こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士の西川暢春です。
戒告(かいこく)とは、従業員に対して、厳重注意を言い渡す懲戒処分をいいます。戒告処分は、従業員の問題行動に対して、行動の改善を促すためのものであり、労務管理の面からも、必要な場面で戒告処分を適切に行うことは重要です。
ただ、一方で、戒告処分については、従業員が不当な処分を受けたと主張して、訴訟を起こしてくるケースもあることに注意が必要です。過去には以下の裁判例があります。
裁判例1:東京地方裁判所判決平成20年4月18日
大学が出勤簿の虚偽記載などを理由として大学教授に行った戒告処分について、虚偽記載の事実が認められないとして無効としたもの
裁判例2:最高裁判所昭和58年11月1日
工場内において休憩時間中にビラ配りをした従業員に対する戒告処分が無効とされたもの
・参照:裁判所「最高裁判所昭和58年11月1日」の判決内容はこちら
裁判例3:広島地方裁判所判決平成5年4月14日
会社が有給休暇の取得日の変更を求めたが、これに応じずに出勤しなかった従業員に対する戒告処分が無効とされたもの
会社がした戒告処分に対して、従業員が抗議して訴訟を起こした結果、これらの裁判例のように、会社側が敗訴するようでは、他の従業員に対して示しがつきません。そのため、戒告処分を行う場合は、その処分が後で無効と判断される危険がないかどうかを十分検討したうえで行うことが必要です。
この記事を読んでいただくことで、戒告処分の処分内容や、会社が戒告処分を行う場合の手続きの流れや注意点について理解していただくことができます。
それでは見ていきましょう。
戒告処分については、従業員が処分に反発して、外部の労働組合に加入して団体交渉を申し入れるケースや、前述のように処分の無効を主張して訴訟を起こすケースなど、様々なトラブルに発展するリスクがあります。このようなトラブルにも耐えられるように、戒告処分の対象となる事実について十分な証拠を確保したうえで、正しい手続きを踏んで行う必要があります。
後日の団体交渉や訴訟で戒告処分を撤回させられるような事態を避けるためにも、弁護士に事前相談のうえで、処分を進めていただくことをおすすめします。
▶【関連動画】西川弁護士が「戒告の懲戒処分の注意点と進め方」を詳しく解説中!
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今回の記事で書かれている要点(目次)
1,戒告とは?意味や読み方を解説
戒告(かいこく)とは、問題行動があった従業員に対して、厳重注意を言い渡す懲戒処分をいいます。多くの会社で最も軽い懲戒処分として定められています。度重なる遅刻や短期間の無断欠勤、比較的軽微な業務命令違反、就業規則違反などが戒告処分の対象になります。問題社員に対する最初の懲戒処分として行われることが多い処分です。英語では、「warning」と呼ばれます。
(1)就業規則での規定例
会社が懲戒の制度を設ける場合は、それを就業規則で記載することが義務づけられています(労働基準法89条9号)。従って、会社が、懲戒処分として「戒告」の処分を設ける場合は、就業規則に規定を置く必要があります。以下のような定め方が一般的です。
▶参考:就業規則の規定例
「第●条 会社は、従業員が懲戒事由に該当する場合は、その情状に応じ、次の区分により懲戒を行います。
① 戒告 始末書を提出させて将来を戒める。
(以下略)」
2,戒告とはどのような処分?懲戒処分の中での位置づけ
以下では懲戒処分の中での戒告処分の位置づけについて見ていきたいと思います。
(1)多くの会社で最も軽い懲戒処分として位置づけられる
多くの会社では、就業規則において、軽い順から以下の内容で懲戒処分を定めています。
- 戒告:問題行動があった従業員に対して、厳重注意処分を言い渡す
- 減給:平均賃金の1日分の5割を超えない範囲で減給する。
- 出勤停止:一定期間出勤を停止し、その期間を無給とする。
- 降格処分:従業員を降格させる。
- 諭旨解雇:諭旨のうえ退職を勧告する。退職願の提出がないときは懲戒解雇する。
- 懲戒解雇:懲戒として従業員を解雇する。労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当を支給しない。
「戒告」は減給とは異なり、給与の減額もない懲戒処分であり、多くの会社において最も軽い懲戒処分とされています。
▶参考情報:懲戒処分の全体像は、以下で詳しく解説していますのでご参照ください。
また、戒告、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇の各処分については、以下で詳しく解説していますのでご参照ください。
会社によっては、就業規則において、戒告よりもさらに軽い措置として、「厳重注意」や「反省文提出命令」「始末書提出命令」等の規定がおかれていることもあります。このような「厳重注意」や「反省文提出命令」「始末書提出命令」は懲戒処分には至らない会社の指導・指導的措置として位置づけられることも多くなっています。
(2)普通解雇や懲戒解雇の前の警告の意味をもつ
「戒告」には、普通解雇や懲戒解雇の前の警告の意味をもつ懲戒処分という位置づけもあります。
