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人事異動を拒否されたらどうすればいい?企業の対応を解説

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  • 人事異動を拒否されたらどうすればいい?企業の対応を解説
    • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
    • この記事を書いた弁護士

      西川 暢春(にしかわ のぶはる)

      咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
    • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で300社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

    部署の異動や転勤などの人事異動に対し、従業員が従わず、トラブルになることがあります。

    人事異動の拒否とは、会社が命じた部署の異動や転勤に従業員が従わないことを指します。会社に人事異動を命じる権利がある旨を就業規則等で定めている場合、従業員はこれに従う義務があり、原則として人事異動を拒否することはできません。人事異動命令に対する拒否は、組織の秩序を乱す重大な問題であり、懲戒事由になることが原則です。

    ただし、人事異動は従業員の仕事や生活に大きな影響を及ぼすので、会社は無制限に人事異動を命じることはできるわけではなく、一定の制約があります。

    その点を踏まえずに、感情的な対応や誤った対応をすると、以下のような訴訟トラブルに発展するリスクがあります。

     

    事例1:
    配偶者の精神疾患を理由に人事異動命令に従わなかった職員に対する懲戒解雇について、裁判所が不当解雇であると判断し、法人に約700万円の支払を命じた事例(大阪地方裁判所平成30年3月7日判決)

     

    事例2:
    転勤を拒否した従業員に対する解雇について、転勤命令時の説明不足等を理由に裁判所が不当解雇と判断し、会社に3200万円を超える支払いを命じた事例(東京高等裁判所平成12年11月29日判決)

     

    この記事では、人事異動に対する判例上の制約について解説したうえで、従業員による人事異動の拒否の場面で会社がとるべき対応についてご説明します。

    この記事を最後まで読んでいただくと、会社が人事異動を命じる権利についての判例上の制約や、人事異動を不当に拒否された場合の正しい対応方法について理解していただくことが可能です。

    それでは見ていきましょう。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」
    人事異動の拒否に対して、懲戒処分や解雇などを行うケースは、上記の判例からもわかるように、企業にとっても大きなリスクを伴います。

    特に解雇については、不当解雇であるとして訴えられ、敗訴すると多額の支払を命じられることになります。懲戒処分や解雇を検討される際は必ず事前に弁護士にご相談ください。

     

    ▶人事異動拒否の対応に関して今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

    【お問い合わせについて】

    ※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。

    「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

     

     

    1,人事異動とは

    人事異動とは、企業が従業員の配属(地位や業務内容)を変更することをいいます。

    主に、以下の4つを指します。

     

    • 転勤
    • 配置転換
    • 昇進・昇格
    • 降格・降職
    • 他社への出向

     

    以下では、まず、勤務地を変更する人事異動(転勤)の拒否への対応についてご説明し、次に、勤務地は従来のままで業務内容を変更する人事異動(配置転換)の拒否への対応についてご説明します。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」
    「配置転換」とは、本来は、同じ勤務場所で所属部署を変更することを指します(菅野和夫著「労働法」)。

    最近では、勤務場所を変更する「転勤」の場面も含む言葉として、「配置転換」の用語を使うことも多くなっていますが、この記事では、本来の用語例に基づき、「配置転換」=同じ勤務場所で所属部署を変更すること、として解説します。

     

    2,企業の配転命令権について

    従業員による人事異動の拒否の場面でまず確認するべき点は、企業が従業員に対して人事異動を命じる権利があるかどうかという点です。

    企業が従業員に対して人事異動を命じる権利を「配転命令権」といいます。

     

    (1)就業規則や雇用契約書の規定を確認する

    正社員の就業規則には、人事異動に従うことを義務付ける配転命令権に関する規定が設けられていることが通常です。

    例えば、厚生労働省のモデル就業規則では、第8条1項に以下のような規定が設けられています。

     

    ▶参考情報:厚生労働省「モデル就業規則 第8条1項」

    「会社は、業務上必要がある場合に、労働者に対して就業する場所及び従事する業務の変更を命ずることがある。」

    ・参照:厚生労働省「モデル就業規則」

     

    また、雇用契約書にも転勤や配置転換などの人事異動に従うことを従業員に義務付ける規定が設けられていることがあります。

    これらの規定が人事異動を命じる際の根拠になりますので、まずは、就業規則や雇用契約書に配転命令権に関する記載があるかどうかを確認しましょう。

     

    ▶参考情報:就業規則や雇用契約書の作り方については、以下の情報をご覧下さい。

    就業規則の作成について!詳しい作り方や作成料金を弁護士が解説

    就業規則の記載事項をわかりやすく解説!

