こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
社内の労働問題、労務トラブルを相談する弁護士の探し方に悩んでいませんか?
弁護士に依頼せずに、自己流で対応しようとすると、対応方法を誤って後で不利益を受けてしまったり、問題が長期化、泥沼化してしまうといったことになりかねません。一方で、いざ弁護士に相談してみても、相談した弁護士が労働問題・労務トラブルに詳しくなく正しい対応ができなかったり、連絡が悪い弁護士でスムーズに相談ができなかったという話も少なくありません。
この記事では、労働問題の解決を弁護士に依頼するメリットや、弁護士の探し方、相談の流れ、弁護士費用などについてご説明します。この記事を最後まで読んでいただくことで、労働問題・労務トラブルを解決できる弁護士を上手に見つけることができれば、自信を持っていま起っているトラブルを解決していくことができるでしょう。
なお、この記事では、「労働問題」と「労務トラブル」をどちらも「従業員とその従業員を雇用する事業者のトラブル」という同じ意味で使用しています。これらのトラブルは「労働トラブル」、「労使トラブル」、「人事トラブル」などと呼ばれることもあります。
労働問題全般についての基礎知識や労働問題の具体例を詳しく確認したい方は、以下の記事で網羅的に解説していますのでご参照ください。
筆者が代表を務める弁護士法人咲くやこの花法律事務所においても、企業の労働問題・労務トラブルの解決について、企業側の立場でご相談を承っています。解雇トラブル、雇止めトラブル、残業代トラブル、労災トラブル、問題社員トラブルなどについては、いずれの場面でも専門的な対応が必要です。自己流の対応をして、対応を誤ってしまう前にご相談いただくことをおすすめします。
▶参考情報:労働問題・労務分野に関する「咲くやこの花法律事務所の解決実績」は、こちらをご覧ください。
また、咲くやこの花法律事務所の労働問題・労務トラブルに強い弁護士への相談サービスは以下をご参照ください。
▶参考情報:労働問題に強い弁護士への相談サービスはこちら
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※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
また労働問題に強い顧問弁護士をお探しの方は、以下を参考にご覧下さい。
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今回の記事で書かれている要点(目次)
- 1,労働問題・労務トラブルの種類と特徴
- 2,労働問題解決のための弁護士の役割
- 3,労働問題や労務トラブルに強い企業側弁護士の探し方
- 4,企業が労働問題・労務トラブルを弁護士に相談する際の流れ
- 5,パワハラ、セクハラのトラブルを相談する際の注意点
- 6,電話での相談やWebミーティングでの相談のメリットと注意点
- 7,企業が労働問題の解決を弁護士に依頼する場合の弁護士費用
- 8,労働者側は無料相談や完全成功報酬制でサポートする弁護士もいる
- 9,咲くやこの花法律事務所の労働問題に強い弁護士なら「こんなサポートができます!」
- 10,まとめ
- 11,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士へのお問い合わせ方法
- 12,労働問題や労務トラブルに関するお役立ち情報も配信中(メルマガ&YouTube)
1,労働問題・労務トラブルの種類と特徴
労働問題・労務トラブルに強い弁護士の探し方と相談の流れ、弁護士費用等についてご説明する前に、まずは、労働問題・労務トラブルの種類や特徴についてご説明しておきたいと思います。
まず、労働問題・労務トラブルの種類として以下のものがあります。
(1)お金のトラブル
- 未払い残業代トラブル
- 減給や賃金減額のトラブル
- 賞与のトラブル
- 業務上横領のトラブル
▶参考情報:未払い残業代トラブル、減給トラブル、賞与のトラブル、業務上横領のトラブルについてはそれぞれ以下で解説していますのでご参照ください。
