弁護士が教える!利用規約の正しい作成方法とおさえておくべき注意点について

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インターネット上のサービスについて作成することが多い「利用規約」。
この「利用規約」の内容が、ユーザーとのトラブルの際の解決内容に大きく影響することをご存知でしょうか?

例えば、レンタルサーバ事業でトラブルになりやすいのが、何らかの原因でユーザーのデータが消失してユーザーから損害賠償請求をされるケースです。

このようなデータ消失によるユーザーからの損害賠償請求については、サーバ事業者が「約2300万円」の損害賠償を命じられた裁判例がある一方で、類似の事案でもサーバ事業者が完全勝訴し損害賠償を命じられなかった裁判例もあります。

2つの裁判例の結論の違いには、サーバサービスに関する「利用規約の内容の違い」が大きく影響しており、「利用規約の整備」が企業にとっていかに重要かがわかります。

今回は、「利用規約の正しい作成方法」と、「作成の際におさえておくべき注意点」について 、自社で利用規約を作成する場合も念頭において、できるだけわかりやすく詳しいご説明をしたいと思います。

仮に弁護士などの専門家に作成代行を依頼する場合でも、事前にポイントをおさえておくことで弁護士への依頼がスムーズになり、万全の利用規約をつくることができるでしょう。

あなたの会社の利用規約を作成する際に役立てて頂ければ嬉しく思います。

 

今回の記事で書かれている要点(目次)

1,利用規約とは?
2,利用規約と契約書の違いについて
3,利用規約の正しい作成方法について
4,主な利用規約のパターンについて
5,利用規約作成の際におさえておくべき注意点について
5−1,注意点1:利用規約にかかわる法律の内容をおさえる
5−2,注意点2:利用規約の炎上トラブルに注意する
6,利用規約に落とし穴があることで発生するトラブル例
7,利用規約の作成代行やチェックを弁護士に依頼する際のメリットと注意点
8,弁護士に利用規約の作成代行やチェックを依頼する際の必要な料金体系とは?

 

1,利用規約とは?

「利用規約の正しい作成方法」と「作成の際におさえておくべき注意点」をご説明する前に、まずその前提として、「利用規約とは何か」と「利用規約と契約書の違い」について確認しておきましょう。

「利用規約」とは、サービスを提供する事業者がユーザー向けに整理したサービス利用上のルールを文章にまとめたものを言います。

「利用規約」は様々なビジネスについて作成されますが、SNSやクラウド型サービス、各種ダウンロードサービス、マッチングサービスなどのインターネット上のサービスについて作成されるケースが多くなっています。

利用規約の内容はサービスを提供する事業者が決定します。

ユーザーがこれに同意してサービスを利用することにより、利用規約の内容はサービス提供事業者とユーザーの契約内容になります。そして、利用規約の内容がサービス提供事業者とユーザーの契約内容になってはじめて、利用規約がユーザーとのトラブル防止のために有用なものとして機能します。

Webサイト上でユーザーが利用規約に同意したと認められるためには、以下に例を挙げるような画面構成が必要です。

Webサイト上でユーザーが利用規約に同意したと認められる画面構成の例

画面構成例1:

取引の「申込みボタン」の周辺にわかりやすく「利用規約」へのリンクが貼られており、「申込みボタン」をクリックすると「利用規約」に同意して申し込むことになることが明瞭に記載されていて、かつ、ユーザーがいつでも容易に利用規約を閲覧できるようにWebサイトが構築されている場合。

画面構成例2:

Webサイトの利用に際して、「利用規約」への同意クリックが要求されており、かつユーザーがいつでも容易に利用規約を閲覧できるようにWebサイトが構築されている場合。

 

このように、Webサイト上でユーザーが利用規約に同意したと認められるためには、「利用規約への同意時にユーザーが利用規約を確認できること」だけでなく、「ユーザーがWebサイトの利用時にいつでも容易に利用規約を閲覧できるようなリンクを設けておくこと」が必要であることに注意しておきましょう。

 

2,利用規約と契約書の違いについて

次に「利用規約」と「契約書」との違いについてご説明します。

前述のような画面構成のもとでユーザーが利用規約に同意した場合、「利用規約」は事業者とユーザーとの契約内容となる点で、「契約書」と機能が共通します。

その結果、事業者とユーザーの間でトラブルが起こったときも、原則として、「利用規約」のルールを基準に解決することになります。

しかし、他方で、「利用規約」と「契約書」を比較すると、以下の2点の違いがありますのでおさえておきましょう。

利用規約と契約書を比較した場合の2つの違い

1,内容の交渉の可否の違い
2,第三者による閲覧可能性の違い

 

以下で順番にご説明していきたいと思います。

1,内容の交渉の可否の違い

契約書は当事者の一方が作成する場合であっても、他方が交渉により修正を求めるなどして契約書の内容について交渉を行うことが予定されています。

これに対して、利用規約は事業者が一方的に定めるものであり、ユーザーと利用規約の内容について個別の交渉を行うことが予定されていません。

このように、利用規約と契約書では「内容の交渉の可否」に違いがあります。

2,第三者による閲覧可能性の違い

契約書については、契約する当事者同士以外の第三者が閲覧する機会がないことが通常です。

これに対して、利用規約はインターネット上で公開されるケースが多く、第三者が容易に閲覧可能である点が契約書と異なります。

このように、利用規約と契約書では「第三者による閲覧可能性」の点でも違いがあります。

 

利用規約と契約書に関するこの2つの違いは、後述する「利用規約の炎上」にも関わる点でもあり、利用規約の作成の際の注意点にリンクしてきますのでおさえておきましょう。

 

