【2017年1月施行】育児介護休業法、雇用機会均等法改正に伴う就業規則改訂の重要ポイント!雛形有り

育児介護休業法、雇用機会均等法改正に伴う就業規則改訂の重要ポイント

育児介護休業法と男女雇用機会均等法が改正され、2017年1月1日から施行されます。

介護や育児の制度の変更があり、就業規則を制定している全ての企業において、就業規則の改訂等の対応が必要です。今回は、育児介護休業法、雇用機会均等法改正に伴う就業規則改訂のポイントについてまとめました。

まだ対応が済んでいない企業は、必ずチェックして対応しておきましょう。

 

今回の記事で書かれている要点(目次)

重要!育児介護休業法・男女雇用機会均等法改正に伴う就業規則改訂の6つのポイント
ポイント1:介護休業の分割取得制度への対応
ポイント2:介護休暇の半日単位取得制度への対応
ポイント3:介護のための所定労働時間短縮措置等の制度の拡充への対応
ポイント4:介護のための残業免除制度への対応
ポイント5:子の介護休暇の半日単位取得制度への対応
ポイント6:マタハラ・パタハラ等防止措置義務付けへの対応

 

重要!
育児介護休業法・男女雇用機会均等法改正に伴う就業規則改訂の6つのポイント

育児介護休業法・男女雇用機会均等法改正に伴い、就業規則改訂が必要となる6つのポイントは以下の通りです。

育児介護休業法・男女雇用機会均等法改正に伴う就業規則改訂の6つのポイント

ポイント1:
介護休業の分割取得制度への対応

ポイント2:
介護休暇の半日単位取得制度への対応

ポイント3:
介護のための所定労働時間短縮措置等の制度の拡充への対応

ポイント4:
介護のための残業免除制度への対応

ポイント5:
子の介護休暇の半日単位取得制度への対応

ポイント6:
マタハラ・パタハラ等防止措置義務付けへの対応

順番に詳細を見ていきたいと思います。

 

ポイント1:
介護休業の分割取得制度への対応

育児介護休業法・男女雇用機会均等法改正に伴う就業規則改訂の6つのポイントの1つ目は、「介護休業の分割取得制度への対応」です。

まず、「介護休業とは何か」を確認したうえで、法改正の内容を見ていきましょう。

「介護休業」とは?

介護休業とは、従業員の家族(配偶者、父母、配偶者の父母、子など)が要介護となったときに、その介護をする従業員が、要介護の家族1人につき「93日間」まで休業を請求することができる制度です。

従業員から介護休業の請求があれば、企業はこれを認めることが義務付けられています。

育児介護休業法の法改正の内容

現行法では、93日まで取得が認められる介護休業を、従業員が複数回に分割して取得することは認められておらず、企業としても複数回の分割取得に応じる義務は定められていませんでした。

今回、育児介護休業法が改正され、1家族につき93日までという介護休業の日数には変更はありませんが、この日数の範囲内で「従業員が3回まで分割して介護休業を取得することを認めること」が、企業に義務付けられました。

そのため、現在の法律に基づき、就業規則で介護休業の複数回の分割取得を認めていない企業は、3回以内の分割取得を認める内容に就業規則を変更する必要があります。

以上述べた点を整理すると以下の通りです。

「介護休業の分割取得制度」についての育児介護休業法の改正内容のまとめ

育児介護休業法の改正前

企業は従業員の家族1人につき93日まで介護休業を認める義務があるが、分割取得を認める義務はない。

育児介護休業法の改正後

企業は従業員の家族1人につき93日まで介護休業を認める義務があり、93日以内の範囲で3回までの分割取得にも対応する必要がある。

 

育児介護休業法の改正に対応した具体的な就業規則の条項例は、この記事の最後にリンクしている「厚生労働省作成の育児介護休業規定の雛形」をご参照ください。

雛形の第2条1項が、「介護休業の分割取得制度」についての育児介護休業法の改正に対応する部分です。

ここでは、就業規則において「介護休業の分割取得制度への対応」が新たに必要になったということをおさえておきましょう。

 

ポイント2:
介護休暇の半日単位取得制度への対応

育児介護休業法・男女雇用機会均等法改正に伴う就業規則改訂の6つのポイントの2つ目は、「介護休暇の半日単位取得制度への対応」です。

まず、「介護休暇とは何か」を確認したうえで、法改正の内容を見ていきましょう。

「介護休暇」とは?