(2)人間関係のトラブル
- セクハラトラブル
- パワハラトラブル
- マタハラトラブル
- いじめや嫌がらせのトラブル
▶参考情報:パワハラトラブルについては以下で解説していますのでご参照ください。
(3)労務管理のトラブル
- 有給休暇のトラブル
- 転勤拒否のトラブル
- 精神疾患その他従業員の病気に関するトラブル
- 業務命令違反や非違行為のトラブル(問題社員・モンスター社員トラブル)
▶参考情報:転勤拒否のトラブルや問題社員トラブルについては以下で解説していますのでご参照ください。
(4)雇用関係終了のトラブル
- 不当解雇のトラブル
- 退職勧奨のトラブル
- 契約社員の雇用契約終了のトラブル
これらの労働問題・労務トラブルの中でも、「未払い残業代トラブル」や、「不当解雇のトラブル」などは、発生頻度も高く、重大なトラブルになるケースが少なくありません。そして、これらのトラブルは、取引のトラブルなどとは異なり、会社内部の問題であり、こじれると会社全体に悪影響を及ぼすことが特徴です。
会社としては、日ごろから労働問題を早めに相談できるよい弁護士を確保しておき、トラブルがこじれないうちに素早く対処することが非常に重要になります。
2,労働問題解決のための弁護士の役割
では、労働問題・労務トラブルが発生した場面で、弁護士はその解決のためにどのような役割を果たすのでしょうか。
以下では、労働問題のうち、大きなウェイトを占める「解雇トラブル」、「残業代トラブル」、「パワハラトラブル」、「労災トラブル」について、解説していきたいと思います。なお、筆者は企業側でのみ労働問題を扱う弁護士ですが、ここでは、企業側弁護士、労働者側弁護士のそれぞれの役割を解説します。
(1)解雇トラブル
1,企業側弁護士の役割
従業員を解雇した場面では、解雇された従業員が不当解雇であると主張して、企業に対して解雇の撤回や金銭の支払いを求めるトラブルが起こることがあります。
このような解雇トラブルの場面で、企業側の弁護士は、企業の代理人として、解雇の有効性、正当性を主張しつつ、できるだけ早期に問題を解決するため、従業員側との交渉を担当します。また、解雇のトラブルが、労働審判や訴訟に発展したときは、企業側の立場で解雇の適法性、有効性を主張しつつ、早期の解決のために尽力します。
さらに、解雇については解雇前に弁護士に相談することが適切であり、実際にも解雇前に相談する企業が増えています。企業側弁護士が、企業から解雇について事前の相談を受けたときは、弁護士として個別の状況を踏まえたうえで解雇のリスクの程度について助言し、解雇理由についての証拠収集や適切な解雇手続をサポートします。
以下で、咲くやこの花法律事務所がサポートした解雇トラブルの解決事例の1つをご紹介し、弁護士の役割や弁護士が行った対応などを詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の弁護士による解雇トラブルに関する解決事例
・成績・協調性に問題がある従業員を解雇したところ、従業員側弁護士から不当解雇の主張があったが、交渉により金銭支払いなしで退職による解決をした事例
2,労働者側弁護士の役割
解雇トラブルにおいて、労働者側弁護士は、労働者の代理人として企業に対して解雇が無効である旨の主張を行い、解雇の撤回や、解雇後に支払われなかった賃金の支払いを求めることが通常です。また、解雇のトラブルが、労働審判や訴訟に発展したときは、従業員と企業との雇用契約が継続していることの確認を求める「地位確認請求」と、あわせて、解雇後の賃金の支払いを求める「バックペイ」の請求を行うことが通常です。
(2)残業代トラブル
1,企業側弁護士の役割
退職者や在職中の従業員から残業代の請求がされるトラブルにおいて、企業側の弁護士は、企業の代理人として、残業代請求に反論する役割を担います。また、残業代の未払いがあったと考えられるケースでは、できるだけ早期に問題を解決するため、従業員側との交渉を担当します。さらに、残業代のトラブルが、労働審判や訴訟に発展したときは、企業側の立場で従業員の主張に反論しつつ、早期の解決のために尽力します。そして、残業代トラブルが発生しないように、日頃の労働時間管理や就業規則整備で企業の予防法務をサポートすることも企業側弁護士の重要な役割です。
