こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
労働問題とは、企業と従業員の間のトラブルや、職場で起こる従業員間のトラブルをいいます。過重労働の問題やパワハラトラブル、解雇や懲戒処分のトラブル等がその代表例です。労働問題は企業内部の紛争であることから、事業に対する大きな支障になることがあり、平時から紛争を予防する予防法務と、問題が発生したときに迅速に解決する臨床法務の双方が重要です。
労働問題を放置すると、問題が深刻化し、「トラブルにより事業に集中することができなくなる」、「トラブルを嫌って離職者が増える」、「会社の規律がルーズになる」、「従業員が上司や経営者の指示に従わなくなり事業の運営ができなくなる」などの重大な問題が起きます。
労働問題は、深刻化する前に早めに手を打つことと、日ごろから労働問題を予防するため取り組みを進めることの両方が重要です。
この記事では、労働問題の具体的な種類や事例を紹介したうえで、労働問題トラブル解決のための弁護士への相談についても解説します。
労働問題が裁判等に発展すると、事業の運営に支障をきたす恐れも出てきます。裁判に発展する前の早い段階で、労務分野に精通した弁護士に相談して正しい対応をすることで、労働問題を早期に解決してしまうことが非常に重要です。
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今回の記事で書かれている要点(目次)
1,労働問題とは?
労働問題とは、企業と従業員との間で発生するトラブル、あるいは、職場で起こる上司と部下のトラブルなど従業員同士のトラブルをいいます。労働問題の具体例としては、雇用の最初の段階における「採用のトラブルや採用内定取り消しのトラブル」、雇用期間中の「パワハラ・セクハラ・職場内のいじめや嫌がらせ」、「労働条件の不利益変更」、「人事異動」などをめぐるトラブル、雇用終了段階の「不当解雇トラブルや雇止めのトラブル」などをあげることができます。
2,企業で起こりやすい労働問題の種類の一覧
企業で起こりやすい主な労働問題をより具体的に見ていくと以下の通りです。
(1)パワハラ・セクハラ・職場内のいじめや嫌がらせ
パワハラ・セクハラ・職場内のいじめや嫌がらせのトラブルは、単に当事者同士の問題ではなく、企業の安全配慮義務違反あるいは職場環境整備義務違反という形で企業の責任が問われることになります。
ハラスメント発生時は、会社として必要な調査を速やかに行ったうえで、必要に応じて被害者に対するケアと、加害者に対する指導や懲戒処分を行うことが法律上の義務となっています。
パワハラやセクハラなど各種ハラスメント、職場の安全配慮義務違反については以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
各種ハラスメントについて
・パワハラやハラスメントの調査方法について。重要な注意点を解説!
・ハラスメント相談窓口が義務化!おさえておきたい4つのポイント
パワハラについて
・パワハラ(パワーハラスメント)を理由とする解雇の手順と注意点
・部下からパワハラで訴えられた時、パワハラと言われた時の必要な対応
・パワハラ(パワーハラスメント)を理由とする解雇の手順と注意点
・パワハラ防止の対策とは?義務付けられた10項目を弁護士が解説
・逆パワハラとは?具体的な対処法を事例や裁判例付きで徹底解説
セクハラについて
・セクハラ発生時に必要な企業側の対応とは?5つのポイントを解説!
・セクハラ(セクシャルハラスメント)をした社員の解雇の手順と注意点
マタハラについて
・マタハラ防止措置・防止対策は法律上の義務!弁護士が詳しく解説!
