こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
会社を経営していると「顧問弁護士」という存在に触れることは多いのではないでしょうか?
例えば、取引先に契約書案を出したら、「顧問弁護士に確認したところ、何点か修正をお願いします」と言われたり、取引先とのトラブルがあったときに、取引先から、「顧問弁護士に相談して回答します」と言われたりすることがあると思います。
ただ、「顧問弁護士」については、なんとなく「会社を守ってくれる存在」というイメージはあるものの、顧問弁護士の具体的な役割や費用について、わかりにくい面も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は、「顧問弁護士とは?」という疑問について、顧問弁護士の具体的な役割と顧問料の相場について解説したうえで、「顧問弁護士は本当に必要なのか?」についてご説明したいと思います。
それでは以下で詳しく見ていきましょう。
▶【関連動画】西川弁護士が「顧問弁護士とは?役割・顧問料・必要性について【前編】と【後編】」を動画で詳しく解説中!
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今回の記事で書かれている要点(目次)
- 1,顧問弁護士とは?
- 2,「具体的に何をしてくれるのか?」顧問弁護士の役割について
- 3,「平均的な費用はどのくらい?」顧問料の相場について
- 4,顧問弁護士を依頼するメリットとデメリット
- 5,咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士プランの顧問料(費用)ってどれくらい?
- 6,「本当に顧問弁護士はいるの?」の必要性について
- 7,中小企業と大企業の顧問弁護士の違い
- 8,顧問弁護士との契約について
- 9,顧問契約560社以上!咲くやこの花法律事務所の「顧問弁護士サービス」について
- 10,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士と無料面談の予約方法
- 11,【参考】利益相反の問題
- 12,顧問弁護士についてのよくある質問
- 13,顧問弁護士に関するお役立ち情報も配信中(メルマガ&YouTube)
- 14,まとめ
- 15,【関連情報】顧問弁護士に関するお役立ち記事一覧
1,顧問弁護士とは?
顧問弁護士の具体的な役割についてご説明する前に、まず、「顧問弁護士とは?」ということで、どういう弁護士のことを顧問弁護士というのかについてご説明したいと思います。
顧問弁護士とは、会社でおこる法律問題や不安ごとについて普段から継続的に相談を受け、会社をサポートしてくれる弁護士のことです。平時から「社内規定の整備」、「労務管理の改善」、「契約書の整備やリーガルチェック」などに取り組み、またトラブルの予兆があるときには解決方法の助言をしてくれる弁護士です。
会社を経営していると、日々新しい問題に直面します。
新しい問題が起こった場合、経営者の先輩にアドバイスを求めたり、経営コンサルタントや顧問税理士にアドバイスを求めたりすることも多いと思います。
これらの人たちは、日頃から、あなたと継続的にコミュニケーションをとり親しい関係にあるため、あなたのことを理解して、あなたの味方となって話を聴いてくれますし、あなたとしても自分のビジネスや会社のことを知ってもらっているので、話しやすいということがあると思います。
このように、会社経営では、いつでも気軽に、継続的に相談できる、「あなたの会社の味方となってくれる人」が必要です。
ところが、会社を経営していると必ずついてまわる、「顧客や競合からのクレーム対応」、「従業員との労働問題」、「就業規則の作成」や「雇用契約書の作成」などの労務管理、「取引先との契約書の作成やリーガルチェック」、「債権回収に関するトラブル」などの分野では、法律の知識が必要になるため、経営者の先輩や経営コンサルタントに相談しても、具体的なアドバイスをもらうのは難しいのが実情です。
そこで、これらの分野で、いつでも気軽に継続的に相談できる、「あなたの会社の味方となってくれる人」の役割を果たすのが、「顧問弁護士」になります。
このように「顧問弁護士」は、以下の3つの点を満たした弁護士のことを指しますので、おさえておきましょう。
- 1,いつでも気軽に相談できる。
- 2,継続的に相談できる。
- 3,あなたの会社の味方となってくれる。
英語ではbond lawyer、corporate lawyerなどと呼ばれます。
それでは次に、顧問弁護士は「具体的に何をしてくれるのか?」の役割について詳しく説明していきます。
参考情報として、「顧問弁護士と企業内弁護士、法務担当との違い」についても解説しておきます。
最近では企業内弁護士や法務担当の弁護士を雇用する企業もあります。企業内弁護士や法務担当の弁護士は企業との関係が雇用契約である点で、外部弁護士への業務委託である顧問弁護士とは異なります。
自社の法務ニーズが大きく、事業の構築、遂行の段階で常時法務的な課題を検討する必要がある場合は企業内弁護士の雇用も選択肢の1つでしょう。