以下で、咲くやこの花法律事務所がサポートした残業代請求トラブルの解決事例の1つをご紹介し、弁護士の役割や弁護士が行った対応などを詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の弁護士による残業代トラブルに関する解決事例
2,労働者側弁護士の役割
残業代トラブルにおいて、労働者側弁護士は、企業に対してタイムカード等の労働時間の記録の開示を求めつつ、パソコンのログやオフィスへの入退出記録その他労働時間の証拠を確保したうえで、未払い残業代の額を計算して企業に請求することが通常です。さらに、残業代のトラブルが、労働審判や訴訟に発展したときは、残業代請求の論拠となる各日の労働時間数の立証をしつつ、企業側からの固定残業代の主張や裁量労働制、管理監督者性についての主張に反論します。
(3)パワハラのトラブル
1,企業側弁護士の役割
パワハラトラブルが起きた場合、企業はパワハラの有無について調査し、パワハラがあったことを確認したときは、加害者に対する懲戒処分等の措置、被害者に対する配慮のための措置、職場内における再発防止措置をとることが義務づけられています(厚生労働省のパワハラ防止指針)。
企業側弁護士は、パワハラトラブル発生時の事実関係の調査や加害者に対する懲戒処分、被害者からの損害賠償請求への対応の場面で、企業側をサポートし、または企業を代理して問題を解決し、職場環境の正常化を支援します。また、平時から、パワハラについてハラスメント相談窓口の設置やパワハラ防止研修の実施、就業規則の整備等をすすめ、パワハラがおきない企業づくりをサポートすることも、企業側弁護士の重要な役割です。
▶参考情報:パワハラトラブルについて弁護士に解決を依頼するメリット等については、以下でより詳しく解説していますのでご参照ください。
2,労働者側弁護士の役割
パワハラトラブルが起きた場合の労働者側弁護士の役割として、被害者側従業員の代理人として企業に対する慰謝料請求を行ったり、企業に対し職場環境の改善や適切な処遇、状況によっては加害者の処分を求めることが行われます。また、労働者側弁護士が加害者側従業員の代理人として、加害者側従業員に対してされた懲戒処分について異議を述べ、その撤回を求める例もあります。
(4)労災トラブル
1,企業側弁護士の役割
労災トラブルが起きてしまった場合、企業としては、国(労働基準監督署)と被災者の両方に対応していく必要があります。
企業側弁護士は、まず、国との関係では、法律上義務付けられた労働基準監督署長への報告や労働基準監督署からの調査への対応を支援し、また、企業側の立場で労働基準監督署長への意見書の提出や、必要に応じて刑事事件としての捜査への対応を行うことになります。一方、被災労働者との関係では、被災労働者から事業主証明を求められたときの対応や、補償の問題、損害賠償請求への対応について企業から相談を受け、被災労働者との示談交渉や損害賠償請求訴訟への対応などを担当します。
▶参考情報:労災トラブルについて弁護士に解決を依頼するメリット等については、以下でより詳しく解説していますのでご参照ください。
2,労働者側弁護士の役割
労災トラブルについては、被災者である労働者としても、国(労働基準監督署)と企業との両方に対応することになります。
国との関係では、労災申請手続をしたうえで労災保険からの補償を受けることになります。労災として認定がされなかったときは不服申立(審査請求、再審査請求と呼ばれます)を行い、それでも認定されなかったときは、国に対して訴訟を起こして、労災として認定しない処分の取り消しを求めることを検討することになります。一方、企業との関係では、企業への損害賠償請求、場合によっては訴訟や労働審判が検討されることになります。労働者側の弁護士は、これらの場面で、労働者としての権利の実現をサポートする役割を担うことになります。
3,労働問題や労務トラブルに強い企業側弁護士の探し方
では、実際に自社の労働問題や労務トラブルに対応し、解決してくれる弁護士をどのようにして見つけていけばよいのでしょうか?
