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協調性がない人の原因や対処法!人間関係の問題は解雇理由になる?

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  • 協調性がない人の原因や対処法!人間関係の問題は解雇理由になる?
    • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
    • この記事を書いた弁護士

      西川 暢春(にしかわ のぶはる)

      咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
    • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で400社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

    周囲との協調性がなく、ことあるごとに職場内の人間関係でトラブルを起こす従業員への対応に困っていませんか?

    協調性欠如を理由に従業員を解雇する例も見られますが、以下のように企業側が敗訴し多額の金銭の支払を命じられる例もあります。

     

    事例1:
    東京地方裁判所平成27年1月28日

    設計事務所が、自分の誤りを認めない、指示を受けても返答しない、担当業務についての電話対応を拒否するなどの問題がある従業員を普通解雇した事案。裁判所は普通解雇を無効と判断し、雇用契約が継続していることを判決で確認したうえで、設計事務所に約750万円の支払いを命じました。

     

    事例2:
    大阪地方裁判所判決平成30年11月22日

    会計事務所が、指示に対して「なぜ私がしないといけないんですか」「就業規則のどこに書いてありますか」などと繰り返し述べ、また指示をしても挨拶をしないなどの問題がある職員を普通解雇した事案。裁判所は普通解雇を無効と判断し、雇用契約が継続していることを判決で確認したうえで、会計事務所に約270万円の支払いを命じました。

     

    協調性欠如を理由に従業員を解雇を検討する場合は、上記のような重大な訴訟トラブルになる可能性もあることを踏まえて、解雇の前から弁護士に相談し、問題の従業員に対して、書面による適切な注意指導や懲戒処分による警告を加えつつ、解雇理由について必要な証拠を確保するという事前の準備をしなければなりません。

    この記事では、職場において「協調性がない」ということの意味についてご説明したうえで、協調性がない部下や従業員についての具体的な対応方法をご紹介したいと思います。この記事を最後まで読んでいただくことで、協調性がない従業員や人間関係のトラブルを起こす従業員についてどのように対応すればよいかを理解していただけます。

    それでは見ていきましょう。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    協調性がなかったり、職場内で人間関係のトラブルを起こしたりする従業員については、その従業員に対応する周囲の負担が大きく、早く解雇してしまいたいと考えがちです。しかし、急いで安易に解雇し、従業員から解雇無効を主張して訴訟が起こされた場合、敗訴すれば多額の金銭の支払いと復職を余儀なくされることになりかねません。これでは問題解決にはなりません。

    解雇には「改善の機会を与えるための指導や懲戒等の事前対応」と「解雇理由を証明するための事前の証拠収集」が必須です。必ず解雇前に弁護士に相談して十分な事前準備をするようにしてください。

    咲くやこの花法律事務所の問題社員対応に強い弁護士へのご相談は以下をご参照ください。

     

    ▶参考情報:問題社員対応に強い弁護士への相談サービスはこちら

     

    咲くやこの花法律事務所の問題社員対応に関する解決実績の一部を、「15.咲くやこの花法律事務所の問題社員対応に関する解決実績」でご紹介していますのでご参照下さい。

     

    ▼協調性がないことを理由とする懲戒解雇に関して今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

    【お問い合わせについて】

    ※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。

    「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

     

    今回の記事で書かれている要点(目次)

     

    1,「協調性がない」とは?意味を解説

    「協調性がない」とは?意味を解説

    まず、そもそも「協調性がない」というのはどういうことを意味するのでしょうか?

    協調性がないとは、通常、自分の意見や考えに対するこだわりが強すぎて、ほかの人の心情への配慮や、組織への配慮を欠くことを言います。仕事における協調性とは、上司、同僚、部下など周囲とうまく協調できる性質のことを言い、逆に、周囲の人の心情や会社組織への配慮を欠く場合は「協調性がない」と言われます。

    協調性は多くの仕事において求められる素質ですが、特に少人数の企業や少人数の部署で勤務する場合、他の従業員との共同作業が多くなり、協調性がより重要な要素となります。

     

    2,協調性がない人が生まれる原因

    では、協調性がない人が生まれる原因にはどういったものがあるのでしょうか?