一方、そこまでの法務ニーズが常時あるわけではない多くの中小企業では、外部のリソースである顧問弁護士制度を活用することが合理的です。
2,「具体的に何をしてくれるのか?」顧問弁護士の役割について
さて、ここからは「顧問弁護士の具体的な役割」について解説していきます。顧問弁護士には、経営者のパートナーとして様々な役割がありますが、その中でも大きく分けて次の3つが代表的な役割になります。
顧問弁護士の代表的な3つの役割
- 役割1:緊急時にあなたの会社を守る。
- 役割2:日ごろからあなたの会社を整備する。
- 役割3:経営者のよい相談相手になる。
これらの代表的な役割について順番にご説明いたします。
役割1:緊急時にあなたの会社を守る
会社を経営していると、様々なトラブルがつきものです。
例えば、以下のようなトラブルです。
会社経営における様々なトラブル例
- 1,取引先から支払われるはずの売掛金が支払われないなどの、売掛金の不払いのトラブル
- 2,あなたの会社の製品やサービスに対する苦情など、取引先・消費者からのクレーム
- 3,従業員の解雇や従業員からの残業代の請求、その他の労務関係のトラブル
顧問弁護士は、このようなトラブルが発生した緊急時に、常にあなたの会社の味方となって、トラブルを会社側に有利に、かつ迅速に解決できるように全力を尽くします。
その際、以下のような役割を担います。
顧問弁護士のトラブル発生時の役割
- 1,クレームやトラブルの対処法について、経営者からの相談を受ける
- 2,顧問弁護士が、会社の代理人としてクレームやトラブルの相手方と話をしてトラブルを解決する
- 3,顧問弁護士が、売掛金を支払っていない会社と交渉して売掛金の回収を行う
- 4,顧問弁護士が、解雇や残業代のトラブルについて、従業員と話をし、トラブルを解決する
- 5,トラブルやクレームが訴訟に発展した場合は、会社側に有利に解決できるように訴訟対応をする
このように、顧問弁護士はトラブルが発生した緊急時に、経営者の相談相手として正しいアドバイスをしたり、会社の代理人としてトラブルを実際に解決するなど、大変重要な役割を担います。
役割2:日ごろからあなたの会社を整備する
会社を経営していると、さまざまな法律に直面します。
例えば、以下のような法律です。
会社経営にまつわる法律の例
- 1,労働基準法
- 2,会社法(株主総会関連やガバナンス等)
- 3,特定商取引法
- 4,景品表示法
- 5,著作権法
- 6,商標法
- 7,特許法
- 8,フランチャイズ関連の法分野(独占禁止法や中小小売商業振興法)
- 9,民事訴訟法
- 10,各種の業法
創業時から、これらの法律をすべて守ることができている会社は、ほとんどないのが実情です。
例えば、創業時から、法律にのっとって、正確に従業員の労働時間を管理したり、通信販売サイトに特定商取引法に基づいて正確な表記をしたりということは、なかなかできないのが実情だと思います。
しかし、徐々に法律を守ることができる会社に整備していかなければ、会社を長く続けることはできません。法律をいつまでも守らなければ、会社は潰れてしまいます。
顧問弁護士は、会社を徐々に法律を守ることができる体制に整備し、会社が安定して成長できるように導く役割があります。
このような会社の整備は、一気にできることではありませんので、継続的、長期的に取り組むことが必要です。
また、取引先との契約書や利用規約、社内の就業規則や雇用契約書などを整備していくことも、会社が安定して成長するためには、必要不可欠です。
最初は契約書や利用規約がない会社でも、徐々に整備していかなければ、売掛金の不払いなどのトラブルがあったときに会社として対応することができません。また、就業規則がなければ、社内で従業員とのトラブルが起こった時に、会社として毅然とした対応をすることができません。
トラブルに強い安定した会社にするためには、契約書や利用規約、就業規則や雇用契約書などを整備していくことが必要です。
そして、契約書や利用規約、就業規則や雇用契約書などは一回作れば終わりではなく、法律の改正や取引内容の変化にあわせて改訂し、バージョンアップしていくことが必要です。
こういった、契約書や利用規約、就業規則や雇用契約書などの整備を進めて、「トラブルに強い安定した会社」にしていくことも顧問弁護士の重要な役割です。
このような日ごろから会社を整備する役割は、継続的、長期的な取組みですので、いつでも気軽に、継続的に、相談できる顧問弁護士であるからこそ可能な役割です。
多岐にわたる顧問弁護士の役割の中でも、労働問題や労務管理の分野への対応は、どの会社においても必要になる重要な役割の1つです。
労働問題について弁護士に相談する必要性や、労務管理について弁護士に相談する必要性については以下の記事でまとめていますのでご参照ください。
役割3:経営者のよい相談相手になる
会社を経営していると、日々、「決断・判断」に迫られます。そのような場面で、顧問弁護士は会社経営者のよい相談相手となり、経営者の判断を助けます。
会社経営で「決断・判断」を迫られる問題とは?
