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逆パワハラとは?具体的な対処法を事例や裁判例付きで徹底解説

逆パワハラとは?具体的な対処法を事例や裁判例付きで徹底解説
  • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
  • この記事を書いた弁護士

    西川 暢春(にしかわ のぶはる)

    咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
  • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で400社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。

最近は、問題社員の言動が「逆パワハラ」と呼ばれることも増えてきました。逆パワハラという言葉に正式な定義があるわけではありませんが、いわゆる「パワハラ」を部下が上司や社長に対して行うケースをいうことが通常です。

逆パワハラは、「部下が上司に従う」という会社組織の大原則を破壊することにもつながりかねず、会社内の秩序をゆるがす重大な問題です。また、逆パワハラを放置すると、逆パワハラを受けた上司がうつ病などの精神疾患になってしまう、休職を余儀なくされるなどのケースもあり、会社が逆パワハラの被害者に対して安全配慮義務違反として損害賠償責任を負うことにもなりかねません。

実際に、北九州の産業医科大学で50代の男性教授が、部下である准教授による逆パワハラ行為により休職を余儀なくされたとして、部下だけでなく大学に対しても約1100万円の損害賠償を求める訴訟を提起したことがニュ―スになっています。さらに、公務員の世界でも、令和4年12月、神奈川県の海上自衛隊厚木航空基地に所属する50代の自衛官が、5人の上司に対して、暴言などのパワーハラスメントを繰り返したとして、懲戒免職処分とされたことが報道されました。上司5名に対し、「黙ってろ」とか「ばかじゃないの」といった暴言を繰り返したり、病歴をからかうような発言をし、被害を受けた上司のうち4人が精神疾患を発症したと報道されており、逆パワハラ事例の1つといえるでしょう。

今回は、最近相談が増えている「逆パワハラ」について、具体的な事例をご紹介したうえで、逆パワハラが生まれる原因、逆パワハラへの正しい対策方法などをご説明します。この記事を最後まで読んでいただくことで、きっとあなたの会社にとっても実践的かつ有効な対処策がわかるはずです。

 

▶参考情報:なお、パワハラの基礎知識をはじめとする全般的な説明については、以下の記事で詳しく解説していますので事前にご参照ください。

パワハラとは?わかりやすい解説まとめ

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

逆パワハラを放置すると、エスカレートし、どんどん、会社組織が壊れる方向に進むため、非常に危険です。一方で自社の判断で逆パワハラの問題を起こしている部下を解雇してしまうと、解雇紛争に発展し、会社側が敗訴するという重大なリスクを抱えることにもなりかねません。逆パワハラ問題が発生したときは早期に弁護士に相談し、弁護士に介入してもらって職場を正常化するなど正しい対処策をとることが必要不可欠です。弁護士にトラブル解決を依頼するメリットなど詳しくは以下もご参照ください。

 

・参考情報:パワハラに強い弁護士にトラブル解決を依頼するメリットと費用の目安

 

咲くやこの花法律事務所の逆パワハラ問題への対応、問題社員対応に関する解決実績は以下をご参照ください。

教職員が集団で上司に詰め寄り逆パワハラが発生!学校から弁護士が相談を受けて解決した事例

業務に支障を生じさせるようになった従業員について、弁護士が介入して規律をただし、退職をしてもらった事例

 

▼【関連動画】この記事の著者 弁護士 西川暢春が「逆パワハラとは?企業がとるべき対応」を詳しく解説中!

 

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1,逆パワハラとは?

逆パワハラとは?

逆パワハラとは、部下から上司に対して行われるパワーハラスメントです。その典型例は以下の通りです。

  • 部下の上司に対する「暴言」・「暴力」
  • 部下の上司に対する執拗な「誹謗中傷」または「無視」
  • 理由なく、上司の言動がハラスメントであると主張して、上司の処分を求めたり、上司の指示に反発したりする言動

通常、パワハラは、上司の部下に対する言動について問題になりますが、これとは逆のパターンになることから、「逆パワハラ」などと呼ばれます。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

「逆パワハラ」は、通常のパワハラとは異なり、組織の上下関係の乱れの問題であり、放置すると、会社組織、職場の崩壊さえもたらしかねないという点に特徴があります。筆者の経験上、逆パワハラが問題になる事案では、会社組織が自力でそれに対処するだけの力を失ってしまっており、弁護士が積極的に介入して対処しなければ組織を正常化できないケースが多いです。また、逆パワハラの問題を起こしている部下を解雇することは、紛争リスクが大きく逆効果となりがちですので、解雇以外の方法で解決することが適切です。

 

(1)厚生労働省の定義でも逆パワハラが認められている

労働施策総合推進法では、パワーハラスメントを、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されること」と定義しています。

 

▶参考情報:パワハラの定義については、以下の参考記事や動画で詳しく解説していますのでご参照ください。

パワハラの定義とは?わかりやすく解説

 

▶【関連動画】パワハラの定義とは?裁判例をもとに弁護士が解説【前編】

 

そして、この法律に基づき定められた厚生労働省の指針には、「優越的な関係を背景とした言動」には以下のような部下の言動も含まれることが明記されています。

 