安全配慮義務違反について
・安全配慮義務違反とは?会社が訴えられる4つのケースと対応方法
(2)人事異動や出向のトラブル
勤務地を変更する「転勤」や、従業員の業務内容を変更する「配置転換」あるいは他社への「出向」も、労務トラブルに発展しやすい場面の1つです。
また、降格、降職に関連して労務トラブルが生じることもあります。
人事異動や出向、降格、降職は、弁護士に事前に相談したうえで、就業規則や法律のルールを守って、適切に行うことが必要です。
人事異動や転勤については以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
人事異動や転勤について
(3)懲戒処分をめぐるトラブル
懲戒処分は、企業が従業員の就業規則違反や問題行動に対して制裁を科すために行われ、「戒告」、「譴責」、「訓告」、「減給」、「出勤停止」、「降格」、「諭旨解雇」、「懲戒解雇」などの種類があります。
このような懲戒処分についても、従業員から不当あるいは無効な懲戒処分であるとして抗議され、労働問題に発展するケースがあります。
労働契約法上も、懲戒処分は一定の場合に無効になることが定められています(労働契約法第15条)。
懲戒処分についてトラブルを起こさないためには、懲戒処分の前に処分の理由となる事実について十分な証拠を確保しておくことや、問題行動のレベルにあった適切な懲戒処分を選択すること、懲戒処分を正しい手続で実施することが重要です。
これらの点について自社で判断して実行することは簡単ではないため、必ず事前に弁護士に相談したうえで実施していただくことをおすすめします。
参考情報として、企業が弁護士に懲戒処分について相談すべき理由についてを以下の記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
懲戒処分については以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
懲戒処分について
また問題行動ごとの対応方法についても以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
問題行動ごとの対応方法について
・やる気のない社員の特徴と対処法!クビは問題あり?【放置は悪影響です】
・欠勤が多い社員を解雇できる?体調不良などで休みがちな従業員への対応
・出社(出勤)拒否する従業員への対応方法!解雇等について解説
・遅刻が多い勤怠不良の従業員を解雇できる?重要な注意点を解説!
・【要注意!】勤務態度が悪い従業員を解雇する場合の重要な注意点
・タイムカード不正打刻や手書きでの改ざん!従業員に懲戒処分すべき?
・協調性がない人の原因や対処法!人間関係の問題は解雇理由になる?
(4)有給休暇をめぐるトラブル
有給休暇についても、有給休暇取得日の賃金の支払額や、有給休暇の取得日の変更(時季変更権の行使)をめぐって、労働問題に発展するケースがあります。
有給休暇についての基本的なルールなどは、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
有給休暇について
・有給休暇とは?労働基準法第39条に基づく付与日数や繰越のルールなどを解説
・有給休暇の義務化!5日以上取得は2019年から!企業の対応を解説
(5)残業をめぐるトラブル
長時間労働や未払い残業についても、労働問題に発展しやすいテーマです。企業は残業規制を守り、また、未払い残業をなくして、労働問題を予防することが重要です。
また、従業員や退職者から未払い残業代請求を受けたときは、早急に弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
裁判になる前に弁護士に依頼して解決することで、よい解決につながることがほとんどです。
残業規制や未払い残業代請求のトラブルについては、以下の記事で解説していますのでご参照ください。
残業トラブルについて
・従業員から未払い残業代を請求されたら!企業側の反論方法を弁護士が解説
・36協定とは?違反したらどうなる?制度の内容と罰則について
・固定残業代制度(みなし残業代)とは?注意点や計算方法などを解説!
長時間残業や未払い残業については、労働基準監督署の調査や是正勧告の対象となることもあります。
労働基準監督署の調査や是正勧告への対応については以下の記事で解説していますのでご参照ください。
労働基準監督署対応について
・労働基準監督署の調査と是正勧告を乗り切る2つのこつを弁護士が解説
(6)労災や過労死、過労による精神疾患のトラブル
労災事故や過労死、過労によるうつ病等の精神疾患等も、労務トラブルに発展しやすいテーマの1つです。
早期解決のためには、トラブルの初期段階で企業として正しい対応をすることが、重要です。
労災や従業員の精神疾患の問題については以下で解説していますのでご参照ください。
労災について
従業員の精神疾患について
・うつ病での休職!診断書や基準、期間、手続きの流れなど会社側の対応方法
・うつ病や適応障害で休んでいた従業員を復職させるときの正しい方法
(7)採用のトラブルや採用内定取り消しのトラブル
採用についても、トラブルが多い場面の1つです。
求人票に記載された内容と実際に採用時に提示される労働条件に齟齬があったり、あるいは、企業側が採用内定を取り消す場面でトラブルが起こります。
これらのトラブルについても早期に弁護士に相談して、裁判等に発展する前に解決することが非常に重要になります。
採用トラブルや採用内定の取り消しについては以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
採用トラブルについて
採用内定取り消しについて
(8)労働条件の不利益変更のトラブル
賃金や退職金の減額、あるいは休日の削減などの労働条件の不利益変更や、年功序列型から成果主義型への賃金制度の変更なども、不利益を受ける従業員との間で労働問題トラブルに発展しやすい場面です。
