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2015年派遣法改正を踏まえた「労働者派遣基本契約書」作成の注意点【雛形付き】

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  • 2015年の派遣法改正を踏まえた「労働者派遣基本契約書」作成の注意点について
    • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
    • この記事を書いた弁護士

      西川 暢春(にしかわ のぶはる)

      咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
    • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で300社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

    派遣会社の皆様、2015年9月の労働者派遣法改正への対応はお済みでしょうか?

    これまで、咲くや企業法務.NETでも、2015年9月の労働者派遣法改正に関連して、「労働者派遣法改正の内容」をはじめ、「労働者派遣個別契約書」、「派遣社員就業規則」、「派遣元管理台帳」の作成についての情報を提供してきました。

    今回は、2015年9月の労働者派遣法改正を踏まえた「労働者派遣基本契約書」作成の注意点についてご説明したいと思います。

    派遣会社にとっては、必ず対応しておく必要がある重要な内容ですので、確認しておいてください。

     

    ▶【参考情報】派遣業に関するに関する「咲くやこの花法律事務所の解決実績」は、こちらをご覧ください。

     

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    「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

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    ※個人の方(労働者側)からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。

     

     

    1,2015年派遣法改正を踏まえた「労働者派遣基本契約書」作成の2つの注意点

    多くの派遣会社で、派遣先とはまず労働者派遣に関する「基本契約書」を締結したうえで、派遣料金や派遣の期間など個別の内容については、派遣が決まるたびに「個別契約書」で定めるという形式をとっておられると思います。

    そして、労働者派遣基本契約書の内容は派遣会社によって少しずつ違いがありますが、おおむね共通しており、今回の2015年派遣法改正を踏まえて、一般的に修正などの対応が必要になる点は、以下の2点です。

     

    (1)2015年に派遣法改正を踏まえた労働者派遣基本契約書作成の2つの注意点

    注意点1:
    抵触日の通知ルールに関する契約条項作成のポイント

    注意点2:
    求人情報の周知ルールに関する契約条項作成のポイント

     

    以下で順番に、これらの項目に関する労働者派遣法改正の内容と、改正を踏まえた契約条項作成のポイントをご説明していきたいと思います。

     

    1−1,注意点1:
    抵触日の通知ルールに関する契約条項作成のポイント

    2015年の派遣法改正を踏まえた労働者派遣基本契約書作成の注意点の1つ目は、「抵触日の通知ルールに関する契約条項作成のポイント」です。

    まずは、抵触日の通知に関する労働者派遣法の基本ルールと、それについての改正の内容をご説明したうえで、改正に対応する契約条項作成のポイントをご説明します。

     

    (1)抵触日の通知に関する労働者派遣法の基本ルールについて

    労働者派遣法は、「派遣先企業から派遣会社に対して抵触日の通知をすること」を義務付けています。

     

    ▶参考情報:抵触日とは?:

    ここでいう「抵触日」とは、労働者派遣法で同じ事業所で労働者派遣を利用できる期間が原則として3年までに制限されている関係で、その事業所で労働者派遣を利用できる期間が経過して労働者派遣を利用できなくなる最初の日のことを指しています。

     

    2015年の労働者派遣法改正により、同じ事業所について労働者派遣を利用できるのは原則3年までとなりましたが、3年を超えて労働者派遣を利用する場合は、労働者代表の意見を聴くなどの延長の手続をとれば延長が可能になることが決まりました。

    そして、労働者派遣法で、「派遣先企業から派遣会社に対して抵触日の通知をすること」を義務付けている理由は以下の2点です。

     

    (2)労働者派遣法で抵触日の通知が義務付けられている理由

    理由1:

    派遣会社としては、派遣先企業が自社だけでなく他の派遣会社も利用しているケースがあるため、派遣先企業の事業所でいつから労働者派遣を受け入れ始めたかが把握できず、派遣先から抵触日を通知してもらわなければ、いつまで派遣ができるのかがわからないこと

     

    理由2:

    派遣可能期間を延長する手続きは派遣先企業で行われるため、派遣会社としては、派遣先からの連絡がなければいつまで派遣ができるのかがわからないこと

     

    上記の2つの理由から、「派遣先企業から派遣会社に対して抵触日の通知をすること」を義務付けられています。

    次に、この抵触日の通知のルールについての2015年の労働者派遣法改正による変更点を見ていきましょう。

     

    (3)抵触日の通知に関する2015年の労働者派遣法改正による変更点について

    抵触日の通知に関するルールは、派遣法改正前からもありました。

    しかし、改正前は、一部の業務(法令26業務)については、期間制限がなかったため、これらの業務は抵触日の通知は必要がなく、法令26業務以外の業務のみ抵触日の通知が義務付けられていました。

    この点が、2015年の派遣法改正で変更になり、60歳以上の派遣労働者の派遣を受け入れるケースなどの例外的な場合を除き、原則としてすべての業務について、抵触日の通知が必要になりました。

    表にまとめると、以下の通りです。

     

    抵触日の通知に関する2015年の労働者派遣法改正による変更点のまとめ

    派遣法改正前 派遣法改正後
    法令26業務 抵触日の通知不要 原則としてすべての業務について抵触日の通知が必要
    法令26業務以外の業務 抵触日の通知必要 原則としてすべての業務について抵触日の通知が必要

     

    では、2015年の派遣法改正による変更点を踏まえて、改正に対応する契約条項作成のポイントを見ていきましょう。

     

    (4)2015年派遣法改正に対応した、抵触日の通知に関する契約条項作成のポイント

    前述のとおり、派遣法改正前は、法令26業務以外の業務のみ抵触日の通知が義務付けられていたことから、派遣法改正前の労働者派遣基本契約書の多くに、法令26業務以外の業務についてのみ抵触日の通知を派遣先企業に義務付ける内容の契約条項が入っていました。

    しかし、2015年の派遣法改正で、原則としてすべての業務について、抵触日の通知が必要になりましたので、抵触日の通知を義務付ける内容の契約条項を修正する必要があります。

    派遣法改正に対応した具体的な契約条項例は以下の通りです。

     

    ▶参考情報:2015年派遣法改正に対応した、抵触日の通知に関する契約条項例

    第〇条(派遣可能期間と抵触日の通知)

    1 派遣先企業及び派遣会社は、派遣就業の場所ごとの業務について、派遣可能期間(3年間、ただし、意見聴取手続を経て延長された場合は延長された期間をあわせた期間)を超えて、派遣労働者を受け入れ又は派遣してはならない。

    2 派遣先企業は派遣会社と個別契約を締結するにあたり、あらかじめ、派遣会社に対し、派遣受入可能期間の制限に抵触することとなる最初の日(以下「抵触日」という。)を書面の交付等により通知するものとする。

    3 派遣先企業が、個別契約の締結後に、意見聴取手続を経て派遣可能期間を延長した場合も、その都度、派遣会社に対して、同様の方法により抵触日の通知をするものとする。

    4 労働者派遣法第40条の2第1項但書により、派遣可能期間の制限のない場合は、本条は適用しない。

     

    この契約条項例では、以下のように記載されています。

     

    第1項:

    労働者派遣法の派遣可能期間の制限を超えて派遣はできないことを記載しています。

     

    第2項:

    派遣会社が派遣先企業と個別契約を締結する場合は、労働者派遣法の規定に基づき、派遣先企業が派遣会社に抵触日を通知しなければならないことを記載しています。

     

    第3項:

    派遣先企業が派遣可能期間の延長の手続をした場合も、労働者派遣法の規定に基づき、派遣先企業が派遣会社に延長手続き後の抵触日を通知しなければならないことを記載しています。

     

    第4項:

    労働者派遣法により、60歳以上の派遣労働者の派遣を受け入れるケースなど一定の場合は例外的に派遣可能期間の制限がなく、抵触日の通知も必要ありませんので、そのことを記載しています。

     

