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内部通報制度(公益通報制度)とは?おさえておくべき4つのポイント

「内部通報(公益通報)制度」必ずおさえておくべき4つのポイント
  • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
  • この記事を書いた弁護士

    西川 暢春(にしかわ のぶはる)

    咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
  • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で400社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。

内部通報制度についてわからないことがあって困っていませんか?

内部通報制度(公益通報制度)については、内閣府の「公益通報者保護法に基づく指針 (令和3年内閣府告示第 118 号)」で、その詳細な基準が定められています。そのため、内部通報制度(公益通報制度)は、この指針の内容に準拠して正しく制度設計することが重要です。

内部通報制度(公益通報制度)をめぐっては、過去にも、内部通報担当者に対する損害賠償請求訴訟が起こされた事例(サントリーホールディングス事件)や、内部通報制度の通報窓口の守秘義務違反が裁判所で認定された事例(オリンパス事件)など多くのトラブルが報道されてきました。

正しい制度設計をしたうえで、正しい運営をしなければ、事業者としての信頼を失うことになりかねません。

今回は、内閣府の「公益通報者保護法に基づく指針 (令和3年内閣府告示第 118 号)」も踏まえて、内部通報制度(公益通報制度)を作るときに必ずおさえておくべきポイントについてご説明します。また、公益通報者保護法改正による内部通報制度の整備義務化や過去の内部通報に関するトラブル事例についてもご説明します。

 

弁護士西川からのワンポイント解説

2022年6月1日の公益通報者保護法の改正後は、従業員数301人以上の事業者について内部通報制度(公益通報制度)の整備がされていないときは、行政による指導や勧告、事業者名公表の対象となりますので注意が必要です。一方、従業員300人以下の事業者については法改正後も内部通報制度(公益通報制度)の整備は努力義務とされていますが、内部通報制度はコンプライアンス経営の肝ともいえる部分であり、従業員数を問わず、整備する事業者が増えています。

咲くやこの花法律事務所では、従業員数や事業の種類をとわず、事業者からの内部通報制度に関するご相談、内部通報窓口のご依頼を承っていますのでご相談ください。

 

▶参考情報:内部通報制度に関する「咲くやこの花法律事務所の解決実績」は、以下をご覧ください。

内部通報窓口に匿名で行われたハラスメントの通報について、適切な対処をアドバイスし、解決まで至った事例

 

▼【動画で解説】西川弁護士が「内部通報制度についておさえておくべき4つのポイント」を詳しく解説中!

 

▼【関連情報】内部通報制度(公益通報制度)に関わる情報は、こちらも合わせて確認してください。

「内部通報(公益通報)窓口」の弁護士への外部委託サービスについてはこちら

 

▼内部通報制度に関して今スグ相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

 

 

1,内部通報制度(公益通報制度)とは?

内部通報制度とは?

内部通報制度(公益通報制度)とは、会社の不正リスクの発見を容易にするために、社内の不正行為を発見した従業員等からの報告について、上司を通じた通常の報告ルートとは異なる報告ルートを設ける制度です。令和4年6月に「公益通報者保護法」が改正され、従業員301人以上の事業者は公益通報制度を整備することが法律上の義務になっています。

事業者内における通常の報告ルートは、上司を通じて、さらに上位者に報告をするというものです。

しかし、不正行為に関する情報については、上司や経営者自身が不正に関与しているなどのケースでは、このような通常の報告ルートが働きません。そのため、通常の報告ルートとは別に、内部通報窓口を通じた報告ルートを設けて、不正発見のきっかけとする必要があります。

 

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

内部通報制度は公益通報制度とも呼ばれ、同じ意味であると考えて差し支えありません。英語では「internal reporting system」とか「whistle-blowing system」などと呼ばれます。

 

2,内部通報制度(公益通報制度)の目的

内部通報制度(公益通報制度)の目的は、会社の不正リスクの発見を容易にすることにあります。

内部通報制度を導入することで、会社が自社内で不正を発見し対処する作用(自浄作用)を発揮させ、コンプライアンス経営を実現することが制度の目的です。

 

3,導入のメリット

内部通報制度(公益通報制度)の導入のメリットとしては以下の4点があげられます。

 

(1)社内の不正を早期に発見し対処することができる

例えば横領行為が行われたときに被害額が小さいうちに気づき対処することに役立ちます。

 

(2)行政機関や報道機関に外部通報されることを防ぐ

社内で違法行為が行われたときに、内部通報制度がなければ、違法行為を発見した従業員が行政機関や報道機関に直接通報し、会社への社会的な評価が大きく損なわれるおそれがあります。

内部通報制度が整備され周知されていることで、違法行為に関する情報が直接これらの機関に通報されることを防ぐ効果があります。

 

(3)自浄作用のある事業者としての評価を得ることができる

コンプライアンスに努力しても、不正リスクを完全にゼロにすることはできません。

不正は常に起こりうることを前提に、内部通報制度により自社で不正を発見し解決できる事業者になることが、社会的な評価を高めることにつながります。

 