3,利用規約の正しい作成方法について

それでは、次に記事の本題である「利用規約の正しい作成方法」についてご説明したいと思います。

結論から言えば、利用規約については、自社サービスの独自性も踏まえたオリジナルのものを作成する必要があることが通常です。

雛形(ひな形)や同業他社の利用規約を参考にすることはあるとしても、どうしてもオーダーメイドで作らなければならない部分が大きい点が特徴です。

但し、オーダーメイドで作るにしても一定のルールはあります。

以下では、利用規約に盛り込むべき内容にどのようなものがあるかをご説明したいと思います。

チェック!利用規約に盛り込むべき内容

1,自社サービスの利用には利用規約への同意が必要であることの説明
2,利用規約の変更の方法
3,自社のサービスのわかりやすい説明
4,利用規約で使用する用語の定義
5,自社サービスの利用に関するルール
6,自社サービスの利用料金の額と支払方法
7,自社サービス内のコンテンツについての権利の帰属
8,自社サービスにおける禁止事項
9.利用規約違反者に対するペナルティ
10.損害賠償に関する事項
11,免責に関する事項
12,サービスの中止、変更、終了に関する事項
13,紛争時の裁判管轄

 

以下で順番に見ていきましょう。

1,自社サービスの利用には利用規約への同意が必要であることの説明

自社サービスの利用は利用規約への同意が前提となることを明記します。

2,利用規約の変更の方法

自社の都合により利用規約を変更する場合の利用規約の変更の方法について規定します。

3,自社のサービスのわかりやすい説明

自社のサービスのわかりやすい説明を記載します。

特にユーザーから料金を徴収する有料サービスでは、自社が料金の対価としてどのようなサービスを提供するのか、提供するサービスの範囲をわかりやすく記載することが必要です。

この部分の規定が不明確になると、ユーザーに対してどの範囲のサービスを提供すればよいのかがあいまいになり、一部のユーザーから過大なサービスを要求されるなどのトラブルにつながりますので注意しましょう。

4,利用規約で使用する用語の定義

利用規約はユーザーと事業者だけが意味を理解できればよいものではありません。
トラブル時を想定した場合、裁判所などの第三者からみても、意味が明確にわかる内容に整備することが必要です。

そこで、自社サービス独自の用語を利用規約に使用する際は、「用語の定義」に関する規定を設けて、自社サービスを知らない裁判所などの第三者からみても、利用規約の規定内容の意味が明確にわかるようにしておく必要があります。

5,自社サービスの利用に関するルール

自社サービスの利用上の手順やルールについて定めます。

「サービス提供事業者から与えられたID・パスワードをユーザーの責任において管理し、第三者に開示しない」、「メールアドレスなどの連絡先を変更したときはサービス提供事業者に通知する」などのルールがその典型例です。

6,自社サービスの利用料金の額と支払方法

有料のサービスの場合は、自社サービスの利用料金の額と支払方法について定めます。
定期的に利用料金が発生するようなサービスでは、口座引き落としやクレジットカード決済が便利です。

7,自社サービス内のコンテンツについての権利の帰属

自社がサービス内で提供するコンテンツがあるときは、そのコンテンツについて著作権が自社に帰属することを記載します。

▶参考:ゲームアプリの利用規約の場合の例

例えば、ゲームアプリの利用規約であれば、ゲーム内の画像や音楽についての著作権が自社に帰属することを記載します。

また、ユーザーにコンテンツを投稿させるようなサービス(facebookやYouTubeが典型例です)では、「ユーザーが投稿したコンテンツの著作権の帰属がどうなるのか」、「サービス提供事業者やサイト閲覧者がコンテンツをどのような条件で利用できるのか」など著作権に関する規定を整備することが必要です。

8,自社サービスにおける禁止事項

自社サービスにおける禁止事項を定めます。

「他者の著作権や知的財産権を侵害しない」など法律に基づく禁止事項のほか、ユーザーと事業者とのトラブルを防止するためのルールも盛り込むことが必要です。

▶参考:素材ダウンロードサービスの場合の例

例えば、素材ダウンロードサービスにおいて、ユーザーと事業者とのトラブルを防止するためのルールとして、ユーザーがダウンロードした素材を、ユーザーが独自に作成した別の素材ダウンロードサイトで配布することを禁止する規定を入れることがその例です。

9,利用規約違反者に対するペナルティ

ユーザーが利用規約に違反した場合にサービス提供事業者がとる措置として、「アカウントの停止」や「サービスの利用停止」などのペナルティを定めます。

10,損害賠償に関する事項

ユーザーが事業者に損害賠償責任を負う場面を定めます。

「事業者からユーザーに損害賠償責任を問わなければならないケースにどのようなものがありうるか」をあらかじめ予測したうえでユーザーの賠償責任について定めることが必要です。

▶参考:音楽ダウンロードサービスの場合の例

例えば、音楽ダウンロードサービスなどのコンテンツ提供型サービスでは、ダウンロードした音楽を第三者に配布したり、インターネット上で配信することを禁止し、こういったユーザーのルール違反によりサービス提供事業者に損害が発生したときは、ユーザーに賠償を求める内容の損害賠償に関する規定を定めることになるでしょう。

11,免責に関する事項

ユーザーに発生した損害について、事業者が賠償責任を負わないことを定めたり、あるいは事業者の賠償責任に上限を設けるための規定です。

「事業者がユーザーから損害賠償責任を問われるケースにどのようなものがありうるか」をあらかじめ予測したうえで事業者の免責事項を定めることが必要です。

▶参考:マッチング型サービスの場合の例

例えば、ランサーズなどに代表されるマッチング型サービスでは、「マッチングして取引を開始したユーザー間において取引に関してトラブルが発生してもサービス提供事業者は責任を負わない」ことを内容とする免責事項を定めることが通常です。

12,サービスの中止、変更、終了に関する事項

事業の状況によりサービスを一時中止したり、あるいは変更、終了することも想定しておく必要があります。

そのような場合に、既存のユーザーにできる限り迷惑をかけないように事前の通知をする旨の規定を設け、一方で、事前の通知をすることで、サービスの中止、変更、終了に関してユーザーに迷惑をかけたとしても、事業者がユーザーに対して損害賠償責任を負わないことを明記することが必要です。

