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公務員の懲戒処分とは?4つの種類と処分の目安を解説

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  • 公務員の懲戒処分とは?4つの種類と処分の目安を解説
    • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
    • この記事を書いた弁護士

      西川 暢春(にしかわ のぶはる)

      咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
    • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で400社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

    こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。

    公務員の懲戒処分とは、公務員の義務違反や服務規律違反に対して科せられる処分のことです。処分の程度が軽い順に、「戒告」「減給」「停職」「免職」の4つの種類があります。国家公務員の場合は国家公務員法第82条1項、地方公務員の場合は地方公務員法第29条1項で、懲戒処分の対象となる行為が定められています。

    度重なる欠勤や、セクハラ・パワハラといった問題のある行動をする職員を処分することは、公務員の職場秩序を維持するために重要です。

    また、全体の奉仕者である公務員の立場からして、不適切な行為をした職員を放置することは、住民の不信を招くことにもつながります。

    しかし、懲戒処分については、処分をめぐって対象職員とトラブルになり、訴訟に発展するケースも少なくありません。

    例えば以下の事例があります。

     

    判例1:
    京都市北部クリーンセンター事件(大阪高等裁判所判決 平成22年8月26日)

    部下に対するセクハラ行為、タクシーチケットの私的流用、物品販売手数料の簿外管理等を理由に懲戒免職処分となった職員について、懲戒免職処分が取り消された事例

     

    判例2:
    姫路市(消防職員・酒気帯び自損事故)事件(神戸地方裁判所判決平成25年1月29日判決)

    飲酒運転をして自損事故を起こしたことを理由に懲戒免職処分を受けた職員について、懲戒免職処分が取り消された事例

     

    懲戒処分をする際は、後で懲戒処分の効力が争われても、懲戒処分が取り消される事態にならないように、法律上のルールを理解し、適切に処分を行うことが重要です。

    この記事では、公務員の懲戒処分の種類や、処分の目安、事例などをわかりやすくご紹介します。最後まで読んでいただくことにより、懲戒処分を進める際の注意点について理解していただくことができるはずです。

    それでは見ていきましょう。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    この記事では公務員の懲戒処分について解説しています。

    一般企業における従業員に対する懲戒処分については、以下の記事で解説していますのでご参照ください。

     

    ▶参考情報:懲戒処分とは?種類や選択基準・進め方などを詳しく解説

     

    ▼公務員の懲戒処分に関して今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

    【お問い合わせについて】

    ※職員の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。

    「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

     

     

    1,公務員の懲戒処分は4種類

    公務員の懲戒処分の種類は、法律で定められており、処分の程度が軽い順に、「戒告」「減給」「停職」「免職」の4つの種類があります(国家公務員法第82条1項、地方公務員法第29条1項)。

    「免職」以外の処分では、公務員としての身分を失うことはありませんが、人事記録に処分について記録され、昇任や昇格、昇給、諸手当の支給等に影響が生じます。

     

     

    それぞれの処分の内容は以下の通りです。

     

    (1)「戒告」規律違反の責任を確認し将来を戒める処分

    戒告とは、将来を戒めるために、文書又は口頭で行われる厳重注意のことです。

     

    (2)「減給」一定期間、給与を減額して支給する処分

     

    1,国家公務員の場合

    国家公務員の場合は、1年以下の期間で、基本給の月額5分の1以下に相当する額が減給されることが、人事院規則12-0(※1)で定められています。

    人事院規則12-0については、この段落の最後にご紹介してる参考情報の「※1」をご参照ください。

     

    2,地方公務員の場合

    地方公務員の場合は、各地方公共団体の条例で、減額期間と減額金額が定められています。

    例えば、大阪市では、大阪市職員基本条例(※2)において「1日以上6月以下の期間において、1月につき、給料月額及び地域手当の月額の合計額の10分の1以下の額を減じて行うものとする。」と定められています。

    大阪市職員基本条例については、この段落の最後にご紹介してる参考情報の「※2」をご参照ください。

     