    雇用契約書(正社員)作成について!書き方や注意点を弁護士がチェック【雛形ダウンロード付】

     

    (2)人事異動について拒否権が認められる場合

    就業規則や雇用契約書で配転命令権についての定めがある場合でも、判例上、配転命令権には一定の制限があり、どのような場合でも配転命令が認められるわけではありません。

    以下では、まず、同じ勤務地内で業務内容を変更する人事異動(配置転換)についての制限をご説明し、その後、勤務地を変更する人事異動(転勤)についての制限をご説明します。

     

    3,配置転換の拒否が認めなければならない正当な拒否理由とは?

    長期雇用を前提として採用した正社員については、様々な業務に配置転換しながら、雇用を維持することが想定されており、従業員は会社の配置転換に従う義務があることが原則です。

    ただし、以下の場合は、業務を変更する人事異動が判例上、制限されますので注意が必要です。

     

    (1)職種限定契約にあたる場合

    医師、看護師やトラックやバスの運転手など特殊な技能や資格をもち、その職種に就くことを前提に採用された従業員については、別の職種への人事異動を予定しない雇用契約と解釈され、業務内容を変更する人事異動が認められないケースが多くなっています。

    このようなケースを職種限定契約といいます。

    最近の判例では以下のものがあります。

     

    参考1:
    平成31年1月10日広島高等裁判所岡山支部決定

    外科医師について勤務先病院との間で職種限定の合意があったとして、外科診療を行わないポストに異動させる配転命令を無効とした事例(平成31年1月10日広島高等裁判所岡山支部決定)

     

    参考2:
    平成30年3月29日広島高等裁判所岡山支部判決

    大学教員に対して授業の担当から外し、学生の就職支援業務への従事を命じた配転命令を無効とした事例(平成30年3月29日広島高等裁判所岡山支部判決)

     

    (2)賃金の減額を伴う人事異動の場合

    職務内容を格下げする人事異動を行い、賃金を減額するケースについては、判例上、個別の同意がなければ無効とされることが多くなっています。

    また、賃金の差額分について、訴訟で請求され、会社が支払を命じられるケースも多くなっています。

     

    参考1:
    平成24年11月17日東京地方裁判所判決

    営業サポート職として勤務していた従業員を配送センターに異動させて検品業務に従事させ、賃金を減額した事例について、差額の賃金の支払いを命じた事例(平成24年11月17日東京地方裁判所判決)

     

    (3)退職させる目的で人事異動を命じる場合

    退職させるための嫌がらせや、退職勧奨を拒否したことの報復として、本人の能力、経験に見合わないような単純作業や実質的に業務がないポストへの人事異動を行うケースも、判例上、人事異動の命令は無効であるとされています。

     

    (4)まとめ

    このように、職種限定契約に当たる場合、賃金の減額を伴う配置転換を命じる場合、退職させる目的で配置転換を命じる場合などについては、判例上、配置転換の命令が無効とされているケースが多いことに注意する必要があります。

    従業員の職種を変更する人事異動については以下の記事でも詳しく解説していますのであわせてご参照ください。

     

     

    4,転勤の拒否を認めなければならない正当な拒否理由とは?

    次に、企業の転勤命令についての判例上の制約について説明します。

    転勤についても、就業規則や雇用契約書で転勤命令に従うべき義務が規定されている場合は、従業員はこれに従う義務があることが原則です。

    転勤を命じられることにより、単身赴任になるとか、通勤が長時間になるといった事情だけでは、転勤拒否の正当な理由にはなりません。

    ただし、以下の場合は、転勤命令は無効になる可能性があることに注意する必要があります。

     

    (1)重度の障害がある家族を介護し、転勤が困難な従業員に対する転勤命令

    育児介護休業法第26条は、企業は転勤を命じるにあたり、転勤により育児や介護が困難となる従業員に配慮すべきであるとしています。

     

     

    判例上も、重度の障害をもつ親や子を介護しながら就業している従業員に対する転勤命令を無効としているケースが複数存在します。

     