  • 部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
  • 部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの

 

▶参照元:厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)【令和2年6月1日適用】 」(pdf)

 

このように厚生労働省の定義では、「逆パワハラ」は「パワーハラスメント」の1種として扱われていると言えるでしょう。

 

2,どんな言動が該当するのか?部下による逆パワハラの事例

実際の逆パワハラの事例としては以下のようなケースがあげられます。

 

(1)上司に対する暴言(侮辱や名誉毀損、人格否定的発言)

上司に対して「おまえのいうことなど聴く必要はない」「おまえが無能だからだめなんだ」などといった暴言を浴びせるケースです。他の従業員の面前で上司の名前を呼び捨てにするといったことも、これに該当することがあります。

ただし、部下が上司に反発して突発的に暴言を吐いたとしても逆パワハラに該当するわけではありません。

前述のパワハラの定義にもあるように、「優越的な関係を背景とした言動」であることがパワハラの要件です。そのような関係が背景にない場合は、単なる業務命令違反または上司に対する誹謗中傷として、対応すべきでしょう。

パワハラの暴言について、もっと事例などを詳しくご覧になりたい方は以下の記事をご参照ください。

 

 

(2)上司に対する暴力

上司の胸ぐらをつかんで怒鳴る、上司の机を足で蹴るといったケースです。

ただし、暴力についても、部下が上司に反発して突発的に暴力をふるっても逆パワハラに該当するわけではありません。前述のパワハラの定義にもあるように、「優越的な関係を背景とした言動」であることがパワハラの要件です。従って、日ごろから部下が上司に対して優越する関係にあり、上司が逆らえないような関係性のもとで行われる暴力が逆パワハラにあたる暴力ということができます。

 

(3)上司に対する誹謗中傷

SNSなど公の場で、上司を名指しして、「ハラスメント行為を繰り返している」、「不正行為をしている」「横領している」などといった誹謗中傷を繰り返すケースです。また、零細企業では、社長に対する逆パワハラの事例として、理由もなく「ブラック企業だ」などと他の従業員に言って回るといった例もあります。

ただし、その誹謗中傷が、部下が上司の業務等について法令違反があったと主張する内容の場合、部下が実際にそのように思い込んで社内の内部通報制度を利用して通報するなどの行為は、公益通報者保護法第5条1項(以下、参照)により保護されることがあることに注意が必要です。

 

▶参考情報:公益通報者保護法第5条1項

「第三条に規定するもののほか、第二条第一項第一号に定める事業者は、その使用し、又は使用していた公益通報者が第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、降格、減給、退職金の不支給その他不利益な取扱いをしてはならない。」

・参照元:公益通報者保護法の条文はこちら

 

(4)上司の業務命令に対する執拗な反発、反論

上司からの業務命令に対して、いちいち反発して聴き入れず、反論を繰り返して、従わないケースです。他の従業員の面前で「あなたのやり方じゃ、だめなんだ!」と反発して従わない態度を執拗に繰り返すといったケースが典型例です。また、顧客の前でも、上司に従わない態度をとり、上司に対する威圧的言動をする、大声を出す、机をたたくなどといった例も存在します。

 

(5)上司に対する無視、人間関係からの隔離

上司が部下の力を借りないとできない作業について上司に協力せず、指示を無視するなどのケースです。また、上司の業務指示を集団的に無視する「人間関係からの隔離」も、逆パワハラにあたり得ます。

 

(6)ありもしないハラスメントの訴え

例えば、上司からパワハラを受けたなどと主張したうえで、正当な業務命令に対しても、「パワハラである」などと反発して従わなかったり、正当な業務上の指示に対して「パワハラを訴えたことへの報復、嫌がらせである」などとクレームを付けて従わないケースです。上司の正当な業務指示に対しても、慰謝料を要求したり、「パワハラで訴える」などとして上司を威嚇するケースも存在します。

具体的なパワハラにおける事例は、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。

 

 

3,逆パワハラが起きる原因

社内で逆パワハラが起きる原因としては以下のような点が考えられます。自社の労務環境や労務管理のやり方が逆パワハラの原因を作ってしまっていないかチェックしてみてください。

 

(1)部下が上司の経験を上回る

上司が過去に身に着けたビジネススキルが時代にあわなくなり、部下のほうがビジネスのスキルにおいて上司を上回るということは珍しくありません。上司が部下からの尊敬を得にくく、むしろ軽蔑されやすい環境になっていることは、逆パワハラを生む要因の1つです。

 

▶参考情報:テクハラについて

PCやスマートフォン等IT機器の扱いになれないことについてのいじめや嫌がらせは「テクハラ」とも呼ばれます。中高年層が被害者になりやすいのがテクハラの特徴です。

 

(2)管理職の無能、指導力の欠如

部下の問題点に対して端的に指導できる人が少なくなり、問題行動に目をつぶる管理職や上司が増えています。部下に対して日ごろから指導を行わずに放置していると、問題行動がエスカレートし、逆パワハラの土壌が生まれてきます。

 