    以上が、抵触日の通知ルールに関する契約条項作成のポイントになります。

    自社の労働者派遣基本契約書を確認し、もし改正への対応がまだできていない場合は、早急に対応しておきましょう。

    なお、2015年の派遣法改正では、「派遣先の事業所単位の期間制限による抵触日」のほかに、「派遣社員個人単位の期間制限による抵触日」が設けられました。

    しかし、「派遣社員個人単位の期間制限による抵触日」は、派遣先企業と派遣会社の間で通知の必要がありませんので、労働者派遣基本契約書に盛り込む必要はありません。

    上記の契約条項例のように、派遣先の事業所単位の期間制限による抵触日の通知に関する契約条項のみ入れておけば問題ありません。

     

    1−2,注意点2:
    求人情報の周知ルールに関する契約条項作成のポイント

    2015年の派遣法改正を踏まえた労働者派遣基本契約書作成の注意点の2つ目は、「求人情報の周知のルールに関する契約条項作成のポイント」です。

    まずは、労働者派遣法改正で新たに義務付けられた「求人情報の周知に関するルール」の内容をご説明したうえで、改正に対応する契約条項作成のポイントをご説明します。

     

    (1)労働者派遣法改正で新設された、求人情報の周知に関するルールについて

    2015年労働者派遣法改正で求人情報の周知について、以下のルールが新設されました。

     

    『派遣先企業は、同じ事業所で1年以上継続して同じ派遣労働者の派遣を受けている場合に、新しくその事業所で働く正社員の募集を行うときは、募集内容を派遣労働者に周知しなければならない』

     

    このように求人情報の周知が義務付けられたのは、1年以上派遣されている派遣労働者がいる事業所について新しく正社員の求人をする場合は、派遣先企業に対し、求人の内容を派遣労働者に知らせることを義務付けて、派遣労働者が派遣先企業に正社員として採用される機会を与えるためです。

    では、次に、上記の点を踏まえて、2015年の派遣法改正に対応した、求人情報の周知に関する契約条項作成のポイントについて、ご説明したいと思います。

     

    (2)2015年の派遣法改正に対応した、求人情報の周知に関する契約条項作成のポイント

    求人情報の周知に関するルールは2015年の派遣法改正で新設されたルールです。そのため、労働者派遣基本契約書にも新たに、「求人情報の周知のルール」に基づく契約条項を入れる必要があります。

    改正に対応した「求人情報の周知のルール」に関する契約条項例は以下の通りです。

     

    ▶参考情報:2015年派遣法改正に対応した、求人情報の周知に関する契約条項例

    第〇条(求人内容の周知義務)

    派遣先企業は、同一の事業所において1年以上の期間継続して同一の派遣労働者の労働者派遣を受けている場合において、当該事業所に従事する通常の労働者の募集を行うときは、業務の内容、賃金、労働時間、その他の当該募集に関する事項を当該派遣労働者に周知しなければならない。

     

    こちらについても、自社の労働者派遣基本契約書を確認し、改正への対応がまだできていない場合は、早急に対応しておきましょう。

     

    2,【補足1】
    派遣社員の金銭取扱業務等禁止についての契約条項の作成のポイント

    以上の2点が労働者派遣法改正にともなって必要となる労働者派遣基本契約書の修正点ですが、以下では、労働者派遣基本契約書に関する、その他の重要な注意点についても簡単に「補足」しておきたいと思います。

    まず、重要な注意点の補足の1点目として、「派遣社員の金銭取扱業務等禁止についての契約条項の作成のポイント」についてご説明したいと思います。

    労働者派遣基本契約書には、「派遣社員に金銭や貴重品などを取り扱わせることを禁止する」内容の契約条項を入れておくことがお薦めです。

    これは、派遣先企業において派遣社員に金銭や貴重品を取り扱わせると、万が一派遣社員が金銭や貴重品を横領したり、紛失するなどして派遣先企業に被害を与えた場合、その損害を派遣先企業から派遣会社に請求されるなどして、損害賠償トラブルに発展する可能性があるためです。