(4)取引先からの信頼獲得に役立つ

取引先の選定にあたり、内部通報制度が整備、運用されているかどうかを考慮する会社が増えています。

消費者庁の調査では、取引先の選定にあたって内部通報制度の状況を考慮しているという企業等が「29%」、考慮することを検討中という企業等が「55%」を占めています。内部通報制度の整備は取引先からの信頼獲得の観点からも重要になりつつあります。

 

4,内部通報制度(公益通報制度)を作るときに必ずおさえておくべき4つのポイント

それでは、内部通報制度(公益通報制度)を作るときに必ずおさえておくべきポイントについてみていきましょう。

 

(1)通報に関する秘密保持の徹底

内部通報制度(公益通報制度)を作るうえで最も重要なのは秘密保持の徹底です。消費者庁のガイドラインにおいても通報者が安心して通報することができるようにするために、厳格な秘密保持が求められています。

 

1,通報者特定事項の範囲外共有や通報者の探索を禁止する。

「公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会報告書」(令和3年4月)において、以下が求められています。

 

  • 通報者の特定につながる情報について必要最小限の範囲を超えて共有しないこと
  • 通報者を特定しようとする行為を予め防止するための措置をとること

 

 

通報者の特定につながる情報を共有する範囲については、内部通報規程で明確にしておくことが必要です。また、範囲外共有や通報者の探索を防ぐための社内教育を行い、実際にこれらの行為が行われた場合は懲戒処分等の適切な措置をとることが必要です。

 

2,通報があったことも秘密とする。

通報者の氏名を秘密にしていても、通報内容について調査をする際に、通報による調査であることを調査対象者に伝えると、調査対象者が通報者を推測できてしまう危険があります。

そのため、「通報があったことによる調査であること」についても原則として秘密にすることが求められています。

この点、消費者庁の「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」(以下、「ガイドライン」といいます)には以下のように定められています。

 

▶参考情報:内部通報制度(公益通報制度)の整備・運用に関する 民間事業者向けガイドライン

通報者の所属・氏名等や当該事案が通報を端緒とするものであること等、通報者の特定につながり得る情報は、通報者の書面や電子メール等による明示の同意がない限り、情報共有が許される範囲外には開示しない

 

ガイドライン本文については以下をご参照ください。

消費者庁「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する 民間事業者向けガイドライン」(pdf)

 

3,通報窓口の環境を整備する

通報があった事実自体を秘密にするためには、通報窓口の環境が重要です。

例えば、電話での通報の受付の際に、通報窓口担当者以外にも話し声が聴こえてしまうような環境であれば、通報があった事実を秘密にすることができません。また、面談での通報の際に誰が面談に来たかが窓口担当者以外にもわかってしまうというような環境では秘密保持ができません。通報が外部からわからないような窓口の環境整備が必要です。

ガイドラインには以下のように定められています。

 

▶参考情報:内部通報制度(公益通報制度)の整備・運用に関する 民間事業者向けガイドライン

通報の受付方法としては、電話、FAX、電子メール、ウェブサイト等、様々な手段が考えられるが、通報を受け付ける際には、専用回線を設ける、勤務時間外に個室や事業所外で面談する等の措置を適切に講じ、通報者の秘密を守ることが必要である。

 

(2)法律事務所など経営陣から独立した通報窓口を設置する

次におさえておきたい点は、経営陣から独立した通報窓口の設置が必要であるということです。

ガイドラインでは以下の通り定められています。

 

▶参考情報:内部通報制度(公益通報制度)の整備・運用に関する 民間事業者向けガイドライン

通常の通報対応の仕組みのほか、例えば、社外取締役や監査役等への通報ルート等、経営幹部からも独立性を有する通報受付・調査是正の仕組みを整備することが適当である。

 

大きい不正は経営陣や経営幹部が関与して行われることが多く、そのような不正も通報できるようにするためには、通報窓口が経営陣から独立している必要があります。

社内の総務部門や法務部門に通報窓口を設けることが多いですが、それだけでは経営陣からの独立性が十分ではありません。

「公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会報告書」(令和3年4月)においても、「人事部門に内部公益通報受付窓口を設置することが妨げられるもので はないが、人事部門に内部公益通報をすることを躊躇する者が存在し、そのことが通報対象事実の早期把握を妨げるおそれがあることにも留意する必要がある。」とされています。

そのため、社外の法律事務所にも通報窓口となってもらうことを依頼し、社内通報窓口(総務部など)と社外通報窓口(法律事務所など)を併用することが適切です。

内部通報窓口に関する制度設計については、以下の記事で詳しくご説明していますので、あわせてご参照ください。

 

 