(3)従業員の立場が強い雇用環境

人手不足が慢性化しているうえ、会社側はハラスメント対策や過重労働対策など従業員に対する様々な配慮を義務付けられています。また、日本では部下が上司の指示に従わないからと言って簡単に解雇することはできません。

このように従業員の立場が強い雇用環境にあることも、逆パワハラが生まれる要因の1つです。

 

(4)年下の上司や他業種から転職してきた上司に対する反発

高年齢者雇用安定法により定年後の再雇用が義務付けられた結果、年長者が年下の上司の下で働くというケースが増えています。また、年功序列が崩れて雇用が流動化したことで、他業種など外部から業界経験の少ない上司がマネジメント層、指導層として招かれるという例も増えています。

筆者の経験上、年下の上司に対する反発、業界経験の乏しい上司への反発といったことが逆パワハラの背景にある例も少なくありません。

 

(5)懲戒制度の機能不全

逆パワハラ行為に対しては、懲戒処分を科すことが、本来的な対応です。ところが、就業規則が整備されていないため、懲戒処分を科すことができなかったり、問題行動があっても実際には懲戒がこれまで行われてこなかったなどの理由により、懲戒制度が機能不全を起こしている例があります。

このような労務環境では、逆パワハラ問題に迅速な対応が取れず、問題が深刻化する傾向があります。

 

(6)賃金体系の問題

上司に反抗的な態度をとっていても、賃金が下がらないような賃金体系がとられていることが、逆パワハラ問題の背景となることがあります。賃金が営業成績に連動する歩合的な賃金体系がとられていて上司の査定が反映されないようになっていたり、年功的な賃金制度で降給を想定しない賃金体系になっている場合等がその典型例です。賃金制度を改善し、部下の勤務態度等を賃金面に反映するための査定の権限を上司に与える賃金制度とすることを検討すべきでしょう。

 

4,逆パワハラの具体的な対応方法

ここからは、社内で逆パワハラの問題が発生した際の会社側の対応方法について見ていきましょう。

 

(1)逆パワハラ対応の基本的な考え方

逆パワハラは、会社組織の秩序を揺るがしかねない重大な問題です。会社としても徹底的に戦い、逆パワハラの芽を摘んでおく必要があります。ここでは、まず、対応にあたっての基本的な考え方をご紹介します。

「いま、あなたの会社で逆パワハラを行っている従業員は、どのような考え方でそのような行動をとっているのでしょうか?」まずはこの点を見極めることが解決の第一歩です。

多くのケースで、逆パワハラを行う従業員は、基本的に「上司に従わなくても会社で就業を続けることができる」「自分が上司に従わなくても会社は適切な手をうてない」と考えています。そして、このような考えが生まれる原因は、前述したとおり、従業員の立場が強い雇用環境で会社としても従業員をやめさせるわけにはいかないことを問題の社員自身が認識していたり、あるいは、これまで上司に対して反発する姿勢をとっても賃金面での不利益や懲戒処分を受けてこなかったことが背景にあることが多いです。

逆パワハラ問題を解決するためには、そのような考えが誤りであることを従業員に対して明確に示し、組織の上下関係を守らなければ就業を継続することができないことをはっきりと理解させることが必要です。いわば、逆パワハラ社員の「自己認識のゆがみ」を正す必要があります。

解決までの流れは、ケースバイケースではありますが、弁護士に相談しながら自社で対応しようとする場合の基本的な対応の流れは以下の通りです。

 

▶参考:逆パワハラ対応の基本的な解決までの流れ

逆パワハラ対応の基本的な解決までの流れ

 

次の章では、各項目の具体的な内容をご紹介したいと思います。

 

(2)逆パワハラへの具体的な対処方法

それでは、順番に逆パワハラへの対処方法を見ていきましょう。

 

1,ありもしないハラスメントの訴えには正しい調査で結論を出す

ありもしないハラスメントの被害を上司から受けたと訴えるパターンの逆パワハラも多いです。

このような逆パワハラに対しては、ハラスメントの調査を正しい方法で行い、結果を出すことがまず重要です。調査を行ったうえで、ハラスメントはなかったという点を社内で結論付けて公表することで、ありもしないハラスメント被害の訴えを封じていく必要があります。

調査を社内の人事担当者が行うこともできますが、弁護士にハラスメント調査を依頼して、より客観的な視点から結論を出すことが、逆パワハラ問題の解決のためにはベストです。自身が訴えていたパワハラ被害の主張について、会社が弁護士による調査を入れて、公式にその主張が認められないものであることを結論付けることで、そのような主張をしても受け入れられないのだということをはっきりと問題社員に認識させる必要があります。

ハラスメントの訴えがあったときの調査手順については以下の記事や動画をご参照ください。

 

 

▶【関連動画】西川弁護士が「ハラスメント調査のトラブル事例!重要な注意点を解説【前編】」について詳しく解説中!

