こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
会社を長年経営していると、経営の浮き沈みはつきものです。
事業が傾いたとき、あるいは事業を変革するときに、経営者の責任として人員整理を実行する覚悟が必要なことがあります。
この記事では会社の人員整理について、「正社員の人員整理」、「パート社員の人員整理」、「派遣社員の人員整理」の各場面にわけて法的な注意点や進め方をご説明します。
最後まで読んでいただくことで人員整理の具体的な手順と注意点について理解していただける内容になっていますので、もれなく目を通していただくことをおすすめします。
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今回の記事で書かれている要点(目次)
1,人員整理とは
人員整理とは、企業が、事業の廃止や事業規模の縮小に伴い、従業員との雇用契約を解消することをいいます。従業員の一部と雇用契約を解消したうえで事業の再生をはかる「人員削減」のケースだけでなく、会社の清算や会社の破産に伴い従業員全員と雇用契約を解消することも人員整理と呼ばれます。
この記事では、事業の再生のために、従業員の一部と雇用契約を解消し、企業を存続させるケースを中心にご説明し、最後に、会社の清算や破産などのために従業員全員との雇用契約を解消するケースについてもご説明します。
2,人員整理の方法
人員整理の具体的な方法としては、まず、整理後の人員配置を検討し、どの事業部門あるいはどの職種を何人ずつ減らすのかという計画を立てることが必要です。
そのうえで、まずは、派遣社員、有期雇用のパート社員、契約社員を優先して人員削減していくことになります。
派遣社員の人員削減の方法としては、派遣契約終了のタイミングで更新しないことによる削減をすすめ、有期雇用のパート社員、契約社員については、雇用契約の期間満了のタイミングで雇用契約を更新しないこと(雇止め)による削減を進めることになります。
そのうえで、さらに、正社員の雇用に手を付ける必要があるときは、正社員について希望退職者の募集あるいは退職勧奨により、できるかぎり合意による退職を促すことになります。
そして、希望退職者の募集や退職勧奨を行っても、必要な人員整理の人数に達しないときは最終の手段として、整理解雇を進めることになります。
整理解雇は会社にとってリスクが高く、不当解雇であるなどとして訴えられ訴訟になるケースも多いため、できる限り、希望退職者の募集あるいは退職勧奨で必要な人員整理を終えることを目指す必要があります。
▶参考情報:希望退職の募集の進め方や面談の注意点5つ
▶参考情報:整理解雇とは?企業の弁護士がわかりやすく解説
以下で具体的な手順について見ていきたいと思います。
3,着手する前に検討するべきこと
人員整理に着手する前に以下の点をおさえておきましょう。
(1)日ごろから危機感を伝える
人員整理の場面では、会社がやむを得ない事情により人員整理をせざるを得ないということを従業員に説明し、理解してもらう必要があります。
しかし、日ごろ、経営について危機感を訴えていない会社が、ある日突然、会社が危機にあるという話を持ち出しても、従業員に理解させ、浸透させることができません。
人員整理の前段階として、常日頃から会社が危機にあるということを訴えて、人員整理の必要性が理解される下地を作っておくことが必要です。
(2)整理後の人員配置を確定させる
人員整理に取り掛かる前に、人員整理後に誰をどの部署に配置させて事業を続けるのかを確定させておくことが必要です。
これにより誰を人員整理の対象とするのかも決まることになります。
そして、整理後の人員配置を確定させる場面では、その人員配置で事業を運営した場合に、企業として収支がとれるのか、資金繰りが回るのかという点も確認しておく必要があります。
なお、資金繰りの計画には、人員整理に伴って支給する割増退職金を考慮に入れる必要があります。
(3)経営者としての責任の取り方を明確にする
従業員に人員整理に協力してもらうためには、経営者が責任をとったことを明確に示すことも必要です。
役員、管理職の人数を減らす、役員報酬をカットする、人員整理後の役員退任を表明するなど、企業に応じて適切な方法で、経営者としての責任の取り方を明確にすることが必要です。
(4)人員整理の順番を誤らない
人員整理の正しい順番は以下の通りです。
1,人員整理の順番について
前述の通り、派遣社員やパート社員、契約社員などの非正規社員がいる場合、非正規社員の人員整理を先に進め、それでもまだ人員に余剰が出る場合に限り、正社員の人員整理を検討するのが正しい順番です。
社会保険料や人件費の負担の観点から、正社員よりもパート社員を優先して残すという考え方は一見合理的ですが、社内の理解を得にくく、人員整理が進まない原因となります。
また、判例上も、正社員を人員整理のために解雇する場面では、派遣社員やパート社員、契約社員などの非正規社員を整理することが求められています。