介護休暇とは、従業員の家族が要介護となったときに、その世話をする従業員が、介護休業とは別に、1年間につき原則として「5日」まで休暇を請求することができる制度です。

従業員から介護休暇の請求があれば、企業はこれを認めることが義務付けられています。

育児介護休業法改正の内容

現行法では、介護休暇は、1日単位で取得することになっており、半日単位での取得を認めることは企業には義務付けられていませんでした。

しかし、育児介護休業法改正により、「半日単位での介護休暇の取得を請求された場合はこれを認めること」が企業に義務付けられました。

整理すると以下の通りです。

「介護休暇の半日単位取得制度」についての育児介護休業法の改正内容のまとめ

育児介護休業法の改正前

企業は従業員に1年間につき原則として5日までの介護休暇を認める義務があるが、1日未満の介護休暇請求を認める義務はない。

育児介護休業法の改正後

企業は従業員に1年間につき原則として5日までの介護休暇を認める義務があり、半日単位での介護休暇請求にも対応する義務がある。

 

育児介護休業法改正に対応した具体的な就業規則の条項例は、この記事の最後にリンクしている「厚生労働省作成の育児介護休業規定の雛形」をご参照ください。

雛形の第4条2項が、「介護休暇の半日単位取得制度」についての育児介護休業法の改正に対応する部分です。

ここでは、就業規則において「介護休暇の半日単位取得制度への対応」が新たに必要になったということをおさえておきましょう。

 

ポイント3:
介護のための所定労働時間短縮措置等の制度の拡充への対応

育児介護休業法・男女雇用機会均等法改正に伴う就業規則改訂の6つのポイントの3つ目は、「介護のための所定労働時間短縮措置等制度の拡充への対応」です。

まず、「介護のための所定労働時間短縮措置等制度とは何か」を確認したうえで、法改正の内容を見ていきましょう。

「介護のための所定労働時間短縮措置等の制度」とは?

家族の介護を要する従業員については、先の項目で述べた、「93日以内の介護休業」、「年5日以内の介護休暇」のほかに、企業に「介護のための所定労働時間短縮制度等による配慮」が義務付けられています。

具体的には、家族の介護を要する従業員について以下の4つの制度の中からいずれかを選択して、従業員の介護に配慮するための制度を設け、従業員から請求があれば利用させることが義務付けられています。

【介護のための所定労働時間短縮措置等の制度として、企業が選択できる4つの制度内容】

制度1:
所定労働時間を短縮する短時間勤務制度

例えば、定時が午前9時から午後6時までの会社において、家族の介護を要する従業員から申請があれば、午前9時から午後4時までの勤務とするなど短時間勤務を認める制度です。

制度2:
フレックスタイム制度

家族の介護を要する従業員があらかじめ決められた時間帯の範囲内で、始業時刻・終業時刻を自由に決定できる制度です。

制度3:
所定労働時間を変更することなく、始業・就業時間の繰り上げ・繰り下げる制度

所定労働時間の変更はないが、始業時間・就業時間の繰り上げ・繰り下げを認めて、家族の介護を要する従業員に配慮する制度です。

制度4:
介護サービス費用の助成制度

家族の介護を要する従業員が就業中に介護サービスを利用する場合にその費用を会社で負担する制度です。

 

育児介護休業法改正の内容

「介護のための所定労働時間短縮措置等の制度」については、現行法では、従業員が介護休業、介護休暇の制度を利用する日数とあわせて「連続した93日以内の期間+年5日以内の日数」の範囲内で、企業に義務付けられているに過ぎませんでした。

しかし、2017年1月施行の育児介護休業法改正により、「介護のための所定労働時間短縮措置等の制度」については、介護休業、介護休暇の利用日数と無関係に、「3年間、従業員の請求があれば利用を認めなければならない制度」に拡充されました。

具体的には、企業は上記4つの制度のうちいずれかの制度を設け、家族の介護を要する従業員から請求があれば、連続する3年間の間に2回以上利用できる制度とすることが必要です(ただし、制度4の介護サービス費用の助成制度を採用する場合は1回のみ利用できる制度でもよいとされています)。

●●参考●●

「連続する3年間の間に2回以上利用できる制度とすることが必要」という意味は、従業員が3年間の間ずっと制度を利用することを認めなければならないだけでなく、3年の間にいったん制度利用をやめた従業員が再度制度利用を再開することも認めなければならないという意味です。

●●●●●●●

整理すると以下の通りです。

「介護のための所定労働時間短縮措置等の制度」についての育児介護休業法の改正内容のまとめ

育児介護休業法の改正前

「介護のための所定労働時間短縮措置等の制度」については、従業員が介護休業、介護休暇の制度を利用する日数とあわせて「連続した93日以内の期間+年5日以内の日数」の範囲内で、企業に義務付けられていた。