 

2,逆パワハラ行為についてハラスメント調査を行い、パワハラ認定する

一方で、上司に対する暴言(侮辱や名誉毀損、人格否定的発言)や上司に対する誹謗中傷といった形で逆パワハラ行為が行われているときは、会社として、ハラスメント防止措置の観点からも、逆パワハラ行為についてハラスメント調査を行い、事実関係を確認して、懲戒処分を検討する必要があります。

ここでも、調査を弁護士に依頼したうえで、入念な調査をすることで、会社が逆パワハラ行為に毅然と立ち向かう姿勢をとったことを認識させ、いわば「大変なことになった」と逆パワハラ社員に認識させるきっかけとすることが重要です。

 

3,毅然とした対応ができる指導担当者を決めて指導する

ここまでご説明した「1,ありもしないハラスメントの訴えには正しい調査で結論を出す」「2,逆パワハラ行為についてハラスメント調査を行い、パワハラ認定する」と並行して、組織の上下関係を守らなければ就業を継続することができないことをはっきり理解させるために、逆パワハラを行う従業員に対しても、ひるまずに必要な指導を徹底することが重要です。

そのためには、毅然とした対応ができる指導担当者を決め、会社が逆パワハラ社員にしっかり向き合う体制をとることが必要です。指導担当者には相当な精神のタフさが求められます。現在の上司が十分な指導をできていない場合は、部署を変えて、新しい指導担当者の下で、徹底した指導を積み重ねる必要があります。

指導は、担当上司から業務態度について改善の必要があることを明確に伝えたうえで行ってください。毎日、逆パワハラを行う問題社員に、問題社員指導用の業務日報を作成・提出させ、これに対して指導のコメントを入れる方法で指導することが基本になります。あわせて、問題社員に業務上の指示に対する不服従、勤務態度不良といった問題行動があったときは、指導担当者が、決して見て見ぬふりをせずに明確かつ端的な指導を行い、その内容を記録することを毎日続けなければなりません。

問題社員に対する具体的な指導方法については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

 

 

4,指導に従わない場合は書面で業務命令を出す

これまで上司に対する逆パワハラ行為が問題になってきたような従業員は、上記のような指導を進めても、態度を改めず、上司に対する暴言や誹謗中傷といった言動を続けることが多いです。このような場合には、会社としてそのような言動を改めるように指導したことをより明確に記録に残すために、書面で業務命令を出し、改善を命じる必要があります。

 

5,業務命令に対する不服従や逆パワハラ行為に対して懲戒処分を科す

書面での業務命令に対しても従業員が従わなかったり、あるいは、前述の逆パワハラ行為の調査でパワハラに該当する行為があったと認定されたときは、その従業員に対し、懲戒処分を科すことを検討しましょう。懲戒処分を科すことは、逆パワハラを行う従業員の周囲に対し、会社が上司に対する不服従について制裁を科すことを示し、会社の秩序を取り戻すことにもつながります。これにより、逆パワハラを行う従業員の周囲が逆パワハラ社員に同調することを防ぐことが重要です。

懲戒処分は、ヒアリング調査等を行って懲戒の事実についての証拠を収集したうえで、本人に対して弁明の機会を与え、そのうえで処分を決定して通知し、処分を公表するという手順をしっかり踏むことが必要です。

 

▶参考情報:懲戒処分の実施〜公表までの主な手順

  • 1.ヒアリング調査等を行って懲戒の事実についての証拠を収集
  • 2.本人に弁明の機会(言い分をいう機会)を与える
  • 3.懲戒処分を決定する
  • 4.懲戒処分を本人に通知する
  • 5.社内で処分を公表する

 

必要に応じて弁護士が関与してこれらの手続をしっかり行うことが重要になります。簡単にすませるのではなく、手続に重みを持たせることで、逆パワハラ社員に懲戒処分を受けたことを重大なことであると認識させ、組織の上下関係を守らなければ会社で就業を継続することができないことをはっきりと理解させる必要があります。

懲戒処分は、多くの会社で、軽い順から以下のような処分になっていることが多いです。

 

 

まずは、戒告処分あるいは譴責処分などの軽い懲戒処分を行い、繰り返す場合は、徐々に処分を重くしていくことが必要です。パワハラ加害者に対する処分については、以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

 

 

また、懲戒処分の選択の基準や具体的な進め方については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

 

 

6,改善がされないときは退職勧奨により合意退職で問題を解決する

懲戒処分の手続を経ても改善がされないときは、退職勧奨により、合意退職で問題を解決することが、その後に紛争リスクをかかえない、最終的な問題解決のポイントです。あるいは、懲戒処分の手続の流れの途中において退職勧奨を行うことが効果的なこともあります。

おさえておきたいポイントは、逆パワハラを行っている従業員に対していきなり退職勧奨をしても退職の合意が得られる可能性は低いということです。

ここまでご説明してきたように、「ありもしないハラスメントの訴えがあるときは正しい調査で結論を出す」「逆パワハラ行為についてハラスメント調査を行い、パワハラ認定する」「毅然とした対応ができる指導担当者を決めて指導する」などのステップをきちんと踏んだうえで、懲戒処分の手続をとることによって、はじめて、従業員が組織の上下関係を守らなければ就業を継続することができないことをはっきり理解するに至り、退職勧奨を受け入れる土壌が整うのです。