13,紛争時の裁判管轄

ユーザーと事業者の間のトラブルが万が一裁判に発展した場合を想定して、どこの裁判所を合意管轄裁判所とするのかを明記します。

具体的には自社にとって最も便利な自社の本社所在地の裁判所を専属的合意管轄裁判所としておくことをおすすめします。

「合意管轄裁判所」、「専属的合意管轄裁判所」については以下のページを参照してください。

▶参考1:合意管轄裁判所の意味について

▶参考2:専属的合意管轄裁判所の意味について

 

このうち、特に「3」「4」「5」「6」「7」については、サービスの内容によって規定すべき内容が大きく異なりますので、オーダーメイドで作り上げなければならない部分が大きいと言えます。

一方で「1」「2」「6」「8」「9」「10」「11」「12」「13」については、雛形(ひな形)等を参照して作ることも可能です。

なお、利用規約について他社のものをコピーするという方法については、判例上も、「利用規約のコピーが著作権侵害に当たるとして利用規約をコピーした事業者に対して損害賠償を命じた裁判例(東京地方裁判所平成26年7月30日判決)」がありますので、絶対に行わないようにしてください。

以上、利用規約の正しい作成方法と利用規約に盛り込むべき内容についておさえておきましょう。

 

4,主な利用規約のパターンについて

利用規約についてはオーダーメイドで作り上げなければならない部分が大きいことについてご説明しましたが、利用規約については一定のパターンごとに考えることが、利用規約の作成に役立ちます。

そこで、主な利用規約のパターンとして、以下の4つのパターンをご説明しておきたいと思います。

主な利用規約のパターン4つ

1,ユーザー投稿型サービスの利用規約
2,コンテンツ提供型サービスの利用規約
3,プラットフォーム型サービスの利用規約
4,ITサービス提供型の利用規約

 

以下で順番に4つのパターンにおける利用規約作成の重要ポイントをご説明したいと思います。

1,ユーザー投稿型サービスの利用規約

ユーザー投稿型サービスの利用規約は、ユーザーにコンテンツを投稿する場を提供するサービスの利用規約です。

▶参考:ユーザー投稿型サービスの代表例

「facebook」や「YouTube」などがユーザー投稿型サービスの代表例です。

ユーザー投稿型サービスの利用規約では、以下の点を定めることが利用規約において重要なポイントになります。

ユーザー投稿型サービスの利用規約における重要ポイント

ポイント1:

ユーザーが投稿したコンテンツの著作権が事業者に移転するのか、ユーザーに残るのかを明確にする。

ポイント2:

ユーザーが投稿したコンテンツに著作権侵害があった場合にユーザーが損害賠償責任を負うことを明確にする。

ポイント3:

ユーザーが投稿したコンテンツを事業者が修正、変更、削除できることを明確にする。

ポイント4:

サービス内のコンテンツを閲覧した閲覧者がコンテンツを利用する際のルール(サービス内での視聴のみを認めるのか、サービス外での利用や商用利用も認めるのかなど)を明確にする。

ポイント5:

投稿したコンテンツが消失した場合に事業者がユーザーに対して賠償責任を負わない旨の規定を入れる。

 

ユーザー投稿型サービスの利用規約については、これらの重要ポイントについてどのような内容を定めるかを、検討する必要があります。

2,コンテンツ提供型サービスの利用規約

コンテンツ提供型サービスの利用規約は、コンテンツをユーザーに提供することを主なサービス内容とするケースの利用規約です。

▶参考:コンテンツ提供型サービスの代表例

「PIXTA」などの素材ダウンロードサービスや、「Apple Music」などの音楽コンテンツ配信サービスがコンテンツ提供型サービスの代表例です。

コンテンツ提供型サービスの利用規約では、以下の点を定めることが利用規約において重要なポイントになります。

コンテンツ提供型サービスの利用規約における重要ポイント

ポイント1:

ユーザーによるコンテンツの使用のルール(商用使用の可否やユーザーによる修正の可否など)を明確にする。

ポイント2:

ユーザーがルールに違反してコンテンツを使用した場合にサービス提供事業者がユーザーに課すことができる制裁の内容(アカウント停止や損害賠償など)を明確にする。

ポイント3:

サービス提供事業者がユーザーに提供するコンテンツの著作権がユーザーに移転するのか否かを明確にする。

ポイント4:

サービス提供事業者がユーザーに提供したコンテンツについて著作権侵害があり、ユーザーが権利者から損害賠償請求された場合のサービス提供事業者の責任の範囲(損害賠償額の上限を設定するなど)を明確にする。

ポイント5:

サービス提供の中断等を想定し、一定時間内の中断であればサービス提供事業者がユーザーに対して損害賠償責任を負わないことを明確にする。

 

コンテンツ提供型サービスの利用規約については、これらの重要ポイントについてどのような内容を定めるかを、検討する必要があります。

3,プラットフォーム型サービスの利用規約

プラットフォーム型サービスの利用規約は、ユーザー同士の取引についてプラットフォームを提供することを主なサービス内容とするケースの利用規約です。

▶参考:プラットフォーム型サービスの代表例

ランサーズやヤフオク!などがプラットフォーム型サービスの代表例です。

プラットフォーム型サービスの利用規約では、以下の点を定めることが利用規約において重要なポイントになります。

プラットフォーム型サービスの利用規約における重要ポイント

ポイント1:

ユーザー同士の取引における手順やルールを定める。

ポイント2:

プラットフォーム事業者がユーザーから仲介料を得る際の仲介料発生の条件を明確にする。

例えば、ユーザー同士の契約が成立したら仲介手数料が発生するのか、あるいはユーザー同士の契約が決済されてはじめて仲介手数料が発生するのかなどを明確にすることが必要です。

ポイント3:

プラットフォーム事業者がユーザーから仲介料を得る際の仲介料の計算方法や請求方法を明記する。

ポイント4:

ユーザー間の取引における代金不払い等のトラブルについてプラットフォーム事業者が責任を負わないことを明記する。

ポイント5:

ユーザー間の取引における商品やサービスの不具合、瑕疵等のトラブルについてプラットフォーム事業者が責任を負わないことを明記する。

 