    また、金銭の取扱以外とは別に、自動車の運転も、派遣社員が交通事故を起こして派遣先企業に被害を与えた場合、派遣先企業から派遣会社に請求される可能性がありますので、派遣社員に担当させることを禁止しておくことがお薦めです。

    派遣社員の金銭取扱業務等禁止についての契約条項の例は、以下のとおりですので、参考にしてください。

     

    ▶参考情報:派遣社員の金銭取扱業務等禁止についての契約条項例

    第〇条(金銭の取扱い、自動車の運転業務等の禁止)

    派遣先企業は、派遣労働者に現金、有価証券その他これに類する証券及び貴重品の取扱いをさせ、あるいは車両を運転させる業務などの特別な業務(以下では総じて「特別業務」という)に就労させてはならない。
    ただし、派遣先企業において、派遣労働者を特別業務に就労させる必要やむを得ない事由がある場合に、派遣会社と事前に協議して別途特別業務への就労を認める覚書を締結した場合に限り、派遣先企業は、その合意の範囲内で派遣労働者を特別業務に就労させることができる。

     

    自社の労働者派遣基本契約書のひな形を確認し、もし、金銭取扱等の業務を禁止する内容の契約条項が入っていないときは、この機会に入れておかれることをお薦めします。

     

    3,【補足2】
    労働者派遣契約書の印紙代について

    次に、重要な注意点の補足の2点目として、「労働者派遣基本契約書の印紙代」についてもご説明しておきたいと思います。

    結論からいうと、労働者派遣基本契約書や労働者派遣個別契約書には、印紙を貼る必要はありません。

    印紙税法上、「継続的取引の基本となる契約書」や「請負に関する契約書」には印紙を貼る必要がありますが、労働者派遣に関する契約書はこのどちらにもあたらないためです。

    一見、労働者派遣基本契約書は「継続的取引の基本となる契約書」にあたりそうにも思いますが、「継続的取引の基本となる契約書」にあたるのは、売買、運送、請負など印紙税法に定められた特定の取引を継続的に行う関係にある場合に作成する基本契約書に限ることが法律で決められており、労働者派遣の場合は該当しません。また、労働者派遣は請負とは別のものですので、「請負に関する契約書」にもあたりません。

    そのため、労働者派遣基本契約書にも労働者派遣個別契約書にも、印紙を貼る必要はないという結論になるのです。

    この点も労働者派遣に関する契約書についてよくご質問いただく点ですので、覚えておきましょう。

     

    4,2015年9月労働者派遣法改正に対応「労働者派遣基本契約書」の雛形ダウンロード

    2015年9月の労働者派遣法改正に対応した労働者派遣基本契約書の雛形は、以下よりダウンロードしていただけます。

    こちらもダウンロードしていただいて、ご参照ください。

     

    2015年9月労働者派遣法改正に対応した労働者派遣基本契約書の雛形(サンプル)ダウンロードはこちら

    雛形ダウンロードはこちら(doc)

     

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    8,まとめ

    今回は、2015年9月の労働者派遣法改正に踏まえた労働者派遣基本契約書作成の注意点として、以下の2点をご説明しました。

     

    注意点1:
    抵触日の通知ルールに関する契約条項作成のポイント

    注意点2:
    求人情報の周知ルールに関する契約条項作成のポイント

     

    また、労働者派遣基本契約書に関するその他の重要な注意点として、以下の2点を補足でご説明しました。

     

    補足1:
    派遣社員の金銭取扱業務等禁止についての契約条項の作成のポイント

    補足2:
    労働者派遣契約書の印紙代について

     

    いずれも派遣会社の方にとっては、重要な内容ですので、ぜひ確認しておいてください。

     

    9,【関連情報】労働者派遣法改正に関するニュースを見る

    【話題の法律ニュース】平成27年9月の労働者派遣法改正の内容と、企業側で必要な対応をご紹介。

     

     

    記事作成弁護士:西川 暢春
    記事更新日:2020年11月06日

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