従業員の業務命令違反や他の従業員に対するパワハラなどの理由で、会社が従業員の普通解雇や懲戒解雇を行うことがあります。この場合に、業務命令違反やパワハラの程度が重大なものである場合は事前の警告等がなくても、普通解雇や懲戒解雇が有効とされることがありますが、その程度にまでは至らない業務命令違反やパワハラを理由に普通解雇や懲戒解雇をする場合は、事前により軽い懲戒処分で改善の機会を与えることが必要とされることが通常です。
実際にも、業務命令違反やハラスメントを理由とする普通解雇や懲戒解雇の効力が後日争われた裁判例において、事前に軽い懲戒処分で改善の機会を与えることなく、いきなり普通解雇や懲戒解雇に及んだことを指摘して、普通解雇や懲戒解雇は重すぎるとして無効であると判断した例が多くみられます。
業務命令違反やハラスメントに対する対応としては、それが極めて重大なものである場合を除き、まずは、「戒告」等の軽い懲戒処分によって警告して改善の機会を与えることが正しい対応です。このように、「戒告」には、普通解雇や懲戒解雇の前の警告の意味があります。
3,譴責、訓戒、訓告との違い
次に、「戒告」と「譴責(けんせき)、訓戒(くんかい)、訓告(くんこく)」との違いについて解説しておきます。
(1)譴責や訓戒との違い
「戒告」に似た用語として、「譴責(けんせき)」や「訓戒(くんかい)」があります。
1,戒告、譴責、訓戒の内容は、各社の就業規則の規定による
「戒告」、「譴責」、「訓戒」はいずれも労働基準法の用語ではないため、その意味については、各会社の就業規則に定めるところによります。通常は、各会社の最も軽い懲戒処分を、会社によって、戒告、譴責あるいは、訓戒と呼んでおり、呼び方の違いにすぎないと考えて問題ありません。
例えば、厚生労働省のモデル就業規則では、最も軽い懲戒処分は「戒告」ではなく「けん責」とされています。(以下、「参考:厚生労働省「モデル就業規則」の規定例」を参照)
▶参考:厚生労働省「モデル就業規則」の規定例
(懲戒の種類)
第67条 会社は、労働者が次条のいずれかに該当する場合は、その情状に応じ、次の区分により懲戒を行う。
① けん責
始末書を提出させて将来を戒める。
2,始末書の提出の有無で区別する考え方もある
「戒告」は始末書の提出を求めない処分、「譴責」は始末書の提出を求める処分と説明されることもあります。しかし、そのような説明が一般的にあてはまるわけではなく、「戒告」でも始末書を提出させる内容としている就業規則もありますので、必ず自社の就業規則を確認する必要があります。
上記のとおり、「戒告」は始末書の提出を求めない処分であると説明されることが多いです。しかし、始末書の提出を求めない場合、懲戒処分が会社から従業員に対する一方的なものになってしまいがちです。従業員に反省を促し、改善の機会を与えるという「戒告」の本来の機能からは、戒告処分であっても、始末書の提出を求める内容の懲戒処分として就業規則に定めることが適切です。
(2)訓告との違い
「戒告」と似た用語として、「訓告(くんこく)」という用語もあります。「訓告」は、一般企業でも懲戒処分として設けられている例がありますが、主に公務員において設けられている処分です。
公務員については、懲戒処分に至らない軽微な非違行為に対する処分として「訓告」が行われることが多くなっています。この場合、「訓告」は懲戒処分である「戒告」よりも軽い処分になります。また、学校法人においても、公務員の懲戒処分にならって、「訓告」の処分が就業規則に規定されている例が多くなっています。
▶参考情報:「戒告」と「譴責」、「訓戒」の違いについては、以下で「譴責」、「訓戒」のそれぞれについて詳しく解説した記事がありますので併せてご参照ください。
4,戒告処分を受けるとどうなる?ボーナス、昇給や出世、退職金への影響
では、従業員が戒告処分を受けると実際上どのような影響があるのでしょうか?以下で見ていきたいと思います。
(1)ボーナスが減額になることがある
戒告処分自体は、従業員に経済的な不利益を科す処分ではありませんが、戒告処分を受けた従業員について、ボーナス(賞与)を減額したり、ボーナスの査定にあたって不利益に考慮することも、原則として許容されます。
ただし、賞与の算定が、売り上げや営業利益に対するパーセンテージにより計算されるなど、計算式が決まっているケースでは、戒告処分を受けた従業員に対しても計算通りに支払う必要があり、戒告処分を理由に賞与を減額することは認められません。また、以下の場合は、不当査定として違法になることがありますので注意してください。
- 賞与の査定項目があらかじめ定められている場合で、戒告処分を受けた内容が査定項目に関係がないにもかかわらず、賞与の減額要素とする場合
- 賞与の査定対象期間とは別の期間の戒告処分を賞与の減額要素とする場合
賞与の査定についても、査定が不当であるとして、訴訟を起こされ、会社が支払いを命じられるケースがあるため、注意が必要です。詳しくは以下で解説していますのでご参照ください。
(2)昇給や出世が遅れることがある
企業によっては、賃金について等級制度や号俸制度を採用したうえで、戒告等の懲戒処分を受けた場合は昇給させないことを賃金規程において定めている例があります。その場合は、戒告処分を受けたことにより、昇給が遅れるという不利益を受けることになります。
また、賃金規程や就業規則に明確な規定がない場合であっても、戒告処分を受けたことは、人事評価において不利益に考慮されることになります。そのため、戒告処分を受けた場合に、昇給や出世の面で不利益が生じることは通常避けられません。また、特に役職者としてふさわしくない理由で戒告処分を受けた後に、企業としてその従業員を降格させるケースも存在します。
