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パワハラの慰謝料の相場はどのくらい?5つのケース別に裁判例をもとに解説

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  • パワハラの慰謝料の相場はどのくらい?5つのケース別に裁判例をもとに解説
    • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
    • この記事を書いた弁護士

      西川 暢春(にしかわ のぶはる)

      咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
    • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で400社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

    こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士の西川暢春です。

    パワハラの慰謝料の相場について気になっていませんか?

    従業員や部下からパワハラについての主張や訴訟があった場合に、気になるのが慰謝料の相場だと思います。

    パワハラの慰謝料は、パワハラの内容や被害の程度によって大きく異なります。通常は30万円~100万円くらいになることが多いですが、被害者がパワハラの結果、精神疾患になって休業が必要になったり、自殺してしまったりというケースでは、賠償額が非常に高額になります。裁判例では自殺事案について1億円を超える賠償を事業主に命じたものもあります。

    企業としてパワハラの被害について被害者から慰謝料を請求された場合、相場を理解しないまま、被害者に対応すると、多すぎる慰謝料の支払いを提示してしまって、後で修正することが難しくなってしまうことがあります。

    一方で少なすぎる慰謝料の支払いを提示してしまった結果、被害者との間で裁判に発展してしまう危険もあります。

    パワハラの慰謝料について正しい理解をしておくことが必要です。

    この記事では、パワハラの慰謝料についてのケースごとの大まかな相場や、慰謝料が高額になるケースについて詳しく解説していきます。また、実際に被害者から慰謝料の請求や訴訟等を起こされた場合の対応についてもご説明します。

    この記事を読めば、パワハラの慰謝料についてどのくらいのイメージの金額になるかがわかるはずです。

    それでは見ていきましょう。

    なお、パワハラの基礎知識をはじめとする全般的な説明については、以下の記事で詳しく解説していますので事前にご参照ください。

     

     

    「弁護士西川暢春のワンポイント解説」

    パワハラの問題が訴訟に発展し、高額な損害賠償を請求されるケースは少なくありません。

    企業としては訴訟になる前に弁護士に依頼することにより、適切な反論をしつつ交渉により解決し、訴訟を避けることが重要です。パワハラの被害の訴えがあったら、訴訟になる前にできるだけ早い段階で弁護士に相談することで、よりよい解決が可能になります。

    筆者が代表を務める咲くやこの花法律事務所でも、パワハラを理由とする慰謝料請求にお困りの事業者からのご相談をお受けしています。早めに弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

    咲くやこの花法律事務所のパワハラトラブルについての解決実績の一部を以下で掲載していますのでご参照ください。

     

    ▶参考情報:咲くやこの花法律事務所のパワハラトラブルについての解決実績はこちら

     

    また、パワハラに強い弁護士にトラブル解決を依頼する各種メリットや弁護士費用についてなどは、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもご参照ください。

     

    ▶参考情報:パワハラに強い弁護士にトラブル解決を依頼するメリットと費用の目安

     

    ▼【関連動画】西川弁護士の「パワハラの慰謝料ケースごとに相場を弁護士が解説【前編】」「パワハラで慰謝料請求されたら?示談・訴訟の対応などを解説【後編】」動画を公開中!

     

     

    ▼パワハラの慰謝料に関して今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

    【お問い合わせについて】

    ※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。

    「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

     

     

    1,パワハラの慰謝料とは?

    パワハラの慰謝料は、パワハラによる損害賠償請求の項目の1つで、精神的な被害についての賠償項目です。

    パワハラの被害者は、加害者本人に対してだけでなく、企業に対しても、慰謝料の請求ができることが通常です。加害者本人に対する請求は、不法行為を根拠とするものです。一方、企業に対する請求は、使用者責任や安全配慮義務違反を根拠とするものです。

    使用者責任は、従業員が他人に損害を発生させた場合に、会社もその従業員と連帯して被害者に対して損害賠償の責任を負う法制度であり、パワハラの慰謝料についてもこれを根拠に企業に対する請求がされることがあります。

    また、安全配慮義務とは、企業が従業員に対して負担する「安全と健康を確保しつつ就業するために必要な配慮をする義務」であり、パワハラにより精神的被害を与えたことは、企業の安全配慮義務違反であるとして企業に対する慰謝料の請求がされることがあります。