退職勧奨については、基礎知識をはじめ進め方など全般的な説明から、実際に退職勧奨を実施したが拒否して応じない場合の対応方法まで、以下で詳しく解説していますので併せてご参照ください。

 

 

7,逆パワハラも視野に入れてパワハラ防止措置を講じる

逆パワハラを予防することも重要です。会社は、パワハラ防止措置をとることが法律上義務付けられています。逆パワハラもパワハラであることを視野に入れて防止措置を講じることが必要です。

 

▶参考情報:パワハラ防止措置に関する法律上の義務については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

パワハラ防止法とは?パワハラに関する法律のわかりやすいまとめ

 

例えば、以下のような措置が考えられます。

 

  • 社内アンケートでハラスメントの有無を調査する際に、部下から上司に対するハラスメントの有無についても回答を求める
  • パワハラ防止についての研修を行う際に、部下から上司に対するハラスメントもパワハラになることを説明する
  • パワハラ相談窓口の設置にあたって、部下から上司に対するハラスメントも相談対象になることを明記する

 

なお、パワハラ防止措置の具体的な対策方法やパワハラ相談窓口の設置などについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。

 

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

逆パワハラを行うような問題社員に対する実践的な対処方法については、筆者の著書『問題社員トラブル円満解決の実践的手法〜訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方』」でより詳しく解説しています。詳しくは以下をご参照ください。

 

▶参考情報:書籍「問題社員トラブル円満解決の実践的手法」〜訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方

 

(3)逆パワハラ行為についての証拠集めの方法

ここまでご説明した通り、逆パワハラ行為についての対応の場面では懲戒処分が1つの重要な手段になります。そして、懲戒処分を行うにあたっては、懲戒の対象となる逆パワハラ行為について、証拠を確保しておくことが必要です。

証拠がないまま懲戒処分をした場合、後日、懲戒処分を受けた従業員から「懲戒が無効である」などとして訴訟を起こされたときに、客観的に合理的な理由を欠く懲戒処分として、裁判所で処分が無効と判断される危険があります(労働契約法第15条)。

 

▶参考情報:労働契約法第15条

(懲戒)
第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

・参照元:「労働契約法」の条文はこちら

 

逆パワハラ行為についての証拠として以下のものが挙げられます。

 

1,録音データ

パワハラ行為についての証拠として最もよく使用されるのが録音データです。逆パワハラに当たる発言がありそうな場面で、録音の準備をして臨み、逆パワハラ社員の言動を録音することが考えられます。相手に無断で録音したとしても、証拠としての価値は失われません。

 

2,被害者と加害者のLINEやメールなどのやりとりの履歴

逆パワハラにあたる暴言等が、LINEやメールなどで記録に残っている場合は、それを証拠とすることができます。パワハラに当たるかどうかの判断に当たっては、そのような言動が行われた経緯も重要であるため、経緯について記憶が新鮮なうちにメモを残しておくことが望ましいです。

 

3,動画(防犯カメラの画像等)

机をたたく、胸ぐらをつかむなどと言った暴力を伴う逆パワハラ行為については、防犯カメラの画像等を証拠とすることができる場合があります。

 

4,被害者の日記、日報等

被害を受けた上司の日記や日報なども、その日記や日報が逆パワハラ行為の有無にかかわらず毎日継続的に書かれていたもので、逆パワハラ行為の日時や内容も詳細に書かれているものであれば、証拠になり得ます。

 

5,同僚など関係者の証言

逆パワハラ行為は他の従業員の面前で行われることも多く、同僚など関係者の証言も確認する必要があります。会社または会社から依頼を受けた弁護士によるハラスメント調査の際に、同僚などの関係者からのヒアリングを行いましょう。ヒアリング結果を聴取対象者に確認させ、署名捺印をもらうなどの方法で証拠化していくことが必要です。

 

具体的なパワハラの証拠の確保の方法については、以下で詳しく解説していますのでご参照ください。

 

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

業務命令違反を理由に懲戒する場合は、上記とは異なる視点からの証拠集めが必要です。業務命令違反については、まず、前述の指導の過程で作成される、本人作成の業務日報にあらわれる本人の反抗的な業務態度が重要な証拠になっていきます。反抗的な内容が日報に書かれるからといって、日報による指導を中止してしまうべきではありません。業務日報を毎日提出させ続けることが証拠の確保につながります。

さらに、会社から本人に交付する業務命令書面は、実際に会社が業務を命じたことを立証するための重要な証拠になります。業務命令違反を理由とする懲戒処分は、必ず書面で業務命令を出したうえでそれでも従わない場合に初めて行うべきです。口頭で業務を命じたにすぎない場合、業務を命じたかどうかについての証拠が十分になく、証拠に基づかない懲戒処分として、処分が後日、無効と判断されるリスクがありますので注意してください。

 

5,逆パワハラの裁判例

逆パワハラの裁判例

過去に逆パワハラが問題になった裁判例は必ずしも多くありません。以下で3つをご紹介します。

 