(3)退職金への影響
一般的に、諭旨解雇や懲戒解雇については、退職金を減額したり、不支給とする旨の条項が退職金規程に設けられることが多くなっています。
これに対し、戒告については、退職金の減額や不支給を定める条項が設けられることは通常ありません。しかし、だからといって、戒告処分を受けた場合に、退職金になにも影響がないかといえばそうではありません。
退職金については、退職時の基本給に対して、勤続年数に応じて設定された係数をかけることで計算する方式が一般的です。そして、戒告処分を受けると、前述の通り、昇給において不利益を受けることがあるため、結果として退職時の基本給が減り、それによって退職金が減ることになる事が考えられます。
5,戒告処分をする場合の具体的な手続の流れ
戒告処分は、懲戒処分の一種であるため、懲戒処分のルールにのっとって手続を進めることが非常に重要です。
以下では手続の流れを順番にご説明したいと思います。最初に手続の流れを図示すると以下の通りです。正しい手続きで戒告処分を行っていない場合、後日、裁判所で処分が無効と判断される理由になりえますので、注意してください。
▶参考:戒告処分の手続の流れ(フロー図)
以下で、順番に詳しく解説していきます。
(1)戒告事由に該当するかどうかを確認する
従業員に問題があって戒告処分を検討する場合、まずは就業規則の「懲戒」の項目を確認することが必要です。判例上、会社は、就業規則で定められた懲戒事由に該当する場合にのみ、懲戒処分を従業員に科すことができるとされています(最高裁判所判決平成15年10月10日 フジ興産事件)。
これは、懲戒処分になりうることをあらかじめ就業規則で周知することにより、警告を与えておくことが必要であるという考え方によるものです。この点は戒告処分も同様であり、就業規則に戒告の理由としてあげられている項目に該当する場合にのみ、戒告処分を従業員に科すことができます。
懲戒事由については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にご覧ください。
従業員の問題行動や就業規則違反に対して戒告処分を検討する場合、以下の点を確認する必要があります。
戒告処分を検討する場合の確認ポイント
- 就業規則の「懲戒」の項目で、懲戒処分を科そうとする従業員の問題点が戒告処分の項目としてあがっているか?
- 自社の就業規則に「戒告」という処分が定められているか?
- 自社の就業規則で「戒告」がどのような内容の処分として定められているか。特に始末書の提出を命じる内容になっているかどうか?
また、自社の就業規則が正しく周知されているかについても確認が必要です。周知されていない就業規則は、裁判所で効力が認められないことが多く、戒告処分を行っても、その根拠となる就業規則が周知されていないときは、処分が無効と判断される可能性があります。
(2)処分理由についての証拠を確保する
懲戒処分を行う際は、懲戒処分の対象となる問題行動について証拠を確保することが必要です。
労働契約法第15条において、懲戒処分が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は、その懲戒処分は無効となるとされています。従業員の問題行動や就業規則違反について、具体的な証拠がないのに戒告処分を行うことは、客観的に合理的な理由を欠く処分として、無効になるため、注意が必要です。
例えば、セクハラやパワハラなどのハラスメント行為について戒告処分を行う場合、社内において関係者からのヒアリングを行うなどして、ハラスメント行為の有無や内容について十分な調査を行い、証拠を確保しておく必要があります。単に被害社員からの申告のみで、ハラスメントを理由とする戒告処分を行った場合、戒告処分が裁判で争われれば、処分についての証拠が不十分であるとして、処分が無効と判断されるリスクがあります。
(3)弁明の機会を付与する
従業員に懲戒処分を行う場合は、従業員に対して、具体的にどのような問題について懲戒処分を予定しているかを告げたうえで、従業員の言い分を聴く手続を行う必要があります。これを「弁明の機会の付与」といいます。
戒告処分のような軽い処分を予定している場合でも、従業員に弁明を述べる機会を与えることが必要です。具体的な進め方としては、会社から本人に対して、以下のような「弁明通知書」を交付して弁明の機会を与え、本人から会社に「弁明書」を提出させることが適切です。
▶参考情報:「弁明通知書」のサンプル例はこちら(word)
▶参考情報:「弁明書」の雛形ダウンロードはこちら(word)
なお、弁明の機会を与えずに戒告処分をすると、万が一、戒告処分について訴訟になったときに、従業員側から「言い分も聴かずに懲戒処分をされた」と主張され、裁判所で戒告処分が無効と判断される理由になり得ますので注意してください。
戒告処分は最も軽い懲戒処分ですが、本人に反省を促すためには、このような手続をしっかり行い、本人に問題行動で処分を受けたことの重大性を理解させることが必要です。そのためには、戒告処分を決してメールなどのやりとりですませてはいけません。従業員に対面で説明を行い、書面を交付して手続を進めることで、手続に重みを持たせなければ、懲戒処分を受けたという重大性を理解させ、反省を促すことができません。
(4)処分内容を決定する