    以下ではよくある原因を取り上げたいと思います。

     

    (1)多様性への理解を欠いている

    協調性というのは、ほかの人の心情への配慮がその出発点になります。人によって生活状況や家庭環境、大切にしたい考え方、理想とするライフスタイルなどは様々です。そのような多様性を前提とした相手への配慮が協調性のベースとなります。

    人によってそれぞれなのだということを認めず、自分の考えにそわない人をシャットアウトする考え方が、協調性がない原因になっていることがあります。

     

    (2)自分なりの正義感や価値観が強い

    自分独自の正義感や価値観が強すぎることも、協調性がないと評価される原因になり得ます。強すぎる正義感や価値観は、それに合わない人に対するきつい態度、きつい言葉遣いにつながりやすく、また職場内では会社の方針に対する反発となってあらわれることがあります。

     

    (3)相手より優位に立つことを意識する傾向

    人間関係においてとにかく相手より優位に立ちたがるという性格が周囲から見れば協調性がないと感じる原因になっていることもあります。相手より優位に立ちたいという気持ちから起きる言動が周囲にストレスや不快感を与えることは少なくありません。

     

    (4)協調の方向性が不明確

    そもそもどのように協調すればよいかがはっきりしていないということも、協調性がない人が生まれる原因になり得ます。職場内の問題の場合、会社の目指す方向性や目標、会社として重視する考え方が従業員に浸透していないことが原因となって、従業員の気持ちや考え方がバラバラになり、経営者層から見れば「協調性がない」と評価される人があらわれる原因になっていることがあります。

     

    (5)コミュニケーションの不足

    相手の考え方やライフスタイルなどを知ることは、相手に配慮し、相手と協調するきっかけとなります。逆に、コミュニケーションがとれておらず、相手の考え方や価値観を知る機会がないことは、お互いに協調できない原因につながります。職場内で協調性がない人がいると感じるときは、職場内のコミュニケーションの頻度に問題があることもあります。

     

    3,協調性がない人に向いている仕事

    協調性があることは、多くの仕事において求められる素質ですが、協調性がなくても問題になりにくい仕事もあります。他のメンバーと協調しなくても1人で仕事が完結するような専門職、営業職やデザイナー、運転手等がその典型例です。

    また、自営業やフリーランス、あるいは会社の社長なども、自分の意見や考えに対するこだわりが強いことがプラスに働く場面があり、サラリーマンとしては協調性がなくうまくいかなかった人や職場内の人間関係がうまくいかず退職した人が、独立して経営者やフリーランスとして成功する例も少なくありません。

     

    4,職場で協調性がない人のパターン

    職場で協調性がない人のパターン

    職場での協調性が問題になるといっても、そのパターンは様々です。

    大きく分けて以下のようなケースがあります。

     

    (1)きつい態度、きつい言葉遣い型

    ハラスメントとまではいえないものの、他の従業員に対する言葉遣いや態度がきつく、職場環境、職場の人間関係を悪化させるタイプの問題社員です。高圧的・威圧的言動により部下の離職を招く管理職層もこのタイプに該当します。

    また、上司・部下の関係になくても、先輩・後輩間または同僚間で「角が立つ言葉」や「非難めいた言葉」、「不用意に摩擦を生む言い回し」が職場環境悪化の原因になることも多いです。

     

    (2)消極姿勢型

    職場内で何かやろうとしても、常に消極的、否定的な意見のみを述べ、やらない理由を探すタイプの従業員です。職場内で挨拶をしない、指示をされても返事をしないタイプもここに含まれます。

     

    (3)無視・反発型

    会社の業務命令や教育方針、経営理念等に反発して従わないタイプの従業員です。明確に拒否するのではなく、「なぜ私がやらなければならないのですか」「その仕事、意味があるんですか」などと逐一説明を求めるタイプもこれに該当します。

     

    (4)業務抱え込み型

    自分の担当業務について情報を抱え込んで、社内で共有しようとせず、自分がいなければ困る状況を職場内で作り上げたうえで、自己中心的な要求を通そうとするタイプです。

     

    5,協調性がない部下や人間関係のトラブルを起こす社員への対処法と指導の方法

    協調性がない部下や人間関係のトラブルを起こす社員への対処法や指導方法についても、上記のパターンごとに考えていく必要があります。

     

    (1)きつい態度、きつい言葉遣い型

    このタイプの問題社員については、問題となるような言動が表に出てきた場合(例えば、被害者から訴えがあった場合)は、それについて調査し、問題社員に指導するという対応をすることになります。

    ただし、実際には、問題となる言動が表沙汰にならないように秘密裡に行われ、会社が言動の具体的内容を確認することが困難なケースも多いです。また、被害者からの事情聴取により問題となる言動を確認できたとしても、問題社員側がそのような言動をしたことを認めないことも多いです。