非正規社員を残して正社員を解雇することは、不当解雇と判断される原因になりますので注意してください。
以下では、この点を踏まえていただいたうえで、説明の都合上、まず、正社員の人員整理についてご説明し、その後に、派遣社員、パート社員の人員整理についてご説明します。
4,正社員の解雇について
余剰人員を整理するための正社員の解雇は、「整理解雇」と呼ばれます。
整理解雇は、従業員の規律違反を理由とする懲戒解雇の場面や、能力不足の従業員の解雇の場面とは異なり、従業員に落ち度がない場面の解雇であることから、正当な解雇と認められるための法的なハードルは高いものになっています。
以下のように、正社員の整理解雇について、解雇後に、不当解雇であるとして従業員から訴訟を起こされて、企業側が敗訴する事例が少なくありません。
事例1:
トプコン事件(平成28年8月9日東京地方裁判所判決)
医療機器、測量機器等の製造販売を事業とする会社の整理解雇が不当解雇とされ、従業員2名に対して合計約2600万円の支払いが命じられた事例
事例2:
日本通信事件(平成24年2月29日東京地方裁判所判決)
不採算部門の従業員の整理解雇について不当解雇と判断され、従業員3名に対して合計約3000万円の支払いを命じられた事例
事例3:
クレディ・スイス事件(平成23年3月18日東京地方裁判所判決)
不採算部門の従業員の整理解雇について不当解雇と判断され、約1300万円の支払いを命じられた事例
(1)人員整理の必要性について
整理解雇が訴訟トラブルになった場合に、裁判所で正当な解雇と認められるか、あるいは不当解雇にあたるのかが判断されます。
その際にまず確認される点が、その企業における「人員整理の必要性」の程度です。
企業が債務超過に陥っていたり、赤字が続いていたりすれば、原則として、人員整理の必要性があるという判断がされます。
一方で、黒字であるが経営を合理化するために人員整理するというケースについては、裁判所の判断がわかれています。
黒字であっても人員整理の必要性があるとした判例もありますが、一方で黒字であることを理由に人員整理の必要性を否定して不当解雇であるとした判例(平成23年1月25日横浜地方裁判所判決等)もあります。
このように黒字企業の経営の合理化のための人員整理は、整理解雇により対応すると不当解雇とされるリスクが高いため、「5,退職勧奨や希望退職者の募集」で後述する希望退職者の募集や退職勧奨により行うべきです。
さらに、企業が人員整理と矛盾する行動をとっている場合も、裁判所で、「人員整理の必要性がなかった」と判断されやすいので注意が必要です。
例えば、人員整理後に大幅な賃上げをしたケースや、人員整理する一方で新規採用も行ったケースでは、人員整理の必要性がないとして不当解雇と判断されるリスクがあります。
(2)整理解雇を進める場合の注意点
整理解雇が不当解雇であると判断されないためには、企業の立場から、解雇を避けるためにできる限りの手を尽くしたが解雇以外の手段がなくやむを得ない場面であったことを裁判所に説明できるようにしておく必要があります。
その観点からは、以下の4つの点に注意して進めることが必要です。
1,人員整理の必要性を客観的に説明できるか
これについては「4−1,人員整理の必要性について」で前述した通りです。
2,解雇を避けるために最大限の努力をしたか
整理解雇は企業側からの一方的な通知により従業員の了解を得ることなく、企業側から雇用関係を終了する方法です。
企業は、人員整理にあたっては、整理解雇のような一方的な方法をできる限り避け、希望退職者の募集や退職勧奨により、従業員と合意のうえで雇用関係を解消する努力をするべきであるとされています。
従業員と合意のうえで雇用関係を解消する努力をせずにいきなり整理解雇に進む場合は、解雇を回避する義務を果たしていないとされて、不当解雇と判断されるリスクがあります。
3,解雇対象者の選定が客観的かつ合理的か
整理解雇は企業側の事情による解雇であるため、誰を解雇するかについては、客観的で合理的な基準(例えば45歳以上の従業員を解雇対象とするなどという年齢による基準など)を設定することが判例上、求められています。
企業側の自由な判断で誰を解雇対象にするかを決めることは許されていません。
4,従業員と十分な協議をしたか
整理解雇の場面では、従業員に対して、整理解雇の必要性や、整理解雇の時期、規模、方法などについて十分な説明をしたうえで、従業員との話し合いを行うことが判例上求められています。
以上で述べた4点は「整理解雇の4要素」とも呼ばれ、裁判所において整理解雇に正当性を認めるかどうかの重要なポイントとされています。
(3)人員整理の場面でも解雇予告通知書の準備が必要
人員整理の場面では、十分に従業員との話し合いをしたうえで、実際に解雇する日の30日前に解雇予告をすることが必要です。
解雇予告や解雇予告通知書の作成方法については以下で詳しく解説していますのでご参照ください。
▶参考情報:解雇予告についてわかりやすく解説!
