咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
この記事では弁護士と顧問契約をして顧問弁護士を依頼をするメリットについて、また、顧問弁護士がいない場合のデメリットについて、解説したいと思います。
筆者が所属する咲くやこの花法律事務所では約550(※2024年6月現在)の中小企業と顧問契約をしていただいています。
その経験を踏まえて、率直に思うことは、「自分が仮に中小企業を経営する立場だったら、必ず、しかるべき弁護士に顧問を依頼しサポートを受ける」ということです。
とてもじゃないけれども、顧問弁護士なしではやっていけないと思います。
ただ、顧問弁護士を頼まずに、何か心配ごとができたとき、あるいは何かトラブルが起きたときに、スポットでの相談、単発の依頼で対応すればいいんじゃないかという考え方の方もいらっしゃると思います。
この記事では、スポットでの相談、単発の依頼ではなぜだめなのか、という点についても深堀りして説明していきたいと思います。この記事を最後まで読んでいただきましたら、自社で気付きのあるリスクはもちろん、自社では気づかないリスク面まで対策することの重要性や、顧問弁護士に依頼すれば実際にどのようなことが実現できるのかを具体的に理解していただくことができます。
それでは見ていきましょう。
顧問弁護士を頼む人と頼まない人の違いは、日ごろから人間ドッグや健康診断を受ける人と、受けない人の違いに似ています。人間ドッグを受けなければ当面の費用の節約になりますが、病気が見つかったときに大変な思いをすることになります。
これと同じで、日ごろから顧問弁護士に相談せずに、トラブルになったときに慌てて相談しても手遅れであることが多いのが実情です。この記事で詳しくご説明していきたいと思います。
▶【関連情報】顧問弁護士のメリットに関する情報は、以下の関連情報もあわせてご覧下さい。
・自分の会社にピッタリ合った正しい「顧問弁護士の選び方」とは?
・顧問弁護士を複数依頼しセカンドオピニオンを求めるメリットとは?
・顧問弁護士サービス(法律顧問の顧問契約)についてはこちら【大阪をはじめ全国対応可】
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今回の記事で書かれている要点(目次)
1,弁護士と顧問契約をする6つのメリット
結論からいうと顧問弁護士のメリットとしては以下の点を主に挙げることができます。
(1)顧問弁護士がいる場合のメリット
- 1.予約なしに電話やメールでいつでも気軽に相談できる
- 2.トラブル予防やリスク対策のアドバイスを受け、トラブルに強い会社を作ることができる
- 3.自社では気づけない重要な問題点について指摘を受け事前に改善できる
- 4.予期せぬトラブルが発生しても、早期の初動対応から早期解決の実現、また自社に有利な解決結果を実現しやすくなる
- 5.法改正情報など新しい情報をいち早く伝えてもらい対応できる
- 6.トラブルが起きたときに適切な弁護士が見つからない、忙しくて相談をうけてもらえないといったことを回避できる
(2)顧問弁護士がいない場合のデメリット
一方、前述のメリットとは逆に、顧問弁護士がいない場合のデメリットとしては、以下の通りです。
- (1)原則として、毎回、予約の上、事務所に訪問して相談が必要
- (2)トラブル予防やリスク対策ができず、トラブルが増えたり、トラブルが重大化する
- (3)自社では気づけない重要な問題点についてトラブル発生後に気づくことになる
- (4)トラブル発生後の相談になりがちで正しい対応が遅れる結果、自社の意向に沿うトラブル解決が困難
- (5)法改正情報など新しい情報の入手が遅れたり対応できないままになりがち
- (6)トラブルが起きたときに適切な弁護士が見つからない、忙しくて相談をうけてもらえない等により適切な弁護士に依頼ができない危険がある
以下で詳しく見ていきましょう。
2,予約なしに電話やメールでいつでも気軽に相談できる
まず、最初に、顧問弁護士を依頼するメリットとして、予約なしに電話やメールでいつでも気軽に弁護士に相談することができるという点があげられます。
会社を経営していると、弁護士に聴くべきかどうかを迷うようなことや、誰に相談してよいかわからないことが出てくることもあります。
そのような場合でも、とりあえず弁護士に聴いてみることが可能です。
対応時間は弁護士にもよりますが夜間や休日の相談にも顧問先からの相談に対応する法律事務所も増えています。
これに対し、顧問弁護士がいない場合は、毎回予約のうえ、事務所を訪問して相談する必要があることが通常です。
顧問契約をしていなくても電話で相談を受けてくれる弁護士はまだまだ少数派です。
