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会社の解散から清算まで。会社の廃業の流れをわかりやすく解説

会社の解散から清算まで。会社の廃業の流れをわかりやすく解説
  • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
  • この記事を書いた弁護士

    西川 暢春(にしかわ のぶはる)

    咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
  • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で400社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。

会社の解散や清算について、わからないことがあって悩んでいませんか?

 

  • タイミングはいつがよいか
  • 従業員がいる場合の手続
  • 税金はどうなるか
  • 費用はどのくらいかかるのか
  • 債務超過の場合どうすればよいか

 

今回の記事ではこれらの会社の解散や精算、廃業について、わかりやすくご説明します。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」
解散や清算の手続きについては正しく行わなければ、清算手続きが後で無効とされてしまいます。実際にも清算の登記まで終わっているにもかかわらず、清算を無効と判断した判例が多数あります。また、清算事務について違法な点があれば、清算人個人が損害賠償責任を負うことが法律上定められています(会社法第653条)。

このような問題を起こさないためにも清算手続については弁護士にご相談ください。

 

▶参考:咲くやこの花法律事務所の会社の清算、廃業に関する解決実績を以下で紹介していますのでご参照ください。

設立間もない会社の破産について必要書類の不足を乗り越え、破産手続きを進めた事例

代表取締役が死亡したことによる会社の破産をサポートした事例

 

▼会社の解散や精算に関連する参考情報は、以下もご覧下さい。

会社の破産について解説

法人破産のデメリットについて解説

 

▼会社の解散や清算に関して今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

 

 

1,会社の解散、清算、廃業の流れ

まず最初に、会社の解散、清算、廃業の大まかな流れをご説明すると以下の通りです。

 

Step1:
従業員に退職してもらう、あるいは整理解雇する

Step2:
株主総会で解散の決議をする

Step3:
会社の清算手続きを行う

 

このように、「解散」→「清算」というのがおおまかな流れです。

 

1-1,会社の解散とは

会社の解散とは、会社の事業をやめることをいいます。

会社を解散することで、会社を清算して法人格を消滅させるための手続きがスタートします。

会社の解散は、株主総会を開いて解散を決議することにより行います。

 

1-2,会社の清算とは

会社の清算とは、会社の財産(不動産や機械など)を換金し、株主に会社の財産(残余財産)を分配する手続をいいます。

残余財産の分配の前に、売掛金など会社の債権がある場合はそれを回収し、借入金や仕入代金、賃金などの債務がある場合は弁済しておくことが必要です。

 

1-3,債務超過の場合は解散・清算できないか?

会社が債務超過の場合は、会社の財産(不動産や機械など)を換金しても、借入金や仕入代金などの債務を支払い切ることができません。

その場合は、会社を解散して清算するという流れで会社を廃業させることはできません。

破産手続きあるいは特別清算の手続きが必要になります。

破産手続きあるいは特別清算手続きについては以下をご参照ください。

 

 

▶︎参考情報:

債務があるのにこれを無視して清算したり、あるいは債権者であると主張している人あるいは会社があるのに無視して清算することは法令違反となり、清算人が損害賠償責任を負担することになりますので、注意が必要です(会社法653条)。

・参照:会社法条文はこちら

 

1-4,従業員に退職してもらう、あるいは整理解雇が必要

解散、清算手続きの中で、従業員に退職してもらうことが必要です。

従業員に退職を了解してもらい、退職してもらうことがベストですが、従業員が退職に同意しないときは整理解雇することになります。

整理解雇については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

 

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」
整理解雇については多くの注意点があり、手続に問題があると、清算中に訴訟が起きて、清算に大きな支障になることもあります。

弁護士に事前にご相談いただき、手続の方法や進め方について十分検討してから進めることが必要です。

 

1-5,税金の滞納がある会社の清算

廃業する会社の法人税や消費税に滞納がある場合、税金は全て納付してから清算する必要があります。

これを怠ると、清算人個人が納税義務を負うことになりますので注意してください。

 

1-6,税金が払えない場合

もし、会社の財産で、法人税、消費税を支払うことができない場合は、債務超過ということになり、通常の清算ではなく、破産あるいは特別清算が必要です。

会社を破産あるいは特別清算すれば、税金の支払義務は消滅します。

 

1-7,廃業のタイミング

解散・清算による廃業のタイミングが遅れることには以下の問題点があります。

 

  • タイミングが遅れて、会社が債務超過になると、通常の清算手続を行うことはできず、破産あるいは特別清算が必要になります。
  • タイミングが遅れると、解散や清算の手続に必要な費用をねん出できなくなる恐れがあります。
  • 社長が会社に対して貸し付けている貸付金がある場合に、清算前に万が一社長が亡くなったときは、会社貸付金に相続税がかかってしまいます。