(4)人員整理における解雇理由
解雇予告通知書には、解雇理由を記載することが通常です。
人員整理の場面では、要点としては「やむを得ない事由により、事業の縮小を行う必要が生じたため」ということを記載することになります。
ただし、不当解雇として訴えられるなどのトラブルを避けるためには、解雇理由の記載は簡潔にとどめるのではなく、十分な説明を記載したほうがよいです。
例えば、以下の点を記載するとよいでしょう。
解雇理由の記載例
- 会社において人員整理が必要な理由
- 解雇以外の経費削減手段も講じたがそれでも黒字化が難しくやむを得ず人員整理に至ったこと
- 解雇対象者をどのような基準で選定したのか、基準設定はどのような理由によるものか
- 従業員との話し合いの経緯
5,退職勧奨や希望退職者の募集
ここまで正社員の整理解雇についてご説明しましたが、整理解雇は正当な解雇と認められるためのハードルも高く、不当解雇であるとして訴えられたときの法的なリスクも高いです。
そのため、整理解雇は人員整理の最後の手段と位置づけ、できる限り、希望退職者の募集や退職勧奨など、よりリスクの低い方法により人員整理を行うべきです。
希望退職者の募集や退職勧奨は、どちらも、従業員に事情を説明したうえで合意のうえで雇用契約を終了する方法です。
従業員の同意を得ることが必要になりますが、その分、従業員の同意なく行う整理解雇と比べて、会社側のリスクを大きく下げることができます。
希望退職者の募集や退職勧奨については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
▶参考情報:中小企業のリストラ、2つの方法を弁護士が解説
(1)退職勧奨や希望退職者の募集の場面の退職金の相場
本人に落ち度がないけれども、人員整理の目的で、退職勧奨や希望退職者の募集をし、会社の都合で退職してもらうという場合、一定の退職割増金を会社から提示することにより、雇用関係終了に合意してもらうことが最もスタンダードな方法です。
この場合に、企業側から提示する退職割増金の額については、企業の規模や支払い余力、本人の年齢等によって大きく異なります。
大企業では月給の24ヶ月分を超えるような割増退職金が提示がされるケースも珍しくありません。一方で、中小企業においては、月給の6ヶ月分程度が1つの目安になることが多いでしょう。
月給の6ヶ月分を提示する根拠としては、例えば「失業継続期間」についての統計をもとに説明することも可能です。
2018年の統計では、男性従業員について離職後に失業状態が継続する期間(「失業継続期間」)の平均が約4ヶ月となっています。この統計に基づき、給与の4ヶ月分を失業中の生活を補償する意味合いで支給し、さらに有給休暇の未消化分などを考慮して、6ヶ月分といった説明も可能です。
統計については以下を参照してください。
・参照:ユースフル労働統計2019
6,パート社員の人員整理について
ここまで正社員の人員整理についてご説明しました。
正社員より就業時間が短いパート社員の人員整理についても、正社員と類似のルールが適用されるケースが多くなっています。
ただし、厳密には、有期雇用のパート社員なのか、それとも無期雇用のパート社員なのかによって適用されるルールが異なりますので、以下では分けて解説したいと思います。
有期雇用のパート社員と、無期雇用のパート社員の区別は以下の通りです。
●有期雇用のパート社員:
パート社員の雇用契約書や労働条件通知書で、例えば1年契約などというように雇用期間を定めて雇用されたパート社員
●無期雇用のパート社員:
パート社員の雇用契約書や労働条件通知書で雇用期間を定めずに雇用されたパート社員
(1)無期雇用のパート社員の人員整理について
無期雇用のパート社員については、合意により雇用を終了するか、それができない場合は、正社員と同様に整理解雇することになります。
無期雇用のパート社員の整理解雇については、正社員の整理解雇と同様に、整理解雇の4要素を考慮して正当な理由のある解雇か否かが判断されています。
参考判例:
東京地方裁判所平成20年5月16日判決
例えば、東京地方裁判所平成20年5月16日判決は、無期雇用のパート社員の整理解雇について、パート社員が不当解雇であるとして訴訟を起こし、裁判所が整理解雇の4要素をもとに判断した事例です。