「弁護士を探す」→「相談者と弁護士のスケジュールが合う日を予約する」→「訪問して相談する」というプロセスをとることになるため、相談が遅れますし、小さな不安ごとを気軽に相談することができません。
その結果、どうしても、トラブルがあったときにはじめて相談することになることが多く、事前にトラブルに対策をするということができません。
また、トラブル発生時も、ある程度自社で対応したうえで解決できなければ相談するということになりがちで、その結果、初期段階での対応方法の誤りがあとのトラブル解決に支障になり、悪影響を及ぼすケースが多いのが実情です。
3,トラブルをうまく解決するためには事前の予防とリスク対策が全て
顧問弁護士を利用する最も重要なメリットは、「事前のトラブル予防」や「リスク対策」ができるという点です。
この2つを日ごろからしておかなければ、トラブルになったっときに仮に腕のいい弁護士に依頼できたとしても、満足がいく解決が得られる可能性は極めて低くなってしまいます。
冒頭で「(2)~(5)」としてとりあげた以下の4つのメリットは、実はこの「事前のトラブル予防」と「リスク対策」ということに集約できます。
- トラブル予防やリスク対策のアドバイスを受け、トラブルに強い会社を作ることができる
- 自社では気づけない重要な問題点について指摘を受け事前に改善できる
- 予期せぬトラブルが発生しても、早期の初動対応から早期解決の実現、また自社に有利な解決結果を実現しやすくなる
- 法改正情報など新しい情報をいち早く伝えてもらい対応できる
以下では具体例を交えながら説明していきたいと思います。
(1)契約トラブルの場面では契約書の出来がものをいう
例えば、企業間の契約トラブルをうまく解決できるかどうかは、契約書の内容に大きく左右されます。
相手から提示された契約書をうのみにして、「自社に一方的に不利な契約書」や「自社にとって必要な条項が盛り込まれていない契約書」に捺印してしまっていては、トラブルになってから弁護士に依頼したとしても、不利な状況であることに変わりありません。
これではよい解決ができる可能性は限られてしまいます。
そのため、契約トラブルを防ぎ、トラブルになったときにも有利に解決できるようにするためには、事前に顧問弁護士に契約書のリーガルチェックを依頼しておくことが必須です。
また、契約書をそもそも作っていなかったり、契約書に記載すべき内容を記載していなかったりという場合も、自社が望むような解決を得られる可能性は極めて低くなります。さらに、契約書がないことにより、解決の基準が不明確になるため、解決に多大な労力と費用を要することになります。
重要な法律の改正があったのにそれに気づかずに、古い契約書をそのまま使用している場合も同じことがいえます。
(2)労務トラブルでは日ごろの労務管理がものをいう
例えば、問題社員への対応について、以下のようなトラブルが起こることがあります。
- 問題社員が業務の指示に従わない
- 問題社員を解雇して不当解雇であるとして訴えられる
- 会社からの指導がパワハラだといわれて訴えられる
このようなトラブルでは、日ごろから会社が顧問弁護士に相談しながら労務管理の改善に取り組んできたかどうかが、トラブルの解決の鍵を握ります。
例えば、以下のような点です。
- 会社が従業員に対して日ごろから正しい労務管理を実践していたのか
- 未払い残業代やハラスメントといった会社に落ち度がある問題がないか
- 問題社員を解雇する場合は正しい手順を踏んだうえで解雇理由を立証するだけの資料を収集しているのか
- 就業規則や雇用契約書が正しく整備され、就業規則が社内で周知されているのか
- 法律上の義務であるハラスメント相談窓口の設置やパワハラ防止措置の取り組みが正しく行われていたのか
日ごろの労務管理が不適切で、会社の労務環境も法律に対応できていないといった状況を放置している会社では、トラブル発生時にあわてて弁護士に依頼しても、相手から会社の落ち度を指摘されてしまい、よい解決は到底期待できません。
労務トラブルを防ぎ、トラブルになったときにも有利に解決できるようにするためには、日ごろから顧問弁護士に相談して労務管理の改善に取り組むことが必須です。
(3)顧問弁護士がいない場合の問題点
顧問弁護士がいなくても、知り合いに弁護士がいれば、弁護士に相談することは可能です。
しかし、実際に筆者が顧問先以外の企業の相談者からの相談を担当してきた経験から言えば、「1年前から相談して整備を進めていれば、よりよい解決が期待できたのに…」というものがほとんどです。
顧問弁護士がいない場合、以下の問題点があります。
問題点1:
トラブルになるまで相談しない
トラブルになってから相談しても良い解決ができる可能性は限られてしまいます。トラブルの予兆段階で弁護士に相談し、進捗があればその都度弁護士に相談することで、正しい対応を常に確認し、必要なリスク対策を適切なタイミングで実行していくことが必要です。