    このようなケースで有効になり得る対応は「社内アンケート」と「降格」です。

    社内アンケートによって問題社員の言動に他の従業員が不快感を持っていることを可視化しうたうで、問題社員に対して言動を改めるように求めることが効果的です。また、問題社員が役職者である場合、たとえハラスメントにあたらないとしても、多くの部下が威圧的と感じ萎縮している以上、役職者としてふさわしくないとして、降格させることも対応として必要です。

     

    (2)消極姿勢型、無視・反発型、業務抱え込み型

    このタイプの問題社員については、まずは問題となる態度を改めるように本人に口頭で注意指導することから始める必要があります。口頭での注意指導に従わない場合は、適切な業務命令を文書で出し、それに従わないときは、業務命令違反として懲戒処分を検討することが基本的な対応となります。

    問題社員に対する指導の方法や懲戒処分の種類や選択基準、具体的な進め方については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

     

     

    6,協調性の欠如は普通解雇の理由になるか?

    では、指導を経ても問題が改善しない場合、協調性がないことを理由に解雇することはできるのでしょうか?
    この点、多くの会社の就業規則で、協調性の欠如が普通解雇事由として定められています。
    ただし、仮に就業規則で定めた普通解雇事由に該当するとしても、それだけでは、必ずしも解雇は有効とされず、裁判例上、解雇が権利濫用にあたらないかどうかという観点から、解雇が制限されていることに注意が必要です。

    労働契約法16条でもこの点が「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。(▶参照元:「労働契約法」の条文)」として定められています。

    では、どのような場合に、協調性欠如を理由とする解雇が権利濫用とされるのでしょうか?

    この点については、例えば、神戸地方裁判所判決姫路支部平成31年3月18日(アルバック販売事件)が、「協調性の欠如が…解雇理由に該当するか否かは、単に協調性が欠如しているという範疇を超えて、その程度が著しく劣悪であり、使用者側が改善を促したにもかかわらず、改善がないといえるかどうか、使用者の業務全体にとって相当な支障となっているといえるかどうかなどの点を総合考慮して判断するのが相当である。」としています。

    この裁判例で、裁判所は、解雇された従業員が角が立つ言葉や非難めいた言葉、不用意に摩擦を生む言い回しをしたりして、相手に圧迫感や不快感を与えることがあったとして、協調性が欠如していると言わざるを得ないと判断しました。

    しかし、「①そのような言動を続けるようであれば解雇を予定している旨を明確に示す注意、指導をしていないこと、②言動の相手方が不快な思いをしたということを超えて、多大な精神的苦痛を被り、協働することが困難な状況に陥り、業務に支障を生じさせるまでに至っていたとはいえないこと、③解雇より軽い懲戒処分等を検討した形跡がなく、解雇までの間に踏むべき段取りを踏んでいないこと」等を指摘して、普通解雇は無効であるとしています。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    上記裁判例からもわかるように、協調性欠如を理由とする普通解雇を検討する場面では、「①問題の言動についての証拠の確保、②改善のない場合の解雇の可能性を明示したうえでの指導をしたか、③言動が他の従業員との協働が困難になり業務に支障を生じさせる程度のものか、④解雇前に軽い懲戒処分をして改善の機会を与えたか」等の点を意識して対応すべきでしょう。

    なお、普通解雇については以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。

     

    ▶参考情報:普通解雇とは?わかりやすく徹底解説

     

    7,小規模会社できつい言葉遣いや態度を改めない従業員の解雇が有効とされた例

    以下では、協調性欠如を理由とする解雇が有効とされた裁判例を紹介していきたいと思います。

    東京高等裁判所判決 平成28年11月24日(ネギシ事件)は、小規模会社で指導にもかかわらず言葉遣いや態度を改めなかった従業員の普通解雇が有効とされた裁判例です。

     

    (1)解雇理由とされた協調性欠如の内容

    本件で解雇された従業員の問題点として以下の点がありました。

     

    • 他の職員にしばしば怒鳴ったり、きつい言葉や態度をとる
    • 上記言動により退職者が出る
    • 改めない場合には会社を辞めるしかないと指導しても態度を改めない
    • 休暇届を事前に出さない
    • 自分宛ての電話以外とらない
    • 他の従業員にきちんとした挨拶をしない

     