プラットフォーム型サービスの利用規約については、これらの重要ポイントについてどのような内容を定めるかを、検討する必要があります。

4,ITサービス提供型の利用規約

レンタルサーバサービスや各種クラウドサービス、チャットなどのコミュニケーションサービスなどがこれにあたります。

ITサービス提供型の利用規約では、以下の点を定めることが利用規約において重要なポイントになります。

ITサービス提供型の利用規約における重要なポイント

ポイント1:

サービス内での名誉棄損行為や著作権侵害行為、サービスを利用したスパムメールの送信など、禁止事項を明確にする。

ポイント2:

ユーザーが第三者に対する名誉棄損にあたる内容や、他人の著作権を侵害するコンテンツをサーバにアップして公開するなどした場合に事業者がユーザーにとる措置(利用停止、契約解除等)を明確にする。

ポイント3:

通信障害等によるサービス使用不能の場合に事業者が賠償責任を負わないこと、あるいは賠償責任に上限があることを明確に規定する。

ポイント4:

データ消失や第三者による不正アクセスによる損害について事業者が賠償責任を負わないこと、あるいは賠償責任に上限があることを明確に規定する。

ITサービス提供型の利用規約については、これらの重要ポイントについてどのような内容を定めるかを、検討する必要があります。

 

以上、4つのパターンごとに利用規約における重要なポイントをご説明しました。

自社で作成しようとしている利用規約がどのパターンにあてはまるのかを検討したうえで、利用規約を作成すると作成しやすいので試してみてください。

 

5,利用規約作成の際におさえておくべき注意点について

ここまで利用規約の作成方法についてご説明してきましたが、以下では「利用規約の作成の際におさえておくべき注意点」についてご説明していきたいと思います。

利用規約の作成の際におさえておくべき2つの注意点

注意点1:
利用規約にかかわる法律の内容をおさえる

注意点2:
利用規約の炎上トラブルに注意する

 

上記の2つの項目にわけてご説明していきますので確認しておきましょう。

 

5−1,注意点1:利用規約にかかわる法律の内容をおさえる

まず、最初の注意点として、「利用規約にかかわる法律の内容をおさえる」という点を見ていきましょう。

利用規約の作成にあたっては、「自社が提供するサービスに関連する法律」を十分確認しておくことが必要です。

「利用規約の作成にあたりおさえておかなければならない法律」はサービスの内容によりさまざまではありますが、よく問題となるのは以下の5つの法律です。

重要!利用規約の作成にあたりおさえておかなければならない法律5つ

1,著作権法
2,資金決済法
3,特定商取引法
4,個人情報保護法
5,消費者契約法

 

以下ではそれぞれの法律に関しておさえておくべき要点をご説明していきたいと思います。

1,著作権法

画像やテキスト、動画、プログラムなどの著作権について定める法律です。

著作権とは、自分が作った画像やテキスト、動画やプログラムを他人に無断で利用されない権利を言います。

特にユーザーに画像や動画、テキストを投稿してもらう内容を含むユーザー投稿型サービスの場合、基本的には投稿者は投稿された画像や動画、テキストを他人に無断で利用されない権利を持っています。

そのため、サービス提供事業者がサービス内で投稿される画像や動画、テキストを利用するためには、この投稿者がもっている著作権をどのように扱うかを、利用規約で明示しておくことが必要です。

▶参考:著作権法に関する詳しい解説はこちらを参照してみてください。

▶参考:著作権に詳しい弁護士への相談はこちらを参照してみてください。

 

2,資金決済法

ユーザーにポイントや仮想通貨を購入させて、それらのポイントや仮想通貨との交換でサービスを提供するケースでは、資金決済法に注意が必要です。

消費者に金銭を前払いさせてポイントや仮想通貨を購入させる場合には、資金決済法の規制を受ける可能性があります。

資金決済法は、前払い後に事業者の財務内容が悪化するとサービスが提供できなくなるおそれがあるため、消費者保護の立場から、財務局への届出や法務局への資金の供託などを義務付ける内容を含んでいます。

▶参考:資金決済法に関する詳しい解説はこちらを参照してみてください。

自社サービスに資金決済法の適用があるかチェックをしておくことが必要です。

 

3,特定商取引法

特定商取引法は、消費者向けの通信販売等について消費者保護の見地から事業者に一定の規制を課す内容を含む法律です。

特に、特定商取引法により、消費者向けの通信販売において、ユーザーの同意なく、ユーザーに広告を含む電子メールやメルマガを送ることは原則として禁止されていることに注意が必要です。

ここでいう「通信販売」については対面式の販売でないということを意味しており、対面形式によらずにユーザーに有料のサービスを提供する場合は、この特定商取引法のメール広告規制の適用を受けます。

そのため、広告を含む電子メールやメルマガをユーザーに送る場合は、そのことを利用規約に記載するなどして、ユーザーの同意を得ておく必要があります。

▶参考:特定商取引法による広告メールの規制に関する詳しい解説はこちらの「5ページ目」から「12ページ目」を参照してみてください。

 

4,個人情報保護法

個人情報の取り扱いについて事業者に制限を課す法律です。

ユーザーの個人情報を取得することになるすべてのサービスにおいて、個人情報保護法との関係を検討する必要があります。

個人情報を他社に提供する場合や、個人情報を他社と共同利用する場合、第三者から個人情報の提供を受ける場合は特に注意が必要です。

▶参考:個人情報保護法に関する詳しい解説はこちらを参照してみてください。

 

5,消費者契約法

ユーザーが事業者ではなく一般消費者である「BtoC」のサービスでは、消費者契約法に注意が必要です。

消費者契約法は、事業者と消費者の契約において、消費者保護の見地から、事業者に一定の制限を課す法律です。
特に、「事業者が消費者に対して負担する損害賠償責任を免除する内容の利用規約(免責規定)」や、「消費者が事業者に対して支払う違約金を定める内容の利用規約(違約金規定)」については、消費者契約法の規定により無効とされる場合があることに注意が必要です。