 

これらの点を踏まえると、債務超過に陥いる前に早めに解散、清算することが望ましいといえるでしょう。

 

2,手続きの流れ

会社の解散・清算手続の流れは以下の通りです。

 

(1)株主総会で会社の解散を決議する

まず、株主総会の招集通知を正しく送り、会社の解散を決議する必要があります。

このときにあわせて、「清算人の選任」と「定款の変更」も決議する必要があります。

「清算人の選任」は、清算手続を行う人を選ぶ株主総会決議です。

一般的には、これまでの代表取締役が就任しますが、株主総会決議で弁護士などの専門家を清算人にすることも可能です。清算人は住所や氏名が登記されます。

「定款の変更」は、取締役を廃止して清算人が就任することについて定款変更を行うために、株主総会で決議する必要があります。

 

1,清算人の責任について

清算人には、法令で定めるとおりの手順で正しく会社を清算する責任があります。

 

▶︎参考情報:会社法第653条について

会社法第653条は「清算人がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該清算人は、連帯して、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」としています。

 

清算手続きに不備があれば、債権者に対して、この条文により清算人個人が責任を負うことになります。

 

2,清算人の報酬と資格

清算人について特別な資格は必要ありません。

「欠格事由」といって、前科があり刑の執行中の人や、成年被後見人は清算人になれないことが法律上定められていますが、通常の個人であれば問題になることはありません。

仮に過去に破産歴があっても清算人になることに支障はありません。

清算人に対する報酬は清算会社の資産の中から支出することができます。報酬の額は株主総会で定めることが通常です。

 

(2)解散の登記をする

会社が解散した場合、2週間以内に、解散したことを登記する必要があります。

 

(3)財産目録及び貸借対照表の作成と承認

清算人は、清算開始時点の会社の財産目録と貸借対照表を作成し、株主総会で承認を得ることが必要です。

 

(4)公告・催告

会社を清算する際は、会社に対して債権を持っている会社や個人に対して名乗り出て弁済をうける機会を与えることが必要です。

これを、「公告・催告」といいます。

 

1,公告とは

公告とは公に知らせる手続を言います。

会社は、解散後に、官報で、会社の債権者に債権の申出を促す公告手続きを行わなければなりません。

官報とは政府が発行する公の広報誌のようなものです。官報については以下をご参照ください。

 

 

2,催告とは

公告とは別に、会社が認識している債権者については、個別に文書で通知して、債権の内容について申し出るように、促すことが必要です。

これを「催告」といいます。

 

(5)清算事務

清算事務として以下のことを行う必要があります。

 

  • 取引先との契約の解除
  • 会社財産の売却、換金
  • 売掛金や貸付金などの債権がある場合はその取立
  • 債務の弁済

 

(6)残余財産の分配

清算事務が終わった後に、会社に残っている財産があれば、株主に分配します。

 

(7)清算事務の終了

清算事務が終了したときは、決算報告書を作成して、株主総会の承認を得る必要があります。

 

(8)清算決了の登記

清算事務が終了して決算について承認を得たときは、清算決了の登記を行います。

 

これにより清算が終了します。

清算人は、清算に関する重要資料を清算決了の登記の後10年間保管する義務があります。

 

3,会社を解散、清算する場合の弁護士費用

会社を解散、清算する場合の弁護士費用

会社を解散、清算する場合の弁護士費用は実費分もあわせて、60万円から70万円くらいになるのが通常です。

内訳はおおむね以下の通りです。

 

(1)弁護士費用の内訳一覧

●弁護士費用(通常の場合):50万円+税
●会社解散の登録免許税:3万円
●清算人選任の登録免許税:9000円
●清算決了の登録免許税:2000円
●官報広告費:約3万9000円

※従業員の解雇を弁護士が行う場合は、これに10万円程度の費用が加算されます。

 

▶︎参考情報:破産や特別清算に必要な費用一覧

破産や特別清算についてはおおむね以下の通りです。

●会社の破産:合計80万円程度
●特別清算:合計120万円程度

 

4,咲くやこの花法律事務所なら「こんなサポートができます」

咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

咲くやこの花法律事務所では法人の解散、清算、破産、特別清算に関するご相談を常時、会社経営者の方々から承っています。

法人の清算を考える場面では不安が大きいと思いますが、ご相談いただくと不安が解消され、進むべき道が明確になります。

早めにご相談いただくことがすっきりした解決の第一歩です。

 

咲くやこの花法律事務所の法人の清算に強い弁護士への相談料

●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)

 

5,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法

咲くやこの花法律事務所の会社の解散や清算、廃業に関するお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

 

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記事作成弁護士:西川 暢春
記事作成日:2020年05月08日

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