労働条件の不利益変更については、法律上のルールを守って行うことはもちろん、労働組合や過半数代表者との十分な話し合いをすること、従業員の不利益を緩和するための経過措置を設けることなどが重要になってきます。
労働条件の不利益変更については以下で詳しく解説していますので、ご参照ください。
労働条件の不利益変更について
・労働条件の不利益変更とは?5つの方法とそれぞれの注意点を解説
(9)団体交渉
労働組合との団体交渉をめぐって労務トラブルが起きることもあります。
団体交渉については、労働組合法のルールを十分理解して進める必要があり、無理解のまま対応すると、不当労働行為に該当する危険があります。
弁護士に相談して正しいルールを理解したうえで対応することが必要です。
労働組合との団体交渉については以下で解説していますのでご参照ください。
団体交渉について
・合同労組との団体交渉の流れと進め方のポイントを会社側の視点で解説
・ユニオン・労働組合との団体交渉の注意点と弁護士に相談するメリットや費用を解説
(10)業務上横領
従業員による業務上横領やその疑いをきっかけに労務トラブルになることもあります。
横領時の刑事告訴や従業員に対する返済請求については専門的なノウハウが必要です。早い段階から弁護士に相談して証拠を確保し、本人に横領を認めさせることが、まず、必要です。
また、業務上横領を理由とする解雇については、横領したとする証拠が不足しているとして裁判所で不当解雇と判断されているケースが多数みられますので、注意が必要です。
業務上横領については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
業務上横領について
・業務上横領が起きたときの会社の対応は?発覚時の適切な対処が重要
・従業員の業務上横領での懲戒解雇に関する注意点!支払誓約書の雛形付き
・従業員による業務上横領や着服の刑事告訴・刑事告発のポイント
・従業員に着服、横領された金銭の返済請求の重要ポイント【合意書 雛形付き】
(11)不当解雇トラブルや雇止めのトラブル
従業員を解雇した後に、不当解雇であると主張される「不当解雇トラブル」は企業にとって深刻なトラブルになるケースがあります。
また、期間を定めて雇用した有期雇用の社員について契約を更新せずに終了することを「雇止め」といいますが、この雇止めについても、従業員から、不当な雇止めであると主張されてトラブルに発展するケースが増えています。
解雇や雇止めについては法律上一定の場合に無効になることが定められています(労働契約法第16条、第19条)
解雇や不当解雇トラブルや雇止めについては以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
解雇について
・正当な解雇理由とは?15個の理由例ごとに解雇条件・解雇要件を解説
・従業員を即日解雇する場合に会社が必ずおさえておくべき注意点
・契約社員を解雇するには?絶対におさえておくべき重要な注意点
・問題社員の円満な解雇方法を弁護士が解説【正社員、パート社員版】
・能力不足の従業員を解雇する前に確認しておきたいチェックポイント!
不当解雇について
雇止めについて
・雇い止めとは?無効になる基準や会社都合になるかなどの注意点を解説
合理的な理由のない解雇や雇止めが裁判トラブルに発展した場合、裁判所で、解雇や雇止めが無効と判断され、1000万円を超えるような多額の支払いを企業が命じられるケースも少なくありません。
このようなトラブルを避けるため、解雇や雇止めについては、必ず、事前に弁護士に相談したうえで行ってください。また、トラブルになってしまった際は、裁判になる前に弁護士に相談して交渉により解決することで、裁判よりも有利な内容で解決できることが多いです。トラブル時は早急に弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
(12)退職勧奨のトラブル
従業員に対して、会社から退職を促す退職勧奨の場面でも、従業員側から「退職強要を受けた」などといった主張がされて、労働問題トラブルに発展するケースがあります。
退職勧奨を行うこと自体は原則として適法ですが、判例上示されている様々なルールを守って行うことが必要です。退職強要などのトラブルを避けるためにも、退職勧奨については事前に弁護士に相談したうえで進めていただくことをおすすめします。
退職勧奨については以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
退職勧奨について
・退職勧奨(退職勧告)とは?方法や進め方の注意点を弁護士が解説
・違法になる退職勧奨の場合とは?具体的な判断基準を判例付きで解説
・企業が弁護士に退職勧奨を相談すべき4つの理由とサポート内容や費用について
・退職勧奨のよる退職は会社都合?自己都合?離職票はどうすべきかを解説
(13)人員整理のトラブル
事業規模の縮小や不採算事業の廃止で従業員数が余剰になり、人員整理(リストラ)を検討しなければならない場面でも、労働問題に発展する危険があります。
人員整理については法的なトラブルを避けるために、その進め方や手段について弁護士に相談のうえ、法的なリスクが低い方法で進めていくことが必要です。
人員整理については以下で解説していますのでご参照ください。
人員整理について
(14)待遇格差のトラブル
同一労働同一賃金の法規制を定めたパートタイム有期雇用労働法が施行され、正社員と非正社員(契約社員やパート社員)との待遇格差についての問題意識が広がっています。
訴訟トラブルも多数起きています。
企業は、正社員と非正社員との間の不合理な待遇格差の解消や手当支給内容の見直し、正社員と非正社員の役割の違いの明確化などの対応が必要です。
同一労働同一賃金については以下で詳しく解説していますのでご参照ください。
同一労働同一賃金について
・2020年施行!同一労働同一賃金とは?企業側で必要な対応も解説!