従業員による弁明の内容も踏まえて、最終的に会社として戒告処分をするかどうかを決定します。弁明書が提出されてから直ちに処分に進むのではなく、弁明書の内容を十分検討して、処分をするかどうか、処分の対象となるかどうかを慎重に判断するべきです。
(5)戒告処分通知書を交付する
戒告処分をすることを決めたら、従業員に戒告処分の理由を記載した戒告書(懲戒処分通知書)を交付します。戒告処分の場合、以下の点を記載することが適切です。
- 戒告処分を受ける従業員の氏名
- 自社の社名、代表者名
- 処分日
- 懲戒処分の種類と内容
- 処分の理由(懲戒対象事実)
- 就業規則上の根拠条文
- 始末書を提出するべき場合は、その旨及び提出期限
戒告書(懲戒処分通知書)の書式や書き方については、以下で詳しく解説していますのでご参照ください。
法律上は、戒告処分をはじめとする懲戒処分は従業員に何らかの方法で通知すれば足り、必ずしも書面である必要はありません。しかし、戒告処分は、前述した通り、普通解雇や懲戒解雇の前の警告の意味をもち、後日、普通解雇や懲戒解雇をした際に、事前に戒告処分を経ていることは、普通解雇や懲戒解雇の合理性、相当性を基礎づける重要な事情になります。
従って、戒告処分を行った事実やその懲戒対象事実は、必ず書面で記録に残すべきです。その意味で、戒告処分について書面で通知することは事実上、必須と考えるべきです。
(6)始末書の提出を命じる
就業規則において、戒告処分の内容として始末書の提出を命じることを定めている場合は、期限を決めて従業員に始末書の提出を命じる必要があります。そのため、始末書の提出期限を戒告書に記載しておくことが適切です。
始末書については、従業員にどのように書かせればよいか教えてほしいとご相談いただくこともあります。しかし、会社から始末書の文例を渡してそのとおりに書くように指示することは適切ではありません。始末書は、謝罪、反省の文書ですから、従業員自身に文章を考えさせ、記載させるべきです。
提出された始末書が体裁が整っていないものであっても、本人の反省の気持ちが表れているものであれば、始末書としては問題ないと考えるべきです。一方で、従業員が始末書の提出を拒否する場合や、期限までに提出しない場合に会社としてどう対応するかも検討しておく必要があります。
従業員が始末書の提出を拒否する場合や、期限までに提出しない場合については、以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
(7)社内での公表
戒告処分を行った場合は、それを社内で公表することも、検討すべきです。
そもそも、戒告処分をはじめとする懲戒処分には、社内に、懲戒処分を受けた従業員の問題行動が好ましくない行為であることを明確にし、また、会社は問題行動があった場合は適切な処分をすることを示すことで、企業秩序を維持するという目的があるからです。ただし、懲戒処分の公表については、のちに裁判トラブルに発展し、その中で、公表が名誉棄損にあたるとして、会社に損害賠償が命じられているケースも存在します。
そのため、以下の点に注意して公表を行うようにしてください。
社内での公表における注意点
- 客観的事実のみを公表し、証拠がないことを公表したり、推測による公表をしない
- 社内の規律維持という観点から必要な範囲での公表にとどめ、詳細にわたる公表は控える
- 処分対象者の氏名は公表の対象外とし、懲戒処分の内容やその理由となる事実の概要のみを公表対象とする
- 社内での公表にとどめ、社外には公表しない
懲戒処分の公表については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にご覧ください。
就業規則において、懲戒処分の公表についての規定を事前に設けておくことも、社内での公表が違法とされないための重要なポイントになります。自社の就業規則をチェックしておきましょう。就業規則の規定方法については以下の記事を参考にご覧ください。
▶参考情報:就業規則とは?義務や作成方法・注意点などを弁護士が解説
6,戒告処分についての裁判事例
ここで、戒告処分に関する裁判事例も確認しておきましょう。
(1)戒告処分をして従業員に訴訟を起こされた事例
戒告処分を行う際は、それに抗議する従業員が会社に訴訟を起こしてくることも想定しておく必要があります。過去に従業員が戒告処分が不当であると主張して会社と争った裁判例のうち主なものとして以下のものがあります。
1,パワハラについての戒告事例
上司が育児のため午後4時までの短時間勤務制度を利用中の従業員に対し、午後7時から午後8時をすぎて、遅いときには午後11時を過ぎてから電話等により頻繁に業務報告を求めた行為について、パワーハラスメントにあたると判断し、戒告処分を科したことを有効と判断しました(東京地方裁判所判決令和2年6月10日)。
この事例のように比較的軽微なパワーハラスメントについて、その従業員に初めて懲戒処分を行う場合は、戒告処分や譴責処分、訓告処分等を選択することが適切です。
2,人事異動の拒否についての戒告事例
学校法人が配転命令に従わない職員に対して行った戒告処分を有効と判断しました(東京地方裁判所判決平成27年3月20日)。
職員は、配転命令が、以前から学校に対して意見や疑問を表明することが多かった職員を隔離するために行われたものだと主張しましたが、裁判所はこの主張を認めませんでした。
転勤や仕事内容の変更などの人事異動は、従業員とトラブルになりやすい場面の1つです。人事異動に応じることを拒否された場合の会社の対応については、以下の記事で解説していますので、ご参照ください。