(1)逆パワハラ行為についての解雇が有効と判断された事例

逆パワハラ行為を行う従業員を解雇した場合に、その従業員から会社が不当解雇であるとして訴えられるケースがあります。裁判例の中には、以下のように、逆パワハラ行為を行った従業員の解雇を正当と判断したものがあります。

 

事例1:平成22年11月26日 東京地方裁判所判決

ソフトウェア会社で上司への逆パワハラ等を繰り返す従業員を解雇したところ、不当解雇であるとして会社が訴えられた事例です。

裁判所は、この従業員が、自分が上司からセクハラを受けたなどと主張し、正当な業務命令に対しても、「昨年のセクハラ騒動への嫌がらせか?と勘ぐってしまってもおかしくない」などと難癖を付けて、業務を拒否してきたことを踏まえ、解雇を正当と判断しています。

 

事例2:平成8年7月31日 大阪地方裁判所判決(日本電信電話事件)

上司を誹謗中傷するビラを社内外で配布したり、上司の自宅に嫌がらせ電話をかけるなどした従業員を解雇したところ、不当解雇であるとして会社が訴えられた事例です。

裁判所はこの従業員の無軌道ぶりや、職場規律の維持及び正常な業務運営を妨げた点には極めて著しいものがあるとして、解雇を正当と判断しています。

 

(2)逆パワハラ行為についての解雇が不当解雇と判断された事例

一方で、逆パワハラ行為を理由とする解雇が不当解雇と判断され、会社が敗訴した例も少なくありません。例えば、以下のようなものがあります。

 

事例3:平成30年1月25日 東京高等裁判所判決(社会福祉法人蓬莱の会事件)

社会福祉法人の男性職員が、年下の女性主任の下に配属された後、この主任にことあるごとに反発し、主任が命じた業務を正当な理由なく一方的に拒否したり、主任に対して机をたたく、大声を出すなどの威圧的言動に出るようになったため、法人がこの男性職員を普通解雇した事案です。

第一審の裁判所は、他の若い職員らの中にも、問題の男性職員に同調する者が出て、職場環境が異常な事態になっていたなどと認定し、解雇は有効と判断しました。しかし、第二審の裁判所は、この男性職員の態度は重大な服務規律違反であるとしながらも、年下の女性主任への反発という事情もうかがわれるから、解雇の前に別の部署に配置転換して他の上司の下で就業する機会を与えるべきだったなどとして、解雇は無効と判断しています。

その結果、社会福祉法人は、650万円を超える支払いと、男性職員の雇用の継続を命じられています。

正当な解雇と無効と判断され不当解雇となる場合の具体的な違いについては、以下の記事で例をあげながら解説していますので、参考にご覧ください。

 

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

このように、逆パワハラ行為を行う従業員を解雇しても後日訴訟に発展し、敗訴すれば多額の金銭の支払いと雇用の継続を命じられることになります。できる限り解雇ではなく、退職勧奨により、合意によって雇用を終了することが重要です。また、どうしても解雇せざるを得ない場合は、後日訴訟を起こされても対応できるように、必ず事前に弁護士に相談し、必要な証拠収集と、解雇前の懲戒処分など必要な手順を確認することが大切です。決して、自社のみの判断で解雇してしまうことがないようにしてください。

パワハラを理由とする解雇については以下で解説していますのでご参照ください。

 

▶参考情報:パワハラ(パワーハラスメント)を理由とする解雇の手順と注意点

 

(3)逆パワハラ被害でのうつ病発症について事業者が責任を問われた事例

逆パワハラ行為による被害の訴えに対して事業者が適切な対応をせず、それによって被害者がうつ病を発症した場合に、事業者が安全配慮義務違反等を理由に被害者から責任を問われる事例も発生しています。

例えば、冒頭でもご紹介しましたが、北九州の産業医科大学で50代の男性教授が、部下である准教授による逆パワハラ行為を受けてうつ病になったとして、部下を被告として損害賠償を求める訴訟を提起したことがニュ―スになりました。

報道によると、この男性教授は、部下からミスを糾弾されて大学から処分を受けることになったうえ、部下から謝罪を求められ土下座を強要されたなどと主張しています。そして、この事件では、大学も被告とされています。

事業者は、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする義務があります(労働契約法第5条)。逆パワハラについてもパワハラの一種であるため、事業者は逆パワハラの訴えがあったときは適切な対応をする責任があることに注意する必要があります。

 

(4)逆パワハラ被害での退職について事業者が責任を問われた事例

逆パワハラ行為によって、被害を受けた従業員が退職を余儀なくされたとして、事業者の責任を問うケースも存在します。

例えば、平成27年3月27日東京地裁判決(アンシス・ジャパン事件)は、逆パワハラの被害を受けた従業員が逆パワハラへの会社の対応に問題があり、退職を余儀なくされた等として、会社に対して損害賠償を請求した事案です。

この退職者は、在職中、2人作業のリーダーをしていた際に他方の作業者から理由のないパワハラ被害を訴えられたのに対し、会社は調査し、パワハラなしと判断したものの、退職者から2人作業の体制変更求められても十分な変更をしなかったことが、会社の安全配慮義務違反にあたると主張しました。