    使用者責任や安全配慮義務違反についての解説は以下をご参照ください。

     

     

    2,パワハラの精神的苦痛に対する慰謝料の相場は事案により大きく異なる

    パワハラについての慰謝料の額は、事案によって大きく異なります。

    一口にパワハラと言っても、相手に身体的な攻撃をするパワハラや、言葉による侮辱など精神的に追い詰めるパワハラ、違法な退職勧奨がパワハラとなるケースなど、態様は様々です。

    慰謝料も、パワハラの内容や悪質性、継続性などの事情が考慮されて決まるため、決まった金額というのはありません。

    以下でケースごとの慰謝料の相場について解説していきます。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    厚生労働省はパワハラを6種類に分類しています。パワハラの種類についての解説は以下の記事をご参照ください。

     

    ▶参考情報:パワハラの種類はいくつ?6つの行為類型を事例をもとに徹底解説

     

    3,暴行や傷害などの場合

    暴行や傷害などの場合

    まず、暴行や傷害など、身体的な攻撃に関するパワハラの慰謝料について解説します。

    前述の通り、暴行の事案であるから慰謝料はいくらになる、などと決まった金額がある訳ではありません。

    ただ、強いて相場を挙げるとするならば、比較的軽微な暴行や被害者自身にも大きな問題がある場合は10~30万円程度、怪我があった場合や継続的な暴行の場合は100~300万円程度の慰謝料が認められる傾向にあります。

    いくつか事例をご紹介します。

     

    事例1:
    みぞおちを殴打し顔面を叩いた事案について慰謝料100万円を認めた事例

     

    福岡地方裁判所判決 平成27年11月11日

    神社で神職として就業していた職員が、神社の代表役員から指導を受けた際、みぞおちを殴打され、顔面を平手で叩かれるなどの多数回の暴行を受けた事案です。

    他にも職員は2回坊主頭にされる、脅迫・暴言を複数回吐かれるなどしました。

    裁判所は代表役員のこれらの行為について、指導方法として許容しうる範囲を著しく逸脱しており不法行為が成立すると判断し、慰謝料として100万円を認めました。

     

    事例2:
    右頬を1回殴った事案について慰謝料30万円を認めた事例

     

    水戸地方裁判所判決 平成24年9月14日

    村役場で働く職員が、命令を無視し、注意に対し大声で反論したため、上司から手拳で右頬を1回殴打するなどされ、右頬部打撲、右上腕部皮下出血及び右膝打撲の傷害を負った事案です。

    裁判所は村に対し、慰謝料として30万円の支払いを命じました。

     

    事例3:
    座っている椅子を蹴った事案について約120万円の賠償を命じた事例

     

    神戸市・代表者交通事業管理者事件(神戸地方裁判所判決 令和3年9月30日)

    交通局に勤める運輸事務局員が、上司に、座っている椅子を後ろから強く蹴られる等の暴行を受け、頸椎捻挫及び腰椎捻挫を受傷した事案です。

    事務局員は治療のため約3カ月の間、整形外科に33回、ペインクリニックに2回通院し、この間欠勤を余儀なくされました。

    裁判所はこれらの事情を考慮して損害賠償額として合計120万5863円を認めました。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    暴行の結果、被害者が怪我を負った事案では、治癒のための通院期間や通院回数、後遺障害の有無が慰謝料額の算定の際に考慮されます。

     

    4,侮辱的暴言などの精神的なパワハラに関する事案の場合

    侮辱的暴言などの精神的なパワハラに関する事案の場合

    次に、侮辱的暴言などの精神的なパワハラの慰謝料について解説します。

    このような言葉によるパワハラにおいても同様に、パワハラの悪質性や継続性などによって慰謝料の金額は大きく異なります。

    裁判例において多く見られる慰謝料額はおおよそ30~100万円程度です。また、パワハラにより被害者がうつ病になったり、休職に追い込まれてしまった等の事情が存在する場合は、300~400万円など、より高額な慰謝料となる傾向にあります。

    下記でいくつか事例をご紹介します。

     