以下では、「労働問題・労務トラブルに強い企業側弁護士の探し方」について見ていきましょう。主に以下の5つの探し方があります。
労働問題・労務トラブルに強い企業側弁護士の探し方5つ
- 方法1:インターネット検索で探す
- 方法2:自社の社労士や税理士に弁護士の紹介を依頼する
- 方法3:経営者の友人や知人に弁護士の紹介を依頼する
- 方法4:弁護士会に紹介を依頼する
- 方法5:弁護士会の検索サイトを活用する
以下で順番に見ていきましょう。
方法1:
インターネット検索で探す
「労働問題 弁護士 大阪」「労務トラブル 弁護士 大阪」とか「残業代トラブル 弁護士 大阪」などと、インターネットで検索するとたくさんの法律事務所が出てきますので、その中から弁護士を選ぶ方法です。
最近は「Google」や「Yahoo!」の検索エンジンが大幅に進歩しており、実際に労務分野について実績があり、継続的に労務分野について取り組んでいる弁護士でないと、インターネット検索で上位に表示されることはありません。
そのため、インターネット検索で上位に表示されている弁護士は、労務分野についてそれなりの実績のある弁護士といえるでしょう。
ただし、このような検索の方法で出てくる弁護士は主に労働者側で活動している弁護士が多いので、検索結果の中から、企業側で活動している弁護士を見つけることが必要になります。
この点については、各弁護士のWebサイトを見たり、場合によっては法律事務所に電話で問い合わせて確認して判断していきましょう。
また、法律事務所のWebサイトを見る際は以下の点も重要です。
法律事務所のWebサイトを見る際のポイント
- 取扱い分野を確認して、自社の問題に対応しているのかを確認すること
- 弁護士のプロフィールなどを確認してどんな経歴や実績がある弁護士が在籍しているのか確認すること
- 解決実績などを確認して労務分野に精通しているのかを確認すること
- 事務所の対応時間を確認すること
- 弁護士費用について確認すること
以上の点も含めて、Webサイトを確認しましょう。
方法2:
自社の社労士や税理士に弁護士の紹介を依頼する
自社の「社労士」や「税理士」に弁護士の紹介を依頼する方法です。
社労士や税理士は、弁護士などの他士業とのつながりをもっていることも多く、弁護士と一緒に仕事をすることも少なくありません。そのため、自社の社労士や税理士に弁護士の紹介を依頼すれば、誰か紹介してくれることが多いでしょう。ただし、問題点としては、紹介された弁護士が本当に労働問題や労務トラブルに強い弁護士かどうかわからないという点があります。
弁護士の専門分野は、離婚や相続、知的財産など多岐にわたり、労務に強い弁護士は弁護士全体のごく一部ですので、紹介を受けた弁護士が労務に強い弁護士かどうかは確認しておく必要があるでしょう。
方法3:
経営者の友人や知人に弁護士の紹介を依頼する
経営者の先輩、友人、知人に弁護士の紹介を依頼する方法もあります。
特に自社の顧問弁護士を紹介してくれる場合、紹介された弁護士は、企業側の弁護士として一定の実績のある弁護士であることが多いでしょう。ただし、問題点として、紹介された弁護士が労務を専門に取り扱っているのかどうかという点には注意が必要です。
企業側の弁護士といっても、知的財産やM&A、海外進出支援など専門分野はさまざまで、必ずしも労務分野に実績がある弁護士とは限らないためです。また、先輩や友人、知人から一度紹介されると、その弁護士への依頼が断りにくくなるようであれば、そもそも紹介を受けることは慎重にしたほうがよいかもしれません。
方法4:
地域の弁護士会に紹介を依頼する
地域の弁護士会に紹介を依頼する方法もあります。
例えば、「大阪弁護士会」は、経営者や企業の担当者の方を対象とした「法務・経営等に関する法律相談」を行っています。ただし、この場合も、本当に労務に強い弁護士が相談を担当してくれるかまではわからないことが注意点となります。
方法5:
弁護士会の検索サイトを活用する
最後に、地域の弁護士会の弁護士検索サイトを活用する方法もあります。
例えば、大阪で労務に強い弁護士を探す場合、「大阪弁護士会の弁護士検索サイト」を活用することが考えられます。この検索サイトは、 弁護士の重点的な取扱分野を指定して、検索することができます。そのため、例えば、「労働事件(使用者側)」を重点的な取扱分野として選択している大阪の弁護士を一覧で表示することが可能です。