問題点2:
自社で重要だと思った問題点以外は相談しない
実際には、重要な問題点がほかにも多数あるのに気づかないままになっていることが多いです。
問題点3:
目の前の営業課題に負われてしまい、リスク対策まで手が回らない
リスク対策が重要な課題だとはわかっていても、後回しになりがちです。
例えば、顧問弁護士がいない場合に、以下の点を実際に相談し、実行していくことは可能でしょうか?
1.契約書関係
- 自社の契約書のひな形を実際の運用で問題になった課題を踏まえて常にバージョンアップしていく
- 契約相手から提示された契約書のリーガルチェックをその都度弁護士に依頼する
- 最新の法改正の内容を把握し、契約書を法改正にあわせて改善していく
- 自社の利用規約を最新の法改正や、実際の運用で問題になった課題を踏まえて常にバージョンアップしていく
2.労務関係
- 毎年改正される労働関係法令の内容を把握し、法改正に対応していく
- 労務のトラブルが起きそうなときに予兆段階から弁護士に相談して必要な対応をする
- 労務管理の問題点について外部から客観的な指摘を受けながら改善していく
3.クレーム対応関連
- 顧客からのクレームがあったときに大きなトラブルにならないようにすぐに弁護士に相談する
4.債権回収関連
- 売掛金が期限までに支払われないときにすぐに弁護士に相談して必要な対応をする
5.知的財産関連
- 自社の知的財産を守るために必要な計画を立てる
6.広告関連
- 自社の広告の適法性について弁護士のチェックをうける
7.その他
- 自社では気づくことができない重要な問題点について指摘を受け改善する
こういった課題の重要性は、最近では多くの企業の方が理解されています。しかし、わかっていても、他の仕事が優先になってしまい、取り組まないまま放置してしまいがちです。第三者である顧問弁護士のサポートを受けることにより、課題を1つずつ改善していくことが重要です。
▶参考情報:顧問弁護士がいない会社のリスクについては、以下の記事でさらに詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
4,顧問弁護士がいればトラブルが起きたときの依頼もスムーズ
顧問弁護士に日ごろから相談していれば、トラブルになったときも、自社の事業内容や日ごろの予防法務への取り組みを良く把握した弁護士にトラブルの解決を依頼することができます。
また、トラブルの予兆段階から気軽に電話で相談できるので、正式に依頼するまでの間に、すでに顧問弁護士が内容を把握し、リスク対策を施していることが多いでしょう。
その場合、トラブルになったからといって、一から十まで説明する必要がなく、依頼もスムーズです。電話での説明だけで依頼が可能なケースもあるでしょう。
これに対して、顧問弁護士がいない場合は、弁護士を探したうえで、弁護士のスケジュールがとれる日まで待って、事務所に伺う必要があります。
そして、弁護士にまずは、自分のことや自社のことを知ってもらい、そのうえでトラブルを一から十まで説明する必要があります。
(1)企業法務に強い弁護士は顧問先の対応が優先
企業法務に精通した弁護士は普段から多くの会社と顧問契約をしています。そして、顧問先の企業の相談や依頼を優先的に対応しています。
そのため、トラブル発生時に、そういった弁護士に依頼しようとしても、弁護士が顧問先の対応で忙しくて手がいっぱいであれば、顧問契約していない企業は、相談をうけてもらえなかったり、依頼を引き受けてもらえないことがあります。
弁護士が仕事がなくて困っているというような報道を耳にすることもありますが、そういったことは、少なくとも、企業法務に精通した顧問先の多い弁護士にはあてはまりません。
(2)顧問弁護士がいなければトラブル時に適切な依頼が難しい
弁護士は依頼者が信用できるかということを常に気にします。
顧問契約をしていれば、普段のやりとりの中でお互いのことが分かり信頼関係を築くことができます。
しかし、トラブルになったときに初めて弁護士を探すのであれば、弁護士としては、依頼を受けるかどうかの判断にあたって、まず、あなたのことを信用できるのかどうか検討することになります。
また、弁護士の分野も専門化が進んでいます。そのため、自社の事業内容について専門性の高い顧問弁護士に日ごろから相談しておく必要性は高まっています。
顧問弁護士がいない場合、トラブルになって相談しようと思っても、弁護士から「専門外だから」ということで断られるケースは少なくありません。
このようなことから、顧問弁護士がいない場合、トラブルになったときに自社が思うような弁護士に依頼できないケースがあります。
5,顧問弁護士を利用するデメリット面は?