裁判所は、会社は、パワハラ被害を訴えられた従業員が、被害を訴えた従業員と一緒に仕事をするのは非常に苦痛であることを訴えていたのだから2人を分離する等の措置をとるべきであり、これをしなかったのは、会社の安全配慮義務違反であるとして、退職者に対する慰謝料支払を命じています。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

アンシス・ジャパン事件では、理由のないパワハラ被害の訴えをされたことについて、退職を余儀なくされた退職者が、退職に際し、上司に対して、「これまで生きてきた中でも最も大きな精神的ダメージで、自殺も考えたほど今でも精神的恐怖を感じています。」「このような状態が1年以上続いた上で、解決策がないのであればこの決断しかないことは十分にご理解頂いているものと思っておりましたが、上司、信じておりました恩師としてご理解頂けなかったことは非常に残念です。」と伝えたと認定されています。逆パワハラ行為が従業員にもたらす被害の深刻さをうかがい知ることができる事例です。

 

6,逆パワハラを訴えることができるか?

逆パワハラの被害を受けた上司が部下を訴えることはできるのでしょうか?

この点については、逆パワハラも法的にはパワーハラスメントの1種ですから、損害賠償を請求することが可能です。ただし、基本的に上司は部下に対して立場で優越するという理解をされていますので、逆パワハラを裁判で訴えるにあたっては、逆パワハラが生まれた特殊な背景、原因をわかりやすく立証していくことが必要不可欠になります。

また、管理職という立場は、部下からの反発や非難に対しても一定程度耐えて対応しなければならない立場にあります。そのため、逆パワハラについて法的な訴えを起こす場合は、そういった管理職の立場の特性を踏まえても、部下の言動が度を超えたものであることを主張していく必要があります。

 

7,上司側からの「仕返し」という発想は禁物

上司の側が、逆パワハラ行為に対して、「仕返し」をするという発想は禁物です。上司は部下と対等の立場ではなく、部下の指導と部内のマネジメントについて責任がある立場です。部下と同じ土俵で「逆パワハラ」に対して「仕返し」をするべきではありません。

逆パワハラ行為があった時は、会社に支援を求め、会社として、指導体制の変更、懲戒処分、退職勧奨などの対応をしていく必要があります。上司が「逆パワハラ」に対して、個人的な方法で「仕返し」をすると、そのこと自体が「パワハラ」となりかねないため、決して個人的な対応をすることがないようにしてください。

 

8,逆パワハラ問題解決のために弁護士に相談したい方はこちら

咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

最後に咲くやこの花法律事務所における問題社員対応についての企業向けサポート内容をご説明したいと思います。サポート内容は以下の通りです。

 

  • (1)逆パワハラを行う問題社員に対する指導方法、対応方法に関するご相談
  • (2)逆パワハラを行う問題社員に対する弁護士による指導の実施
  • (3)弁護士による懲戒手続きの実施
  • (4)退職勧奨や解雇の際の面談の立ち合い
  • (5)解雇後のトラブルや懲戒処分後のトラブルに対する対応
  • (6)顧問弁護士サービスによる問題社員対応サポート

 

以下で順番に見ていきましょう。

 

(1)逆パワハラを行う問題社員に対する指導方法、対応方法に関するご相談

逆パワハラ行為がみられる問題社員に対しては、ひるむことなく、徹底した指導をすることが対応の基本です。

咲くやこの花法律事務所には問題社員の指導方法や対応方法に精通した弁護士が多数在籍しています。ご相談の際は、まず個別の事情を詳細にヒアリングしたうえで、事案ごとに、過去の事務所での対応経験も踏まえて、実効性のある対応策をご回答します。

問題社員の指導、対応にお悩みの企業経営者、管理者の方はご相談ください。

 

弁護士費用

●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)

 

(2)逆パワハラを行う問題社員に対する弁護士による指導の実施

逆パワハラを行うような問題社員については、指導そのものが難しいケースもあります。

そのようなケースでは、弁護士が、問題社員との面談や指導の現場に立ち会うことで、経営者や管理者による指導や面談の実施をサポートしています。弁護士が問題社員に対して直接指導することで、企業の規律を正すことができます。また、将来解雇に進む場合に必要な証拠を確保していくことにもつながります。

問題社員への指導・面談の実施でお悩みの企業の経営者、管理者の方はご検討ください。

 

弁護士費用

●初回相談料:30分5000円+税
●面談費用:時間や面談場所への距離に応じて、10万円~20万円+税程度

 

(3)弁護士による懲戒処分手続きの実施

咲くやこの花法律事務所では、問題社員に対する懲戒処分手続きについてもサポートを行っています。逆パワハラ行為についての調査から、懲戒処分の言い渡しまでを弁護士が同席してサポートすることが可能です。

懲戒を行う際は、まずは逆パワハラ行為について、懲戒するべき事情があるかどうかの調査を正しい手順で行うことが必要です。調査には専門的なノウハウが必要であり、弁護士に依頼することがベストです。また、懲戒処分の言い渡しの場面では、従業員がその場で不満を述べたり反論をしてきたりすることがあります。無用なトラブルを防止するためには、懲戒処分の言い渡しの場に専門家である弁護士も同席することが効果的です。