    参考判例:
    NTT東日本事件

    NTT東日本が、北海道で重度の視力障害がある父親と、膝関節に障害がある母親を介護していた従業員に対し、東京転勤を命じたケースについて、裁判所が転勤命令を無効と判断した事例(平成21年3月26日札幌高等裁判所判決)

     

    (2)勤務地限定の雇用契約と解釈される場合

    就業規則上は人事異動に応じる義務が定められていたとしても、現地採用従業員で慣行上転勤がないケースについては、転勤を予定した雇用契約ではないと解釈され、転勤命令が無効とされるケースがあります。

    また、採用の際に従業員の家庭の事情などから転勤に応じられない旨の申出が従業員の側からあり、企業側もこれを了解して採用しているケースについても、転勤を予定した雇用契約ではないと解釈され、転勤命令が無効とされるケースがあります。

     

    参考判例:
    日本レストランシステム事件(大阪高等裁判所平成17年1月25日判決)

    採用面接の際に長女の病状を述べて関西地区以外の勤務に難色を示し、関西地区における管理職候補者として現地採用された従業員について、会社が就業規則の配転命令権の規定を根拠に東京への転勤を命じた事例。

    裁判所は、採用の時点で勤務地を関西地区に限定する合意が成立しており、転勤命令は無効と判断しました。

     

    (3)退職させることを目的に転勤を命じる場合

    以下のように本来の転勤とは異なる目的で転勤を命じるケースでも、転勤命令が無効と判断されています。

     

    • 退職させたい従業員を退職に誘導するために転勤を命じるケース
    • 会社に対する残業代請求など正当な請求をしたことに対する報復として転勤を命じるケース
    • 労働組合活動を妨害するために、組合の中心人物を転勤を命じるケース

     

    転勤命令については、以下の記事でも詳しく解説していますのであわせてご参照ください。

     

     

    (4)【補足】うつ病を理由とする異動の拒否について

    うつ病を理由として異動を拒否する従業員への対応が問題になるケースもあります。

    これについては、「うつ病の程度」や「異動により環境が変わることについての主治医の意見」などを考慮した総合的な判断をする必要があります。

     

    参考判例:
    平成25年3月6日東京地方裁判所判決(ヒタチ事件)

    参考になる裁判例として、うつ病で継続的に通院している従業員について、静岡から埼玉への転勤を命じたことは、不当ではないとした判例として、平成25年3月6日東京地方裁判所判決(ヒタチ事件)があります。

    この事件で、裁判所は、「うつ病患者が信頼関係を醸成している精神科に継続的に通院する必要性はそれなりに尊重されるべきといえる。また、生活状況が変わることによって、うつ病を患っている原告に社会生活上の支障が生じうる可能性も認められる。」としつつも、他の医療機関への転院が可能であることや、この従業員が転勤前の勤務地で周囲とのトラブルを発生させてきた経緯からこの従業員の雇用を維持するためには転勤はやむを得なかったとして、転勤命令は不当ではないと判断しています。

    ▶参考情報:判決文はこちら

     

    なお、上記の判例は独身者の事例ですが、うつ病で通院中の従業員が家族と同居しており、異動によって同居が難しくなる場合は、家族と同居できなくなることによる病気への悪影響の有無についても考慮する必要があります。

    この場合、主治医の意見を聴くことになりますが、会社としては、仮に家族との同居が望ましいのであれば、家族が本人と一緒に勤務地に赴くという解決も可能であることに留意しつつ、対応を決める必要があります。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」
    会社からの異動命令の場面ではありませんが、精神疾患の従業員の勤務地決定について会社がどの程度の配慮を要するかという観点からは、三菱重工事件(東京地方裁判所平成28年1月26日判決)も参考になります。

    この事件では、適応障害で休職していた従業員が、復職にあたり、家族と同居できる勤務地への異動を求めたのに対し、会社がこれを拒否した判断について不当ではないとしています。

     

    5,人事異動を拒否された場合の会社側の対応

    人事異動を拒否された場合の会社側の対応

    ここまで、会社の人事異動を命じる権限について制約を受けるケースについてご説明しましたが、それ以外のケースでは、就業規則や雇用契約書に配転命令権の規定があれば、従業員は人事異動の命令に従う義務があります。