    (2)裁判所の判断

    裁判所は、この会社が従業員20数名の小規模会社であることを指摘し、配置換え等が困難であることから、解雇にかわる有効な手段がなかったとしたうえで、改めない場合には会社を辞めるしかないと指導しても態度を改めなかったことからすれば、解雇は有効であると判断しました。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    この裁判例では、単に指導を行ったというのではなく、「改めない場合には会社を辞めるしかない」旨警告したうえで指導を行ったことが解雇の有効性が認められた理由の1つになっています。また、協調性の問題について配置換えにより人間関係の軋轢を緩和させて職場環境を維持することが可能である場合は、まず配置換え等を行わなければならないことを示唆した裁判例ということができます。

     

    8,組織的配慮を欠いた自己アピール発言を理由とする解雇が有効とされた例

    東京高等裁判所判決 平成28年8月3日(空調服事件)は、総務・経理業務の経験者として採用された社会保険労務士有資格者について、組織的配慮を欠いた自己アピール発言があり、資質を欠くとして普通解雇したことが有効とされた裁判例です。

     

    (1)解雇理由とされた発言の内容

    本件は試用期間中の従業員の事案であり、採用された当月に、全従業員が参加する全体会において、会社の決算書が間違っている等の発言を行ったことが解雇理由となりました。

     

    (2)裁判所の判断

    裁判所は、この従業員が総務・経理業務の経験者であり、また、企業にとって決算書などの重要な経理処理に誤りがあるという事態はその存立にも影響を及ぼしかねない重大事であるにもかかわらず、突然、全従業員が参加する場で決算書に誤りがあるなどと発言したことは、組織的配慮を欠いた自己アピール以外の何物でもないとして、総務・経理業務を担当する従業員としての資質を欠き、解雇は有効であると判断しました。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    この裁判例も協調性がない従業員の解雇について判断した一例ということができるでしょう。ただし、この裁判例のように事前の注意指導がなかった事案について協調性欠如を理由とする解雇が有効とされることは多くありません。

    本件では、問題の社員が総務・経理業務の経験者として採用された社会保険労務士有資格者であり、人事、財務、労務関係の秘密や機微に触れる情報についての管理や配慮ができる人材であることが前提とされた雇用契約であると判断されたことが解雇を有効とした大きな理由になっていると考えられます。

    中途採用の従業員の解雇については以下でも解説していますのでご参照ください。

     

    ▶参考情報:中途採用の従業員を解雇する場合の重要な注意点3つ

     

    9,作業日報を記載せず、会社の教育方針に反発する従業員の解雇が有効とされた例

    東京地方裁判所 令和元年12月20日(MAIN SOURCE事件)は、作業日報を記載せず、会社の教育方針について思想良心の自由の侵害であるなどと主張して反発する従業員の普通解雇が有効とされた裁判例です。

     

    (1)解雇の理由となった問題点

    本件は試用期間中の従業員の事案であり、以下の点が解雇理由となりました。

     

    • 会社から作成を指示された作業日報について記載方法を説明されたにもかかわらず、問題点欄や今後の対策欄になんの記載もしないなどの対応をしていたこと
    • 会社の教育方針について思想良心の自由の侵害であるからやめるようにと求め、意見を聞き入れなければ訴えるなどと告げたこと

     

    (2)裁判所の判断

    裁判所は、この会社が従業員9名程度の小規模会社で、複数の工程を限られた従業員で分担して行う必要があり、協調性が求められる職場環境であったことなどを理由にあげて解雇を有効と判断しています。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    この裁判例も協調性がない従業員の解雇について判断した一例ということができるでしょう。この裁判例の事案は、日報の作成を問題社員に指示することによって、問題社員の反抗的な態度が日報の内容としてあらわれ、訴訟においても解雇理由の証拠として用いることができた事案です。その意味で、日報を利用した問題社員指導の有用性が確認できる裁判例ともいえるでしょう。日報を利用した問題社員指導の方法については以下でご説明していますのでご参照ください。

     

    ▶参考情報:問題社員を指導する方法をわかりやすく解説

     

    10,高圧的・威圧的言動により部下の離職を招くなどした管理職の解雇が有効とされた例

    東京地方裁判所判決 平成31年1月11日(社会福祉法人どろんこ会事件)は、事業全体のマネジメントを担当する即戦力として採用したにもかかわらず、部下に対して高圧的・威圧的言動により、ホットラインへの通報や部下の離職を招くなどした従業員の普通解雇が有効とされた裁判例です。

    この事案では、高いマネジメント能力が期待された管理職であるにもかかわらず、協調性を欠く言動により大きな紛議を生じさせたことや、採用時の履歴書の記載に事実に著しく反する点があったことなどから、裁判所は、試用期間中の解雇を有効と判断しています。