「弁護士西川暢春のワンポイント解説!」

社外通報窓口を法律事務所に依頼する場合、自社の顧問弁護士に依頼することは不適切です。顧問弁護士は経営陣の利益を守るために活動する側面があり、経営陣の不正行為や社内の労働問題について通報があった場合に、顧問弁護士が通報窓口では公正な対応が困難になるためです。

「公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会報告書」(令和3年4月)においても、「いわゆる顧問弁護士を内部公益通報受付窓口とすることについては、 顧問弁護士に内部公益通報をすることを躊躇する者が 存在し、そのことが通報対象事実の早期把握を妨げるおそれがあることにも留意する必要がある。また、顧問弁護士を内部公益通報受付窓口とする場合には、その旨を労働者及び役員並びに退職者向けに明示するなどにより、内部公益通報受付窓口の利用者が通報先を選択するに当たっての判断に資する情報を提供することが望ましい。」とされています。

 

(3)不利益な扱いを受けないことを内部通報制度運用規程で明確にする

不正の通報時に通報者が最も気にするのが、通報をしたことによって、自分が解雇されるなど不利益な扱いを受けないかどうかという点です。

過去の消費者庁のアンケートでは、「通報をすると不利益な取り扱いを受けるおそれがある」と感じる従業員が「67%」にものぼっています。

内部通報運用規程を整備し、通報者に対する不利益な取扱いをしてはならないことを明記しておく必要があります。

ガイドラインでは以下の通り定められています。

 

▶参考情報:内部通報制度(公益通報制度)の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン

内部規程に通報対応の仕組みについて規定し、特に、通報者に対する解雇その他不利益な取扱いの禁止及び通報者の匿名性の確保の徹底に係る事項については、十分に明記することが必要である。

 

また、公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会報告書(令和3年4月)においては以下の点が定められています。

 

  • 通報受付後に通報者が不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置をとること
  • 不利益な取扱いを受けていることを把握したときは、適切な救済措置をとること
  • 不利益な取扱いを行った従業員、役員等に対して、懲戒処分その他適切な措置をとること

 

特に最後の懲戒処分の点については、就業規則の改訂を行い、懲戒事由に追加しておくことが必要です。

 

(4)通報後は公正な検討・調査が必要

通報があったときは、通報内容について調査が必要かどうかを公正に検討し、調査が必要であればすみやかに調査を行わなければなりません。

公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会報告書(令和3年4月)においても、「事業者は、内部公益通報受付窓口において内部公益通報(匿名による場合を含む。)を受け付け、正当な理由がある場合を除いて、必要な調査を実施しなければならない。」とされています。

通報後の検討や調査が遅れると、通報者が会社の対応に失望して外部の行政機関やマスコミへの通報に発展します。その場合、最悪のケースでは、会社は通報を受けて不正事実を把握していたのに放置していたと評価されてしまいます。

このような事態を避けるためには、通報後の検討や調査についてスピードと専門的なノウハウによる対応が重要です。社内の担当者まかせにせず、弁護士などの専門家の援助を受ける体制を整えておく必要があります。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

「人事労務上の不満やハラスメントの訴え」などが通報内容の多くを占めるようになると、「不正な売上計上や品質偽装、違法行為などのより重大な不正」の通報に対する検討や調査に十分なリソースを割くことができなくなるという問題があります。

最近ではこの問題を解決するために、「不正の通報窓口」と「人事労務上の不満やハラスメントの訴えなどの不満の相談窓口」をわけて、別の担当者が対応する制度設計も提言されています。

ハラスメント相談窓口については、以下の記事をご参照ください。

 

▶参考情報:ハラスメント相談窓口が義務化!おさえておきたい4つのポイント

 

(5)調査後の対応

調査後に必要な対応として、公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会報告書(令和3年4月)において、以下の通り定められています。

 

  • 調査の結果、法令違反行為が明らかになった場合は、速やかに是正の措置をとること
  • 是正の措置をとった後、その是正措置が適切に機能しているかを確認し、機能していない場合は、改めて是正措置をとること
  • 書面により内部通報を受け、是正に必要な措置をとったときは、通報者にそのことを速やかに通知すること
  • 書面により内部通報を受け、通報対象事実がないと判断したときは、通報者にそのことを速やかに通知すること

 

最後の2点については、書面による内部通報ではない場合であっても、同様に通報者への通知を行うことが望ましいでしょう。

 

5,対象事項について

内部通報制度(公益通報制度)では、法令違反、社内規程違反など広い範囲を対象に通報を受け付けるべきです。

その中でも、特に重要な通報対象として以下のようなものがあげられます。

 

(1)一般企業における通報対象事実

一般企業で重要になる通報対象事実は以下のようなものがあります。

 

  • 不正な売上計上
  • 社内での横領行為
  • 取引先からのリベートの受領
  • 談合や贈収賄
  • 架空の経費を会社に請求する行為
  • データ偽装、品質偽装
  • ハラスメント
  • 違法労働

 