- 1,資金調達
- 2,事業の拡大や縮小
- 3,採用活動
- 4,従業員に対する指導や育成
- 5,広告宣伝
- 6,資本政策
など多岐にわたります。
顧問弁護士は、あなたのビジネスをよく理解し、数多くの顧問会社を見てきた経験をもとに、法律もわかる相談相手として、経営者の判断を助けます。
法律に関係する分野はもちろんですが、法律に関係があるかどうかわからないようなことであっても、気軽に顧問弁護士に相談することが可能です。
そして、「経営者のよい相談相手になる」という役割も、いつでも気軽に相談できる顧問弁護士であるからこそ、可能な役割だということをおえておきましょう。
今回、ご説明してきたように、顧問弁護士には以下の3つの大きな役割があり、重要な役割を担っていることを理解しておきましょう。
- 1,緊急時に会社を守る。
- 2,日ごろから会社を整備する。
- 3,経営者のよい相談相手になる。
【参考】顧問弁護士が顧問先に提供している業務についての調査データ
実際に弁護士が顧問先に提供している業務については、以下の調査データがあります。
▶参考データ:「顧問先に提供している業務」の調査結果データ
▶出典:株式会社LegalForce 「弁護士300人が回答 顧問契約の実態調査」(2022、レポート請求フォーム:https://legalforce-cloud.com/download/35)
このように「契約書のチェック」、「取引先とのトラブル(クレーム対応や代金不払い問題への対応)」、「社内の人事・労務問題への対応」の上位3分野が大きなウェイトを占め、同じくらいの回答数となっています。
例えば、顧問弁護士を探すきっかけが、たまたま契約書のチェックだったとしても、後日、契約に関連して取引先のトラブルが出てきたり、社内の人事・労務問題への対応が必要になったりして、当初の相談分野とは別の分野で顧問弁護士への相談が必要になるということも頻繁に起こります。
そのため、顧問弁護士を探す際は、現在相談したい事項だけでなく、将来相談が予想される分野も含めて、全般的にサービスを提供してもらえるのかどうかという視点も重要になります。
補足として、内部通報窓口や第三者委員会についてもご説明いたします。
ここまでご説明したように顧問弁護士の役割は多岐にわたりますが、顧問弁護士に依頼することが適切ではない分野もあります。
例えば、不祥事調査のための第三者委員会については、取締役の責任についても調査事項になることが多く、取締役からの独立性が要求される分野であるため、顧問弁護士に依頼することは不適切です。また、内部通報窓口の外部委託についても、独立性を確保することが望ましい分野であり、顧問弁護士とは別の弁護士に依頼することが望ましいと言えるでしょう。
3,「平均的な費用はどのくらい?」顧問料の相場について
次に、顧問弁護士の「平均的な費用はどのくらい?」の相場について詳しく説明していきます。
顧問弁護士には、毎月定額の顧問料を支払うことが通常です。顧問料の額については、公的なルールはなく、費用は弁護士によって違ってきます。また、同じ弁護士に頼む場合でも、会社の規模や相談の頻度、サービス内容などによって、金額が違ってくることがあります。
では、費用の相場はどのくらいでしょうか?
日本弁護士連合会が弁護士に行った顧問料に関するアンケート調査によると、平均額については、以下のようなアンケート結果が出ております。
(1)弁護士に行った平均相場アンケート結果
●平均:4万2636円/月
詳細を見ると、弁護士のうち、「41.7%」が、「5万円/月」と回答し、「36.5%」が「3万円/月」と回答しています。
▶参考情報:日本弁護士連合会が弁護士に行った顧問料に関するアンケート調査の詳しいデータは以下でもご覧いただけます。
一方、より新しい2022年のデータとしては以下のものがあります(主な取扱分野が企業法務である弁護士による回答データ)。
▶参考データ:主な取扱分野が企業法務である弁護士による回答データ
▶出典:株式会社LegalForce 「弁護士300人が回答 顧問契約の実態調査」(2022、レポート請求フォーム:https://legalforce-cloud.com/download/35)
このように、月額「3万円~5万円」が顧問弁護士の費用の一般的な相場といえますので、参考にして下さい。なお、顧問弁護士の費用には、別途消費税が必要です。費用は経費として処理することが可能です。
このように、2006年、2007年の日本弁護士連合会による調査データでは、月額「3万円~5万円」が顧問弁護士の費用の一般的な相場でした。これに対し、2022年のデータでは月額5万円以上が約6割に上っています。
弁護士の業務の専門化が進んだ結果、企業法務を中心に取り扱う専門性の高い弁護士ほど顧問料が高くなる傾向がうかがえます。なお、顧問弁護士の費用には、別途消費税が必要です。費用は経費として処理することが可能です。
咲くやこの花法律事務所の顧問契約における顧問料については、「5つの顧問弁護士プラン」があります。 会社の事業内容に応じて「必要な用途や頻度」が異なるため、一番ご利用していただきやすいプランを選定していただくために5つのプランをご用意しました。 現在5社以上(2024年1月現在)の顧問先がある咲くやこの花法律事務所の顧問料については次の段落の「5,【参考】咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士プランの顧問料(費用)ってどれくらい?」を参考にご覧下さい。
(2)個別事件依頼時の裁判費用や着手金について
顧問弁護士に顧問料の範囲で依頼できるのは、法律相談や契約書のリーガルチェック等であり、具体的な個別事件の依頼や裁判の依頼は、顧問料とは別に着手金、報酬金などの弁護士費用がかかるケースが多いです。