    協調性がなく、職場の人間関係に悪影響を与える従業員の解雇について判断した裁判例の一例ということができるでしょう。

     

    11,職場の人間関係を毀損する自己中心的言動をする従業員の解雇が有効とされた例

    東京地方裁判所判決 平成26年12月9日(メルセデス・ベンツ・ファイナンス事件)は、職場の人間関係を毀損する自己中心的言動をする従業員の普通解雇が有効とされた裁判例です。

     

    (1)解雇の理由となった問題点

    自分より年長の従業員を経歴詐称呼ばわりしたり、同僚に対し「何だお前その口のきき方は」と発言するなど、日常的に高圧的、攻撃的な言動でトラブルを発生させ、面談での注意や指導を受けても改めなかったことが解雇理由となりました。

     

    (2)裁判所の判断

    裁判所は、会社が従業員の問題行動に対して、面談による注意指導、譴責処分を行い、改善の機会を与えたにもかかわらず、問題が改善されなかったことを理由にあげて解雇を有効と判断しています。

    職場の人間関係に悪影響を与える言動を続ける従業員の解雇について判断した裁判例の一例ということができるでしょう。

     

    12,協調性がない人への対応は解雇より前に退職勧奨を行う

    ここまで解雇についてご説明してきましたが、指導や懲戒処分を経ても、協調性の欠如や人間関係のトラブルの多発といった問題が改善せず、問題の従業員の雇用が困難であるという結論に至った場合に、まず検討するべきなのは、解雇ではなく、退職勧奨です。

    解雇が会社側からの一方的な意思表示により雇用契約を終了させるものであるのに対し、退職勧奨は従業員を説得して合意により雇用契約を終了させる方法です。

    解雇ではなく退職勧奨を優先して行うことのメリットとして以下の点があります。

     

    (1)解雇より先に退職勧奨を行うメリット

     

    メリット1:

    解雇は解雇後に従業員との訴訟トラブルに発展するリスクが高く、また、企業が敗訴したときは多額の金銭の支払いと雇用の継続を余儀なくされることになります。

    これに対し、会社と従業員の間で合意により解決する退職勧奨の方法によれば、会社はそのような大きなリスクを負うことなく問題を解決することが可能です。

     

    メリット2:

    解雇が紛争化した際は、会社側の解雇回避努力が十分されていたかということが、解雇の効力の判断にあたって議論の対象となり得ます。

    退職勧奨を事前に経たことは、合意に至らず解雇する場合も解雇回避努力を尽くしていたと評価される要素の1つになる反面、退職勧奨を経ないで解雇した場合は解雇回避努力を尽くしていないと評価され、解雇が無効とされる理由となる危険があります。

     

    なお、解雇と退職勧奨については、以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

     

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

    上記でご説明した通り、退職勧奨と解雇では会社側のリスクが大きく異なります。退職勧奨をしても、従業員が応じない場合に、解雇に進んでしまうと、結局は解雇が無効とされる法的リスクを負担することになります。従業員が退職を拒否して退職勧奨に応じない場合も、解雇以外の方法での解決を検討すべきです。詳しくは以下で解説していますのでご参照ください。

     

    ▶参考情報:従業員が拒否して退職勧奨に応じない場合の対応を解説

     

    13,協調性がなく人間関係のトラブルが続く従業員への対応方法の流れ

    ここまでのご説明を整理すると、協調性がなく人間関係のトラブルが続く従業員への対応の流れとしては以下のように考えるべきでしょう。

     

    (1)協調性がなく人間関係のトラブルが続く従業員への対応方法

     

    • 1.周囲の従業員に調査するなどして協調性がない言動をできるだけ具体的に特定する
    • 2.言動を改めるように指導する
    • 3.改まらない場合は懲戒処分、降格、改善がない場合の解雇の可能性を明示した再指導を行う
    • 4.改善がなく雇用の継続が困難なときは退職勧奨を行う
    • 5.退職勧奨で解決できず他の従業員との協働が困難で業務に具体的な支障が生じているときは普通解雇を検討する

     

    14,協調性がない従業員への対応について弁護士に相談したい方はこちら

    咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

    この記事では協調性がない従業員への対応について解説しました。最後に咲くやこの花法律事務所の企業向けサポート内容をご紹介したいと思います。

     

    (1)問題社員対応のご相談

    咲くやこの花法律事務所では問題社員の対応にお困りの企業のために以下のご相談を承っています。

     