(2)病院など医療法人の内部通報制度・院内報告制度における対象事実

医療機関については、「医師法施行規則第15条の4」により、医療安全管理の適正な実施に疑義が生じた場合等に情報提供を受け付ける窓口の設置が義務付けられています。

内部通報制度では、より広く以下のような項目が重要になります。

 

  • 正当な理由のない診療拒否
  • 児童虐待に関する通告義務違反
  • 違法な身体拘束や患者の虐待
  • 医療安全管理の適正な実施に疑義が生じた場合
  • 異常死の届出義務への違反
  • 医療事故の隠ぺい
  • 不適切な医療行為
  • 院内感染防止対策の不備
  • ハラスメント
  • 違法労働

 

(3)学校法人における通報対象事実

学校法人で重要になる通報対象事実は以下のようなものがあります。

 

  • 教職員による体罰
  • いじめの放置
  • 児童生徒への不適切な言動
  • 個人情報の不適切な取扱い
  • ハラスメント
  • 横領行為

 

(4)地方自治体における通報対象事実

地方自治体で重要になる通報対象事実は以下のようなものがあります。

 

  • 贈収賄
  • 秘密保持義務に対する違反
  • 職務専念義務違反
  • 手当の不正受給
  • 倫理指針、服務規律への違反
  • 個人情報の不適切な取扱い
  • ハラスメント
  • 横領行為

 

6,内部通報制度(公益通報制度)の問題点

一方、内部通報制度(公益通報制度)の問題点としては、「人事労務上の不満など、制度の趣旨にそぐわない通報に労力がかかってしまうことがある」という点があげられます。

このように、内部通報制度(公益通報制度)の趣旨にそぐわない通報があったときも、通報に対応する手間がとられる点が、内部通報制度の問題点の1つです。このような問題点を避けるために、制度の設計や窓口の周知方法には工夫が必要です。

また、内部通報窓口運営のノウハウが社内にないということも、内部通報制度導入のうえで課題となりやすい点の1つです。これについては、外部の弁護士などの専門家に社外通報窓口を委託するなどして、ノウハウ面でのサポートを受けることが可能で解決が可能です。

 

7,公益通報者保護法改正による内部通報制度の整備義務化について(施行日:令和4年6月1日)

公益通報者保護法改正による内部通報制度(公益通報制度)の整備の義務化の内容は以下の通りです。

具体的な義務の内容は以下の通りです。

 

(1)事業者の義務

  • 公益通報(内部通報)に応じ、適切に対処するために必要な体制を整備する義務
  • 内部通報制度の担当者(公益通報者対応業務従事者)を定める義務

 

(2)内部通報制度担当者の義務

  • 内部通報制度の担当者(公益通報対応業務従事者)は、正当な理由なく、通報者の特定につながる情報を外部に漏らしてはならない。

 

(3)違反時の罰則

事業者が義務を怠り、内部通報制度を整備しないときは、行政による指導や勧告の対象となり、勧告に従わない場合は事業者名を公表できることが定められています。

また、行政が事業者に対し内部通報制度の整備状況について報告を求めても、事業者が応じないときは、事業者に対し、20万円以下の過料が科されることが定められています。

さらに、担当者が通報者の特定につながる情報を外部に漏らした場合は、30万円以下の罰金が科されます。

 

(4)内部通報制度整備義務の対象事業者

一般企業だけでなく、地方自治体や公益法人、学校法人、医療法人、社会福祉法人も義務の対象となります。ただし、従業員が300人以下の事業者については努力義務とされています。

 

(5)公益通報者保護法改正の施行日

公益通報者保護法改正の施行日は令和4年6月1日です。

 

(6)消費者庁の民間事業者向けガイドラインの位置づけ

消費者庁は内部通報制度について平成17年に民間事業者向けガイドラインを定め、平成28年12月にこれを改正しています。

このガイドラインは、法的な拘束力があるものではありませんが、消費者庁が推奨する内部通報制度の整備内容を整理したものであり、内部通報制度の整備、運用の基準となるものです。

 

最後に、公益通報者保護法改正案の概要については、以下の資料も参考にご覧下さい。

 

 

8,過去のトラブル事例

内部通報を受けた後の事業者の対応をめぐっては、適切な対応がされたかどうかをめぐって裁判紛争に発展するなど、紛争化するケースも見られます。実際に通報があったときに弁護士の支援を受けて内部通報に対応する体制を整備しておくことが必要です。

過去のトラブル事例の代表的なものとして以下のものがあげられます。

 

(1)千葉県がんセンター事件

病院における麻酔科研修の問題点に関する内部通報について、通報者を担当の業務から外すなどの報復をしたとして、内部通報後の対応が違法であると判断された事例(東京高等裁判所平成26年5月21日判決 千葉県がんセンター事件)

 

(2)サントリーホールディングス事件

パワハラ被害についてのコンプライアンス室長への内部通報について、コンプライアンス室長が「パワーハラスメントに該当しないとの結論ありきの態度を取った」などとして損害賠償を請求した事例について、コンプライアンス室長の対応に違法性はないと判断した事例(東京地方裁判所平成26年7月31日 サントリーホールディングス事件)