一方、顧問弁護士依頼のデメリットとしては、顧問料がかかることがあげられます。
ただし、顧問料はもちろん、法人の経費にすることができます。
「顧問契約しても相談することはあまりないのでは…」と心配される方も中にはいらっしゃいますが、実際には、それは自社の問題点に気づいていないだけであることが多く、顧問契約をしてみると、思った以上に相談ごとが増えるということが多いです。
また、もし、相談が少なくても、その間に支払った顧問料が無駄になるわけではありません。
例えば裁判などに対応しなければならなくなったときの裁判費用(弁護士費用)を決めるにあたって、それまであまり相談がないのに顧問料を支払っていたのであれば、そのことを踏まえて費用を減額する弁護士が多いです。
▶参考情報:顧問弁護士費用の相場や考え方については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
6,咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスのご紹介
最後に筆者が所属する咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについてご紹介します。
咲くやこの花法律事務所は、2024年9月現在、「570社」の企業様と顧問契約を締結しています。咲くやこの花法律事務所でも顧問弁護士に関するご相談は無料になりますので、顧問弁護士に関する不安な点や不明点がありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについて詳しく解説した動画を公開中です。あわせてご参照くださ。
(1)咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士プランとは?
咲くやこの花法律事務所の企業法務に強い弁護士が担当する「顧問弁護士プラン」は、以下の4つのプランをご用意しております。
- 1,ミニマムプラン(月額3万円コース)
- 2,スタンダードプラン(月額5万円コース)
- 3,しっかりサポートプラン(月額10万円コース)
- 4,オーダーメイドプラン(月額15万円~20万円コース)
お客様には、会社の規模やビジネスモデル、ご希望のサポート内容にあわせて、上記の4つの顧問契約プランから最適なプランを選択していただくことができます。
また、どの顧問弁護士プランにも共通している大切なポイントは、以下の通りです。
- 1,企業法務のトラブルについて実績と経験が豊富な弁護士が揃っている。
- 2,トラブル前の問題解決を前提とした「予防法務」のリスク対策ができる弁護士が揃っている。
- 3,会社のビジネスや経営状況をしっかりと理解できる弁護士が揃っている。
- 4,いつでも連絡が取りやすいレスポンスが早い弁護士が揃っている。
- 5,とにかく「わかりやすい!」説明ができる弁護士が揃っている。
顧問弁護士をお探しの際に、「どの顧問弁護士プランが最適かわからない」という企業様にも、弁護士が無料相談の中でお客様の状況のヒアリングをさせていただき、最適なプランのご提案をさせていただいております。
(2)咲くやこの花法律事務所の4つの顧問弁護士プランの詳細情報
咲くやこの花法律事務所の企業法務に強い弁護士による顧問弁護士サービスの内容については以下の「【全国対応可】顧問弁護士サービス内容・顧問料・実績について詳しくはこちら」をご覧下さい。
7,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士と無料面談の予約方法
顧問弁護士サービスに関して、今すぐのお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
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記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2024年9月7日