ただし、この取扱分野は、「弁護士が重点的に取り扱っている分野や、これから重点的に取り扱いたいと考えている分野」を登録することになっています。そのため、本当に労務トラブル解決の実績が豊富な弁護士だけが登録されているわけではないので注意しましょう。
以上、労務トラブルに強い企業側弁護士の探し方として5つの方法をご紹介しました。
どの方法も一長一短あり、場合によっては複数の方法で並行して探していくことで早い段階でよい弁護士を見つけていきましょう。
4,企業が労働問題・労務トラブルを弁護士に相談する際の流れ
次に、「企業が労働問題や労務トラブルを弁護士に相談する際の相談の流れ」を見ていきましょう。
一般的な相談の流れは以下の通りです。
- Step1:相談したい弁護士が所属する法律事務所に電話をして法律相談を予約する。
- Step2:相談する(来所相談、電話相談、オンライン相談等)
- Step3:弁護士の提案内容を確認する。
- Step4:相談した弁護士に引き続き依頼するかどうかを検討する。
以下で順番に見ていきましょう
Step1:
相談したい弁護士が所属する法律事務所に電話をして法律相談を予約する。
相談したい弁護士が所属する法律事務所に電話をするか、あるいは、法律事務所のWebサイトの問い合わせフォームで連絡して、法律相談を予約することがスタートです。
今は、法律事務所を訪問して相談する方法だけでなく、電話での相談や、ZoomやTeamsを利用したオンラインでの相談に対応する法律事務所が増えています。予約しようとする法律事務所の相談方法を確認したうえで、自社が便利な方法での相談を予約するとよいでしょう。
また、法律事務所を予約する際は、簡単に自社の労務トラブルの相談事項の概要を伝え、そのような分野について取り扱っているか、実績があるかを確認しておくとよいでしょう。
初回の相談料として「30分5,000円から10,000円程度」がかかることが一般的な相場感です。相談料についても事前に必ず確認しておきましょう。
Step2:
相談する(来所相談、電話相談、オンライン相談等)
法律相談を予約したら、予約した時間に弁護士に相談します。
事前に相談事項のメモを作成し、弁護士に要領よく相談事項を伝え、聴きたいことを漏れなく聴けるように準備しておくのがよいでしょう。
また、以下のような基本的な書類を準備しておくとよいでしょう(電話相談やオンライン相談の場合はメール等で事前にこれらの書類を法律事務所に送付しておきましょう)。
▶参考情報;相談前に準備するとよい書類関係
- 就業規則一式
- トラブルの相手方となっている従業員の履歴書、雇用契約書(労働条件通知書)
- トラブルの相手方からの請求内容や会社としての対応経過がわかる資料
- その他事案に関連する資料
事務所を訪問しての相談の場合、相談後にその場で現金で支払うスタイルが一般的ですので、訪問して相談する場合は相談料を持参しましょう。一方、電話相談、オンライン相談等の場合は、費用が前払いの事務所、後払い(請求書払い)の事務所など様々ですので、その事務所の支払方法を確認しましょう。
Step3:
弁護士の提案内容を確認する。
相談した弁護士が適切な弁護士であれば、あなたの相談を受けて、弁護士から、トラブル解決のための具体的な方法を提示してくれるはずです。また、それにかかる費用も見積もりが示されるでしょう。さらに、必要に応じて、自社から弁護士に提供すべき資料や、自社において準備すべき事柄についても、弁護士から説明があるでしょう。
これらの内容についてメモを取る等、記録したうえで、持ち帰って、検討することになります。
Step4:
相談した弁護士に引き続き依頼するかどうかを検討する。
相談後は、弁護士の提案内容も踏まえて、相談した弁護士に自社の労働問題の解決を依頼するかどうかを検討しましょう。
相談した弁護士に解決を依頼する場合は、委任事項や委任の費用を記載した委任契約書が弁護士から交付されますので、これを締結して依頼することになります。全ての弁護士は日本弁護士連合会の「弁護士職務基本規程」により、事件の依頼を受ける際は「事件の見通し、処理の方法、弁護士報酬、費用」について適切な説明をすることや、簡単な書面作成等の事案を除き委任契約書を作成することが義務づけられています。
一方、もし、「相談した弁護士との相性が悪い」と感じたときや、「もっとほかの弁護士の話を聴いてみたい」というときは、他の弁護士にも相談してみて、弁護士を選ぶのが良いでしょう。
以上、一般的な相談の流れをご説明しました。
