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同一労働同一賃金と退職金。契約社員やパートへの不支給は違法?

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  • 同一労働同一賃金に関する退職金について

    こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。

    同一労働同一賃金ルールを定める「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」が施行されます(施行日:大企業は2020年4月1日、中小企業は2021年4月1日)。

    退職金についても、同一労働同一賃金の適用があります。

    判例上も、メトロコマース事件(東京高裁平成31年2月20日)で、裁判所は、契約社員への退職金を不支給とした賃金制度を違法と判断して、会社に約100万円の賠償を命じました。

    今回は、企業側の立場から、正社員と契約社員やパート社員の退職金の格差について、同一労働同一賃金のルールの観点から必要な対応をご説明します。

     

    弁護士西川暢春からのワンポイント解説
    上記のメトロコマース事件では、企業が命じられた賠償額は契約社員2名分で約100万円でした。契約社員が多数に上る会社では多額の支払いを命じられるリスクがあります。

    法律施行後は、正社員と非正規社員の格差がさらに注目され、格差部分についての請求や訴訟が起こる可能性が高いため、必ず法施行前に同一労働同一賃金ルールについて対応しておいてください。

     

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    ▼【関連情報】同一労働同一賃金に関わる働き方改革法については、こちらも合わせて確認してください。

    同一労働同一賃金とは?企業側で必要な対応も解説!

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    1,長期勤続の契約社員、パート社員への退職金不支給は違法

    結論から申し上げると、正社員については退職金を支給するのに、長期勤続の契約社員、パート社員には退職金を全く支給しないことは違法とされる可能性が高いです。

    以下、判例の事例をあげてご説明します。

     

    (1)勤続10年前後の契約社員への退職金不支給を違法とした事例

    メトロコマース事件(東京高裁平成31年2月20日)は、駅構内の売店で売店業務に従事する販売員について、正社員には退職金を支給するのに契約社員には支給しなかったことが問題になった事案です。

    この事案では、正社員と契約社員で配置転換の範囲や仕事の内容に違いがあり、企業側はその点を正社員にのみ退職金を支給することの理由づけとして主張しました。

    しかし、裁判所は、勤続10年前後になる契約社員に退職金を全く支給しないことは違法であると判断しています。

     

    (2)勤続7年半のパート社員への退職金不支給を違法とした事例

    一方、ニヤクコーポレーション事件(大分地裁平成25年12月10日)は、パート社員と正社員の退職金格差が違法とされた事例です。

     

    正社員とパート社員はいずれも運送ドライバーで、仕事の内容や異動の範囲に大きな差がなく、しかもパート社員についても約7年半雇用が継続されていました。

    それにもかかわらず、正社員には退職金を支給するがパート社員について支給していなかったことが違法と判断されました。

    このように、長期勤続のパート社員についても、正社員に退職金を支給しているのにパート社員であるから不支給とすることは、違法と判断される可能性が高いといえます。

    この判例については以下の記事でも詳しく解説していますのであわせてご参照ください。

    待遇格差には賠償命令も!法改正で義務付けられたパート社員と正社員の均等待遇とは?

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」
    厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドラインには、退職金について以下のように記載されており、詳細な言及がありません。

    「なお、この指針に原則となる考え方が示されていない退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇や、具体例に該当しない場合につい ても、不合理と認められる待遇の相違の解消等が求められる。」

    そのため、退職金については判例をもとに自社の制度を見直していく必要があります。

     

    2,契約社員、パート社員の退職金の見直し方法

    契約社員、パート社員の退職金の見直し方法

    メトロコマース事件(東京高裁平成31年2月20日)では、裁判所は、長期雇用を前提とした正社員に対する退職金を手厚くすること自体は不合理ではないとも述べており、契約社員に対して正社員と同額の退職金を支払うことまでは求めていません。

    裁判所は、契約社員には少なくとも正社員の退職金の4分の1相当額以上は支払うべきだとしています。

    また、労働契約法で、「契約社員の無期転換ルール」が定められ、通算5年以上の契約社員に無期限の雇用契約への転換を請求する権利が認められており、このことから、裁判所は勤続5年以上からは非正規社員であっても長期勤続と考える傾向があります。