    以下では、従業員が人事異動命令を不当に拒否する場合についての会社側の対応策についてご説明します。

     

    (1)まずは十分な説明と説得を行うことが必要

    人事異動を命じる場合、従業員に対して一定の負担を与えることになることは事実ですので、従業員に対して十分な説明と説得を行うことが必要です。

    過去の判例等を踏まると、以下の点を説明しておくべきです。

     

    人事異動を命じる場合の従業員への説明事項

    • 人事異動が必要な理由
    • 人事異動の対象者を選定した基準
    • 人事異動後の勤務場所、勤務部署
    • 人事異動後の職務内容
    • 人事異動後の勤務条件(給与や始業時刻、休日等に変更がないか)
    • 従業員の転居が必要になる場合は、単身赴任手当、社宅の提供等、会社として行うことを予定する配慮の内容
    • 転居を伴わない転勤の場合は、転勤後の通勤所要時間、通勤経路

     

    この「従業員への説明」については法的な義務であることも意識して行う必要があります。

    過去には、会社が転勤命令にあたり従業員に必要な説明を行っていなかったことを理由に、不当解雇と判断したケース(メレスグリオ事件 平成12年11月29日東京高等裁判所判決)もがありますので、注意が必要です。

     

    参考:メレスグリオ事件(平成12年11月29日東京高等裁判所判決)

    この裁判例で、裁判所は、「会社は、配転後の通勤所要時間、経路等、従業員において本件配転に伴う利害得失を考慮して合理的な決断をするのに必要な情報を提供しておらず、必要な手順を尽くしていない」と指摘しています。

     

    また、人事異動にあたり従業員の転居が必要になるケースでは、単身赴任手当の支給や社宅の提供など会社として一定の配慮を行うべきであり、なんらの配慮もせずに転居が必要になるような転勤を命じるケースでは、転勤命令拒否を理由とした処分が無効とされるリスクがあります。

     

    (2)人事異動の拒否を放置することは問題が大きい

    会社が十分な説明と必要な配慮をしても、なお、従業員が人事異動を拒否する場合、会社として従業員に対し、なんらかの処分をしなければならないことが多いでしょう。

    異動を拒否する従業員を放置していたのでは、会社の異動命令に応じる従業員がいなくなり、会社運営に支障が生じることがあるためです。

    また、裁判所は会社が従業員に対して行う懲戒処分の有効性の判断において、過去に同様の事案の際に会社が懲戒処分を行っているかどうかも考慮することが多くなっています。

    そのため、人事異動の拒否に対して懲戒処分を行わずに放置した場合、将来、別の従業員が人事異動を拒否した場合も同様に懲戒処分を控えざるを得なくなり、会社の配転命令権自体が揺らぐことになりかねないことにも留意が必要です。

     

    (3)懲戒処分をしたうえで昇給、賞与で評価する

    人事異動を拒否された場合の会社の対応として最も穏便なものは、人事異動の拒否に対して懲戒処分をしたうえで、雇用は継続し、人事異動拒否の点は昇給や賞与の査定においてマイナス評価するという考え方です。

    懲戒処分については、自社の就業規則に定められた戒告譴責訓告減給出勤停止降格処分などの中から選択することになります。

    懲戒処分の種類や選択の基準については以下で詳しく解説していますのでご参照ください。

     

     

    (4)退職を促す

    人事異動を拒否した従業員について雇用を継続するわけにはいかないという場合でも、いきなり解雇を検討することは避け、まずは退職を促す退職勧奨を行うことが適切です。

    解雇と、退職勧奨は以下のように異なり、解雇については不当解雇であるとして訴訟を起こされるなどのリスクを伴います。

     

    解雇とは?

    従業員の同意を得ずに一方的に雇用契約を終了させる。

     

     

    退職勧奨とは?