    事例1:
    能力否定発言のパワハラについて330万円の賠償を命じた事例

     

    富国生命保険事件(鳥取地方裁判所米子支部判決 平成21年10月21日)

    営業成績の芳しくない社員に対し、上司が他の社員の前で「マネージャーが務まると思っているのか」「マネージャーをいつ降りてもらってもかまわない」などと誇りを傷つけるような発言や、一方的に社員がマネージャーを務める班を分離するなどして、社員がストレス性うつ病を患った事案です。

    裁判所はこれらの言動を違法なものであるとして、会社に330万円の支払を命じました。

     

    事例2:
    侮辱的発言のパワハラについて95万円の賠償を命じた事例

     

    日本ファンドパワハラ事件(東京地方裁判所判決 平成22年7月27日判決)

    会社員が上司に「馬鹿野郎」「給料泥棒」等と他の社員の前で罵倒されたり、12月の寒い時期に執拗に扇風機の風を当てられるなどして、抑うつ状態になり1か月の休職を余儀なくされた事案です。

    裁判所は上記言動は不法行為に該当するとして、会社に95万9982円の支払を命じました。

     

    事例3:
    脅迫的発言のパワハラについて100万円の賠償を命じた事例

     

    福岡地方裁判所判決 令和4年3月1日

    営業に失敗し損失を出したとして代表取締役会長から経営会議の場など多数の人の前で「本当に無能やな」「呪い殺してやるからな」「引きずり倒すぞお前」などといった暴言を吐かれた事案です。

    裁判所はこれらの発言を社内での地位や人格を否定するものであり、精神的苦痛を負わせたとして違法と判断し、慰謝料として会社に100万円の支払を命じました。

    なお、この裁判例の判決全文は以下をご参照ください。

     

     

    5,違法な退職勧奨の事案の場合

    次に、違法な退職勧奨のパワハラについての慰謝料について解説します。

    これも同様に事案により金額に差異はありますが、多く見られる金額は大体50~100万円となります。

    事例とその慰謝料額については、下記のようなケースがあります。

     

    事例1:
    執拗かつ長時間の退職勧奨について慰謝料50万円とした事例

     

    全日空事件(大阪地方裁判所判決 平成11年10月18日)

    約4か月の間に30回以上の退職勧奨の面談を行い、中には8時間もの長時間にわたるものもありました。退職勧奨の面談の際には、大声を出したり、机をたたいたりという不適切な言動もありました。

    裁判所はこれらの退職勧奨を違法として慰謝料50万円を認めました。

     

    事例2:
    侮辱的な発言を伴う退職勧奨について慰謝料50万円とした事例

     

    日立製作所事件(横浜地方裁判所判決 令和2年3月24日)

    課長職の従業員に対する退職勧奨の面談の場で、仕事ぶりが平従業員並みである、自分で仕事を見つけてくる必要があるなどと述べたうえ、他の部署にも退職勧奨の情報が共有されている旨を述べ、能力がなく成果の出る仕事もしていないのに高額の賃金の支払いを受けているのはおかしいといった旨の発言をした事案です。

    裁判所はこれを違法と認め、慰謝料50万円の支払を命じました。

     

    事例3:
    侮辱的な発言を伴う退職勧奨について慰謝料100万円とした事例

     

    兵庫県商工会連合会事件(神戸地方裁判所姫路支部判決 平成24年10月29日)

    商工会に勤務する職員に対し繰り返し執拗に退職勧奨が行われた事案です。

    「ラーメン屋でもしたらどうや」「管理者としても不適格である」「異動先を自分で探せ」などといった暴言に加え、退職勧奨に応じさせるために違法に出向を命じるなどの行為により、精神的苦痛を与えたとして、裁判所は事業主に対し、慰謝料100万円の支払を命じました。

     

    6,被害者が自殺した場合

    次に、パワハラにより被害者が自殺に追い込まれてしまったケースの慰謝料についてです。

    被害者が自殺に追い込まれてしまった場合の慰謝料は他のケースと異なり、高額になることがほとんどです。慰謝料額は通常、2000万円~2800万円ほどになります。

    また、慰謝料のほかに逸失利益も損害賠償の対象に含まれます。

    逸失利益とは、パワハラ等の不法行為による自殺が無ければ、被害者が得られたであろう将来の利益(収入など)を言います。

    この逸失利益は、被害者の収入によりますが、おおよそ4000万円~5000万円程度という金額になることが多く、慰謝料と合わせた合計の賠償額は高額なものになります。

    下記でいくつかの事例を紹介します。

     