    これらの点を踏まえれば、おおむね5年以上の長期勤続の契約社員、パート社員については、少なくとも正社員の退職金の4分の1以上は退職金を出すというのが、同一労働同一賃金ルールに基づく退職金制度の見直しにおける目安になるでしょう。

     

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    3,契約社員、パート社員に対する説明の準備をしておく

    「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」第14条2項では、契約社員やパート社員から、正社員との待遇の違いについて説明を求められた場合に企業は「待遇の相違の内容」や「相違の理由」を説明することが義務付けられています。

    そのため、契約社員、パート社員の退職金を正社員よりも低額に設定した場合は、その理由の説明を求められることがあり、企業としてどのような説明をするかをあらかじめ準備しておく必要があります。

    この点については、メトロコマース事件(東京高裁平成31年2月20日)の理由づけが参考になります。

     

    (1)メトロコマース事件(東京高裁平成31年2月20日)の理由づけについて

    この事件で、裁判所は退職金は「賃金の後払い部分」と「長期勤続に対する功労報償部分」があると指摘しています。

    そのうえで、契約社員については例えば1年単位の契約になるため、賃金の後払いは想定されておらず、退職金のうち「賃金の後払い部分」は存在しないという考え方をとっています。

    そのため、仮に契約社員が長期勤続しても、「長期勤続に対する功労報償部分」だけになるため、正社員との退職金の額の違いは許容されると判断しています。

    契約社員やパート社員から退職金の金額の違いについて説明を求められたときは、この判例を参考に、「1年ごとの契約であり、退職金のうち賃金の後払い部分はないため」という説明をすることが想定されます。

     

    4,基本給や手当、賞与についても点検が必要

    同一労働同一賃金の関係では、退職金だけでなく、基本給や手当、賞与についても、格差を違法とした判例が出ています。

     

    1,主な判例

    格差が違法とされた項目 格差を違法とした主な判例
    基本給 学校法人産業医科大学事件(福岡高裁)
    皆勤手当
    精勤手当
    井関松山製造所事件(松山地裁)
    長澤運輸事件(最高裁)
    ハマキョウレックス事件(最高裁)
    九水運輸商事事件(福岡高裁)
    通勤手当 ハマキョウレックス事件(最高裁)
    九水運輸商事事件(福岡高裁)
    給食手当 ハマキョウレックス事件(最高裁)
    住宅手当
    住居手当
    日本郵便事件(東京高裁)
    日本郵便事件(大阪高裁)
    メトロコマース事件(東京高裁)
    家族手当 井関松山製造所事件(松山地裁)
    賞与 ニヤクコーポレーション事件(大分地裁)
    大阪医科薬科大学事件(大阪高裁)

     

    これらの判例を踏まて、現時点で、正社員と契約社員やパート社員の待遇に格差があり、それが「同一労働同一賃金」のルールに違反する可能性がある場合は、法施行までに、契約社員やパート社員の待遇を見直すことが必要です。

     

    5,同一労働同一賃金を踏まえた賃金制度の見直し手順

    自社の賃金制度が同一労働同一賃金ルールに適合しているかどうかを見直すための具体的な手順は以下の通りです。

     

    (1)見直しの手順

     

    1,まず、自社に正社員以外にどのような種類の従業員(契約社員、パート社員、嘱託社員など)がいるのか確認することが必要です。

     

    2,次に、正社員に支給されている賃金項目(各種手当や賞与、退職金など)のうち、正社員以外には支給されていなかったり、計算方法や支給額が異なる賃金項目があるかどうかを確認します。

     

    3,賃金項目(各種手当や賞与、退職金など)ごとに、正社員とそれ以外の従業員の待遇差がある場合は、その待遇差を合理的に説明できるかを検証し、合理的に説明できない場合は待遇差を解消することが必要です。

     

    4,待遇差を解消するのと並行して、就業規則、賃金規程を見直すことが必要です。

     

    なお、同一労働同一賃金ルールに関する全般的な解説は、以下をご参照ください。

    2020年施行!同一労働同一賃金とは?企業側で必要な対応も解説!

     

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    6,咲くやこの花法律事務所なら同一労働同一賃金ルールについてこんなサポートが可能です!

    咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

    最後に咲くやこの花法律事務所における、「同一労働同一賃金ルールについてのサポート内容」をご説明します。

     

    (1)同一労働同一賃金ルールへの対応サポート

    同一労働同一賃金ルールが法律で定められたことに伴い、多くの企業で、就業規則や賃金規程の再確認、見直しが必要になります。

    咲くやこの花法律事務所でも、ご相談企業の就業規則や賃金制度が同一労働同一賃金ルールに問題ないかを検討し、就業規則や賃金制度の見直しが必要な場合は、改定案の作成その他必要な手続きをサポートします。

    同一労働同一賃金ルールへの対応でお困りの企業様はぜひ咲くやこの花法律事務所にご相談ください。

     

    咲くやこの花法律事務所の労務問題に強い弁護士の対応料金

    ●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)

     

    (2)新サービス!「働き方改革関連法」対応の診断&サポート

    「咲くやこの花法律事務所」では、企業の働き方改革関連法への対応をサポートするためのサービスとして、「働き方改革関連法」対応の診断&対策サポートサービスを行っています。

    働き方改革関連法に精通した弁護士が、企業の経営者あるいは担当者から法改正への対応状況についてヒアリングを行ったうえで、法改正への対応が正しくできているかを診断いたします。

    診断の結果、法改正への対応のために追加で必要な対応がある場合はその内容も詳しくご説明いたします。法改正への対応の不安をなくし、正しく対応できているかをご確認いただくために、ぜひご利用ください。

    なお、診断結果と必要な対策の内容については、弁護士による簡易レポートもご提供させていただきます。

    「働き方改革関連法」対応の診断&対策サポートサービスの詳細や料金については以下をご参照いただきますようにお願いいたします。

    働き方改革関連法対応の診断&サポートサービスの内容&料金はこちら

     

    7,同一労働同一賃金について「咲くやこの花法律事務所」に問い合わせる方法

    同一労働同一賃金に関する相談は、下記から気軽にお問い合わせください。咲くやこの花法律事務所の労働問題に強い弁護士によるサポート内容については「労働問題に強い弁護士のサポート内容」のページをご覧下さい。

    また、今すぐお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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    9,【関連情報】同一労働同一賃金に関連したその他のお役立ち情報

    今回は、「同一労働同一賃金と退職金について」詳しくご説明いたしました。

    働き方改革関連法が成立したことにより、多くの会社で同一労働同一賃金ルールにのっとった賃金制度の見直し、就業規則や賃金規程の改定が必要になることは、今回の記事でご理解いただけたと思います。

    同一労働同一賃金に関する対応を放置したり、また対応を誤ると重大なトラブルにつながることも多いです。ここでは、その他にも知っておくべき関連情報もご紹介しておきますので、合わせて確認しておきましょう。

    待遇格差には賠償命令も!法改正で義務付けられたパート社員と正社員の均等待遇とは?

     

    実際に従業員を雇用されている会社では、同一労働同一賃金の対応をしなければならないケースがこれから増えてきます。そのため、「対応方法」を事前に対策しておくことはもちろん、万が一のトラブルなどが発生した際は、スピード相談が早期解決の重要なポイントです。

    今回の記事のテーマにもなっている「同一労働同一賃金」などについては、「労働問題に強い弁護士」に相談するのはもちろん、普段から就業規則など自社の労務環境の整備を行っておくために「労働問題に強い顧問弁護士」にすぐに相談できる体制にもしておきましょう。

    労働問題に強い「咲くやこの花法律事務所」の顧問弁護士内容について

    【全国顧問先200社以上】顧問弁護士サービス内容・顧問料・実績について詳しくはこちら

    【大阪の企業様向け】顧問弁護士サービス(法律顧問の顧問契約)について詳しくはこちら

    顧問弁護士とは?その役割、費用と相場、必要性について解説

     

     

    記事作成弁護士:西川 暢春
    記事更新日:2019年05月29日

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    • 代表弁護士  西川 暢春
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      咲くやこの花法律事務所の代表弁護士。出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、病院・クリニック関連、顧問弁護士業務、その他企業法務全般」です。
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