5,パワハラ、セクハラのトラブルを相談する際の注意点
パワハラ、セクハラなどハラスメント関連の労働問題を弁護士に相談する際は、注意点があります。
それは、企業がハラスメント相談窓口を弁護士に依頼している場合でも、相談者との紛争対応については別の弁護士に依頼すべきであるということです。
例えば、パワハラ被害を訴えてハラスメント相談窓口の弁護士に相談した従業員から、損害賠償等の請求が企業にされた場合に、企業側が「ハラスメント相談窓口の弁護士」に解決に向けた対応を依頼することは、「利益相反」に該当し、適切ではありません。弁護士法上も、「相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの」については弁護士は取り扱ってはならないとされています(弁護士法第25条2号)。
「ハラスメント相談窓口の弁護士」に、調査の進め方や加害者の懲戒処分について相談することは可能ですが、窓口を利用して相談した従業員との紛争対応を依頼することはできません。
ハラスメント相談窓口については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
6,電話での相談やWebミーティングでの相談のメリットと注意点
最近増えている電話での相談やWEBミーティングでの相談については、メリットと同時に注意点もあります。
(1)メリットについて
まず、メリットとしては、「距離に関係なく本当に専門性が高い弁護士に相談できる」「距離に関係なくすぐに相談できる」ということがあげられます。
労働問題のスムーズな解決のためには、労務トラブルが発生した後、できるだけ早く、専門の弁護士に相談することが重要になります。「実際に弁護士に会って相談する」ことにこだわって「近くの弁護士」を選ぶと、その分野について本当に専門性の高い弁護士、実績豊富な弁護士に相談できているわけではないことが少なくありません。
相談は電話やWebミーティングでも可能であり、弁護士に実際に会わないと相談に支障が生じることは、ほとんどありません。
「実際に弁護士に会って相談すること」よりも「自社が困っている内容について専門性が高い弁護士、実績豊富な弁護士に相談すること」のほうがはるかに重要です。
(2)注意点について
一方、注意点としては、特に電話での相談についても、通常、予約が必要であることに注意してください。予約なしに電話をかけてそのまま弁護士に相談できる法律事務所はほとんどありません。
まずは、法律事務所に電話するか、法律事務所のWebサイトの問い合わせフォームで連絡して予約をとり、その際に費用の支払方法や相談の方法について確認したうえで、相談の予約をとるようにしてください。
また、電話での相談では資料を見せながら話をすることができません。相談に必要な資料は相談前に法律事務所にメール等で送付しておくことで効率的な相談が可能です。
7,企業が労働問題の解決を弁護士に依頼する場合の弁護士費用
次に、「企業が労働問題の解決を弁護士に依頼する場合の弁護士費用」についてご説明しておきたいと思います。
弁護士費用は、弁護士に解決を依頼する労働問題や労務トラブルの内容によって、大きく異なります。また、どのような方法で弁護士からサポートを受けるかによっても異なります。そして、弁護士によってももちろん費用は異なります。
そのため、一概に弁護士費用についてご説明することは難しいのですが、以下でおおまかな目安をご説明します。
(1)弁護士費用の目安について
ケース1:
初回の相談費用
相談の際は、通常「相談料」がかかります。
▶参考情報:日本弁護士連合会のアンケート調査より
「日本弁護士連合会」が2009年に行ったアンケート調査によると、中小企業向けの相談料の額については、1時間あたり「1万円」と回答した弁護士が最も多く、次いで「2万円」という回答になっています。
そのため、初回の相談料は1時間あたり「1万円から2万円程度」が目安になるでしょう。
ケース2:
顧問弁護士契約によるサポートの場合
弁護士に継続的に相談しながら、労働問題・労務トラブルを解決するためには、顧問弁護士契約によるサポートを受けることが通常です。この場合は、毎月、「顧問料」がかかることになります。
▶参考情報:日本弁護士連合会のアンケート調査より
日本弁護士連合会が2009年に行ったアンケート調査によると、弁護士が回答した月額顧問料の平均額については、「月額4万2636円」となっています。