・賞与の格差と同一労働同一賃金。契約社員・パートに賞与なしは違法?
・同一労働同一賃金と退職金。契約社員やパートへの不支給は違法?
(15)顧客引き抜きや機密情報の持ち出しのトラブル
従業員の退職に伴い、顧客の引き抜きや顧客情報、技術情報の持ち出しのトラブルが発生することがあります。
企業としては、日ごろから機密情報についての正しい管理を行い、従業員からの秘密保持誓約書の取得や、従業員退職後の競業避止義務の明確化を進めておく必要があります。
また、実際にトラブルが起きたときは、直ちに弁護士に相談して、できる限り早く、情報の不正な利用や顧客の引き抜きを止めることが重要です。
顧客の引き抜きや機密情報の持ち出しのトラブルについては、以下で詳しく解説していますのでご参照ください。
顧客の引き抜きについて
・退職者による顧客の引き抜き行為を防止する誓約書の作り方と就業規則のポイント
機密情報の持ち出しについて
・退職者による機密情報、顧客情報の持ち出しで会社が取るべき対応とは?
・顧客情報・顧客名簿の情報持ち出しから会社を守る正しい管理方法
(16)退職金のトラブル
会社の退職金の支払いをめぐって、退職者との間でトラブルになることもあります。
退職金規程で懲戒解雇の場合は、退職金を不支給または減額することを定めている会社が多いですが、判例上は、懲戒解雇であっても必ずしも退職金を不支給としたり減額したりすることは認められていませんので注意が必要です。
懲戒解雇時の退職金の扱いについては以下で詳しく解説していますのでご参照ください。
退職金トラブルについて
・懲戒解雇の場合に退職金の不支給は違法か?詳しく解説します!
3,解決策と解決までの流れ
労働問題がトラブル化した場合でも、いきなり、裁判になることは多くありません。
多くのケースでは以下の流れをたどります。
(1)労働問題の解決までの流れ
手順1
本人から会社に対しての不満の表明や金銭請求
手順2
弁護士や外部の労働組合を通じて要求や金銭請求がされる。
また、ケースによっては、都道府県労働局の個別労働紛争解決制度を利用したあっせん等の申し立てがされる。
手順3
裁判所での労働審判や労働裁判あるいは、労働基準監督署による調査に発展
従業員との労働問題トラブルが起きてしまったときの解決策としては、上記の流れのうち、「手順1」または「手順2」の段階、つまり裁判になる前の交渉段階で解決することが基本であり、非常に重要です。
裁判になる前に、弁護士に、従業員または従業員側弁護士との交渉を依頼し、交渉による解決を目指すべきです。
交渉により解決できない場合は、裁判所での手続に進むことが予想されますが、裁判になると、解決までの期間が長くなり、また弁護士費用も高額になることが多いです。
そのため、裁判になった場合の見込みを十分検討したうえで、裁判による解決のほうが自社において有利な解決ができるという可能性が高いといえるような場面を除けば、裁判手続を利用することは企業にとって決して得策ではありません。
4,労働問題は弁護士に相談したほうが良い理由
企業担当者がトラブルになっている従業員と話をして解決しようとしても、感情的な対立が妨げになり、企業が自主的に労働問題を解決することは簡単ではありません。
また、企業側、従業員側双方ともに、法律に対する無理解のために、不当な要求、適切でない主張になっているケースがあり、それが原因で解決に至らないケースも少なくありません。
多くの労働問題は、企業側の立場で弁護士がトラブルになっている従業員と話をすることで、法律のルールを踏まえて従業員を説得し、裁判になる前に解決することが可能です。
労働問題について企業担当者がトラブルになっている従業員と話をする場合は、その話し合いでの対応方法によっては、自社で対応した内容がのちの裁判において企業側に不利益に働く危険があることに注意しなければなりません。また、話し合いの過程でも、裁判を見据えた証拠収集を十分意識することが重要です。
本来は弁護士に依頼するべき場面ですが、弁護士に依頼せずに企業担当者において相手方と交渉する場合であっても、事前に弁護士に相談したうえでその助言を踏まえて行わなければ、思わぬ不利益を被る危険があることに注意してください。
労働問題について相談できる弁護士の探し方については、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
5,労働問題の弁護士費用