    (3)「停職」一定期間、職務に従事させず、給与は支給されない処分

     

    1,国家公務員の場合

    国家公務員の場合は、1日以上1年以下の期間、職務に従事させず、給与は支給されないことが、人事院規則12-0で定められています。

    人事院規則12-0については、この段落の最後にご紹介してる参考情報の「※1」をご参照ください。

     

    2,地方公務員の場合

    地方公務員の場合は、各地方公共団体の条例で、停職期間が定められています。

    例えば、大阪市では、大阪市職員基本条例第29条4項で「停職の期間は、1日以上1年以下とする。停職者は、職員としての身分を保有するが、職務に従事せず、また停職の期間中いかなる給与も支給されない。」と定められています。

    大阪市職員基本条例については、この段落の最後にご紹介してる参考情報の「※2」をご参照ください。

     

    (4)「免職」公務員としての身分を失わせる処分

    懲戒処分の中で最も重い処分が、「免職」です。

    公金の横領や窃取といった重大な非違行為に対して科せられる処分です。

    免職になると、職員は公務員としての身分を失い、退職金は全額または一部が不支給となります。

     

    (5)懲戒処分にはあたらない実務上の措置

    懲戒処分にはあたらない実務上の措置として、「訓告」「厳重注意」「口頭注意」等が行われていることがあります。

    これらは、懲戒処分には至らない程度の行為に対して行われるもので、制裁の意味合いを持つ懲戒処分とは異なり、職員の自覚と反省を促すための措置です。

    これらの措置は、矯正措置と呼ばれることもあります。

     

     

    2,公務員が懲戒処分の対象になる行為は法律で決められている

    国家公務員の場合は国家公務員法第82条1項、地方公務員の場合は地方公務員法第29条1項で、懲戒処分の対象となる行為が定められています。

    懲戒処分の対象となる行為(懲戒処分事由)には3つの種類があります。

    どのような行為が、どの懲戒処分事由に該当するかが明確に区別されているわけではなく、1つの行為で、複数の懲戒処分事由に該当することもあります。

     

    (1)法律、命令、条例、規則、規程等に違反した場合

    公務員は、国家公務員公務員倫理法や地方公務員法、条例、規則、規程等で、公務員が職務上守るべきルールが定められています。

    公務員はこれらを遵守して職務にあたる義務があります。これらの法律で定められている公務員のルールに違反した場合は、懲戒処分の対象になります。

    法律で定められている公務員の義務には以下のようなものがあります。

     

    1,信用失墜行為の禁止(国家公務員法第99条、地方公務員法第33条)

    職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない

     

    2,秘密を守る義務(国家公務員法第100条、地方公務員法第34条)

    職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない

     

    3,政治的行為の制限(国家公務員法第102条、地方公務員法第36条)

    職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となつてはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。

     

    これらのルールに違反した場合は懲戒処分の対象になります。

     

    (2)職務上の義務に違反した場合、または職務を怠った場合

    公務員には、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、職務に専念する義務があります。

    また、公務員には、職務を遂行するにあたって、法令に従い、かつ、上司の職務上の命令に忠実に従う義務があります。

    これらの義務に違反し、勤務時間中に職務以外のことをしたり、上司の命令に従わなかったり、無断欠勤を続けたり、公務員として行うべき仕事を怠った場合等が懲戒処分の対象となります。

     

    (3)全体の奉仕者にふさわしくない非行があった場合

    全体の奉仕者である公務員であるにふさわしくない、違法行為や反社会的な行為も懲戒処分の対象となります。

    そのため、公務外で行われた暴行・傷害、飲酒運転、痴漢行為等の犯罪行為、刑事罰の対象にならなくても社会的に非難されるべき行為も懲戒処分の対象になります。

     

    「弁護士西川暢春のワンポイント解説」

    大阪市はコロナ禍の職員の多人数の会食について、令和2年に懲戒処分を発表していますが、これも、全体の奉仕者にふさわしくない非行があったこと等を懲戒理由とするものです。

     