ただし、その場合でも、顧問先については、顧問料の額、顧問契約の期間等を考慮して、通常の料金よりも減額調整されるケースがあります。また、日頃の相談が少ない場合はこれまでの顧問料の支払を事実上、事件依頼の弁護士費用に充てることが可能なこともあります。
▶参考情報:顧問弁護士の費用の相場については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
4,顧問弁護士を依頼するメリットとデメリット
顧問弁護士を依頼することには、顧問弁護士がいない場合に比べて以下のメリットがあります。
(1)予約なしに電話やメールでいつでも気軽に相談できる
顧問弁護士がいない場合、弁護士の相談は、原則として、毎回、予約の上、事務所に訪問することが必要です。その結果として、トラブルにならないと弁護士に相談しないことが多くなり、事前のリスク対策、トラブル対策がおろそかになりがちです。
(2)予防法務でトラブルに強い会社を作ることができる
顧問弁護士がいれば、日ごろから、トラブル予防やリスク対策について提案を受け、トラブルに強い会社を作ることができます。
一方、顧問弁護士がいない場合、このような予防法務の取り組みができずにトラブルが増えたり、トラブル発生時の会社の損害が重大化することになります。
(3)自社が気づいていない重要な問題点について指摘を受け事前に改善できる
顧問弁護士がいない場合、自社で気づいた問題点があるときのみ、弁護士に相談することになります。
その結果、自社では思ってもいなかった重要な問題点や法令違反について、トラブル発生後にはじめて気づくことになりやすく、より重大なトラブルに発展しがちです。
(4)トラブルの予兆段階から相談することで自社の意向に沿うトラブル解決が可能
顧問弁護士がいない場合、どうしてもトラブルがある程度、明確になってからの相談になりがちです。
しかし、実際は、トラブルをうまく解決するためには事前の予防とリスク対策が必須です。トラブル発生が明確になってからの相談では、自社の意向に沿う解決をすることが難しいことが多いです。
(5)法改正情報など新しい情報をいち早く伝えてもらい対応できる
自社の業界で話題になっている法律だけでなく、労働法や個人情報保護法、民法、商法などの改正にも注意する必要があります。
顧問弁護士がいない場合、法改正情報など新しい情報の入手が遅れたり対応できないままになりがちです。
(6)トラブルが起きたときの依頼もスムーズ
顧問弁護士がいれば、トラブル発生時の依頼がスムーズです。
一方、顧問弁護士がいない場合、トラブルが起きたときに依頼できる適切な弁護士が見つからなかったり、あるいは、弁護士が見つかっても、一般的には顧問先企業の対応が優先されるため、顧問契約していなければ忙しくて相談をうけてもらえなかったりします。
その結果、自社が納得できる弁護士に依頼できないケースがあります。
(7)ホームページでの掲載や会社概要での記載が可能
自社のホームページや会社概要で顧問弁護士についての表記が可能になることもメリットの1つです。
顧問弁護士をホームページや会社概要に表記することで、外部に対して、法務対応やコンプライアンスについてしっかり取り組んでいる企業であることを印象付けることができます。また、悪質ないいがかりや不合理なクレームを付けられることに対する予防策にもなります。
(8)社員の相談への対応
従業員の交通事故や離婚、相続、刑事事件といった私生活上の相談についても対応する内容が顧問契約の内容として含まれる例も存在します。
こういったサービスを活用することは、社員の福利厚生の面でメリットがあるといえるでしょう。ただし、このようなサービスを利用する場合は、顧問弁護士に私的な相談をしている従業員と自社の間で労使紛争が起きた場合に、その対応を顧問弁護士に依頼しづらくなるという側面があることにも注意が必要です。
(9)顧問弁護士のデメリット
顧問弁護士依頼のデメリットとしては、顧問料がかかることがあげられます。
ただし、顧問料はもちろん、法人の経費にすることができます。
弁護士と顧問契約を結んで顧問弁護士を依頼するメリット、デメリットについては、以下の記事でさらに詳しく解説していますのでご参照ください。顧問弁護士と、スポットで対応する通常の弁護士の違いも踏まえて、メリット、デメリットをご紹介しています。
5,咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士プランの顧問料(費用)ってどれくらい?
咲くやこの花法律事務所の顧問契約における顧問料については、以下の「4つの顧問弁護士プラン」があります。
- ミニマムプラン(月額費用3万円)
- スタンダードプラン(月額費用5万円)
- しっかりサポートプラン(月額費用10万円)
- オーダーメイドプラン(月額費用15万円~20万円)
それぞれ違いについて以下でご説明していきます。
(1)スタンダードプランの内容
まず最初に最も標準的な顧問弁護士プランとして「スタンダードプラン(月額5万円)」についてご説明したうえで、そのほかのプランについてもご説明したいと思います。
咲くやこの花法律事務所のスタンダードプランの内容(月額費用5万円)
スタンダードプランは、週に1回程度の頻度を目安に、弁護士に、いつでもご相談いただけるサービスです。
顧問料の範囲内に含まれるものは以下の通りでです。
- 来所、電話、FAX、メール、チャットワーク等でのご相談(相談時間の制限なし)
- 契約書や就業規則のチェック(メールやFAX、チャットワーク等でお送りいただきます)
これに対して、以下のものについては、スタンダードプランでは、顧問料とは別に料金をいただいています。別料金をいただく場合も、顧問料の額、顧問契約の期間等を考慮して事案の内容によっては減額調整するなど、顧問契約の趣旨を踏まえて、料金を決定します。
- 契約書の作成(原案がなく弁護士に作成を依頼する場合)