労働問題の弁護士費用は「相談料」と実際に事件の解決を依頼する場合の弁護士費用にわかれます。
「相談料」は、法律事務所ごとに、30分あたりいくらというように、時間に応じて決められていることがほとんどです。
一方、労働問題の解決を弁護士に依頼する場合の弁護士費用については、その事案ごとに様々ですが、以下でご説明するように「タイムチャージ制」あるいは「着手金・報酬金制」の料金体系が一般的です。
(1)タイムチャージ制
弁護士が事件の解決に費やした時間に応じて、1時間あたりいくらという計算方法で弁護士費用を決める方法です。
特に裁判外の交渉や訴訟対応については相手の対応によって方針が大きく変わることがあり、事前に事件の解決までにどの程度の期間と労力がかかるかを予測しづらいケースも少なくありません。
タイムチャージ制はこのような事前に労力を予測しづらい場面でも、実際にかかった労力に対応する形で弁護士費用を決めることができるというメリットがあります。
一方で、依頼者が事前に弁護士費用の総額を予測できず、思わぬ負担がかさむことがあるというデメリットもあります。
(2)着手金・報酬金制
弁護士が事件の解決に費やした時間とは無関係に、弁護士への委任事項について事前に費用を取り決める方法です。
通常は、その事件について従業員側から請求されている金銭の額や、解決のために必要になると予想される労力の程度、解決をすることによる依頼者のメリットの大きさ等を踏まえて、費用を決めることになります。
着手金は事件の結果にかかわらず事前に弁護士に支払う費用、報酬金は事件の結果に応じて弁護士に支払う費用を指します。
着手金・報酬金制は、タイムチャージ制と比べて、依頼者が弁護士費用の総額を予測しやすいというメリットがあります。
咲くやこの花法律事務所では、多くのケースで「着手金・報酬金制」を採用し、労働問題の各分野について、おおまかな費用の目安をWebサイト上に掲載しています。
咲くやこの花法律事務所の労働問題に関する弁護士費用は以下をご参照ください。
▶参考情報:労働問題についての弁護士費用
▶参考情報:残業代トラブルについての弁護士費用
▶参考情報:問題社員対応についての弁護士費用
6,顧問弁護士サービスを利用した労働問題対策
労働問題にきちんと対応するためには、顧問弁護士サービスの利用がおすすめです。
顧問弁護士サービスを普段から利用することで、トラブルの予兆段階から、気軽に弁護士に電話やメール等で相談することができます。
このように早い時期から弁護士に相談することで、トラブルの芽を摘むことが大切です。
また、早い時期から弁護士に相談することで、会社としての初期対応を誤らなくて済み、その結果、労働問題のトラブルを企業側に有利にかつ迅速に解決することが可能になります。
あわせて、労働問題は、日ごろからの会社の法令順守や職場環境の整備、就業規則や雇用契約書の整備といった観点が非常に重要です。
これらの点がおろそかになっている場合、労働問題が起きてトラブルになってから弁護士に依頼してもよい解決を期待することはできません。
労働問題を上手に解決していくためには、日ごろから顧問弁護士サービスを利用して、法令順守、職場環境の整備、各種規程類の整備に取り組むことが必要です。
日ごろの労務管理について弁護士に相談するメリットについては以下の記事でも解説していますので、併せてご参照ください。
労務管理について
7,事例と解決結果
以下では、実際の労働問題の事例として、咲くやこの花法律事務所にこれまでご相談いただき、解決した事例の一部をご紹介します。
(1)ハラスメントのトラブル
・パワハラ被害を受けたとして従業員から会社に対し300万円の慰謝料が請求されたが、6分の1の慰謝料額で解決した成功事例
・内部通報窓口に匿名で行われたハラスメントの通報について、適切な対処をアドバイスし、解決まで至った事例
(2)問題社員トラブル
・歯科医院の依頼で能力不足が顕著な職員の指導をサポートして問題解決した成功事例
・遅刻を繰り返し、業務の指示に従わない問題社員を弁護士の退職勧奨により退職させた成功事例
・競業避止義務違反をした退職者から謝罪文の交付と損害賠償金の支払いをさせた成功事例
(3)未払い残業代請求トラブル
・元従業員からの解雇予告手当、残業代の請求訴訟について全面勝訴した事案
・退職者から残業代請求された企業から相談を受け、約480万円の請求を3分の1以下に減額できた成功事例