例えば、キャンセル料に関する規定を利用規約に設けることがありますが、キャンセル料も違約金規定に該当し、消費者契約法の適用を受けます。

▶参考1:キャンセル料について消費者契約法の基本ルールの解説はこちらで詳しく書いていますので、ご参照ください。

▶参考2:利用規約の免責規定と消費者契約法については以下で詳しく書いていますので、ご参照ください。

【補足】利用規約の免責規定と消費者契約法について

「BtoC」のサービスについては消費者契約法の以下の2つのルールに注意が必要です。

ルール1:
「事業者が一切損害賠償責任を負わない」という内容の利用規約に関するルール

ルール2:
「事業者の損害賠償責任に上限を設ける」内容の利用規約に関するルール

 

以下で順番に見ていきましょう。

ルール1:
「事業者が一切損害賠償責任を負わない」という内容の利用規約に関するルール

事業者が十分なサービスを提供しなかったことによりユーザーに損害が発生した場合に、それについて事業者が「一切責任を負わない」という内容の利用規約は無効となります。(消費者契約法第8条1項1号)

例えば、利用規約に「事業者は本サービスの不具合により利用者に発生した損害について一切責任を負いません。」という免責規定を定めた場合、このルールにより無効となります。

ルール2:
「事業者の損害賠償責任に上限を設ける」内容の利用規約に関するルール

事業者が十分なサービスを提供しなかったことによりユーザーに損害が発生した場合に、事業者による損害賠償に上限を設ける内容の利用規約については、その損害が事業者側の故意や重大な過失により発生した場合には、無効となります。(消費者契約法第8条1項2号)

ユーザーに損害が発生したけれども、事業者側に重大な過失があったとまではいえないケースでは、損害賠償に上限を設ける内容の利用規約は有効です。

このルール2についてまとめると次の通りです。

・損害について事業者に故意や重大な過失がある場合

→上限を設ける利用規約は無効

・事業者に重大な過失があったとまではいえない場合

→上限を設ける利用規約も有効

例えば、「いかなる場合であっても、本サービスの不具合により利用者に発生した損害について事業者が利用者に対して負担する損害賠償責任は、月額利用料金の6か月分を上限とします。」という免責規定を定めた場合、事業者の重大な過失による損害のケースでは、この免責規定は無効となります。

 

以上、ここでは、利用規約の作成にあたり特に注意を要する5つの法律についてご紹介しました。

利用規約の作成にあたっては、関係する法律に違反しないように作成し、法律違反のトラブルを起こさないことがまず最初の注意点になります。

 

5−2,注意点2:利用規約の炎上トラブルに注意する

次に、2つ目の注意点として、「利用規約の炎上トラブルに注意する」という点を見ていきましょう。

「炎上」とは、インターネット上で事業者への非難が殺到することを指します。

利用規約が炎上すると、インターネットユーザーから事業者への非難のコメントが殺到して企業イメージを大きく損なったり、多数の抗議の電話が事業者に寄せられるなどして、サイトが閉鎖に追い込まれる、あるいはサービス内容の見直しを余儀なくされるなどの結果に至ることがあります。

具体的にどのようなトラブルが起こるのか、実際の炎上事例をご紹介してご説明したいと思います。

利用規約の炎上トラブル事例

炎上事例1:
ユニクロの事例

●炎上の対象となったサービスの内容

2014年にユニクロが発表した、スマートフォンの操作のみで簡単にオリジナルTシャツを作れるというサービス「UTme!」の利用規約が炎上の対象となりました。

●炎上の原因となった利用規約の内容

ユニクロは、このサービスの利用にあたり、ユーザーが投稿したオリジナルデータの著作権などの権利が、無償でユニクロに譲渡されることを内容とする利用規約を定めていました。

この点がインターネットユーザーから強い非難を受け、炎上しました。

●炎上後の会社の対応

ユニクロはインターネットユーザーからの非難を受け、利用規約を修正するなどの対応を余儀なくされました。

 

炎上事例2:
Evernote(エバーノート)の事例

●炎上の対象となったサービスの内容

クラウド上でファイルやメモ等を保存・管理・共有できるアプリケーション「Evernote(エバーノート)」の利用規約が炎上の対象となりました。

●炎上の原因となった利用規約の内容

Evernote(エバーノート)は2016年、従前の利用規約の内容を変更し、デフォルト(初期設定)の設定において、ユーザーがアップロードしたメモ等を、サービス提供会社の従業員が見て確認することができるように変更しました。

この点がユーザーのプライバシーに対する配慮にかけるものであるとして、インターネットユーザーから強い非難を受け、炎上しました。

●炎上後の会社の対応

Evernote(エバーノート)はインターネットユーザーからの非難を受け、利用規約を修正するなどの対応を余儀なくされました。

 

炎上事例3:
テレビ朝日の事例

●炎上の対象となったサービスの内容

テレビ朝日が2014年に新しく発表した「みんながカメラマン」という動画投稿サイトの利用規約が炎上の対象となりました。

この動画投稿サイトは一般視聴者が撮影した動画をテレビ朝日が運営するサイトに投稿し、テレビ朝日がその動画を報道に活かすというものでした。

●炎上の原因となった利用規約の内容

テレビ朝日は、サービスの利用規約において視聴者が投稿した動画をテレビ朝日が無償で利用できることを定めていました。

一方で、テレビ朝日は、「投稿者は、投稿データの利用に関して第三者からテレビ朝日に何らかの異議・請求等があった場合、テレビ朝日からの要求に従い、投稿者の責任と費用において解決します。」などと利用規約に規定し、テレビ朝日が視聴者投稿動画を使用したことによって起こりうるトラブルに対する対応については投稿した視聴者の費用負担とすることを定めていました。

このような利用規約について、サービス開始直後から「無償で投稿動画を報道に利用し、問題が生じればすべて投稿者に責任を負わせるものだ」としてインターネット上で批判され、炎上しました。

●炎上後の会社の対応

テレビ朝日は、いったん、サイトを閉鎖して、サービスを停止し、その後利用規約の内容を修正するなどの対応を余儀なくされました。

 