そのため、「月額4万円から5万円程度」の顧問料が一般的な費用になるといえるでしょう。
ケース3:
事件依頼の場合の費用
弁護士に相手方との交渉窓口を担当してもらったり、あるいは労働審判や訴訟の対応を依頼する場合は、依頼する事件の内容にあわせて、「着手金」がかかります。また、弁護士による処理の結果、依頼事件の解決に成功した場合は、報酬金もかかることが多いでしょう。
これらの費用は、「労働者側から請求を受けている金額の大小」、「対応に要する労力、期間」、「事案の難易度」等を踏まえて個別に見積もりがされます。
その金額については、依頼事件の内容によりまちまちですが、筆者が所属する咲くやこの花法律事務所における弁護士費用の目安を、以下で事例をあげて掲載していますので、参考にしてください。
8,労働者側は無料相談や完全成功報酬制でサポートする弁護士もいる
労働者側が弁護士に依頼する費用が気になる人もいるのではないでしょうか。最近では労働者側の弁護士のインターネット広告等も多くみられるようになりました。
そして、労働者側の弁護士は、企業側とは異なり、無料相談で相談に応じる弁護士も少なくありません。また、少数派ではあるものの、着手金をもらわずに成功報酬制をうたう弁護士もいます。
例えば、残業代請求について相談料は無料、着手金も原則無料で対応し、解決時に回収額の30%程度を報酬金とするような費用体系が典型例です。
ただし、このような費用体系をとりつつも、弁護士のその事案についての稼働時間が一定時間を超えると着手金が発生する内容になっていたり、着手金は無料だが事務手数料の支払いを要する内容になっていたり、解決時の報酬金に最低額が設定されているといった、完全成功報酬制とはいえない例もあります。
いずれにしても、労働問題・労務トラブルでは、労働者は金銭を請求する側になることがほとんどですので、金銭を回収した時に弁護士費用を報酬金として支払うことで、初期費用をおさえた費用体系を採用する法律事務所が少なくなりません。
9,咲くやこの花法律事務所の労働問題に強い弁護士なら「こんなサポートができます!」
最後に、企業の労働問題・労務トラブルについての「咲くやこの花法律事務所」におけるサポート内容をご紹介したいと思います。
企業の労務トラブルについての「咲くやこの花法律事務所」の主なサポート内容は以下の通りです。
- (1)労働問題・労務トラブル解決のためのご相談
- (2)顧問弁護士制度によるご相談
- (3)労働問題・労務トラブルに関する交渉依頼
- (4)労働審判、労働裁判などの対応
- (5)団体交渉についての対応
- (6)労働基準監督署からの調査についての対応
以下で順番に見ていきましょう。
(1)労働問題・労務トラブル解決のためのご相談
「咲くやこの花法律事務所」では、残業問題、セクハラ・パワハラ問題、マタハラ問題、指導に従わない問題社員への対応、有給休暇の取得をめぐるトラブル、従業員の病気や休職のトラブル、転勤の拒否をめぐるトラブル、退職者からの残業代や賞与などの金銭請求のトラブルなど、労務人事関係のあらゆるトラブルのご相談を企業側の立場で承っています。
労働問題・労務トラブルの解決に精通した「咲くやこの花法律事務所」の弁護士がご相談内容にダイレクトに回答し、明確な解決策を提示します。
(2)顧問弁護士制度によるご相談
「咲くやこの花法律事務所」では、社内で労務トラブルが起こったときにすぐに電話やメールで相談したいという企業のために顧問弁護士のご依頼を承っています。
顧問弁護士契約をご利用いただく企業には、相談の予約をとらなくても気軽に弁護士に電話やメールでご相談いただくことが可能です。
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては、以下をご参照ください。
(3)労働問題・労務トラブルに関する交渉依頼
「咲くやこの花法律事務所」では、従業員との労働問題・労務トラブルについての交渉依頼を企業側の立場で常時承っています。
対立が深刻化し、自社での解決が難しい場合は、労務トラブルの解決に精通した「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に交渉をご依頼ください。労務トラブルは裁判になる前に解決してしまうことがポイントの1つとなることが多いので、早めにご相談いただくことをおすすめします。
なお、以下に「咲くやこの花法律事務所」が担当させていただいた労務トラブルの解決事例の一例をご紹介しておりますのであわせてご参照ください。