裁判所は、会社が正社員よりもパート社員を優先して人員整理の対象としたことについては一定の合理性があるが、パート社員に対して事前説明なく解雇している点や、解雇回避のための努力が不十分であるなどの問題があり、不当解雇であるとして、会社を敗訴させています。
判決は、パート社員を復職させ、かつ、解雇したパート社員に約360万円の支払をすることを、会社に命じています。
(2)有期雇用のパート社員の場合
有期雇用のパート社員については、雇用契約期間中の解雇は原則として認められません。そのため、雇用契約の期間が終了したタイミングで、雇止めすることにより人員整理をすることが原則になります。
雇止めとは、有期雇用の従業員の雇用について、契約期間満了のタイミングで次回の更新をせずに雇用を打ち切ることをいいます。雇止めに関しての全般的な解説は以下の記事で詳しく説明していますので、ご参照ください。
ただし、パート社員の雇用契約の更新の手続が日ごろからルーズになっていた場合や、有期雇用のパート社員に臨時的な業務ではなく恒常的な業務に就かせていた場合には、雇止め法理というルールにより、雇止めが制限されることに注意が必要です。
雇止め法理が適用される場合は、正社員の整理解雇と同様に整理解雇の4要素を考慮して正当な理由のある雇止めか否かが判断されています。
参考判例:
横浜地方裁判所平成27年10月15日判決
例えば、横浜地方裁判所平成27年10月15日判決は、有期雇用のパート社員の雇止めについて、整理解雇の4要素をもとに判断し、不当な雇止めであるとして、会社を敗訴させています。
判決は、パート社員を復職させ、かつ、解雇したパート社員に約440万円を支払うことを会社に命じています。
(3)パート社員の人員整理のまとめ
ここまでご説明した通り、無期雇用のケースや、有期雇用であっても臨時的な業務ではなく恒常的な業務に就かせているケースでは、パート社員との雇用を一方的に終了させることは、法的なリスクを伴います。
合意により雇用を終了させるか、それができない場合は、正社員の整理解雇の4要素を踏まえたうえで雇用を終了させることが必要であることをおさえておいてください。
パート社員であっても簡単に人員整理ができるわけではなく丁寧な対応が必要です。
7,派遣社員の人員整理について
自社に派遣されている派遣社員の人員整理は、自社との雇用関係がないため、パート社員や正社員の人員整理と比較して、法的なリスクが小さいケースです。
ただし、以下の点に注意してください。
(1)期間途中の解除は注意が必要
派遣契約を期間の途中で解除する場合は以下の3点をおさえておいてください。
- 派遣元との合意が必要であり、一方的な解除はできないことが原則です。
- 派遣元が解除後の残りの契約期間について派遣社員を休業させる場合はその休業補償分を派遣先が負担する義務があります。
- 派遣元が派遣契約の解除を受けて、派遣社員を解雇する場合は解雇予告手当分を派遣先が負担する義務があります。
これらの点は、通常は、労働者派遣基本契約書に記載されています。
また、厚生労働省の「派遣先が講ずべき措置に関する指針(PDF)」でもこの点が定められており、派遣先が、派遣社員の休業補償分または解雇予告手当分の負担をすることが、法律上の義務にもなっています。
(2)期間満了のタイミングで契約を打ち切ることにより終了させる
このように、派遣契約を期間の途中で解除することについては制限があるため、派遣社員の人員整理は、派遣契約の期間満了のタイミングで、契約を更新しないことにより人員整理を実現することが適切です。
派遣契約を期間満了のタイミングで終了し、更新しないことについては法的な制限はありません。
但し、労働者派遣基本契約書などで、次の契約の更新をしない場合に、1ヶ月前の予告など、一定期間前に予告することが義務付けられているケースがありますので、契約書を早めに確認することが重要です。
この記事では派遣先が派遣社員を人員整理する場合についてご説明しました。
派遣会社が自社で雇用している派遣社員について人員整理を行うケースについては、以下で解説していますのでご参照ください。
・参考情報:派遣社員の解雇についてわかりやすく徹底解説!