育児介護休業法の改正後

「介護のための所定労働時間短縮措置等の制度」については、介護休業、介護休暇の利用日数と無関係に、従業員の請求があれば、3年間の間、利用を認めなければならない制度に拡充された。

 

育児介護休業法改正に対応した具体的な就業規則の条項例は、この記事の最後にリンクしている「厚生労働省作成の育児介護休業規定の雛形」をご参照ください。

雛形の第9条が、「介護のための所定労働時間短縮措置等制度の拡充」についての育児介護休業法の改正に対応する部分です。

ここでは、就業規則において「介護のための所定労働時間短縮措置等制度の拡充への対応」が新たに必要になったということをおさえておきましょう。

 

ポイント4:
介護のための残業免除制度への対応

育児介護休業法・男女雇用機会均等法改正に伴う就業規則改訂の6つのポイントの4つ目は、「介護のための残業免除制度への対応」です。

現行法では、家族の介護を要する従業員については、「1)93日以内の介護休業」、「2)年5日以内の介護休暇、「3)介護のための所定労働時間短縮措置等の制度」などによる配慮が企業に義務付けられていましたが、これらはいずれも日数限定の制度でした。

そして、これらの制度の日数を使い切った場合に、家族の介護を要する従業員について残業をすべて免除する制度は設けられていませんでした。

しかし、平成29年1月施行の育児介護休業法改正により、新たに、家族の介護を要する従業員について、日数限定のない配慮措置として、「残業免除制度の導入」が義務付けられました。

具体的には、家族の介護を要する従業員については、家族の介護が終了するまでの期間、事業者に残業の免除を請求することができ、事業者は請求があれば残業を免除する義務があります。

ただし、「事業の正常な運営を妨げる場合」には、残業を免除しないことができるとされました。

整理すると以下の通りです。

「介護のための残業免除制度」についての育児介護休業法の改正内容のまとめ

育児介護休業法の改正前

家族の介護を要する従業員について、すべての残業の免除を認める制度はなかった。

育児介護休業法の改正後

企業は家族の介護を要する従業員については、家族の介護が終了するまでの期間、従業員から残業免除の請求があれば残業を免除する義務がある。

 

育児介護休業法改正に対応した具体的な就業規則の条項例は、この記事の最後にリンクしている「厚生労働省作成の育児介護休業規定の雛形」をご参照ください。

雛形の第5条が、「介護のための残業免除制度」についての育児介護休業法の改正に対応する部分です。

ここでは、就業規則において「介護のための残業免除制度への対応」が新たに必要になったということをおさえておきましょう。

 

ポイント5:
子の看護休暇の半日単位取得制度への対応

育児介護休業法・男女雇用機会均等法改正に伴う就業規則改訂の6つのポイントの5つ目は、「子の看護休暇の半日単位取得制度への対応」です。

まず、「子の看護休暇とは何か」を確認したうえで、法改正の内容を見ていきましょう。

「子の看護休暇」とは?

子の看護休暇は、小学校就学前の子を養育する従業員が子の病気やけがの世話のために必要な場合に、1年間に「5日」まで、休暇を申請することができる制度です。

企業は従業員から子の看護休暇の申請があれば、休暇を認めることが育児介護休業法により義務付けられています。

育児介護休業法改正の内容

現行法では、子の看護休暇は、1日単位で取得することになっており、半日単位での取得を認めることは企業には義務付けられていませんでした。

しかし、育児介護休業法改正により、「半日単位での子の看護休暇の取得を請求された場合はこれを認めること」が企業に義務付けられました。

整理すると以下の通りです。

「子の看護休暇の半日単位取得制度」についての育児介護休業法の改正内容のまとめ

育児介護休業法の改正前

企業は1年において5日まで子の看護休暇を認める義務があるが、1日未満の休暇請求を認める義務はない。

育児介護休業法の改正後

企業は1年において5日まで子の看護休暇を認める義務があり、半日単位での休暇請求にも対応する義務がある。

 

育児介護休業法改正に対応した具体的な就業規則の条項例は、この記事の最後にリンクしている「厚生労働省作成の育児介護休業規定の雛形」をご参照ください。

雛形の第3条2項が、「子の看護休暇の半日単位取得制度への対応」についての育児介護休業法の改正に対応する部分です。

ここでは、就業規則において「子の看護休暇の半日単位取得制度への対応」が新たに必要になったということをおさえておきましょう。

 

ポイント6:
マタハラ・パタハラ等防止措置義務付けへの対応

育児介護休業法・男女雇用機会均等法改正に伴う就業規則改訂の6つのポイントの6つ目は、「マタハラ・パタハラ等防止措置義務付けへの対応」です。

まず、「マタハラ・パタハラとは何か」を確認したうえで、法改正の内容を見ていきましょう。

「マタハラ(マタニティ・ハラスメント)」とは?