・手待ち時間が労働時間でないことを認めさせ、従業員からの残業代請求を約1/4に減額して解決した事例
(4)ユニオンとの団体交渉のトラブル
・不当解雇を主張する従業員との間で弁護士立ち合いのもと団体交渉を行ない合意退職に至った事例
(5)解雇や雇止めのトラブル
・契約社員に弁護士から解雇ではなく期間満了による労働契約の終了であると説明して紛争解決した事案
・成績・協調性に問題がある従業員を解雇したところ、従業員側弁護士から不当解雇の主張があったが、交渉により金銭支払いなしで退職による解決をした事例
・解雇した従業員から不当解雇であるとして労働審判を起こされ、1か月分の給与相当額の金銭支払いで解決をした事例
(6)従業員による不正や横領のトラブル
・下請業者に自宅の建築工事を格安で請け負わせるなどの不正をしていた社員を懲戒解雇処分とし、約200万円の支払をさせた事例
・弁護士がレジ金横領の証拠を確保し被害全額の回収に成功した事例
・横領した従業員に損害賠償を求め、給料の差押えにより回収した成功事例
(7)労働基準監督署の調査への対応
・労働基準監督署の立ち入りに弁護士が同席して対応し円満解決した成功事例
8,労働問題の現状
労働問題の現状については、厚生労働省が毎年発表している、総合労働相談についての統計が参考になります。
厚生労働省の統計によると、全国の労働局や労働基準監督署で実施されている総合労働相談は、12年連続で「100万件」を超えて高止まりしており、相談内容別では以下のように「いじめ・嫌がらせ」に関する相談や、「解雇、退職勧奨、自己都合退職」に関する相談が半数以上を占めています。
厚生労働省の統計データ
引用元:厚生労働省「令和元年度個別労働紛争解決制度の施行状況」(PDF)
9,企業側の労働問題について弁護士に相談したい方はこちら
咲くやこの花法律事務所では、労働問題について、企業側の立場でのサポートを提供しています。
咲くやこの花法律事務所のサポート内容は以下の通りです。
(1)労働問題に関する交渉依頼
労働問題トラブルは初期段階で正しい対応をすることが、企業にとって良い解決、迅速な解決につながります。
咲くやこの花法律事務所では、裁判になる前の段階から、弁護士が企業の代理人として相手方と交渉することで、多くの労働問題トラブルを迅速に解決してきました。
労働問題に関する交渉依頼は、早ければ早いほど良い解決を期待することができます。自社で間違った対応をする前に咲くやこの花法律事務所にご相談、ご依頼ください。
(2)労働審判や労働裁判の依頼
労働問題トラブルが労働審判や労働裁判に発展してしまった場合は、十分な準備を行うためにもすぐに弁護士にご相談いただき、必要な証拠の確保、主張の準備を行うことが重要です。
特に、労働審判において解決内容に企業側の主張を十分反映させるためには、第1回期日までに充実した書面を会社側から提出することが、必要不可欠です。
労務問題トラブルに精通した弁護士がそろう咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
(3)労働基準監督署の調査等
労働問題トラブルに関連して、労働基準監督署の調査が行われるときは、事前に弁護士に相談したうえで、監督官から指摘されるであろう問題点を事前に洗い出しておくことが必要です。
そのうえで、会社として自主的に改善に向けた道筋をつけたうえで、労働基準監督署からの調査に臨むことがポイントです。
早い段階で弁護士に相談することで、労基署からの調査を上手に乗り切ることが可能です。
(4)顧問弁護士サービス
労働問題のトラブルは、事前の予防、あるいはトラブルの予兆段階での対処が重要です。
このような事前の予防策、あるいは予兆段階での対応を相談するためには、いつでも気軽に弁護士に直接電話をして助言を受けることができる顧問弁護士サービスをご利用いただくことが有効です。
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては以下でご紹介していますので、ご参照ください。
・【全国対応可】顧問弁護士サービス内容・顧問料・実績について詳しくはこちら
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記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2024年9月3日