8,コロナ禍での注意点
コロナ禍のもとで経営が悪化した企業による人員整理が報道されています。
しかし、コロナ禍という事情の中でも、企業による従業員の解雇については、ここまでご説明してきたような高いハードルが課されることは、平時とは変わりません。
リーマンショック後の不景気の場面でも、同様に多数の従業員の整理解雇が行われましたが、その一部が裁判所において不当解雇と判断されました。
コロナ禍の中でも、まずは従業員との話し合いにより雇用契約を解消する努力をし、解雇を回避する努力を怠らないことが重要です。
コロナ禍では雇用調整助成金の支給が充実しており、助成金の申請から支給までの期間もリーマンショック時と比べて大幅に短縮されています。
そのため、コロナ禍のもとで、整理解雇を行った場合、雇用調整助成金を受給すれば整理解雇しなくても済んだのではないかという観点から、「人員整理の必要性」について裁判所が厳しい判断をすることが予想されます。
9,会社の解散や清算の場合
ここまで、一部の従業員の人員整理を行ったうえで企業を存続させる場合を念頭にご説明してきました。
最後に、会社の解散や清算に伴い、全従業員を整理しなければならない場面についてもご説明しておきたいと思います。
会社の解散や清算、あるいは破産にともなう人員整理は、企業を存続させるために行う整理解雇とは異なり、原則として正当とされています。
これは、会社には解散の自由があるとされているためです。
参考判例:
平成25年9月25日静岡地方裁判所沼津支部判決
例えば、平成25年9月25日静岡地方裁判所沼津支部判決は、以下のように判示しています。
ただし、以下の点に注意が必要です。
●従業員を解雇するにあたっての手続的配慮を著しく欠いていると判断されると、会社の解散を理由とする解雇であっても不当解雇となります。
この観点から、解散のいきさつ、解雇せざるを得ない事情、解雇の条件などについて従業員に対して丁寧に説明することが必要です。
●事業の解散を装いつつ、実際には別の形で事業を継続するケースは、「偽装解散」と呼ばれます。
偽装解散による解雇は、不当解雇となります。
会社の解散や破産による解雇については、上記の通り原則として有効とされていますが、実際には、解雇した従業員から、偽装解散であるとの主張を受けたり、労働組合をつぶす目的での解散であるとの主張を受けるなどして、訴訟トラブルになるケースが少なくありません。
これらのトラブルを避けるためには、事前に弁護士に相談し、従業員に十分な説明を行うことが必要です。
10,咲くやこの花法律事務所なら「こんなサポートができます。」
最後に咲くやこの花法律事務所における企業向けのサポート内容をご説明します。
(1)企業の人員整理に関するご相談
咲くやこの花法律事務所では、企業の経営者、担当者から、企業の人員削減に関するご相談を承っています。
人員削減は対応を誤ると法的な紛争に発展する会社としてもリスクの高い場面です。必ず事前に弁護士にご相談いただき、具体的な進め方や手順に問題がないかをご確認いただきますようにお願いいたします。
咲くやこの花法律事務所の労務トラブルに精通した弁護士へのご相談費用
●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約の場合は無料)
(2)人員整理のトラブルに関する対応
咲くやこの花法律事務所では、非正規社員の雇止めに関するトラブル、正社員の解雇に関するトラブル、希望退職者の募集や退職勧奨に関するトラブルについて、企業側からのご相談をお受けしています。
これらのトラブルは、裁判に発展してしまうと深刻化しますので、裁判前に交渉により解決することが重要です。できる限り早いタイミングでご相談いただくにより、問題をこじらせず、良い解決につなげることができます。
咲くやこの花法律事務所では、労務問題に強い弁護士が、問題解決に向けて相手と直接交渉し、裁判前の解決を目指します。もし、お困りの際は、早めのご相談をおすすめします。
(3)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法
お問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
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記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2024年8月8日