以上、最近の主な炎上事例3つをご紹介しました。

上記の炎上事例の教訓も踏まえ、利用規約の炎上を避けるためのポイントとしては以下の点が挙げられます。

利用規約の炎上を避けるためのポイント

ポイント1:
契約書との違いを意識し、ユーザーの利益にも配慮した利用規約を作る。

ポイント2:
インターネットユーザーを意識し、丁寧な言葉づかいで利用規約を作る。

ポイント3:
ユーザー数やサイトアクセス数による炎上リスクの違いを意識する。

 

以下で順番に見ていきましょう。

ポイント1:
契約書との違いを意識し、ユーザーの利益にも配慮した利用規約を作る。

利用規約の炎上は、利用規約の作成においてサービス提供事業者側の権利確保のみに重点を置き、ユーザーの権利や利益に対する配慮を欠いていることが主な原因です。

例えば、ユニクロの事例では、ユーザーの著作権に対する配慮に欠いていたことが炎上の原因でした。また、Evernoteの事例では、ユーザーのプライバシーに対する配慮に欠いていたことが炎上の原因となりました。テレビ朝日の事例では、ユーザーが投稿した動画を無償でテレビ朝日が利用するにもかかわらず、投稿した動画によるトラブルの解決の責任をすべてユーザーに負わせていたことが炎上の原因となりました。

利用規約は契約書と異なり、事業者が一方的に内容を定めるものであり、ユーザーの立場からするとユーザーに不利益な条項が利用規約に含まれていても個別に交渉を行うことができないことが、炎上につながりやすい要因の一つです。

また、利用規約は契約書と異なり、ユーザー以外の第三者も容易に閲覧可能であるという特徴があり、この点も炎上につながりやすい要因の一つです。

利用規約の炎上を避けるためには、このような「利用規約と契約書の違い」を踏まえて、炎上のリスクがある場合は、ユーザーの利益にも配慮した内容の利用規約にすることが重要なポイントとなります。

ポイント2:
インターネットユーザーを意識し、丁寧な言葉づかいで利用規約を作る。

同じ内容の利用規約でも、文体や言葉づかいによって炎上のリスクが異なってきます。

「です、ます調」で記載することはもちろん、できるだけ丁寧な言葉遣いで利用規約を作ることも炎上のリスクを防ぐ対策として有効です。

ポイント3:
ユーザー数やサイトアクセス数による炎上リスクの違いを意識する。

炎上のリスクの程度はユーザー数やサイトへのアクセス数、企業の知名度によっても異なります。

中小企業であっても、一部のコミュニティーや特定の顧客層において高い知名度があったり、サイトへのアクセス数が多い場合は、炎上のリスクは高いので、より炎上リスクに気を配る必要があります。

 

以上、「利用規約」特有のトラブルである、炎上を避けるためのポイントをおさえておきましょう。

利用規約を作成する場合は、炎上のリスクがどの程度あるか判断したうえで、炎上のリスクがある場合は上記のポイントを踏まえた対策を講じることが必要です。

 

6,利用規約に落とし穴があることで発生するトラブル例

続いて、「利用規約に落とし穴があることで発生するトラブルにどのようなものがあるか」をご説明しておきたいと思います。

利用規約に落とし穴があることにより発生するトラブルはサービスの内容によってさまざまですが、例えば次のようなケースがあります。

利用規約に落とし穴があることで発生するトラブル例

トラブル例1:
ユーザーの問題行動への対応不能

トラブル例2:
ユーザーが投稿したコンテンツの削除や修正の不能

トラブル例3:
ユーザーからの損害賠償請求

 

以下で順番に見ていきたいと思います。

トラブル例1:
ユーザーの問題行動への対応不能

利用規約に落とし穴があることで発生するトラブルの1つ目としては、ユーザーの問題行動への対応ができずにサービスの運営に支障が生じるということがあげられます。

例えば、ドメイン取得代行のサービスでは、ユーザーが取得したドメインのメールアドレスでスパムメールを送ったり、Webサイトを開設して違法な事業の広告宣伝を行うなどの問題行動が起こることがあります。

このような場合には、警察からもサービス事業者に対して、ユーザーとの契約を解除などの対応を求められることが多いですが、利用規約における「自社サービスにおける禁止行為」や「利用規約違反者に対するペナルティ」に関する規定に不備があると、警察の要請を受けても、ユーザーに対してサービスの利用停止などの措置をとることができません。

このように利用規約に不備があると、ユーザーの問題行動への対応ができないというトラブルが発生します。

利用規約を作成する際には、ユーザーの問題行動にどのようなものがあるかを想定して、「自社サービスにおける禁止行為」や「利用規約違反者に対するペナルティ」を定めておくことが必要です。

トラブル例2:
ユーザーが投稿したコンテンツの削除や修正の不能

次に、利用規約に落とし穴があることで発生するトラブルの2つ目として、ユーザーが投稿したコンテンツの削除や修正の不能ということがあげられます。

ユーザーが写真や動画をアップしたり、コメントを書いたりする投稿型のサービスでは、ユーザーの投稿を事業者側において削除したり修正したりする必要が生じることがあります。例えば、ユーザーのコメントが第三者を誹謗中傷するものである場合にこれを削除したり、ユーザーが投稿した写真をサービス提供事業者側でサイズを変更したりするケースです。

ところが、ユーザーが投稿したコンテンツの削除や修正をサービス提供事業者の権限で行うことができることを利用規約に定めていなければ、これらの削除や修正が難しくなるというトラブルが発生します。

トラブル例3:
ユーザーからの損害賠償請求

利用規約に落とし穴があることで発生するトラブルの3つ目としては、サービス提供事業者がユーザーから損害賠償を請求されるトラブルがあげられます。

例えば、冒頭でもご紹介したように、レンタルサーバ事業でトラブルになりやすいのが、何らかの原因でユーザーのデータが消失してユーザーから損害賠償請求をされるケースですが、これについては以下のような裁判事例があります。

▶参考1:事業者敗訴の裁判事例 
(平成13年 9月28日東京地方裁判所判決)

●事案の概要:

