましょう。

たとえば、取引先が法人名義で契約している携帯電話があった場合、取引先がその携帯電話料金を口座引き落としで払っていれば、携帯電話会社は取引先の預金口座を知っているはずです。このように、取引先の預金口座を知っていると思われる第三者がいる場合は、そこに弁護士から照会をかけて、口座情報を入手するのも1つの方法です。

方法4:
弁護士から銀行に照会をかけるという方法もあります。

取引先が預金を預けている銀行がわかっていて、支店名だけがわからないという場合は、弁護士から銀行に照会をかければ、支店名がわかることがほとんどです。

このような方法で、まず、取引先が預金を預けている「銀行の名前」と「支店の名前」を把握することが、預金の差押えのための第1歩となります。ここでご説明した方法以外にも、ケースに応じてさまざまな調査方法がありますので、弁護士に相談してみましょう。

 

預金差押えの重要ポイント2:
預金の差押えのタイミングに注意する。

「預金差押え」を成功させるためにおさえておくべき重要ポイントの2つ目は「預金の差押えのタイミングに注意すること」です。

預金の差押えは、「いつ差押えの手続をするか」というタイミングが重要です。
その理由は以下の通りです。

預金の差押え手続を「いつするか」というタイミングが重要な理由

まず、預金の差押えを行うと、裁判所から差押え命令が、預金のある銀行の支店に郵送されます。そして、銀行が差押え命令を受け取った時点の預金残高が差し押さえられることになります。そのため、たとえば、銀行が差し押さえ命令を受け取った前日に、取引先が預金を引き出していれば差押えができません。
このことから、預金の差押えのタイミングについては以下の点が重要になります。

『差し押さえる銀行口座に預金の残高がありそうなときに、差押え命令が銀行に届くようにタイミングを見計らって、差押えの手続をすること』

ここでいう「預金の残高がありそうなとき」というのは、たとえば、以下のようなタイミングです。

預金の差押えのタイミングの具体例

具体例1:取引先の給料日の前

取引先が給料の支払いの準備のために預金口座に預金を残していれば、給料日の直前は預金残高が多いと推測できます。

具体例2:取引先に大きな入金があるタイミングがわかっていればその直後

たとえば、毎月の月末の入金が多い会社であれば、翌月1日は預金残高が多いと推測できます。

具体例3:毎月の月末

事務所を借りて賃料を支払っているような会社であれば、月末は賃料の支払いのための資金を確保していることが多いと推測できます。また、取引先が社会保険料を引き落としで支払っている場合、毎月1日に引き落とされますので、そのためにも月末には預金残高を準備していると推測できます。

上記の点を参考に、未払いになっている取引先の預金残高が多いと推測されるタイミングを狙って、預金の差押えをすることが重要ですのでおさえておきましょう。

 

預金差押えの重要ポイント3:
預金を差し押さえたらすぐに銀行に取り立てをする。

「預金差押え」を成功させるためにおさえておくべき重要ポイントの3つ目は「預金を差押さえたらすぐに銀行に取り立てをすること」です。

これは、預金を差押さえた後にすぐに銀行に取り立てをしないと「別の債権者と競合してしまうリスクがある」ためです。取引先の預金を差押さえた場合、銀行に差押さえ命令が届いてから1週間たてば、預金を自社に直接支払ってもらうことを銀行に請求できます。そのため、1週間たった時点で、銀行の支店に連絡し、預金を自社に直接支払ってもらうことで、債権回収を得るという流れになります。

ところが、1週間たった後も、銀行に連絡しないで放置していると、その間に、別の債権者が同じ口座を差押さえてしまことがあります。そうなると、自社以外の債権者にも配当が回り、自社が十分な債権回収ができず、大損してしまう恐れがありますので注意が必要です。

債権回収は早い者勝ちであり、常に他の債権者との競争を意識して進める必要があります。全額回収の確率を少しでもあげるためには、「預金を差押さえたらすぐに銀行に取り立てをすること」がポイントの1つになります。

 

預金差押えの重要ポイント4:
「仮差押え」を活用する。

「預金差押え」を成功させるためにおさえておくべき重要ポイントの4つ目は「仮差押えを活用すること」です。

預金差押えの手続は、債権が未払いになっている取引先に対して裁判を起こし、勝訴判決をもらった後でないと行うことができません。そのため、裁判をしているうちに、取引先の預金残高が減ってしまって、裁判が終わってから差押えをした時点では、ほとんど預金残高が残っていないというリスクが考えられます。

このように、裁判中に預金残高が減って十分な差押えができないリスクを回避するための制度が「仮差押え」です。「仮差押え」の手続を取引先に対する裁判の前に行うことによって、取引先は、仮差押えされた銀行口座から預金を引き出すことができなくなります。
なお、「仮差押え」については別の記事で詳しく解説しておりますので、そちらもご参考にご覧下さい。

●仮差押えの参考記事●

「全額回収率アップには必須!債権回収の際に知っておくべき正しい仮差押えの進め方」はこちら

このように、預金差押えを行う場合は、裁判の前に仮差押えをして、銀行口座から預金を引き出せないようにしておくことがポイントとなります。

 

まとめ

今回は、債権回収の有力な手段の1つである「預金差押え」について、基本的なポイントとして以下の4点をご説明しました。

●ポイント1:取引先の預金の調査を行う。
●ポイント2:預金の差押えのタイミングに注意する。
●ポイント3:預金を差し押さえたらすぐに銀行に取り立てをする。
●ポイント4:「仮差押え」を活用する。

いずれも、「預金差押え」を成功させるための重要なポイントとなりますので、ぜひ参考にしてください。

 

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