3,業務命令違反をめぐる戒告事例
最高裁判所判決平成3年12月13日は、従業員の有給休暇の申請に対して、会社が正当に時季変更権を行使して取得日の変更を求めたにもかかわらず、これを無視して従業員が出勤しなかった場合の戒告処分を有効としています。
一方、会社による時季変更権の行使が要件を満たさない場合は、従業員が時季変更に応じずに出勤しなかったことを理由に行った戒告処分は無効となります(広島地方裁判所判決平成5年4月14日等)
▶参考情報:時季変更権は従業員が申請した有給休暇の日の変更を求める会社の権利をいいます。時季変更権の詳細は、以下をご参照ください。
4,接遇態度に関する戒告事例
児童養護施設の職員が食卓につこうとしなかった5歳児を指導する際に、泣き叫んでいた児童の片手片足を持ってつり下げ、そのまま食卓のあるホールから部屋まで運んで行った行為に対して、この施設を運営する社会福祉法人が戒告処分を科した事例について、裁判所はこの処分を有効と判断しました(東京地方裁判所平成24年10月9日)。
放置すれば、児童に対する体罰や虐待につながりかねない事案であり、それに至る以前の段階で、戒告処分を行ったことは、施設の労務管理として適切であったといえるでしょう。
5,戒告処分を無効とした事例
一方で、以下のケースでは、戒告処分が無効と判断されています。
判例1:最高裁判所昭和58年11月1日
工場内において許可を得ずにビラ配りをした従業員に対する戒告処分について、休憩時間中に平穏な方法で数分間ビラ配りを行ったにすぎないことなどを理由に無効と判断したもの
判例2:東京地方裁判所判決平成20年4月18日
大学が出勤簿の虚偽記載などを理由として大学教授に行った戒告処分について、虚偽記載の事実が認められないとして無効と判断したもの
このように、戒告処分が無効とされないためには、処分を行う前に万全な事実確認を行うことや、弁明の機会を与えた際に従業員から懲戒処分について反論があったときはその内容をよく聞き、必要に応じて再度調査することが重要です。
6,戒告を取り消した裁判例
公務員の事案ですが、部下の監督義務違反を理由とする戒告処分を取り消した裁判例として、徳島地方裁判所判決令和3年9月15日があります。
これは私生活で、飲酒運転中、ひき逃げ死亡事故を起こした友人の車に同乗していた消防職員を懲戒免職とし、その消防本部長を監督不行届を理由に戒告処分とした事案ですが、裁判所は、本部長は80名を超える部下を持ち、部下への個別の監督は困難であったことなどを理由に戒告処分を取り消しています。
民間企業における、部下に対する監督義務違反を理由とする懲戒処分にあたっても参考となる裁判例です。
(2)懲戒処分のルールを守ることが必要
戒告処分は懲戒処分の1種であり、戒告処分を行う際は、懲戒処分についての法律・判例上のルールを守って行うことが必要です。労働契約法第15条においても以下の通り定められています。
▶参考:労働契約法第15条
「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」
具体的には以下の点に注意してください。
1,二重処罰の禁止
すでに懲戒処分を科した問題行動に対して、再度の懲戒処分の対象とすることはできません。
このルールは「二重処罰の禁止」あるいは「一事不再理のルール」と呼ばれます。懲戒処分歴がある従業員に対してさらに戒告処分をする場合は、以前の懲戒処分と同じ問題行動を今回の戒告処分の対象とすることがないように注意が必要です。
2,過去の会社の対応との公平性にも注意が必要
懲戒処分については、以前、他の従業員が同様の問題行動をした場合に会社がとった対応との公平性も問題になります。
形式的には就業規則違反になるけれどもこれまで会社として黙認していた行為や、以前は懲戒処分を科していなかった行為を、今回はじめて戒告処分の対象とする場合、過去の対応との公平性を欠くことを理由に、後日、裁判所で戒告処分が無効と判断される可能性があります。以前は黙認していた行為や以前は懲戒処分を科していなかった行為を懲戒処分の対象とすることは、今後そのような行為は懲戒処分の対象となることを社内で明確に伝えた後にのみ許されると考える必要があります。
3,懲戒処分の相当性
懲戒処分が問題行動の内容と比較して重すぎることは懲戒処分の無効の理由になります(労働契約法第15条)。このルールは「懲戒処分の相当性のルール」と呼ばれます。
懲戒処分は問題行動の内容に照らして重すぎる内容にならないように常に注意する必要があります。
7,転職時の履歴書への記載について
(1)転職の際に積極的に申告する義務はない
戒告処分を受けた従業員が、転職・再就職のための採用面接の場面で、履歴書に記載するなどして、前職で戒告処分を受けたことを申告する義務を負うかどうかについては、明確な裁判例がありません。過去の判例上、前職での懲戒解雇歴を隠して就職した場合、そのことは、転職先において正当な解雇理由になると判断しているケースが多くなっています(名古屋高裁 昭和51年12月23日判決、大阪地裁 昭和62年2月12日決定、横浜地裁 川崎支部昭和48年11月21日判決など)
しかし、戒告処分が最も軽い懲戒処分であることを踏まえると、戒告処分については、懲戒解雇とは異なり、従業員は転職先の会社に申告する義務まで負うものではないと考えることが妥当でしょう。
(2)履歴書の「賞罰」欄に記載が必要か?