「咲くやこの花法律事務所」の労務トラブルの解決事例の一例
- 成績・協調性に問題がある従業員を解雇したところ、従業員側弁護士から不当解雇の主張があったが、交渉により金銭支払いなしで退職による解決をした事例
- 横領の疑いがある従業員に対して、弁護士が調査を行って横領行為を認めさせ、退職させた解決事例
(4)労働審判、労働裁判などの対応
「咲くやこの花法律事務所」では、従業員との労働問題・労務トラブルについての労働審判、裁判の対応もご依頼をお受けしています。
「咲くやこの花法律事務所」にはこれまで多くの労働審判、労働裁判について企業側でご依頼を受けてきた実績があり、労働審判、労働裁判の経験豊富な弁護士がそろっています。これまでの経験、実績をもとに、十分な訴訟活動で御社にとってベストな解決を実現します。
なお、以下に「咲くやこの花法律事務所」が担当させていただいた労働審判の解決事例の一例をご紹介しておりますのであわせてご参照ください。
「咲くやこの花法律事務所」の労働審判の解決事例の一例
- 従業員に対する退職勧奨のトラブルで労働審判を起こされたが、会社側の支払いなしで解決した事例
- 解雇した従業員から不当解雇であるとして労働審判を起こされ、1か月分の給与相当額の金銭支払いで解決をした事例
(5)団体交渉についての対応
「咲くやこの花法律事務所」では、労働問題・労務トラブルに伴って発生する労働組合との団体交渉についてもご相談や対応のご依頼をお受けしています。
団体交渉についてのサポートメニューは以下の通りです。
- 団体交渉に関する相談、解決への道筋の提示
- 団体交渉における交渉戦略の立案、交渉方法に関する助言
- 団体交渉の日程、場所の調整
- 団体交渉への弁護士の同席
団体交渉についてのサポート内容の詳細は、以下をご確認ください。
(6)労働基準監督署からの調査についての対応
「咲くやこの花法律事務所」では、労働基準監督署からの調査についての対応のご依頼もお受けしています。
弁護士が労働基準監督署の調査に立ち会い、「未払い残業、長時間労働、健康診断、有給休暇付与」など各調査項目について、企業の立場に立って対応し、解決しています。
以上が企業の労働問題・労務トラブルについての「咲くやこの花法律事務所」の主なサポート内容のご紹介です。
「咲くやこの花法律事務所」は、事務所開設以来継続して労務トラブルの分野を企業側で取り組んできた実績があり、その実績を評価いただき、現在「約400社 」の企業と顧問契約をしていただいています。労働問題・労務トラブルの解決は「咲くやこの花法律事務所」の一番の得意分野ですので、きっと貴社のお役にも立てると思います。
労働問題・労務トラブルについて弁護士をお探しの方は、ぜひ「咲くやこの花法律事務所」に気軽にお問い合わせください。
10,まとめ
今回は、労働問題解決のための弁護士の役割を企業側弁護士、労働者側弁護士にわけてご説明したうえで、「労働問題・労務トラブルに強い企業側弁護士の探し方」として以下の5つの方法をご説明しました。
- 方法1:インターネット検索で探す
- 方法2:自社の社労士や税理士に弁護士の紹介を依頼する
- 方法3:経営者の友人や知人に弁護士の紹介を依頼する
- 方法4:弁護士会に紹介を依頼する
- 方法5:弁護士会の検索サイトを活用する
そのうえで、「企業が労働問題・労務トラブルを弁護士に相談する際の相談の流れ」を以下の4つのステップに分けてご説明しました。
- Step1:相談したい弁護士が所属する法律事務所に電話をして法律相談を予約する。
- Step2:相談する(来所相談、電話相談、オンライン相談等)
- Step3:弁護士の提案内容を確認する。
- Step4:相談した弁護士に引き続き依頼するかどうかを検討する。
そして、「企業が労働問題の解決を弁護士に依頼する場合の弁護士費用」について以下の3つに分けてご説明しています。
- ケース1:初回の相談費用
- ケース2:顧問弁護士契約によるサポートの場合の費用
- ケース3:事件依頼の場合の費用
労働問題・労務トラブルの相談は相談担当弁護士の選択が重要です。この記事を活用して自社にあった弁護士を探していきましょう。
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記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2024年10月29日