 

(3)オリンパス事件

コンプライアンス室への内部通報後に行われた通報者に対する配転命令について一審では適法とされたが、控訴審で配転命令が違法であると判断された事例(東京高等裁判所平成23年8月31日 オリンパス事件)。

一審判決は業務上の必要性を肯定し配転命令を適法と判断しましたが、控訴審では、配転命令は業務上の必要性とは無関係であり内部通報に対する制裁として行われたと判断されました。

 

(4)IHI事件

総合重工業メーカーIHIにおいて、国土交通省の立入検査により民間用航空機エンジンの整備で検査不正が発覚した件で、約9ヶ月前に、内部告発により、検査不正の指摘があったにもかかわらず、適切な調査が行われず、現場で不正を隠ぺいしていたことが発覚し、2019年3月報道されました。

 

(5)ボッシュ事件

自動車整備機器の輸入販売などを事業とする会社で、会社が内部告発を受けて対応をし、内部告発に理由がないことを知った後も、自己の異動希望を実現させるという個人的な目的のために、会社からの警告を無視して執拗に内部通報を続けたケースについて、この通報者の解雇を適法とした事例(東京地方裁判所平成25年3月26日判決)

 

(6)田布施町事件

2020年6月、山口県田布施町で固定資産税の徴収ミスを内部告発した男性職員が町の刊行物を作成するために新設された1人だけの部署に異動させた件について、職員との紛争が報道されました。

 

(7)京都市事件

京都市の児童相談所職員が公益通報に関連して資料を持ち出したことについて、市が停職3日の懲戒処分をした事案について、裁判所は、懲戒処分は重きに失するとして懲戒処分を違法と判断しました(大阪高等裁判所令和2年6月19日判決)。

 

(8)神社本庁事件

宗教法人神社本庁が不動産売買に関する内部通報を行った部長を懲戒解雇した事案について、裁判所は懲戒解雇を無効と判断しました(東京地方裁判所令和3年3月18日判決)

 

(9)日本郵便事件

郵便局内の内規違反に関して行われた内部通報について、当時日本郵便九州支社のナンバー2の立場にあった被通報者の父親が、通報者を探索したうえで、通報したことを認めるように脅したとして、強要未遂罪で在宅起訴されたことが報道されました。

 

(10)保険会社の内部通報に関する裁判事例

保険会社において、上司に保険業法違反行為があったとして内部通報した従業員が、通報された上司から、内部通報が名誉棄損にあたるとして50万円の損害賠償を請求された事件です。裁判所は、「告発内容も、その主要な部分について真実と一致しており、告発に際して不正の目的があったともいえない」として名誉毀損にはあたらないと判断しました(東京地方裁判所判決令和3年4月23日)。

 

9,内部通報制度運用規程の規程例

内部通報制度の導入にあたっては、内部通報制度運用規程で、通報の秘密保持や通報者の不利益取り扱いの禁止、通報があった場合の対応などを定める必要があります。

内部通報制度運用規程については、過去に消費者庁から様々な規程例が公表されていますので、参考にしてください。

 

 

なお、上記の規程集は、消費者庁が業種ごとに使用されている内部通報制度の事例を収集して掲載したものです。

 

【掲載業種】

建設業、製造業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、専門・技術サービス業、サービス業、医療・福祉、教育・学習支援業

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

これらの規程例は自社の内部通報制度運用規程を定めるうえで有用な参考資料になりますが、いずれも平成28年12月のガイドライン改正前のものであることに注意してください。

ガイドラインの内容や自社の状況にあわせて内容を修正する必要があります。

 

10,実効的な内部通報制度を作るために必要なこと

最後に実効的な内部通報制度を作るために重要なポイントをあげると以下の通りです。

 

  • 内部通報制度の周知に取り組み、制度の意義について社内の理解を深める努力をする
  • 匿名での内部通報も受け付けることを明確にする
  • 内部通報に関する相談や質問を受け付ける体制を整備する
  • 海外にも従業員がいる場合は、多言語対応を検討する
  • 内部通報制度の運用実績(通報件数や対応結果)を社内で公表することにより、制度に対する信頼性を高める。

 

これらの課題に継続的に取り組んでいくことで、内部通報制度の実効性を高めることが重要です。

 

【参考】消費者庁による実態調査について

消費者庁が平成30年に行った内部通報制度の実態調査の労働者向けアンケートでは、制度を利用しやすくするために望むこととして以下の点があがっています。

 

  • 通報・相談窓口を社外の第三者機関に設置する:11%
  • 通報・相談することを認め合う職場風土を作る:12%
  • 通報・相談窓口の利用が他の従業員に分からないようにする:20%
  • 通報・相談窓口の利用方法等を周知する:27%
  • 通報・相談窓口を利用したことにより不利益を被らない仕組みを作る:34%

 

このような実態調査の結果も参考にしながら、内部通報制度を通報者の立場から利用しやすい制度にしていくことが必要です。

 

11,内部通報制度の認証制度とは?