    3,「懲戒処分の指針」が処分選択の基準になる

    懲戒処分の程度を検討する際に重要になるのが、人事院または地方公共団体が定めている「懲戒処分の指針」です。

    「懲戒処分の指針」は、代表的な事例について、どのような行為が、どの懲戒処分にあたるか、標準的な懲戒処分の種類を掲げた基準です。

    「懲戒処分の指針」については、以下の人事院のホームページで「懲戒処分の指針について」が公開されていますので、こちらもご参照ください。

     

     

    職員の非違行為に対して、どの懲戒処分を選択するかは、国や地方公共団体等の懲戒権者の裁量にゆだねられています。

    具体的な懲戒処分の程度の決定は、国や地方公共団体等の懲戒権者が、以下の点を考慮して総合的に判断して行うことになります。

     

    (1)懲戒処分の判断要素

    • 非違行為の動機や態様、状況、結果
    • 懲戒対象者のこれまでの処分歴
    • 非違行為についての故意、過失の程度
    • 被害者がいる場合は被害者との間で示談や和解がなされているか
    • 他の職員や社会に与える影響等

     

    そのため、同じ行為でも同じ処分になるとは限りませんが、前述の「懲戒処分の指針」が、どのような行為についてどの程度の処分にすべきかの目安の1つになります。

    特別に考慮するべき事情がないにもかかわらず、この指針の基準から大幅に外れた重い処分を行った場合は、裁量権の範囲を逸脱または濫用したものとして、裁判等で懲戒処分が取り消される可能性があります。

    懲戒処分の程度を検討する時は、指針や過去の懲戒処分事例と照らし合わせて、不当に重い処分となっていないかを十分に検討することが必要です。

    指針で示されている代表的な事例を一部抜粋して紹介します。

     

    (2)懲戒処分の指針の事例

    欠勤 免職 停職 減給 戒告
    10日以内
    11日以上20日以内
    21日以上

     

    セクシュアル・ハラスメント 免職 停職 減給 戒告
    強制わいせつ、上司から部下に対するもの等立場を利用した
    性的関係・わいせつな行為
    相手の意に反することを認識した上での性的な言動の繰り返し
    執拗に繰り返してストレスを与え、相手が精神疾患を発症した場合
    相手の意に反することを認識した上での性的な言動

     

    パワー・ハラスメント 免職 停職 減給 戒告
    著しい精神的または身体的な苦痛を与えたもの
    指導、注意を受けたにもかかわらず、繰り返した場合
    強い心的ストレスを与え、相手が精神疾患を発症した場合

     

    職務外での違法行為 免職 停職 減給 戒告
    放火・殺人
    傷害
    麻薬等の所持
    淫行
    痴漢行為・盗撮行為

     

    交通法規違反 免職 停職 減給 戒告
    飲酒運転
    酒酔い運転(人身事故あり)
    酒酔い運転(人身事故なし)
    酒気帯び運転
    痴漢行為・盗撮行為

     

    4,実際の公務員における懲戒処分事例の紹介

    冒頭でもご紹介した通り、懲戒処分について、裁判でその効力が争われるケースは少なくありません。

    以下では、裁判になった事例も含めて、実際の処分事例をご紹介したいと思います。

     

    (1)部下に対するセクハラ等

     

    1,判例:
    大阪高等裁判所 平成22年8月26日判決(京都市北部クリーンセンター懲戒免職控訴事件)

    部下に対するセクハラ等を理由に懲戒免職処分となった職員について、懲戒免職処分が取り消された事例です。

    この事件は、京都市が、男性職員を懲戒免職処分にしたことについて、男性職員から懲戒免職処分の取り消しを求める訴訟を起こされたものです。

    市は、懲戒免職の処分理由の1つとして、女性臨時職員らに対するセクハラ発言をあげています。

    その内容は、この男性職員が女性臨時職員6名に対して、約3年間にわたり、「犯すぞ。」「やりたい。」などいったセクハラ発言を繰り返していたというものでした。

    裁判所は、このセクハラ発言が懲戒免職処分の理由になるかどうかの判断にあたり、まず、「懲戒免職処分という重い処分が問題となっていることからすると、特段の事情のない限り、処分の理由となる事実を具体的に告げ、これに対する弁明の機会を与えることが必要である」としました。