履歴書の中には「賞罰」欄が設けられている様式もあります。この「賞罰」の「罰」とは、刑事事件を起こして有罪判決が確定した場合をいうとする理解が一般的です。東京高等 裁判所判決平成3年2月20日(炭研精工事件)がこの点を判示しています。
従って、戒告処分を受けても、「賞罰」欄に記載することは必ずしも必要がないと考えることができます。
(3)懲戒歴の有無を尋ねられたときは申告義務がある
ただし、企業側から採用面接の際に前職における懲戒歴の有無を尋ねることはでき、その場合は、応募者は前職における懲戒歴を正しく申告する義務を負います。最も軽い懲戒処分である「戒告処分」であっても、採用面接の際に懲戒歴について確認された場合は申告しなければなりません。
採用する側の企業としては、前職の懲戒歴についてすべて応募者に申告させることによって、前職で問題を起こしていないかを採用段階で確認することも検討に値します。その場合、前職の懲戒歴もすべて記載を求める旨を記載した履歴書の書式をオリジナルで用意し、その自社指定様式の履歴書を応募者全員に提出してもらうという方法をとるとスムーズに前職の懲戒歴の有無を確認することができます。
8,【参考】公務員や教員の戒告について
一般企業以外にも公務員や教員における戒告処分についても参考に解説しておきます。
(1)公務員の戒告制度とボーナスなどへの影響
公務員の懲戒制度では、処分の程度が軽い順に、「戒告」「減給」「停職」「免職」の4つの種類があります。「戒告」は公務員においても最も軽い懲戒処分に位置づけられています。以下では、国家公務員、地方公務員にわけてご説明します。
1,国家公務員について
国家公務員の場合は国家公務員法第82条1項で、懲戒処分の対象となる行為が以下の通り定められています。
▶参考:国家公務員法第82条1項
職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
一 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項の規定に基づく訓令及び同条第四項の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
・参照元:「国家公務員法」の条文はこちら
そして、どのような行為が、どの懲戒処分にあたるのかについての基準が、人事院の「懲戒処分の指針」において定められています。その内容を一部抜粋すると、例えば以下のようなものです。
▶参考:人事院の「懲戒処分の指針」
1 一般服務関係
(1)欠勤
ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。
ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。
(2)遅刻・早退
勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。
(3)休暇の虚偽申請
病気休暇又は特別休暇について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。
「懲戒処分の指針」全体については、以下をご参照ください。
この基準からわかるように、国家公務員においても比較的軽微な非行については、戒告処分の対象とされています。
この人事院の「懲戒処分の指針について」は、一般企業における懲戒処分の選択においても参考になるものです。ただし、公務員については、一般企業とは異なり、「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」という観点からの懲戒処分も行われるため、一般企業における懲戒処分とは異なる性質があることにも注意が必要です。
例えば、令和2年、大阪市は、コロナ禍において市民に対する多人数の会食の自粛を求める中、職員が多人数の会食を行っていたことが発覚した事案について、58人に対して戒告処分を行ったことを発表しています。これも、全体の奉仕者にふさわしくない非行があったこと等を懲戒理由とするものであり、一般企業において必ずしも同様に考えることができるものではありません。
2,地方公務員について
地方公務員については、地方公務員法により、戒告、減給、停職、免職の懲戒処分が設けられています(地方公務員法第29条1項)。戒告は、地方公務員においても、最も軽い懲戒処分として位置づけられています。そして、具体的にどのような場面で戒告処分をするのかについては、各地方自治体が条例や指針で定めています。
例えば、大阪市の職員については、大阪市職員基本条例において、懲戒処分の基準が定められています。これらの地方公務員の懲戒処分についての基準は、前述の国家公務員についての人事院の「懲戒処分の指針について」が参考にされ、おおむね国家公務員と同様の基準になっています。
3,公務員が戒告処分を受けた場合のボーナスや退職金への影響
公務員が戒告処分を受けた場合、給与自体が減額になることはありません。ただし、昇格、昇任が遅れたり、期末手当、勤勉手当(ボーナス)が減額になったり、退職手当においても不利益が生じるなどの影響があります。
公務員の懲戒処分について詳細は、以下の記事をご参照ください。
(2)教員の戒告処分について
以下ではマスコミでも報道されることがある、教員の戒告処分について、参考情報として、公立学校の場合と私立学校の場合にわけてご説明したいと思います。
1,公立学校の教員についての懲戒制度
公立学校の教員については、地方公務員法により、戒告、減給、停職、免職の懲戒処分が設けられています(地方公務員法第29条1項)。
▶参考:地方公務員法第29条1項
職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
・参照元:「地方公務員法」の条文はこちら
そして、具体的にどのような場面で戒告処分をするのかについては、各都道府県が条例で定め、都道府県教育委員会がより詳細な基準を定めています。例えば、東京都の教員については、以下の基準が設けられています。
▶参考:東京都「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」
・出典:東京都教育委員会「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」より
このように、教員に対する懲戒処分については、体罰や児童へのいじめといった教育現場特有の非違行為についても基準が設けられています。
2,教員が戒告処分を受けるとその後どうなるのか?