内部通報制度の認証制度とは、事業者の内部通報制度が消費者庁のガイドラインの基準を満たすかどうかについて、第三者的な指定登録機関が審査し、認証する制度です。

現在、公益社団法人商事法務研究会がこの事業を行っています。

 

 

(1)内部通報制度認証取得のメリット・デメリット

認証の取得は義務ではなく、実際にも認証を受けた事業者はごく一部の事業者にとどまっています。

 

▶参考情報:登録事業者一覧

 

認証を受けるメリット、デメリットとしては以下の点があげられます。

 

●メリット:

自社の内部通報制度が消費者庁のガイドラインの内容に適合するものであることについて第三者からの認証を得ることができ、社内での信頼性や、社会的な自社に対する評価を高めることができる。

 

●デメリット:

費用と労力がかかる。

 

なお、費用については以下の通りとなっています。

登録を維持するためには1年ごとに更新が必要です。

 

▶参考情報:内部通報制度認証の登録申請料

登録申請料 登録更新申請料
大規模事業者 70万円 52万円
中規模事業者 50万円 37万円
小規模事業者 30万円 22万円

 

12,咲くやこの花法律事務所の弁護士なら「こんなサポートができます。」

咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

最後に、咲くやこの花法律事務所における内部通報制度についてのサポート内容をご説明したいと思います。

 

  • (1)内部通報制度の構築のご相談
  • (2)内部通報窓口の依頼
  • (3)通報内容に関する検討、調査
  • (4)内部通報制度に関する社内研修

 

以下で順番にご説明します。

 

(1)内部通報制度の構築のご相談

内部通報制度は、不正や不祥事を早期に発見し、会社を守るために非常に重要な制度です。

内部通報制度が適切に構築されていなければ、場合によっては巨額の損害が発生することもあり得ます。

企業としては適切に内部通報制度を構築すべきですが、専門的なノウハウが必要な分野ですので、自社だけではなかなか難しい面があると思われます。

咲くやこの花法律事務所では、企業法務に精通した弁護士が、内部通報制度の構築に関する相談を随時承っております。

会社の状況や希望を丁寧に伺い、最適な内部通報制度の構築をご提案いたします。内部通報制度の構築にお悩みの企業の方は、ぜひ咲くやこの花法律事務所にご相談ください。

 

咲くやこの花法律事務所の企業法務に強い弁護士による内部通報制度の構築に関する弁護士費用例

●初回相談料:30分5000円+税
●内部通報規程の作成:15万円+税~

 

(2)内部通報窓口の依頼

この記事でもご紹介しましたように、内部通報窓口を社外の顧問弁護士ではない法律事務所に委託することで、経営陣から独立し、秘密保持が徹底された通報ルートを確保することができます。

このような社外窓口は、通報者に安心感を与えるため、通報しやすく、通報に際しての相談に対しても対応可能な最適な内部通報窓口といえます。

咲くやこの花法律事務所でも、内部通報窓口の設置についてのご依頼を常時承っています。

内部通報窓口として企業法務に精通した弁護士が担当窓口となり、内部通報に対応することができます。

内部通報窓口を顧問先弁護士以外の法律事務所に委託することを検討されている企業、医療法人、学校法人、地方自治体等の方は、ぜひ咲くやこの花法律事務所にご相談ください。

 

咲くやこの花法律事務所の企業法務に強い弁護士による内部通報窓口の依頼に関する弁護士費用例

●内部通報窓口の依頼:従業員数に応じて以下の費用となります。

 

  • 従業員数300名未満:月額3万円+税
  • 従業員数300名~999名:月額5万円+税
  • 従業員数1000名~2999名:月額7万円+税
  • 従業員数3000名~:月額8万円+税

 

※ 通報があった際の対応方法や調査方法について弁護士にご相談いただく費用についても上記に含まれます。

 

(3)通報内容に関する検討、調査

内部通報がなされた場合、通報内容を十分検討し、調査が必要なものとそうでないものにわける必要があります。

また、調査が必要な場合は早期に適切な調査を行うことは、会社の信頼を回復するための措置を迅速にとることができます。

咲くやこの花法律事務所では、企業で生じ得る不祥事の相談を常時承っており、その解決実績も豊富です。

咲くやこの花法律事務所の企業法務に精通した弁護士が、専門的なノウハウをもとに通報内容に対する検討、調査を行い、今後の対応についてアドバイスをさせていただきます。

 

咲くやこの花法律事務所の企業法務に強い弁護士による通報内容に関する検討、調査に関する弁護士費用例

●初回相談料:30分5000円+税
●調査費用:30万円+税~

 

 (4)内部通報制度に関する社内研修

内部通報制度を実効的なものにするためには、内部通報制度の周知に取り組み、制度の意義について社内の理解を深める努力をすることが必要です。

咲くやこの花法律事務所では、弁護士が社内研修の講師として、内部通報制度の意義や制度内容を説明し、制度の周知をサポートする取り組みも行っています。

 

▶参考情報:従業員向けの現場で役に立つコンプライアンス研修の実施方法については、以下の記事を参考にご覧下さい。

現場で役に立つコンプライアンス研修の実施方法。参加者も大満足!