    そのうえで、裁判所は、被害として訴えられているセクハラ発言の内容や発言の時期、被害を訴えている女性臨時職員の氏名などを具体的に男性職員に伝えたうえで弁明の機会を与えなければ、弁明の機会を与えたことにならないとしています。

    この事件では、被害を受けたとされる女性臨時職員6名のうち、1名を除いて、自分の氏名を加害者である男性職員に伝えることを承諾しませんでした。

    そのため、市はこの男性職員に弁明の機会を与えるにあたり、氏名を伝えることを承諾した1名を除く他の女性臨時職員の氏名を明らかにしませんでした。

    裁判所は、このような弁明の機会の付与の方法は不適切であり、氏名を明らかにすることを承諾しなかった女性臨時職員に対するセクハラ発言を処分理由とするのは、仮にセクハラ発言が事実であったとしても、「手続的に著しく相当性を欠く」として、懲戒免職処分の理由とすることは認められないと判断しています。

     

     

    2,判例:
    千葉地方裁判所判決 平成30年9月25日、東京高等裁判所判決 平成31年2月27日

    公立中学校の校長が、同僚の女性教諭へのわいせつ行為を理由として懲戒免職処分を適法とした事例です。

    相手の同意がないことを認識しており、上司としての影響を用いて行った行為といえること、校長という立場からして他の職員および社会に与えた影響が大きいこと等を理由にあげて、校長の懲戒免職処分および退職金の全額不支給処分を適法と判断しました。

     

    (2)パワハラ

     

    1,判例:
    甲府地方裁判所 平成31年1月22日

    病院職員に対するパワー・ハラスメントや患者に対する診療拒否などを理由として懲戒免職処分となった医師である職員について、懲戒免職処分が取り消された事例です。

    問題となったパワハラ行為については、当事者の主張しかなく、パワハラを受けたとされる職員の供述について、証人尋問を実施して信用性を吟味しておらず、パワハラと評価される言動をしたと認定できるような客観的証拠がないことから、懲戒処分の原因となった行為が確認できないこと等を理由として、懲戒免職処分が取り消されました。

     

    2,自治体の処分事例

    裁判事例ではありませんが、パワハラに関する自治体の懲戒処分の事例としては以下の例があります。

     

     

    (3)公務外の犯罪行為

     

    1,判例:
    神戸地方裁判所 平成25年1月29日判決

    飲酒運転をして自損事故を起こしたことを理由に懲戒免職処分を受けた職員について、懲戒免職処分が取り消された事例です。

    飲酒運転が私生活上の行為であること、職員が管理職ではなく、社会に与える影響が少ないこと、自損事故であり第三者に対する被害がなかったこと、勤務態度が良好であったこと、過去に懲戒処分歴がないこと等を理由に、懲戒免職処分を取り消しました。

     

    2,自治体の処分事例

    裁判事例ではありませんが、公務員の犯罪行為に関する自治体の懲戒処分の事例としては以下の例があります。

     

     

    (4)勤務態度

    勤務態度を理由とする懲戒処分としては以下の事例があります。

     

     

    5,懲戒免職になった場合、退職金は支給されるのか?

    以下では公務員側の立場から、懲戒処分に関するよくある疑問についてご説明します。

    懲戒免職の場合に、退職金を全額不支給とするか、一部不支給とするかは、個別の事情を踏まえて判断されます。

    国家公務員退職手当法第12条1項では、「懲戒免職によって退職となった職員について、対象の職員が占めていた職務及び責任、非違行為の内容及び程度、非違行為が国民の信頼に及ぼす影響、その他政令で定める事情を勘案して、一般の退職手当等の全部または一部を支給しない処分を行うことができる」、としています。

    国家公務員退職手当法の条文は、以下でご紹介していますので参考にご覧ください。

     

     