    事例1:
    代表者の暴言・暴行による自殺の事例

     

    名古屋地方裁判所判決 平成26年1月15日

    金属加工及び人材派遣会社で働く従業員が代表取締役から激しい暴言・暴行を受けて、自殺した事案です。

    裁判所はこれらの暴言・暴行は不法行為に当たるとし、損害賠償額として合計5947万5507円を認めました。

     

    事例2:
    上司からの叱責による新入社員の自殺の事例

     

    福井地方裁判所判決 平成26年11月28日

    消火器販売等を営む会社に高卒で入社した新入社員が、上司から叱責のレベルを超えた人格を否定するような暴言を吐かれたことにより自殺した事案です。

    裁判所は暴言は典型的なパワハラであるとして不法行為に当たるとし、損害賠償額として合計7261万円を認めました。

    なお、この裁判例の判決全文は以下をご参照ください。

     

     

    7,パワハラ被害者がうつ病や適応障害を患った場合

    被害者がパワハラによりうつ病や適応障害などの精神疾患を患ってしまった場合は、慰謝料が高額になる傾向にあります。

    事案の内容により差異はあるものの、相場としては100~500万円程度となります。

    事例としては以下のものがあります。

     

    事例1:
    サントリーホールディングズ事件

     

    東京地方裁判所判決 平成26年7月31日

    飲料製造販売会社の従業員が上司のパワハラ発言によりうつ病に罹患した事案です。

    裁判所は、「新入社員以下だ。もう任せられない。」というような屈辱を与え心理的負担を過度に加える言動や、「何で分からない。おまえは馬鹿」というような名誉感情をいたずらに害する言動があったと認定しました。そのうえで、これらの言動は不法行為にあたるとして、損害賠償額として297万円を認めました。

    うつ病を患った場合の賠償額については、前述の「事例1:能力否定発言のパワハラについて330万円の賠償を命じた事例」や「事例2:侮辱的発言のパワハラについて95万円の賠償を命じた事例」もご参照ください。

     

    8,パワハラにおける損害賠償の最高額

    次に、パワハラにおける損害賠償額について、特に高額な事例をご紹介します。

    前述のように被害者が自殺に至った事案では、慰謝料額が高額になります。そして、その中でも、被害者の収入が高かった事案では、慰謝料だけでなく、逸失利益も高額になる結果、合計の損害賠償額が特に大きくなる傾向にあります。

    中でも高額な賠償が命じられた事案を2つご紹介します。

     

    事例1:
    整形外科医が自殺に至った事案

     

    広島高等裁判所松江支部判決 平成27年3月18日

    整形外科医が患者の面前で整形外科部長に罵倒、暴行されたことや長時間労働によりうつ病を発症し、自殺に至った事案です。

    裁判所は損害賠償額として合計1億2748万7491円を認めました。

     

    事例2:
    飲食店の店長が自殺に至った事案

     

    東京地方裁判所判決 平成26年11月4日

    飲食店の店長が長時間労働や上司による執拗な暴行、暴言により自殺した事案です。

    裁判所は損害賠償額として合計7858万4283円を認めました。

     

    9,慰謝料を請求された場合の対応

    被害者からパワハラ行為についての慰謝料を請求された場合も、できる限り、訴訟になる前の交渉段階で解決することが、企業にとってメリットであることが多いです。

    これは、訴訟になってしまうと以下のデメリットがあるからです。

    パワハラトラブルが訴訟になった場合のデメリット

     

    • 訴訟対応に多大な労力と弁護士費用を要する
    • 訴訟になると解決まで1年程度かかることが多く、長期間、トラブルを抱えることになる
    • パワハラが判決で認められて敗訴すると企業の評判が悪化するリスクがある

     