 

咲くやこの花法律事務所の企業法務に強い弁護士による社内研修に関する弁護士費用例

●初回相談料:30分5000円+税
●研修費用:10万円+税~

 

また、咲くやこの花法律事務所の「内部通報(公益通報)窓口の弁護士への外部委託サービス」については、以下の動画で詳しくサービス内容を解説していますので、参考にご覧ください。

 

▼【関連動画】西川弁護士が「内部通報(公益通報)窓口」弁護士への外部委託サービスを詳しく解説中!

 

(5)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法

今すぐお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

 

13,Q&A 咲くやこの花法律事務所のサービス内容について「よくあるご質問」

内容通報窓口サービスの内容についてよくあるご質問を以下でご紹介しています。

 

(1)通報の受付について

Q1:フリーダイヤルや専用のメールアドレスを作ってもらえますか?

はい、専用回線のフリーダイヤル、御社名を入れた専用のメールアドレスを作ります。

 

Q2:通報の対応時間を教えてください。

電話での通報の対応は平日9時から18時までです。メールや郵便での通報には時間の制限はありません。

 

Q3:ハラスメントの通報もあるのですが対応は可能でしょうか?

はい、対応可能です。ハラスメントの通報も、その他の通報と同様に対応いたします。

 

Q4:通報の受付の方法はどのようなものですか?

電話、メール、郵便のいずれかの方法によります。

 

Q5:法律事務所に外部窓口を依頼するメリットはどのようなものですか?

内部通報があった場合、通報内容を十分検討し、調査が必要なものとそうでないものに分ける必要があります。また、調査が必要な場合は早期に適切な調査を行うことが重要です。

通報について対応方針が決まらないまま、時間を経過させると、通報者の不信を買い、外部にリークされるなど重大な問題に至ります。

咲くやこの花法律事務所では、企業法務に精通した弁護士が通報内容を確認し、通報後の対応について担当者にアドバイスをさせていただきます。

この点は、法律事務所のみが行うことができる重要なサポートです。

 

Q6:外部窓口を設置するメリットはどのようなものですか?

内部通報窓口を社外の顧問弁護士ではない法律事務所に委託することで、経営陣から独立し、秘密保持が徹底された通報ルートを確保することができます。

このような社外窓口は、通報者に安心感を与えるため、通報しやすい最適な内部通報窓口といえます。

 

Q7:役員、退職者、派遣社員、子会社従業員、関連会社従業員等も通報対象に入れることは可能ですか?

はい、可能です。

 

Q8:従業員数が30名の会社ですが対応可能ですか?

はい、中小企業からのご依頼にも対応しております。

 

Q9:医療法人ですが対応可能ですか?

はい、株式会社のほか、医療法人や学校法人、地方自治体、公益法人などからのご依頼にも対応しています。

 

Q10:外国語での通報も受け付けていますか?

外国語での通報については、匿名で通報できる専用のWebフォーム、またはメールでの通報のみ受け付けております。電話での外国語対応は行っておりません。

 

(2)通報があった場合の対応について

Q1:通報についてはどのような対応になりますか?

匿名での通報も受け付けています。氏名を名乗った通報があった場合も、改正公益通報者保護法の趣旨を踏まえて、通報者の氏名は会社にはお伝えしないことを原則としています。

通報を受けたときは、通報者に対して、通報後の調査や是正は会社が検討して行う旨を案内いたします。改正公益通報者保護法に基づく指針では、通報者に対して、調査の結果や是正措置をとったかどうかを連絡することが求められていますので、会社が調査は必要がないと判断した場合、調査の結果通報対象事実がないとの結論に至った場合、是正措置をとった場合等は、会社から咲くやこの花法律事務所にご連絡いただき、咲くやこの花法律事務所から通報者に対して連絡します。

 

Q2:通報があった場合の対応フローを教えてください。

電話での通報があった場合は、事務所で内容を整理したうえで、通報者に確認していただき、その内容を会社の公益通報対応業務従事者に送付するということが基本的な対応フローになります。

また、Webフォーム等での通報があった場合は、原則としてその内容をそのまま会社の公益通報対応業務従事者に送付します。ただし、通報内容に通報者の特定につながる内容が含まれる場合は通報者に対する一定の注意喚起が必要ですので、Webフォームにおいて、注意すべき点を通報者に表示することで、「公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会報告書」(令和3年4月)等に準拠した対応を行います。

 

Q3:内部通報を受けた場合に、調査方法などについて弁護士の助言を受けることは可能ですか?