咲くやこの花法律事務所では、労務トラブルに強い弁護士が懲戒処分の言い渡しの場に同席し、会社側の立場で適切な応答をするなどして、懲戒処分の言い渡しをサポートしています。

 

弁護士費用

●初回相談料:30分5000円+税
●面談費用:時間や面談場所への距離に応じて、10万円~20万円+税程度

 

(4)退職勧奨や解雇の際の面談の立ち合い

咲くやこの花法律事務所では、企業のご要望に応じて、逆パワハラを行う問題社員に対する退職勧奨や解雇の際の面談への立ち合いも行っております。

退職勧奨や解雇の問題に精通した弁護士が立ち会うことで自信をもって、退職勧奨あるいは解雇を進めることが可能になります。また、解雇の場面で重要な書面になる解雇理由書や解雇通知書の作成と発送についてもご依頼を受けています。解雇の問題に精通した弁護士が書面作成に携わることによって、万が一、裁判等に発展した時のことも見越した書面作成が可能になります。

 

弁護士費用

●初回相談料:30分5000円+税
●面談費用:時間や面談場所への距離に応じて、10万円~20万円+税程度

 

(5)解雇後のトラブルや懲戒処分後のトラブルに対する対応

咲くやこの花法律事務所では、解雇した従業員あるいは懲戒処分をした従業員とのトラブルに関する交渉や裁判のご依頼も常時承っています。懲戒処分後のトラブルや解雇後のトラブルでお困りの方は、早めに「咲くやこの花法律事務所」までご相談下さい。

 

弁護士費用

●初回相談料:30分5000円+税

 

(6)顧問弁護士サービスによる問題社員対応サポート

咲くやこの花法律事務所では、逆パワハラを典型とする問題行動にお困りの企業を継続的にサポートするために、顧問弁護士サービスによるサポートも行っています。

 

顧問弁護士サービスによるサポートのメリット

  • 逆パワハラへの対応についてのその都度電話やメールで弁護士に相談できる
  • トラブル発生時の対応をいつでも弁護士に電話で相談できる

 

問題社員の指導は継続的な取り組みが必要であり、弁護士にいつでも相談できる体制を作ることで、正しい対応を進めていくことが可能です。

 

咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスの費用

●スタンダードプラン(月額顧問料5万円 ご相談頻度の目安:週に1~2回程度)

 

プラン内容について

  • いつでも弁護士に電話やメールでご相談いただくことができます。
  • 契約前に担当弁護士との無料面談で相性をご確認いただくことができます(電話・テレビ電話でのご説明 or 来所面談)
  • 来所していただかなくても、電話あるいはテレビ電話でお申込みいただけます。

 

また、咲くやこの花法律事務所のその他の顧問弁護士プランの詳細や顧問弁護士サービスの実績については以下のページをご参照ください。

 

 

(7)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法

咲くやこの花法律事務所の逆パワハラに関するサポート内容は、「労働問題に強い弁護士への相談サービス」のこちらをご覧下さい。また、今すぐお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

【お問い合わせについて】

※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。

「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

 

9,まとめ

この記事では、逆パワハラの問題について、 具体的な事例や逆パワハラ問題が生じる背景をご説明したうえで、逆パワハラ問題を解決するための具体的な対処方法をご説明しました。

逆パワハラが問題になる事案では、組織の基本的な部分が痛んでしまっていることがあります。正常な運営を取り戻すために早急に対応することが必要です。また、自社だけで解決することが困難であったり、自社の判断で対応すると余計に問題を拡大させてしまう事例が多いため、弁護士に相談したうえで対応することが重要です。

 

10,【関連情報】逆パワハラに関するお役立ち記事一覧

この記事では、「逆パワハラとは?具体的な対処法を事例や裁判例付きで徹底解説」について解説してきました。社内で部下から上司への逆パワハラトラブルが発生した際は、パワハラかどうかの判断はもちろん、初動からの正しい対応方法を全般的に理解しておく必要があります。そのためにも今回ご紹介した逆パワハラに関する対応知識をはじめ、他にもパワハラに関する基礎知識など知っておくべき情報が幅広くあり、正しい知識を理解しておかなければ重大なトラブルに発展してしまいます。

以下ではこの記事に関連するパワハラのお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもご参照ください。

 

パワハラの判断基準とは?裁判例をもとにわかりやすく解説

パワハラ発生時の対応は?マニュアルや対処法、流れについて解説

パワハラの種類はいくつ?6つの行為類型を事例をもとに徹底解説

職場のパワハラチェックまとめ!あなたの会社は大丈夫ですか?

部下からパワハラで訴えられた時、パワハラと言われた時の必要な対応

パワハラの慰謝料の相場はどのくらい?5つのケース別に裁判例をもとに解説

パワハラの相談まとめ!企業の窓口や労働者の相談に関する対応について

パワハラ上司の特徴や対処についての解説まとめ

 

記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2024年7月18日

 

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    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2021年10月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:416ページ
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