各都道府県の教育委員会が、教員が懲戒処分を受けた場合の公表の基準を定めています。例えば、東京都教育委員会は、戒告処分を受けた教員は、以下の各項目をすみやかに公表することが原則とされています。
- 校種
- 職名
- 年齢
- 性別
- 処分程度
- 処分理由
このように氏名は公表されませんが、報道等により、関係者には戒告処分を受けたことが知られることになることが多いと考えられます。公表後の実情については、東京都教育委員会が平成29年5月に発表した「教職員の服務に関するガイドライン」に以下の通り記載があります。
▶参考:東京都教育委員会「教職員の服務に関するガイドライン」より抜粋
「戒告以上の懲戒処分を受けると、報道機関に公表され新聞などで報道されるほか、履歴にも登載される。 いずれの処分も、昇給等給与面の不利益が発生する。」
「わいせつ行為などは、報道機関の取材が集中するなどして、家に帰ることができなくなったり、 長年住み続けた家を離れなくてはならなくなったりする事態も出ている。個人情報紛失により、学校名等を伏せて報道機関に公表した事案で、事故が発生した地域では当該校が特定され、地域からの信頼を失った例もある。体罰を起こした教員は、学校を異動しても、その行為がうわさとなって広まったため、教員としての自信を失い精神的に重大なダメージを受けた例もある。また、処分内容は免職でなくとも、自責の念で退職した教職員も見られる。」
3,私立学校の教員について
私立学校の教員については、この記事の前半でご説明した、一般企業と同様に、就業規則に基づき戒告処分の内容が定められています。私立学校においては、懲戒の制度は就業規則に定める必要があり(労働基準法第89条9号)、学校は就業規則で定められた懲戒事由に該当する場合にのみ、懲戒処分を従業員に科すことができます(最高裁判所判決 平成15年10月10日 フジ興産事件)。
9,【参考】弁護士会の戒告制度と効力
弁護士会でも弁護士に対する懲戒処分制度の中で、戒告処分が設けられています。弁護士会における戒告処分は、「弁護士に反省を求め、戒める処分」であり、弁護士会が弁護士に科す懲戒処分の中で最も軽い処分です。事件の依頼を受けたのに事件の処理をしなかったり、依頼を受けた請求を弁護士のミスで時効にかけてしまうといった場面で、戒告処分が行われます。
この戒告処分は要するに、弁護士会が弁護士に対して厳重注意を申し渡すというものであり、戒告を受けても、その効力自体によって、弁護士が何らかの不利益を被るわけではありません。ただし、現在、弁護士の懲戒処分を公表する私的なサイトが存在し、そこに公表されることによって、事実上、戒告処分を受けた弁護士の社会的な評価が害される、つまり評判が下がるという影響を受けることがあります。
弁護士に対する懲戒処分は、弁護士法57条1項により定められており、「戒告」より重い懲戒処分としては以下の処分があります。
- 2年以内の業務停止:弁護士業務を行うことを一定期間禁止する処分
- 退会命令:弁護士としての身分を失い、弁護士としての活動はできなくなるが、再度弁護士となる資格までは失わせない処分
- 除名:弁護士としての身分を失い、弁護士としての活動ができなくなるだけでなく、3年間は弁護士となる資格も失わせる処分
弁護士会の懲戒処分については、以下をご参照ください。
▶参考情報:日本弁護士連合会「懲戒制度」
10,戒告に関して弁護士に相談したい方はこちら
咲くやこの花法律事務所では、問題社員への具体的な対応方法や問題社員に対する懲戒処分について、企業側から多くのご相談をお受けしてきました。
以下では、戒告等の懲戒処分の場面における咲くやこの花法律事務所における企業向けサポート内容をご紹介します。
(1)戒告処分に関する事前相談
戒告処分をめぐって、従業員と労務トラブルに至ることは少なくありません。しかし、だからといって問題行動に目をつぶり、規律のゆるい会社になってしまいますので、処分を行うべき時は、正しい方法で処分を進める必要があります。そして、戒告処分をはじめとする懲戒処分に関するトラブルの予防のためには、懲戒処分をする前に専門家である弁護士に相談しておくことが不可欠です。
咲くやこの花法律事務所では、労務トラブルに強い弁護士が、戒告処分をはじめとする懲戒処分に関する事前相談を承り、個別の事情に応じて適切な処分の内容や行うべき手続の手順、確保しておくべき証拠等について具体的にアドバイスします。戒告処分をした後で、ご相談いただいても対応が難しいケースもあり、弁護士に相談せずに戒告処分を行った結果、外部の労働組合などから抗議されて、処分を撤回せざるを得ない事態になることもあります。
戒告処分をご検討中の企業の方は、事前にご相談ください。
咲くやこの花法律事務所の労務トラブルに強い弁護士への相談料の例