    そして、「国家公務員退職手当の運用方針(昭和60年4月30日総人第261号)」は、懲戒免職によって退職になった場合は、一般の退職手当等の全部を支給しないことを原則とするとしています。

    「国家公務員退職手当の運用方針」については、以下の内閣官房のホームページで掲載されていますので参考にご覧ください。

     

     

    これに対して、地方公務員の退職手当については、各地方公共団体の条例によって定めることとされていますが、おおむね、国家公務員と同様の運用方針となっています。

    参考例として、以下の大阪市のホームページに掲載されている「退職手当の解釈及び運用方針について」などをご覧ください。

     

     

    退職金には、長年勤めたことに対する報償という性格のほか、賃金の後払いや退職後の生活保障としての性格があるとされています。

    賃金の後払いや退職後の生活保障という観点からすれば、懲戒免職処分になったとしても、ただちに退職金を全額不支給とすることは適切ではありません。

     

    (1)参考裁判例:
    長崎地方裁判所 平成31年4月16日判決

    飲酒運転をした公立高校の教員が、懲戒免職処分及び退職手当を全額不支給とする処分を受けたことに対し、懲戒免職処分は認められたが、退職手当の全額不支給処分は取り消された事例です。

    この事例では、退職金の支給が相当程度制限されることはやむを得ないとしても、飲酒運転が私生活上のものであること、事故を伴っていないこと、これまでに懲戒処分歴がないこと、管理職ではないこと等を理由に、職員が行った行為が退職金の全額を不支給とするほど重大なものとはいえないとして、退職金を全額不支給とする処分を取り消しています。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    懲戒免職の場合、退職金だけでなく、年金についても給付が制限される可能性があります。年金の給付制限については以下をご参照ください。

     

    ▶参考情報:全国市町村職員共済組合連合会「年金の給付制限」

     

    6,公務員で懲戒処分を受けると氏名が公表されるのか

    懲戒処分について、どの程度の情報を公表するかは、各地方公共団体で個別に公表の指針が定められています。

    公表の範囲は、原則として、被処分者の所属や階級、年代、性別、処分理由や処分の内容、処分年月日等とされ、個人が特定されない程度の情報とされています。

    ただし、免職や停職処分となるような重大な事案については、氏名も公表するとしている地方公共団体があります。

    特に、公務外の犯罪行為を理由とする懲戒処分のケースでは、自治体が懲戒処分を公表する前に警察や報道機関によって既に氏名が公表されている場合があります。

    また、警察や報道機関による氏名の公表がされていなくても、犯罪行為の内容や、社会的な影響を考慮して、自治体が公表を必要と判断することがあります。このような場合は、公表の指針に基づき判断したうえで、氏名も含めて公表されるケースがあります。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    例えば、大阪市では、懲戒免職及び停職3月以上の処分や、社会的影響が特に大きいと認められる事案については、被処分者の氏名も公表するとしています。

     

    ▶参考情報:大阪市「懲戒処分に関する指針」

     

    7,分限処分と懲戒処分はなにが違うのか

    分限処分は、職員が勤務成績不良や病気などの理由で職務を十分に行えない場合や廃職、過員が生じた場合に、公務の能率的な運営を維持するために、職員の同意なく行われる処分のことです(国家公務員法第78条、地方公務員法第28条)。

    職員に不利益な処分が行われるという点では同じですが、懲戒処分が、職員の責任を追及し、制裁の意味を持つのとは異なり、分限処分には制裁的な意味合いはありません。

    分限処分には以下の4つの種類があります。

     

    • 降給:給与を現在よりも減額する処分
    • 休職:職員としての身分を保有させたまま、一定期間職務に従事させない処分
    • 降任:職員を今任命されている職より下位の職に任命する処分(一般企業における降格)免職:職員を退職させる処分

     

    ただし、分限処分における免職は、懲戒処分での免職とは異なり、退職金が支給されます。

    各処分の対象となる事由は以下のとおりです。

     

    (1)降任または免職

    •  ア:勤務実績がよくない場合
    •  イ:心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、またはこれに堪えない場合
    •  ウ:その他その職に必要な適格性を欠く場合
    •  エ:職制もしくは定数の改廃または予算の減少により廃職または過員を生じた場合