- 就業規則の作成(原案がなく弁護士に作成を依頼する場合)
- 具体的な事件について相手方との交渉や訴訟を弁護士に依頼する場合
咲くやこの花法律事務所で最も多くの顧問先にご利用いただいているプランがこのスタンダードプランです。
(2)その他のプランの内容
スタンダードプラン以外のプランの内容は以下の通りです。
1,ミニマムプラン(月額費用3万円)
ご相談の量が少ない企業向けの顧問契約です。
月に1~2回程度のご相談頻度が目安となります。なお、このプランでは土日や夜間のご相談には対応しておりませんので、土日や夜間のご相談をご希望の方はスタンダードプランをご利用いただきますようにお願いいたします。
2,しっかりサポートプラン(月額費用10万円)
週に2回程度のご相談をご希望の企業向けの顧問契約です。
3,プレミアムプラン(月額費用15万円)
週に3回以上のご相談をご希望の企業向けの顧問契約です。
4,オーダーメイドプラン(月額費用15万円~月20万円)
以下のようなサポートをご希望の方向けのオーダーメイドのプランです。
- 債権の回収、内容証明の発送、クレームの対応、契約書の作成などを顧問契約の範囲内に含めて対応してほしいとご希望の方
- 弁護士による定期的な会社訪問(訪問しての相談対応やコンプライアンス研修の実施、取締役会への参加など)を顧問契約の範囲内に含めて対応してほしいとご希望の方
- 英語対応可能な顧問弁護士をご希望の方
ご相談者のご希望をお聴きして顧問契約のプランをオーダーメイドでご提案します。
なお、どのプランも契約期間は1年となっていますが、気軽に試していただけるように、1年の途中でもいつでも解約が可能な内容にしています。
各プランについての詳細は、以下の「顧問弁護士サービス」のページをご参考にしてください。
6,「本当に顧問弁護士はいるの?」の必要性について
最後に中小企業において「顧問弁護士が必要かどうか?」についてご説明します。
まず最初に、日本弁護士連合会が、中小企業向けに行った「弁護士の相談についての満足度に関するアンケート調査」をご覧下さい。
(1)日本弁護士連合会が行った弁護士の相談についての満足度に関するアンケート調査結果
●顧問弁護士がいる会社の顧問弁護士への相談についての満足度
- 「大変満足した」、「満足した」:64.4%
- 「納得した」:16.2%
●顧問弁護士がいない会社の弁護士への相談についての満足度
- 「大変満足した」、「満足した」:33.2%
- 「納得した」:28.0%
このようなアンケート結果から、日ごろからコミュニケーションをとっている顧問弁護士への相談は、トラブルが起こってから新しく弁護士に急きょ相談する場合よりも、満足度が格段に高いということがわかります。
これは、日ごろからコミュニケーションをとり、会社の内情もよく理解している顧問弁護士のほうが、具体的で実践的な相談ができ、また、相談後の対応もスムーズであるため、会社としても相談内容に満足できることがうかがえます。
また、顧問弁護士がいて、日ごろからトラブルに備えて契約書や就業規則を整備している会社は、トラブルを有利に解決しやすく、その意味で満足度が高いという点も、注目すべきポイントでしょう。
ご参考として、「咲くやこの花法律事務所」の顧問先へのアンケート調査でも、以下の通りのアンケートのお声をいただいており、顧問契約をしてしっかりコミュニケーションをとりながら会社経営のリスク対策のサポートをさせていただいている顧問先は、満足度も高くなる傾向があります。
(2)咲くやこの花法律事務所の顧問先へのアンケート調査
- 「法律がらみの経営判断で迷わなくなった。」
- 「いつでもすぐに相談できるので問題の事前予防になる。」
- 「顧問契約をして、会社を整備していくというのはこういうことかと気づいた。」
では、具体的に顧問弁護士をご利用いただくのがよい場面にはどのような場面があるのでしょうか?
以下で参考例をご紹介したいと思います。
(3)顧問弁護士をご利用いただくのがよい場面の参考例
参考例1:
契約書チェックにより、契約時のリスク対策が可能になります。
顧問弁護士がいれば、「契約書のリーガルチェック」を迅速に行うことができます。わざわざ相談の予約をしなくても、メールで契約書案を送信するなどして、気軽にチェックしてもらえます。
顧問弁護士によるリーガルチェックの結果、取引先から提示された契約書の内容が、かなり不利な内容にできていることがわかることは少なくありません。
このような場合も、顧問弁護士から具体的な契約書の修正案を送付してもらうことにより、取引先と交渉し、内容を改善してもらうことが可能です。
参考例2:
顧問弁護士によるクレーマー対応の代行により、クレームを迅速に解決できます。
悪質なクレーマーへの対応を自社で行うのは大変難しいです。
顧問弁護士がいれば、すぐに顧問弁護士からクレーマーに電話を入れて話してもらうことができます。そして、あとの対応は顧問弁護士に任せることで、クレームを迅速に解決することができます。
参考例3:
労働問題トラブルの際も、顧問弁護士が積極的にサポートし、トラブルが大きくなる前に解決します。
労働問題のトラブルには、様々なケースがあります。
- 1,うつ病で休職中の従業員が復職を求めてきたがどう対応すればよいかわからない。
- 2,業務の指示に従わない従業員を退職させたい。
- 3,従業員が外部の労働組合に加入した。
このようなケースなどが典型的なトラブルです。
このような場面で、顧問弁護士が以下のような対応をすることで、トラブルが大きくなる前に問題を解決することが可能です。
- 1,休職中の従業員の診療に同行したうえで、従業員と話をする。
- 2,退職勧奨について従業員への話し方を具体的にアドバイスする。
- 3,外部の労働組合との交渉にも弁護士が立ち会う。
参考例4:
債権回収のトラブルでも、顧問弁護士が積極的に債権を回収します。