    会社が退職に向けて従業員を説得し、従業員との合意により雇用契約を終了させる。

    そのため、まずは退職勧奨により、従業員を退職に向けて説得し、退職してもらうことが適切です。

    退職勧奨の具体的な進め方については、以下の記事をご参照ください。

     

     

    (5)異動の拒否を理由とする解雇についての判例

    退職勧奨を行っても退職について合意に至らない場合は、異動を拒否する従業員を解雇するという選択肢も検討することになります。

    判例でも、異動を拒否する従業員の解雇については、前述した人事異動について判例上の制約を受ける場面に該当しない場合を除けば、原則として解雇の有効性が認められています。

     

    参考1:
    トムス事件 平成24年2月20日札幌地方裁判所判決

    衣料の製造、販売会社の事業の縮小にあたり、札幌支店から東京本社への転勤の命令を受けたがこれに従わなかった営業事務職の解雇を有効とした事例(トムス事件 平成24年2月20日札幌地方裁判所判決)

     

    参考2:
    東京地方裁判所平成27年12月15日判決

    周囲とのトラブルが多い従業員について、設備管理業務を所管する部署から、清掃等を所管する部署への配置転換をしたが、従わず無断欠勤を続けた従業員の懲戒解雇を有効とした事例(東京地方裁判所平成27年12月15日判決)

     

    (6)異動の拒否を理由とする解雇の進め方

    異動を拒否を理由とする解雇を進める場合は、その具体的な進め方について以下の点を検討しておく必要があります。

     

    1,懲戒解雇か普通解雇か

    異動の拒否を理由とする解雇については、懲戒解雇または普通解雇のどちらの方法による解雇も考えられます。

    懲戒解雇と普通解雇の違いについては、以下の記事を参照してください。

     

     

    2,予告解雇か即日解雇か

    労働基準法第20条により、解雇の場合、原則として以下のいずれかの方法をとる必要があります。

     

     

    ●予告解雇による方法

    解雇について30日以上前に従業員に事前に予告をしたうえで、解雇する方法です。

     

    ●即日解雇による方法

    解雇について事前の予告をせずに、解雇を伝えた当日に、従業員との雇用を終了させる方法です。

     

     

    この場合、原則として30日分の賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。

    ただし、従業員が異動を拒否し、無断欠勤を続けるケースでは、2週間以上の無断欠勤が続いた段階で解雇し、解雇について労働基準監督署の除外認定という手続きを経れば、解雇予告手当の支払いを要しません。

    解雇予告手当と除外認定については以下の記事をご参照ください。

     

     

    3,具体的な従業員への伝え方

    さらに、従業員に解雇を伝える際は、解雇理由をどのように伝えるかについて十分検討したうえで、解雇通知書を準備しておく必要があります。

    具体的な従業員への伝え方、解雇の進め方については、以下で解説していますので参照してください。

     

     

    6,退職の場合の離職票は自己都合か会社都合か

    従業員が退職する場合、会社は11日以内に「離職証明書」をハローワークに提出しなければなりません。

    そして、離職証明書を提出するとハローワークから離職票が会社に郵送されてきますので、会社はそれを退職者に交付する義務があります。

     

     

    以下では、異動命令に従わずに退職に至った従業員が失業保険(雇用保険)の受給にあたり、自己都合扱いになるのか、会社都合扱いになるのか、離職証明書にはどのように記載すべきかという点について、「転勤拒否による退職の場合」と「職種の変更の拒否による退職の場合」にわけてご説明します。

     

    (1)転勤の拒否を理由とする退職の場合

    配転命令権の対象となる従業員が転勤を拒否して退職する場合は、原則として自己都合退職となります。

     

    離職証明書の記載例

    離職証明書は、「5 労働者の判断によるもの」「(1)職場における事情による離職」「⑦ その他」を選択し、かっこ書きの中に、転勤命令に応じず退職に至ったことを具体的に記載することが適切です。

     

    ただし、以下の例外があります。

     

    転勤により単身赴任となる場合など

    転勤に応じれば単身赴任になる場合など、配偶者や扶養する家族と別居を避けるために退職した場合は、特定理由離職者(正当な理由のある自己都合の離職)として扱われ、失業保険の給付日数等について、一般の自己都合退職よりも優遇されることになります。

     

     

    この特定理由離職者はあくまで自己都合退職として扱われるため、助成金の受給には影響しません。

     

    重度の障害がある家族を介護中のため転勤命令に従えずに退職した場合

    この場合は、本来、転勤命令が制約される場面であり、転勤命令に従えずに退職したとしても特定受給資格者(会社都合退職)となります。

    会社は助成金の申請が一定期間制限されるなどの不利益を受けることになります。

    なお、どのような場面で会社都合扱い(特定受給資格者)となるかの判断基準の詳細は、以下をご参照ください。

     

     