    • 協調性のない従業員、人間関係のトラブルが多い従業員への指導方法、対応方法についてのご相談
    • 協調性のない従業員、人間関係のトラブルが多い従業員への懲戒処分、退職勧奨についてのご相談
    • 協調性のない従業員、人間関係のトラブルが多い従業員についての解雇のご相談
    • 懲戒処分や解雇についてのトラブル、労働審判、訴訟等のご相談

     

    咲くやこの花法律事務所では、問題社員対応の分野について多くの企業からご相談をお受けし、問題を解決してきた実績があります。問題社員対応にお困りの際は、早めにご相談ください。特に、懲戒や解雇についてはトラブルになってからではなく、事前に弁護士にご相談いただくことが、よい解決のための重要なポイントです。

     

    咲くやこの花法律事務所の労働問題に強い弁護士への相談費用

    • 初回相談料:30分5000円+税

     

    (2)顧問弁護士契約

    咲くやこの花法律事務所では、労務トラブルを日ごろから弁護士に相談するための、顧問弁護士サービスを事業者向けに提供して、多くの事業者をサポートしてきました。

    顧問弁護士サービスを利用することで、問題が小さいうちから気軽に相談することができ、問題の適切かつ迅速な解決につながります。また、日ごろから労務管理の改善を進め、トラブルに強い会社をつくることに取り組むことができます。咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスは以下をご参照ください。

     

     

    15,咲くやこの花法律事務所の問題社員対応に関する解決実績

    咲くやこの花法律事務所では、問題社員対応の分野について多くの企業からご相談をお受けし、解決してきました。咲くやこの花法律事務所の解決実績の一部を以下で紹介していますのでご参照ください。

     

    成績・協調性に問題がある従業員を解雇したところ、従業員側弁護士から不当解雇の主張があったが、交渉により金銭支払いなしで退職による解決をした事例

    歯科医院で勤務態度が著しく不良な問題職員の指導をサポートした事例

    日常的にパワハラをする社員を解雇したところ、不当解雇であるとして金銭請求されたが、弁護士が交渉して退職合意と訴訟回避した事例

     

    16,まとめ

    協調性がない従業員については、従業員のタイプに応じて、指導や懲戒処分、降格などの対応をしながら、雇用の継続が困難なときも、解雇はできるだけ避けて、まずは退職勧奨によって解決していくことが重要になります。

    解雇は、解雇以外に解決する手段がない場合の最後の手段と位置付けるべきです。

    協調性欠如を理由とする普通解雇が有効とされるためには、協調性欠如を示す言動が立証できることを前提に、「①改善のない場合の解雇の可能性を明示したうえでの指導を経ていること、②問題社員の言動が、他の従業員との協働が困難になり業務に支障を生じさせるに至る程度のものであること、③解雇の前により軽い懲戒処分を経ていること」などが必要とされることが多くなっています。

    また、解雇については後日「不当解雇」であるとして訴訟を起こされるリスクも少なくなく、企業側が敗訴すれば多額の金銭の支払いと従業員を復職させることを余儀なくされます。解雇を検討する際は、必ず事前に弁護士に相談していただき、本当に解雇しても問題がないのかどうかを慎重に確認してから行うようにしてください。

     

    17,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法

    協調性がないことによる懲戒解雇に関するご相談は、下記から気軽にお問い合わせください。今すぐのお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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    記事作成日:2023年1月11日
    記事作成弁護士:西川 暢春

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    企業法務に強い弁護士紹介

    西川 暢春 代表弁護士
    西川 暢春(にしかわ のぶはる)
    大阪弁護士会/東京大学法学部卒
    小田 学洋 弁護士
    小田 学洋(おだ たかひろ)
    大阪弁護士会/広島大学工学部工学研究科
    池内 康裕 弁護士
    池内 康裕(いけうち やすひろ)
    大阪弁護士会/大阪府立大学総合科学部
    片山 琢也 弁護士
    片山 琢也(かたやま たくや)
    大阪弁護士会/京都大学法学部
    堀野 健一 弁護士
    堀野 健一(ほりの けんいち)
    大阪弁護士会/大阪大学
    所属弁護士のご紹介

    メディア掲載情報

    メディア掲載情報/フジサンケイビジネスアイ 「わかりやすい・説明親切な対応・迅速なレスポンス」を徹底している弁護士として、フジサンケイビジネスアイに掲載されました。
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    書籍出版情報

    「問題社員トラブル円満解決の実践的手法」〜訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方

    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2021年10月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:416ページ
    価格:3,080円

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