債権回収のトラブルの場面はスピードが重要です。債権回収は時間が経過するほど、難しくなります。
債権回収の代行について顧問弁護士に連絡をすれば、その日のうちに、顧問弁護士から督促をすることができます。スピーディーな対応により、債権回収の確率が格段に上がります。また、督促に応じない場合も、顧問弁護士がいればすぐに法的手段をとることができます。
参考例5:
顧問弁護士がいれば、就業規則や雇用契約書を整備して、トラブルに備えることができます。
労働問題トラブルが、万一裁判に発展した場合、重要になるのが「就業規則」や「雇用契約書」です。
そして、弁護士が作成していない就業規則や雇用契約書は裁判で通用するとは限りません。(正しい「就業規則の作成」や「雇用契約書の作成」が重要ポイントになります。)
顧問弁護士がいるからこそ、法律の改正や社内の実情の変化に応じて継続的に就業規則や雇用契約書を改訂し、裁判所でも通用するものに整備していくことができます。
以上のような参考例がございますが、このような顧問弁護士をご利用いただくのがよい参考例には、大切な2つの共通点があります。
共通点1:
債権回収トラブルやクレームへの対応、労働問題などの「緊急時のトラブル対応」は、結局のところ、「その場限りで対応できるものではない」というのが現実です。
日ごろからの「会社の整備」を実施しているかどうかで、トラブル対応の結果に大きな差が出ます。
共通点2:
次に、トラブルが起こってから、弁護士を探していると、対応が遅くなり、よい解決をするのが難しいという点です。
顧問弁護士がいなければ、対応が遅れたり、トラブルの初期に対応を誤ってかえってトラブルを拡大させてしまい、結局は裁判を起こされるまで有効な対応策をとれないことになりがちです。
しかし、顧問弁護士がいれば、大半のトラブルは裁判になる前に解決することができます。
このように、債権回収トラブルやクレームへの対応、労務トラブルへの対応など、会社経営におけるトラブルが多く、備えが必要な中小企業にこそ、顧問弁護士が必要であることを理解しておきましょう。
(4)顧問弁護士はいつから必要?零細企業には不要か?
顧問弁護士はいつから必要かというご質問をいただくこともあります。
起業後すぐの段階や零細企業においては、費用面の負担との兼ね合いも気になるところではあると思いますが、従業員を1人でも雇用するようになったり、従業員を雇用していなくても新規のビジネスに取り組む予定がある場合は、顧問弁護士を依頼することがベストではあります。
雇用関係や契約書関係は企業が小さくてもトラブルが起こります。企業が小さいうちにこれらの点を整備しておくことは非常に重要です。
例えば、労務の分野では、企業が大きくなってから法務面の整備をしようとしても、労働法上の制約が生じてしまい困難になることがありますし、新規のビジネスについてもビジネスが成長してから法令違反が見つかった場合、法務面の対応に非常に苦労することになります。
事業が小さい段階で正しい法務対応をすることが、最終的には企業のメリットになります。
(5)顧問弁護士がいない企業のリスクについて
では、企業に顧問弁護士がいないとどんな問題があるのでしょうか。
顧問弁護士がいない企業が抱える主なリスクとしては以下の点を挙げることができます。
- 1.トラブル発生時に自社の判断で対応してしまい、問題をより大きくしてしまう
- 2.予防法務ができていない結果、トラブル発生時に著しく不利になる
- 3.日頃の契約書のリーガルチェックが不十分になり、自社に著しく不利な条件で契約してしまう
- 4.就業規則の整備やハラスメント対策の整備、勤怠時間の管理などの労務管理に手が回らず、労使トラブルに発展してしまう
- 5.法改正に対応できず、法令違反として処分を受けてしまう
特に、日頃からそこまでトラブルがない企業においては、顧問弁護士の必要性はしばしば見過ごされがちです。しかし、法的なトラブルが発生した際の対応だけでなく、日常的な予防法務の取り組みや、普段からの労務管理の場面でも、顧問弁護士によるアドバイスは必要不可欠です。
▶参考情報:顧問弁護士がいない場合のリスクについては以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
7,中小企業と大企業の顧問弁護士の違い
同じ顧問弁護士でも大企業と中小企業では役割が大きく異なることがあります。
(1)大企業の場合
大企業では普段の法務ニーズへの対応は自社の法務部や法務担当など社内の人材で行われていることが多く、自社内で処理できない専門性の高い分野についてのみ顧問弁護士を活用する傾向にあります。
そのため、特定の分野に専門特化した顧問弁護士を複数使い分けることが多いでしょう。
(2)中小企業の場合
一方、中小企業では社内で法務対応できる人材が十分でないケースが多く、企業法務全般の幅広い分野に対応できる顧問弁護士が求められる傾向にあります。
中小企業における顧問弁護士については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
8,顧問弁護士との契約について
顧問弁護士との契約の際は顧問契約書を取り交わします。
顧問契約書には以下の項目を定めることが通常です。
- (1)顧問料
- (2)契約期間(年間契約が多い)
- (3)サービス内容(顧問料の範囲内でどこまで対応するかや対応時間等)
- (4)追加料金について(追加料金がかかる場合はどのような場合か、タイムチャージの追加料金があるか等)
- (5)顧問料の支払方法(請求書払い、口座引き落とし、年間一発払いなど)
- (6)自動更新条項(一方から通知がない限り自動更新する内容など)
- (7)反社条項(反社会的勢力に該当する場合は契約解除事由になることなど)
詳しい契約内容は弁護士によって異なりますので、依頼する弁護士に確認することが必要です。
顧問解約の解除について