    交渉により解決を目指す場合も、自社の調査結果に基づき、被害者からの請求に対して反論するべき点があればしっかりと反論することが必要です。

    ここでしっかりとした反論ができるかどうかが示談の金額に影響してきます。

    そのうえで、ここまでご説明した裁判例なども参考に解決金の額を提示していくことになります。これらの交渉を自社で行うことは難しいことが多く、企業側も弁護士に依頼することが一般的です。

     

    10,パワハラの慰謝料についての示談

    パワハラの慰謝料について示談する際に重要なことは、企業から慰謝料の支払いをする代わりに、それ以上の請求をしないことを書面で約束させることです。そのためには、慰謝料の支払いをする前に、必ず示談書を作成する必要があります。

    示談書を作成する際は以下の点に注意してください。

     

    注意点1

    支払う金銭の名目を「慰謝料」とするとパワハラを認めたことになります。

    企業としてはパワハラに該当するかどうか疑問があるという場合には、「解決金」などとすることを検討しましょう。

     

    注意点2

    支払を約束した慰謝料が特定のパワハラ行為についての慰謝料ではなく、加害上司と従業員との間の一切のパワハラ行為についての慰謝料であることを明確にしておきましょう。

    この点があいまいになっていると、今回申告分とは別のパワハラ行為もあり、それについては慰謝料の支払いがされていないとして、別途慰謝料の請求を受ける危険があります。

     

    注意点3

    慰謝料の支払いを受けた後は企業に対する請求だけでなく、加害上司に対する請求もしないことを明確にしておきましょう。

    この点が抜けていると、企業から慰謝料の支払いをした後も、加害上司に対する慰謝料請求が行われ、紛争が継続する危険があります。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    被害を受けた従業員がすでに退職している場合は、企業から支払を約束した慰謝料が特定の加害上司によるパワハラ行為についての慰謝料ではなく、在職中の一切のハラスメント行為についての慰謝料である旨を記述することも検討すべきです。

    そのように記述することによって、今回申告分とは別の上司のハラスメント行為は未解決であるとして、別途慰謝料の請求等を受けることを防ぐことが必要です。

     

    11,被害者から訴訟を起こされた場合の対応

    次に、被害者からパワハラについて慰謝料を請求する訴訟を起こされた場合の企業側の対応について見ていきましょう。
    訴訟が起こされた場合は、まず、答弁書を提出して、被害者が主張する事実に対し、反論する必要があります。

    パワハラ行為に関する慰謝料請求に対する反論は様々ですが、例えば、以下のようなケースが考えられます。

     

    (1)被害者が主張する内容のパワハラの事実が存在しないと主張するケース

    社内でのハラスメント調査の結果、加害者とされた従業員が、被害申告されたパワハラの事実を否定しているケースで、会社としてもパワハラの事実がないと思われる場合は、被害者が主張するパワハラの事実は存在しないという反論をする必要があります。

    この場合、社内調査の結果をまとめた調査報告書を証拠提出することを検討することになります。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    裁判所から会社のパワハラ調査結果について信頼を得るためには、被害申告を受けた段階で弁護士など信頼性のある第三者がしっかりと社内調査を行い、調査報告書を作成しておくことが必要です。

    パワハラの調査については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

     

    ▶参考情報:パワハラやハラスメントの調査方法について。重要な注意点を解説!

     

    (2)被害者が主張する言動が不法行為に該当しない旨を主張するケース

    叱責や退職勧奨については、一定の限度を超えた言動のみが慰謝料の賠償の対象となります。

    叱責については、被害者が過度な叱責と受け取ったとしても、業務上必要かつ相当な叱責であった場合、パワハラには該当しません。

    また退職勧奨についても、過度に執拗であったり、解雇をほのめかすなど退職強要につながる発言があったなどの事情がない場合は、パワハラには該当しません。

    このような場合は、不法行為には該当せず慰謝料は発生しない旨の反論をすることが可能です。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    退職勧奨がどのような場合に違法になるかについては、以下の記事で解説していますのでご参照ください。

     

    ▶参考情報:違法になる退職勧奨とは?具体的な判断基準を判例付きで解説

     