はい、調査方法や調査の要否について弁護士の助言を受けることが可能です。

 

Q4:会社へのレポートはどの様な形式で行って頂けますか?

原則としてメールによるレポートになります。

その他、会社のご要望にあわせた対応も可能です。

 

Q5:内部通報を受けた場合に、助言だけでなく、弁護士に調査を依頼することは可能ですか?その場合の費用の目安を教えてください。

はい、調査をご依頼いただくことも可能です。その場合の費用については、弁護士が調査に要した時間について1時間当たり3万5000円(税別)のタイムチャージを目安とさせていただいています。

 

(3)料金について

Q1:初期費用がかかりますか?

内部通報規程がすでに整備されている場合は、初期費用はかかりません。

規程がない場合は、規程の作成費用をいただいております。

 

Q2:月額の費用についてはどのように決まりますか?

月額の費用については現在の従業員数を基準に決めています。

詳細は以下をご参照ください。

 

▶参考情報:サービス料金のご案内

 

なお、退職者を通報者に含める場合は、原則として、現従業員数に基づく月額の費用に20%の加算をさせていただいています。

また、取引先等を通報者に含める場合は、人数の把握が困難ですが、上記の従業員数による月額費用をベースに、依頼者との協議により費用を決定させていただいています。

 

Q3:従業員数の確認のために何か資料が必要ですか?

新規のご契約の際は従業員数に関する資料は特にいただいておりません。契約更新の際は、労働保険料の保険料申告書等により、雇用保険被保険者数を確認させていただいております。

 

Q4:通報者の相談は何度でも月額の費用に含まれますか?

通報窓口として必要となる通報者の相談( 通報者の疑問や不安を解消するため、通報の取扱いや 通報者保護の仕組みに関する質問・相談)への対応は原則として何度でも月額の費用に含まれます。

ただし、実際に稼働してみないと通報件数などがわからない面があるため、契約書上、通報件数、委嘱事務、稼働時間の増加等により、弁護士報酬が不相当となったときは、協議の上、月額費用の増額をお願いすることがあることを記載させていいただいています。

実際に増額をお願いしなければならないようなケースはほとんどなく、基本的に月額の費用の中で対応しています。

 

Q5:通報があった場合の弁護士による相談は別費用ですか?

通報についての対応方法に関する弁護士へのご相談については別費用はいただいておりません。月額費用の中で対応しています。

 

(4)ご契約までの流れについて

Q1:東京の会社なのですがご依頼は可能でしょうか?

遠方の会社でもご依頼には全く問題ありません。

 

Q2:依頼するためには事務所への来所が必要ですか?

来所いただかなくてもご依頼が可能です。

 

Q3:依頼する場合にどのような流れになりますか?

内部通報窓口委任契約書をお送りいたしますので、ご返送いただきますようにお願いいたします。

ご返送後に内部通報窓口を設置いたします。

また、契約にあたり、現在の御社の内部通報規程を確認させていただく必要があります。内部通報規程に修正すべき点がある場合は、若干の手直しをさせていただくことがあります(無料)。

内部通報規程が現在ない場合は、有料になりますが作成いたします。

あわせて、社内においても内部通報窓口を設けられている場合は、改正公益通報者保護法との関連で、公益通報対応業務従事者が書面により指定されているかどうかも確認させていただきます。もし、指定がされていない場合は、必要なサポートをさせていただきます(無料)。

また、改正公益通報者保護法に基づく指針への対応として、通報者を特定する事実の範囲外共有、通報者探索、通報者への不利益取扱いを就業規則上の懲戒事由として定める必要があります。必要に応じてこの点も助言させていただきます。

 

Q4:依頼から運用開始まではどのくらいの期間がかかりますか?

通常は1か月程度です。ただし、事前に会社の内部規程の内容を確認させていただき、改正公益通報者保護法や「公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会報告書」(令和3年4月)等に照らして修正すべき点がある場合は、修正をお願いしております。このような修正が必要になる場合は、運用開始までもう少し期間が必要になることあります。

 

「弁護士西川暢春からのご案内」

咲くやこの花法律事務所では、内部通報窓口の依頼をご検討の企業様向けに弁護士からより詳細なご説明を差し上げています。上記のほかにご不明な点がありましたら、気軽にお問い合わせください。

 

15,まとめ

今回は、内部通報制度の目的と導入のメリット、問題点をご説明したうえで、制度設計において必ずおさえておくべき点として以下の内容をご説明しました。

 

  • 通報に関する秘密保持を徹底する
  • 経営陣からの独立した通報窓口を設置する。
  • 不利益な扱いを受けないことを内部規程で明確にする
  • 通報後は公正な検討・調査が必要

 

また、制度を導入した後に、制度を実効的なものにするためのポイントについてもご紹介しました。

この記事が、実効性のある内部通報制度の構築に役立てば幸いです。

 

記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2024年2月25日

 

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