●初回相談料:30分5000円+税
(2)戒告処分についての言い渡しの場への弁護士の同席
戒告処分の言い渡しは文書を交付して行いますが、従業員がその場で不満を述べたり反論をしてきたりすることがあります。そして、会社側の不用意な言葉がトラブルの原因となることもあり得ます。無用なトラブルを防止するためには、戒告処分の言い渡しの場に専門家である弁護士も同席することが効果的です。
咲くやこの花法律事務所では、労務トラブルに強い弁護士が懲戒処分の言い渡しの場に同席し、会社側の立場で適切な応答をするなどして、懲戒処分の言い渡しをサポートしています。懲戒処分の言い渡しの際に従業員の反発が予想される場合や懲戒処分の言い渡しに不安があるときは、咲くやこの花法律事務所のサポートサービスをご利用ください。
咲くやこの花法律事務所の労務トラブルに強い弁護士による弁護士費用例
●初回相談料:30分5000円+税
(3)戒告処分後のトラブルへの対応
咲くやこの花法律事務所では、戒告処分の後に従業員とトラブルになり、裁判を起こされた場合の対応や、外部の労働組合から団体交渉を申し入れられた場合の対応についても多くの実績があります。
裁判所で戒告処分が無効と判断されたり、団体交渉で戒告処分を撤回する事態に至ると、社内の規律を維持できません。裁判や団体交渉に発展してしまった場合でも、懲戒処分に関するトラブルに精通した弁護士に相談しながらベストな解決をする必要があります。
懲戒処分に関するトラブルが生じたときは、咲くやこの花法律事務所に対応をご相談ください。労務トラブルに強い弁護士が迅速に対応し、適切な解決を実現します。
咲くやこの花法律事務所の労務トラブルに強い弁護士による弁護士費用例
●初回相談料:30分5000円+税
(4)顧問弁護士サービスによるサポート
咲くやこの花法律事務所では、従業員についてのトラブル等を日ごろから弁護士に相談するための、顧問弁護士サービスを事業者向けに提供して、多くの事業者をサポートしてきました。顧問弁護士サービスを利用することで、問題が小さいうちから気軽に相談することができ、問題の適切かつ迅速な解決につながります。また、日ごろから労務管理の改善を進め、トラブルに強い会社をつくることに取り組むことができます。咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスは以下をご参照ください。
(5)問題社員対応に関する咲くやこの花法律事務所の解決実績
咲くやこの花法律事務所では、問題社員対応に関して多くの企業からご相談を受け、サポートを行ってきました。咲くやこの花法律事務所の実績の一部を以下でご紹介していますのでご参照ください。
▶業務に支障を生じさせるようになった従業員について、弁護士が介入して規律をただし、退職をしてもらった事例
▶不正をした従業員について、弁護士が責任追及をし、退職してもらった事案
▶成績・協調性に問題がある従業員を解雇したところ、従業員側弁護士から不当解雇の主張があったが、交渉により金銭支払いなしで退職による解決をした事例
(6)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法
問題社員の対応でお困りの企業様は、下記から気軽にお問い合わせください。咲くやこの花法律事務所の「労働問題に強い弁護士への相談サービス」がサポートさせていただきます。
今すぐのお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
【お問い合わせについて】
※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
11,まとめ
この記事では、懲戒処分のうち「戒告処分」について、他の懲戒処分との違いや、戒告処分をした場合の従業員への影響をご説明したうえで、戒告処分をする場合の具体的な手続の流れについてご説明しました。さらに戒告処分が後日の訴訟で無効とされた裁判例もご紹介しました。
戒告処分は、普通解雇や懲戒解雇といったより重い処分の前段階の警告措置として行われることも多く、後日、普通解雇や懲戒解雇について従業員から訴訟を起こされた時に、その前段階の戒告処分が適切に行われていたかも議論の対象になります。その意味で、軽い懲戒処分だからと安易に考えずに、しっかりと証拠を確保したうえで正しい手続で行い、戒告書を正しく作成することで、後日、戒告処分の効力が裁判で議論されたときも問題が生じないように準備しておくことが非常に重要です。
弁護士に相談したうえで正しく実施するようにしてください。
記事作成弁護士:西川暢春
記事更新日:2024年8月25日
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