顧問弁護士契約の解約や解除については弁護士ごとにルールが様々です。
基本的には、顧問契約は、長期的な視点で企業の法務面を整備していくためのものであり、最初から短期間のみ契約するつもりで顧問弁護士を依頼することは適切とは言えません。
ただし、顧問弁護士のサービスが自社にあわなかったり、顧問弁護士の方針が自社の意向とあわないときは、解約や契約解除を検討することも必要になるでしょう。
顧問契約をする際は、顧問契約期間中の解約のルールについて、担当弁護士に確認しておくことが適切です。
9,顧問契約560社以上!咲くやこの花法律事務所の「顧問弁護士サービス」について
咲くやこの花法律事務所では、企業法務に強い弁護士や会社経営を理解した弁護士が揃っていることから、「会社側の労働問題」、「債権回収の代行」、「契約書の作成代行やリーガルチェック」、「悪質なクレーム問題の解決」、「その他、会社経営に関わる様々なトラブル」について、数々の実績と判例知識、経験などを蓄積しています。
2024年7月現在、「560社」以上の中小企業を始め、大手企業などからも顧問契約をいただいております。
トラブルに発展させないための徹底した予防法務のサポート、またトラブルが発生した際もとにかく早いスピード対応など万全の体制で顧問弁護士が事業と経営者を守ります。
そんな企業法務に強い実績豊富な「咲くやこの花法律事務所」の顧問弁護士プランについての相談は、無料で承っていますのでお気軽にお問い合わせ下さい。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについて詳しく解説した動画を公開中です。あわせてご参照くださ。
(1)咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士プランについて
咲くやこの花法律事務所では、「5つの顧問弁護士プラン」をご用意しております。
自社のビジネスモデルに応じて最適なプランを選定していただくことが可能ですし、「どの顧問弁護士プランが最適かわからない」という企業様においては、弁護士による無料相談も行っており、ビジネスのヒアリングをさせていただいてから最適なプランのご提案もさせていただいております。
また、セカンドオピニオンなどでご活用いただいく企業様も増えてきていますので、既に自社に顧問弁護士がいらっしゃる場合でもお気軽にご相談下さい。
顧問弁護士の複数依頼については、以下の記事で詳しくメリットなどを解説していますので参考にご覧ください。
咲くやこの花法律事務所では、WEBサイトを見ていただいた大阪府外の遠方の企業様からも顧問契約のお申し込みを多数いただいております。
遠方で来所が難しい場合は、来所いただかなくても顧問契約が可能です。まずは弁護士が電話あるいはテレビ電話、SkypeやZoomなどのリモートで顧問契約の内容を無料でご説明しますので気軽にお問い合わせください。
顧問契約をしていただいた後は、電話やテレビ電話、メール、あるいはチャット、SkypeやZoomなどリモートでスムーズな相談が可能ですので、来所いただけない顧問先からも多くのご相談をいただいております。
10,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士と無料面談の予約方法
今すぐお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
11,【参考】利益相反の問題
顧問弁護士の利用について制約が生じる場面として、「利益相反」の問題があります。
(1)利益相反が生じると顧問弁護士に相談できない
例えば、以下の場面では、利益相反の問題が生じてしまい、顧問弁護士に相談することができません。
- 契約書のリーガルチェックが必要な場面で、契約の相手方と顧問弁護士が同じである場合
- 企業間の取引トラブルの場面で、トラブルの相手方と顧問弁護士が同じである場合
これらのケースで、双方の企業から顧問弁護士が相談を受けることはできません。弁護士法においても利益相反が生じる場面で弁護士が職務を行うことを禁止する規定が設けられています(弁護士法第25条)。
▶参考情報:弁護士法の条文は以下をご参照ください。
(2)利益相反が生じないようにするための工夫
利益相反が極力生じないようにするためには、小さなコミュニティの中で顧問弁護士を探さないことがポイントになります。
特に中小企業では、地域の経営者の集まりとか同業の経営者の集まりといった人的なコミュニティの中で取引が行われることも多いでしょう。そのような場合に、そのコミュニティ内で顧問弁護士を探すと利益相反が生じる可能性が高くなります。
例えば、地方の小規模の都市で顧問弁護士を探そうとすると、どうしても地元の取引先と同じ顧問弁護士になりがちです。地方都市では顧問弁護士サービスを提供する弁護士の数も少ないため、必然的に同じ弁護士に顧問弁護士の依頼が集まることになります。
また、紹介により顧問弁護士を探すことも利益相反が生じやすくなります。
例えば、取引先の経営者に顧問弁護士を紹介してもらうと、取引先と同じ顧問弁護士になることが多いでしょう。また、税理士に顧問弁護士を紹介してもらうという方法も、その税理士の顧客層という同じコミュニティの中で弁護士を探していることになり、コミュニティ内の取引先と顧問弁護士が同じになりやすくなります。
これに対して、顧問弁護士をインターネットで探すとか、企業向けセミナーに参加して講師の弁護士に顧問弁護士を依頼する、あるいは弁護士の書いた書籍を読んで共感できる弁護士に依頼するなどといった、コミュニティの枠を超えて顧問弁護士を探す方法をとれば、利益相反の問題が生じることはめったにありません。
12,顧問弁護士についてのよくある質問
顧問弁護士についてのよくある質問についてもご紹介したいと思います。
(1)遠方の法律事務所でも大丈夫か?