「マタハラ(マタニティ・ハラスメント)」とは、職場において女性労働者に対して行われる、上司・同僚からの、妊娠・出産したことあるいは育児休業制度等の利用に関するいやがらせを指します。

妊娠を理由に女性従業員に退職を求めたり、育児休業を理由に女性従業員を降格させるなどといったことが典型例です。

「パタハラ(パタニティ・ハラスメント)」とは?

「パタハラ(パタニティ・ハラスメント)」とは、職場において男性労働者に対して行われる、上司・同僚からの、育児休業制度等、子の養育に関する制度の利用に関するいやがらせを指します。

男性従業員による育児休業取得を拒んだり、育児休業取得を理由に降格させるなどといったことが典型例です。

男女雇用機会均等法改正の内容

男女雇用機会均等法が改正され、企業に対して、「職場における妊娠、出産、子の養育に関する制度利用を理由とするハラスメントを防止するために必要な措置をとる義務」が法律上明記されました。

その一環として、厚生労働省の指針により、「就業規則等においてマタハラ・パタハラについて懲戒の対象となることを明確にし、これを従業員に周知・啓発すること」が義務付けられています。

さらに、育児介護休業法の改正によって、「子の養育又は家族の介護に関する制度利用を理由とするハラスメントを防止するために必要な措置をとる義務」も、法律上明記されました。

その一環として、「就業規則等において子の養育又は家族の介護に関する制度利用を理由とするハラスメントについて懲戒の対象となることを明確にし、これを従業員に周知・啓発すること」が義務付けられています。

そこで、マタハラ・パタハラ、介護に関する制度利用を理由とするハラスメントが懲戒の対象となることを明確にするための規定を就業規則に新たに設ける必要があります。
この点に関する就業規則の条項例は以下の通りです。

就業規則の条項例の参考

【マタハラ・パタハラ防止措置等義務付けへの対応に関する就業規則条項例】

(懲戒の事由)
第●条
1.従業員が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、戒告、減給又は出勤停止とする。
①~⑩ 略
⑪ 職場内において、妊娠、出産、育児休業、介護休業等に関する不当な言動により、部下や同僚の就業環境を害したとき。
⑫~  略
2.従業員が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、服務態度その他情状によっては、普通解雇、減給又は出勤停止とすることがある。
①~⑩ 略
⑪ 職場内において、部下の妊娠、出産、育児休業、介護休業等に関する不当な言動により、部下や同僚の就業環境を害したときであって、職業環境を害した程度が著しいとき。
⑫~  略

 

ここでは、就業規則において「マタハラ・パタハラ防止措置等義務付けへの対応」が新たに必要になったということをおさえておきましょう。

 

まとめ

今回は、2017年1月1日施行の育児介護休業法・男女雇用機会均等法改正に伴う就業規則改訂のポイントとして以下の6つをご説明しました。

ポイント1:
介護休業の分割取得制度への対応

ポイント2:
介護休暇の半日単位取得制度への対応

ポイント3:
介護のための所定労働時間短縮措置等の制度の拡充への対応

ポイント4:
介護のための残業免除制度への対応

ポイント5:
子の介護休暇の半日単位取得制度への対応

ポイント6:
マタハラ・パタハラ等防止措置義務付けへの対応

「ポイント1~5」については、厚生労働省が今回の育児介護休業法・男女雇用機会均等法の改正に対応した育児介護休業規定の雛形を公表しいていますので、ご参照ください。

厚生労働省が今回の改正に対した育児介護休業規定の雛形はこちら

なお、「ポイント6」については、上記の雛形では完全には対応できていませんので、記事中の条項例をご参照ください。

育児、介護が必要な従業員も勤務を続けやすい仕組み作りは、人手不足の情勢の中、ますます重要になってきています。
今回の育児介護休業法・男女雇用機会均等法の改正を踏まえて、育児、介護が必要な従業員に配慮できる仕組み作りに積極的に取り組んでいきましょう。

なお、今回の改正に伴い、「育児介護休業法・男女雇用機会均等法」等に対応するための不安点、就業規則についてのご相談がございましたら、労務に強い弁護士が揃う咲くやこの花法律事務所に早めにご相談下さい。

 

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