    (3)パワハラ行為について被害者の態度も一因になっているケース

    パワハラに該当する行為があったとしても、原因の一端が被害者の態度にもあるという場合、その点を指摘して反論することが必要になります。

    パワハラを主張する被害者がわざと上司の怒りをあおり、感情的な叱責を引き出す行為や態度をとり、それを秘密裏に録音したものを証拠として提出することも少なくありません。

    このような場合は、その点を指摘し反論することが可能です。

     

    12,パワハラの慰謝料に関して弁護士に相談したい方はこちら(法人向け)

    咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

    咲くやこの花法律事務所では、パワハラトラブルについて、企業側の立場でご相談をお受けしています。最後に、咲くやこの花法律事務所において行っているパワハラトラブルについてのサポート内容をご紹介いたします。

     

    (1)企業がとるべきパワハラ防止措置に関するご相談

    咲くやこの花法律事務所では、パワハラの事前防止策、事前対策のご相談も承っております。パワハラに関する研修や就業規則など諸規則の整備、ハラスメント相談窓口の整備、その他パワハラ防止策の具体的な進め方についてお困りの企業様はご相談ください。

    パワハラ防止策については日頃から自社の労務管理の整備、見直しや改善を行っておくことも重要です。これらは急に対応できるものではありません。日頃から自社にあった労務管理に強い弁護士に相談して、万が一パワハラトラブルが発生しても慌てることがないように取り組んでおきましょう。

     

    (2)パワハラのトラブルに関する対応方法のご相談

    咲くやこの花法律事務所では、従業員や部下からパワハラ被害を主張された場合の対応方法に関するご相談を承っています。

    パワハラのトラブルは、その後、パワハラを受けたと主張する従業員からうつ病になったと主張して労災請求がされたり、慰謝料の請求がされたり、上司に対する処分を求める主張がされるなど、さまざまな法的な要求に発展するケースがほとんどです。

    咲くやこの花法律事務所では、これまでパワハラのトラブルについて企業側の立場で解決してきた実績があり、過去の対応経験も踏まえて、トラブル拡大防止のためのベストな対応方法をアドバイスします。また、ご依頼により相手方と交渉し、訴訟前の解決を目指します。訴訟になる前のできるだけ早い段階でご相談いただくことがよい解決のためのポイントです。

     

    (3)パワハラのトラブルに関する裁判、労働審判への対応

    パワハラについては裁判や労働審判に発展するケースも多くなっています。

    咲くやこの花法律事務所では、パワハラについて裁判や労働審判を起こされた場合も、労働裁判、労働審判に精通した実績豊富な弁護士が全力で対応し、相談者にとって最も有利な解決を導きます。

    なお、労働審判におけるパワハラの主張に対する基本的な対応方法は、以下の労働審判についての解説記事の「答弁書のポイント5:パワハラ(パワーハラスメント)トラブルのケース」でも解説していますのであわせてご確認ください。

     

     

    13,パワハラトラブルに関する咲くやこの花法律事務所の解決実績

    咲くやこの花法律事務所におけるパワハラトラブルに関する企業向けのサポートの解決実績の一部を以下でご紹介しております。あわせてご参照ください。

     

    パワハラ被害を受けたとして従業員から会社に対し300万円の慰謝料が請求されたが、6分の1の慰謝料額で解決した成功事例

    教職員が集団で上司に詰め寄り逆パワハラが発生!学校から弁護士が相談を受けて解決した事例 

    内部通報窓口に匿名で行われたハラスメントの通報について、適切な対処をアドバイスし、解決まで至った事例

     

    14,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法

    パワハラの慰謝料に関する相談などは、下記から気軽にお問い合わせください。今すぐのお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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    16,【関連情報】パワハラに関するお役立ち関連記事

    この記事では、「パワハラの慰謝料の相場はどのくらい?5つのケース別に裁判例をもとに解説」について、わかりやすく解説しました。パワハラの慰謝料に関しては、事案によって額が大きく異なることをはじめ、それ以外にもパワハラの基礎知識など知っておくべき情報が幅広くあり、特にパワハラ発生時の判断基準や対応方法などについても正しく知識を理解しておかねければ重大なトラブルに発展してしまいます。

    そのため、以下ではこの記事に関連するパワハラのお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもご参照ください。

     

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    記事更新日:2022年8月9日
    記事作成弁護士:西川暢春

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