顧問弁護士のサービスは、法律相談や契約書のリーガルチェックがその内容ですので、遠方の法律事務所でも通常は支障が生じません。実際に会って相談しなくても、メールやチャット、電話、Zoom等で相談することでほとんど支障は生じません。筆者は、chatworkやSkype、Slackなどでも相談を受けていますがこれらのツールでも十分相談対応が可能です。
また、万が一の裁判の場面でも、最近は裁判のIT化が進み、遠方であっても支障が生じることがほとんどなくなっています。そのため、近いか遠いかという物理的な距離を重視して顧問弁護士を選ぶべきではなく、顧問弁護士の専門性や実績、レスポンスの速さなどサービス面を基準に選ぶことが適切でしょう。
筆者が代表を務める咲くやこの花法律事務所も、北海道から沖縄まで、また海外所在の企業からも顧問契約をいただいております。
(2)個人情報を顧問弁護士に提供することは問題ないか?
顧問弁護士に相談する際に個人情報を顧問弁護士に提供することは問題ないのかというご質問をいただくことがあります。
例えば、以下のようなご質問です。
- 退職者から残業代請求を受けて対応を相談する場合にその退職者の個人情報を顧問弁護士に提供することは問題ないか
- 消費者からのクレームへの対応を顧問弁護士に相談する場合にその消費者の個人情報を顧問弁護士に提供することは問題ないか
これらの点については結論として問題ありません。
これは、個人情報保護法第27条1項において、事業者はあらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供することが原則として禁止されていますが、顧問弁護士は「第三者」ではないと解釈されているためです。
(3)顧問弁護士にストックオプションを付与することは可能か?
以前から自社の役職員以外にストックオプションを付与することは可能でしたが、税制面で税制適格のストック・オプションにならないため、現実的ではありませんでした。
しかし、令和元年の中小企業等経営強化法の改正により、弁護士や会計士などの国家資格をもち、その資格について3年以上の実務経験がある者に対し、税制適格のストックオプションを付与することを可能にする社外高度人材活用新事業分野開拓計画制度が設けられています。
設立10年未満などの要件を満たしたファンドから出資を受ける企業が、顧問弁護士等の社外人材を活用して新規事業分野の開拓を行う場合に国の計画認定を受けることにより、税制適格のストックオプションを付与することが可能になっています。
例えば、新規事業分野における上場に向けて法的な整備を目指す局面などで、顧問弁護士にも上場に向けたインセンティブとしてストックオプションを付与するといった使い方が考えられます。
社外高度人材活用新事業分野開拓計画制度については以下をご参照ください。
また、非上場ベンチャー企業におけるストックオプション制度の解説は以下をご参照ください。
13,顧問弁護士に関するお役立ち情報も配信中(メルマガ&YouTube)
顧問弁護士に関するお役立ち情報について、「咲くや企業法務.NET通信」のメルマガ配信や「咲くや企業法務.TV」のYouTubeチャンネルの方でも配信しております。
(1)無料メルマガ登録について
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(2)YouTubeチャンネル登録について
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14,まとめ
今回は、まず最初に「顧問弁護士とは?」をご説明し、続いて、「顧問弁護士の役割」、「費用の相場」、「顧問弁護士の必要性」についてご説明しました。
いつでも気軽に顧問弁護士へ相談ができることで、トラブル発生時に正しい判断ができ、トラブル対応に失敗することがなくなります。また、トラブルの解決を顧問弁護士に任せて、経営者として事業に集中することも可能です。
さらに、顧問弁護士と協力して、日ごろから会社を継続的に整備していくことにより、「きちんとした会社」、「トラブルに強い安定した会社」を作っていくことも可能になります。
このようなことから、緊急時のトラブル対応や日ごろの会社の整備に不安がある場合は、顧問弁護士制度の利用をお勧めします。
そして、顧問弁護士の役割を必要とするのは、会社の規模の大小を問いません。
咲くやこの花法律事務所の顧問先でも、売上が1億円未満の会社から売上100億円を超える中堅企業まで、さまざまな規模の会社があります。
「緊急時のトラブル対応」や、「日ごろからの会社の整備の実施」、「経営者のちょっとした相談相手」など、顧問弁護士制度を最大限活用しましょう。
15,【関連情報】顧問弁護士に関するお役立ち記事一覧
今回の記事では、「顧問弁護士とは何か?」についてご説明しました。
顧問弁護士の役割や費用の相場、また顧問弁護士の必要性については、ご理解いただけたかと思いますが、その他にも顧問弁護士に関連するお役立ち情報を以下でまとめておきますので、合わせてご覧下さい。
(1)基礎知識のお役立ち情報
▶自分の会社にピッタリ合った正しい「顧問弁護士の選び方」とは?
▶顧問弁護士が監査役を兼任する場合の問題点をわかりやすく解説
(2)業種別の顧問弁護士のお役立ち情報
▶不動産業・宅地建物取引業における顧問弁護士の役割と依頼時のポイント
▶個人事業主にこそ顧問弁護士が必要!おすすめのプランはこれ!
▶建設業、リフォーム業における顧問弁護士。役割と依頼時のポイント
▶病院・クリニック・医療法人の顧問弁護士。患者トラブルや労務問題を解決
▶運送業、運輸業における弁護士の役割と最適な顧問契約プランについて
(3)その他、一般の個人向け顧問弁護士のお役立ち情報
▶個人向けの顧問弁護士とは?月額はいくらくらい?わかりやすく解説
記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2024年7月29日