    労働契約で勤務場所が特定されていた従業員が、遠隔地に転勤を命じられた結果、退職した場合

    この場合も、本来、転勤命令が制約される場面であり、転勤命令に従えずに退職したとしても特定受給資格者(会社都合退職)となります。

    会社は助成金の申請が一定期間制限されるなどの不利益を受けることになります。

    なお、「遠隔地に転勤を命じられた」とは、自宅からおおむね往復4時間以上の通勤が必要な場所に転勤を命じられた場合を指します。

     

    (2)職種の変更を理由とする退職の場合

    次に、勤務場所の変更ではなく、同じ勤務場所での部署間の異動や業務内容の変更を理由に退職した場合についてご説明します。

    部署間の異動や業務内容の変更を理由とする退職も、原則として自己都合退職として扱われます。

    離職証明書の記載例

    離職証明書は、「5 労働者の判断によるもの」「(1)職場における事情による離職」「⑤ 職種転換その他」を選択し、かっこ書きの中に、職種の変更を伴う異動に応じず退職に至ったことを具体的に記載することが適切です。

    ただし、以下の場合は会社都合扱い(特定受給資格者)となります。

     

    会社都合扱い(特定受給資格者)になるケース

    (1)採用時に特定の職種のために採用されることが雇用契約上明示されていた従業員が、別の職種への異動命令を受け、かつ月額賃金を減額された場合

    (ただし、職種転換の通知が異動の時期の1年以上前に行われた場合や職種転換後おおむね3ヶ月が経過してから離職した場合は除かれます)

     

    (2)採用時に特定の職種のために採用されることが雇用契約上明示されていなかった従業員が、10年以上同じ職種に就いた後に別の職種への異動を命じられた場合

    (ただし、職種を変更する異動にあたり、企業において十分な教育訓練を行った場合は除かれます)

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」
    会社都合退職の扱いになると、助成金の申請が一定期間制限されるなどの不利益があります。会社都合退職に該当しないようにするためには以下の点に注意する必要があります。

     

    ●10年以上同じ職種に就いた後に別の職種への異動を命じる場合は、新しい職種に従業員が適応できるように十分な教育訓練を行うこと。

     

    ●採用時に特定の職種のために採用されることを明示して雇用した従業員に対し、他の職種への異動を命じる場合は、1年以上前に異動の通知を行うこと。または異動にあたり、賃金を減額しないこと。

     

    7,咲くやこの花法律事務所なら「こんなサポートができます!」

    咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

    最後に咲くやこの花法律事務所における人事異動についての企業向けサポート内容をご説明したいと思います。

    咲くやこの花法律事務所では、企業の経営者、担当者から以下のご相談、ご依頼を承ってます。

     

    • 人事異動の進め方についてのご相談
    • 人事異動を拒否する従業員への対応方法に関するご相談
    • 人事異動を拒否する従業員への弁護士による懲戒手続きの実施
    • 人事異動を拒否する従業員への退職勧奨や解雇の際の面談の立ち合い

     

    人事異動の拒否については、この記事でも解説したように、判例上、制約を受ける場面も多く、慎重な判断が必要です。

    対応を誤ったり、説明が不十分であると、後日、不当な懲戒処分、不当な解雇であるとして訴訟を起こされ、裁判所で多額の支払を命じられるリスクがあります。

    必ず、弁護士にご相談いただいたうえで、方針を決めていただくことをおすすめします。

    また、異動を拒否する従業員に対して、懲戒処分をしたり、あるいは退職勧奨や解雇をする際は、問題社員対応に強い弁護士が立ち会うことで、自信をもって、間違いのな手続ですすめることが可能です。

    問題社員対応に強い弁護士への相談は以下をご参照ください。

     

     

    咲くやこの花法律事務所の問題社員対応に強い弁護士によるサポート費用

    ●初回相談料:30分5000円+税
    ●立ち合い費用:立ち合いの時間や面談場所への距離に応じて、10万円~20万円+税程度

     

    8,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法

    従業員が人事異動を拒否して困っているなど、人事拒否拒否に関する相談は、下記から気軽にお問い合わせください。咲くやこの花法律事務所の労働問題に強い弁護士によるサポート内容については「労働問題に強い弁護士への相談サービス」をご覧下さい。

    お問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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    記事作成弁護士:西川 暢春
    記事作成日:2020年12月22日

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