レンタルサーバの提供サービスについて、事業者の作業中にユーザーのホームページのファイルを消滅させる事故を生じさせたことについて、ユーザーから損害賠償を請求された事案です。

●裁判所の判断:

事業者は利用規約(契約約款)を定めていましたが、裁判所はユーザーの請求を認め、「約2300万円」の損害賠償を命じました。

 

一方で、類似のケースでも、裁判所の判断が全く異なり、ユーザーからの損害賠償請求を裁判所が認めなかったケースもあります。

例えば以下のようなケースです。

▶参考2:事業者勝訴の裁判事例 
(平成21年 5月20日東京地方裁判所判決)

●事案の概要:

レンタルサーバの提供サービスについて、サーバの故障によりユーザーのホームページのデータやプログラムを消滅させる事故を生じさせたことについて、ユーザーから損害賠償を請求された事案です。

●裁判所の判断:

利用規約の規定を根拠にユーザーからの請求を認めませんでした。

 

この2つの裁判例では、事案に若干の違いがあるものの、トラブルの内容としては両方ともユーザーのデータが消失してユーザーから損害賠償請求をされたケースです。

しかし、このように結論が大きく異なるのは、利用規約における「免責に関する事項」の定め方に大きな差があったためです。

利用規約の内容に不備があれば、多額の損害賠償を命じられるケースがある一方で、利用規約を適切に作成すれば、ユーザーからの損害賠償リスクをかなりの程度軽減することが可能であることがこの2つの裁判例からも読み取ることができます。

その他、咲くやこの花法律事務所が運営する「咲くや企業法務.NET」の記事でも、ウィルス対策ソフトのインストールにより発生した損害について事業者がユーザーから損害賠償請求を受けたケースで、利用規約が適切に定められており、裁判所がユーザーの損害賠償請求を認めなかったケースをご紹介させていただいております。

▶参考3:「ウィルス対策ソフトのインストールにより発生した損害の賠償請求事案で、利用規約の規定を根拠に請求を退けた裁判例」について詳しくはこちらをご参照ください。

 

ここでは、利用規約に落とし穴があることで発生するトラブル例をご説明しました。

利用規約の内容によって、トラブルにまきこまれるリスクがかなり変わってくることをおさえておきましょう。

 

7,利用規約の作成代行やチェックを弁護士に依頼する際のメリットと注意点

ここまでは自社で利用規約を作成する場合も念頭において、「利用規約の正しい作成方法」や「利用規約作成の際の注意点」、「利用規約に落とし穴があることで発生するトラブル例」についてご説明しました。

以下では、利用規約の作成代行やチェックを弁護士に依頼することのメリットと注意点についてご説明したいと思います。

まず、利用規約の作成代行やチェックを弁護士に依頼することのメリットとしては以下の点があげられます。

利用規約の作成代行やチェックを弁護士に依頼することのメリット

メリット1:
法律の内容を踏まえて利用規約を作成することができ、法律違反のトラブルを防ぐことができる。

メリット2:
ユーザーの利益にも配慮し、炎上トラブルを避けることができる。

メリット3:
弁護士の経験により、サービス利用においてどのようなトラブルが起こりうるかを予測し、その対策を講じることができる。

メリット4:
専門家による作成代行あるいはチェックにより会社としても安心できる。

 

以下で順番に見ていきましょう。

メリット1:
法律の内容を踏まえて利用規約を作成することができ、法律違反のトラブルを防ぐことができる。

自社で利用規約を作成していると、「著作権法」や「資金決済法」、「個人情報保護法」、「特定商取引法」、「消費者契約法」などの法律に違反してしまう危険があります。

利用規約の内容に法律違反があると、著作権や個人情報の取り扱いについて事業者がユーザーから損害賠償を請求されたり、特定商取引法や資金決済法の違反について行政から指導を受けたりするトラブルが起こります。

また、今回の記事では利用規約に関わる主な法律として5つの法律をとりあげましたが、実際には法律の数は無数にあり、サービスの内容に応じて気を付けなければならない法律もさまざまです。

利用規約にかかわる法律に精通した弁護士が利用規約の作成を代行し、あるいは作成された利用規約のチェックを行うことで、法律違反のトラブルを防ぐことができます。

メリット2:
ユーザーの利益にも配慮し、炎上トラブルを避けることができる。

知名度が高いサービスやサイトアクセス数が多いサービスでは、単に自社の権利や利益のみを考えて利用規約を作成すると炎上のリスクがあります。

炎上のリスクを避けるためにはユーザーの利益にも配慮する必要があることは前述した通りです。

ただ、そうはいっても、自社で利用規約を作成する場合、どの程度ユーザーの利益に配慮すればよいのか、判断が難しい点もあります。

この点、利用規約の作成に精通した弁護士が利用規約の作成を代行し、あるいは利用規約のチェックを行えば、ユーザー側の権利にも配慮したバランスの良い利用規約をつくることができ、利用規約特有の問題である「炎上トラブル」を避けることができます。

メリット3:
弁護士の経験により、サービス利用においてどのようなトラブルが起こりうるかを予測し、その対策を講じることができる。

「利用規約の正しい作成方法について」の項目でもご説明した通り、利用規約の作成はオーダーメイドになることが多いことが特徴です。

そして、利用規約のうち、特に重要な部分である「自社サービスの利用に関するルール」、「自社サービスにおける禁止行為」については、自社サービスにおいてどのようなトラブルが起こりうるかをあらかじめ予測したうえで、トラブルを防ぐようなルールを作成し、トラブルにつながる行為を禁止行為として定めることが必要です。

また、利用規約に盛り込むべき項目の1つである「損害賠償に関する事項」についても、「事業者からユーザーに損害賠償責任を問わなければならないケースにどのようなものがありうるか」をあらかじめ予測したうえでユーザーの賠償責任を定めることが必要です。

さらに、「免責に関する事項」についても、「事業者がユーザーから損害賠償責任を問われるケースにどのようなものがありうるか」をあらかじめ予測したうえで事業者の免責事項を定めることが必要です。