     

    (2)休職

    • ア:心身の故障のため、長期の休養を要する場合
    • イ:刑事事件に関し起訴された場合

     

    国家公務員の場合は、これに加えて、研究休職、災害による行方不明休職、過員休職等、人事院規則に定める事由によって休職となることがあります。

     

    (3)降給

    降給の対象となる事由については、国家公務員法及び地方公務員法には定めがなく、国家公務員の場合は人事院規則(11-10、第4条)、地方公務員の場合は各地方公共団体の条例で定められます。

     

     

    8,公務員の懲戒処分に時効はあるか

    懲戒処分に時効の規定はありません。

    そのため、対象となる行為が行われてから、長期間が経過した場合でも、懲戒処分されるケースがあります。

     

    (1)参考裁判例:
    仙台高等裁判所 平成28年11月30日判決

    公立高校の教員が、昭和61年11月頃から約2年半にわたって、女子生徒にわいせつ行為をしたことを理由として、平成24年6月に懲戒免職処分および退職手当を全額支給しない旨の処分をしたことが適法であると判断された事例です。

    この事例では、懲戒処分の対象となる行為が行われてから20年以上が経過していましたが、裁判所は、非違行為が極めて悪質であることや、教育委員会が非違行為を認識したのが平成24年2月であり、その後遅滞なく処分をしていること等を理由に、懲戒処分を適法と判断しています。

    ただし、対象となる行為の存在を認識していたにも関わらず処分を行わず、長期間が経過してから処分したような場合は、裁量権の逸脱または濫用として、懲戒処分が認められない可能性があります。

    自治体としては、懲戒処分の対象となりうる行為がわかったら、すぐに、調査及び懲戒処分の検討を行うことが必要です。

     

    9,公務員の懲戒処分はどのような手続きで行われるか?

    懲戒処分の手続きについては、国家公務員の場合は人事院規則12-0、地方公務員の場合は地方公共団体の条例で定められています。

     

     

    懲戒処分を決定する前に、当該職員から具体的な事実関係に関して聴取を行い、弁明の機会を与えることが必要です。

    職員から十分な聴取を行っていなかった場合や、職員に弁明の機会を与えなかった場合等は、手続的相当性を欠くとして、懲戒処分が取り消される可能性があります。

    懲戒処分を受けた職員は、処分に不服がある場合は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内に審査請求をすることができます(国家公務員法第90条1項および第90条の2、地方公務員法第49条の2第1項および第49条の3)。

    審査請求の手続きは、国家公務員の場合は人事院規則13-1、地方公務員の場合は、各地方公共団体が設置している人事委員会規則又は公平委員会規則で定められています。

     

     

    そして、審査請求で懲戒処分が取り消されなかった場合も、職員は懲戒処分の取り消しを求める訴訟を提起して、懲戒処分の効力を争うことが可能です。

     

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    ここまで公務員の懲戒処分の概要についてご説明しました。

    咲くやこの花法律事務所では、自治体の担当者から、公務員の懲戒処分についてのご相談を承っています。

     

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    • 懲戒処分を予定する場合の調査、証拠収集についてのご相談
    • 懲戒処分の手続きの進め方についてのご相談
    • 懲戒処分について審査請求があった場合の対応のご相談
    • 懲戒処分についての訴訟等への対応のご相談

     

    その他、公務員の懲戒処分についての自治体からのご相談は、気軽に咲くやこの花法律事務所までお問い合わせください。

     

     

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    記事作成日:2022年1月18日
    記事作成弁護士:西川 暢春

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    西川 暢春 代表弁護士
    西川 暢春(にしかわ のぶはる)
    大阪弁護士会/東京大学法学部卒
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    小田 学洋(おだ たかひろ)
    大阪弁護士会/広島大学工学部工学研究科
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    「問題社員トラブル円満解決の実践的手法」〜訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方

    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2021年10月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:416ページ
    価格:3,080円

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