この点、弁護士はこれまでの業務経験を通じ、さまざまなトラブルを経験しています。サービス利用においてどのようなトラブルが起こりうるかを予測し、その対策を講じることはまさに弁護士の得意とする分野といえます。

メリット4:
専門家による作成代行あるいはチェックにより会社としても安心できる。

自社で利用規約を作成する場合、本当に作成した利用規約で万全なのかのチェックが困難です。

弁護士による作成代行や内容チェックは、利用規約に強い専門家にしてもらいましょう。
経験豊富な弁護士にチェックを受けていれば、自社としても安心できるというメリットがあります。

 

以上、利用規約の作成代行やチェックを弁護士に依頼することのメリットについてご説明しました。

一方で弁護士に依頼する際の注意点としては、「適切な弁護士を選択する必要があること」「料金がかかること」の2点があげられます。

このうち、料金については、次の項目でご説明しますので、ここでは、「適切な弁護士を選択する必要があること」についてみていきましょう。

利用規約の作成代行やチェックを弁護士に依頼する場合、適切な弁護士を選択する必要があることには注意が必要です。

弁護士には「離婚」、「相続」、「刑事事件」、「破産」など様々な専門分野があり、利用規約の作成代行やチェックに精通している弁護士は弁護士全体のごく一部です。

利用規約の作成代行やチェックに精通する適切な弁護士に依頼するためのチェックポイントとして以下の点をおさえておきましょう。

重要!
利用規約の作成代行やチェックに精通する適切な弁護士に依頼するためのチェックポイント

ポイント1:
利用規約の作成代行やチェックを普段から取り扱っている弁護士かどうか

ポイント2:
自社のビジネスの内容をスムーズに理解してくれる弁護士かどうか

ポイント3:
利用規約に関する相談の中で、自社サービスにおいて具体的にどのようなトラブルが想定されるかについて弁護士から具体的な助言をもらえたか

ポイント4:
利用規約に関する相談の中で、想定されるトラブルに対する対策を利用規約に盛り込むことについて弁護士から具体的な提案をもらえたか

 

これらの4つのポイントを踏まえて、適切な弁護士を選択しましょう。

それでは、最後に、弁護士に依頼する場合の料金について、次の項目で詳しく見ていきたいと思います。

 

8,弁護士に利用規約の作成代行やチェックを依頼する際の必要な料金体系とは?

弁護士に利用規約の作成代行やリーガルチェックを依頼する際の料金体系は、担当する弁護士によってさまざまです。

一般的に言えば、顧問弁護士に法律相談ができる「顧問弁護士制度」を利用しているか、利用していないかによって料金体系が異なってきます。

以下では、「顧問弁護士制度を利用している場合」と「顧問弁護士制度を利用していない場合」にわけて説明します。

1,顧問弁護士制度を利用している場合

●利用規約のリーガルチェックについて

顧問弁護士制度を利用している場合、その顧問契約の内容にもよりますが、自社で作った利用規約について弁護士のリーガルチェックをうけるための費用は顧問料に含まれていて、別途料金を要しないことが多くなっています。

●利用規約の作成代行について

利用規約の作成代行については、顧問料とは別料金になるケースが多いでしょう。

ただし、その場合でも、顧問弁護士制度を利用していない場合の通常料金に比べて「10%」から「20%」程度の割引制度が設けられているケースが多くなっています。

 

このように、顧問弁護士制度を利用している場合は、リーガルチェックは無料、作成代行は有料となるケースが多くなっています。

2,顧問弁護士制度を利用していない場合

顧問弁護士制度を利用していない場合の利用規約のリーガルチェックや作成代行は、弁護士による個別の見積もりにならざるを得ないことが多いでしょう。

料金体系としては、「定額型」「タイムチャージ型」に分かれます。

▶参考1:「定額型」について

「定額型」は依頼の時点で弁護士が見積もりをだし、「●万円」などと定めるケースです。

▶参考2:「タイムチャージ型」について

「タイムチャージ型」は弁護士がリーガルチェックや作成代行に要した時間をもとに「1時間あたり●万円」などと料金を定めるケースです。

「タイムチャージ型」は、弁護士がかける時間によっては予想外の金額にふくらむことがあるので注意が必要です。

 

弁護士会の規定により、すべての弁護士には、事件を受任するに当たり、弁護士報酬について依頼者に適切な説明をすることと、弁護士報酬を明記した契約書を作成することが義務付けられています。

弁護士に利用規約のリーガルチェックや作成代行を依頼する際は、必ず、事前に報酬額の説明を受けましょう。

なお、ご参考までに筆者が所属する咲くやこの花法律事務所では、利用規約の作成代行やリーガルチェックをご依頼いただく場合の料金体系は以下の通り定めています。


▶参考:咲くやこの花法律事務所における料金体系

・顧問弁護士制度を利用していただいている場合

利用規約の作成代行:分量に応じて8万円~15万円程度(税別)

利用規約のリーガルチェック:原則として無料

・顧問弁護士制度を利用していただいていない場合

利用規約の作成代行:分量に応じて10万円~20万円程度(税別)

利用規約のリーガルチェック:A4サイズの書類1枚あたり5,000円程度(税別)~

 

あくまで目安ですが参考にしてみてください。

まとめ

今回は、「利用規約の正しい作成方法」と「おさえておくべき注意点」についてご説明しました。また、利用規約の作成代行やチェックを弁護士に依頼する際のメリットと注意点、料金体系についてもご説明しました。

「利用規約」は、ユーザーとのトラブルが起こったときに、会社を防御するための重要なものです。

裁判事例としてご紹介した通り、利用規約の「出来」、「不出来」によって、会社がユーザーに対する損害賠償を命じられたり、あるいは命じられなかったりという違いが出てきます。

本記事でご説明した内容を読んでいただき、自社の利用規約作成の参考にしていただければ幸いです。また、弁護士によるリーガルチェックや作成代行をご検討されている方は、咲くやこの花法律事務所でも、利用規約に特に強い弁護士がご相談をお受けしていますので、ぜひご検討ください。

 

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記事作成弁護士:西川 暢春
記事公開日:2017年2月17日

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