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取引基本契約書を作成する際の「合意管轄について」の注意点

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  • 2011年04月18日

     企業間で継続的な取引を始めるにあったて、「取引基本契約書」という契約書を作成することが多いと思います。

     

     たとえば、A社がB社から継続的に仕入れをするような場合や、A社からB社に継続的に工事を発注する場合などにこのような契約書が作られます。場合によっては「業務提携契約書」などという名称である場合もあると思います。

     

     「取引基本契約書」あるいは「業務提携契約書」で基本的な取引条件を決めておくことは、取引のトラブルを防ぐ上で極めて重要なことです。

     

     日々の業務に追われると、どうしても契約書は後回しになりがちですが、それでは、将来のトラブルを防いでいい企業を作ることはできません。

     

     「取引基本契約書」を作成するときに注意しなければならないことは、その取引の内容によってかわってきます。 ただ、どんな取引でも問題になりやすい注意すべき点がありますので、ここでは、以下の5回に分けて、取引基本契約書を作成するときの注意点についてお話ししていこうと思います。

     

     ① 取引基本契約書で管轄裁判所について合意する場合の注意点

     ② 取引基本契約書で商品の供給義務を定める場合の注意点

     ③ 取引基本契約書を作成する際に気をつけなければならない下請法に関連する注意点

     ④ 取引基本契約書を作成する際に気をつけなければならない商法526条に関連する注意点

     ⑤ 海外の企業と取引基本契約書を締結する際の注意点

     

    今回は、まず、一番簡単な①の「取引基本契約書で管轄裁判所について合意する場合の注意点」についてお話ししたいと思います。

     

     取引基本契約書を作るとき、最後に「この契約に関連する一切の紛争は○○地方裁判所を第1審の専属的合意管轄とする」などと記載することが多いと思います。

     

     こういうのを、「管轄裁判所の合意」といいます。

     

     では、この条文はいったいどういう意味なんでしょうか。

     

     実はこの条文は、万一、取引がトラブルになったり、裁判になってしまった場合に、実際上重要な影響がでてくる規定です。


     ここでは、大阪の会社(A社)が東京の会社(B社)に対し、継続して商品を販売することになり、取引基本契約書を作成する場合を例に考えてみます。

     

     このような取引でどのようなトラブルが想定されるでしょうか。

     

     想定されるトラブルはいろいろありますが、たとえば、A社がB社に納品した商品についてB社が代金を支払った後で、B社が商品に問題、欠陥があることに気付いたと主張して、B社がA社に対し代金の返還を求めてくるというトラブルが想定されます。

     

     このような場合、商品に欠陥がなければA社としては当然、返金を拒絶することになるでしょう。

     

     その場合、まずはB社と裁判を避けるために交渉の努力をすることになりますが、交渉が決裂した場合はB社がA社に対して訴訟をしてくるかもしれません。

     

     このとき、もしさきほどの「管轄裁判所の合意」をしていなければ、どこの裁判所に訴訟を起こすかは、法律の規定に従うことになります。

     

     法律の規定に従えば、このケースでは、東京の裁判所でも大阪の裁判所でもいずれでもよいことになることが多いです。

     

     そうすると、東京の会社であるB社が大阪の裁判所を選ぶことは考えにくく、東京の裁判所で訴訟を起こすでしょう。

     

     すると、A社の弁護士は、原則として裁判の際は東京の裁判所に行かなければなりません。

     

     弁護士はこのような出張については、「日当」を請求するのが通常です。

     裁判のたびに日当がかかるとなると、どうしても弁護士費用が多額になるという問題点が出て来るのです。


     たとえば、大阪の弁護士が東京地裁に10回出廷すれば、裁判の費用とは別に60万円~70万円程度の日当を請求する弁護士も多いと思います。

     

     このように実際上、遠方の裁判所への出張は、企業にとっては大きな負担となります。

     

     ところが、このケースで、「取引基本契約書」に「この契約に関連する一切の紛争は大阪地方裁判所を第1審の専属的合意管轄とする」などと記載しておくと、A社は法律の規定に関係なく大阪でしか裁判を起こせないということになるのです。

     

     このように「管轄裁判所の合意」は実際に裁判になったときには、企業の負担や実際に裁判の対応をできるかに大きくかかわってきます。

     

     また、裁判にならなければ関係がないのかといえば実はそうではありません。

     

     「管轄裁判所の合意」が自社に不利になっており、裁判になれば多額の弁護士費用がかかることが予想される場合、なんとしでも裁判を避けたいという意向が働き、裁判前の交渉で弱含みの対応にならざるを得ないケースが多々あるのです。

     

     このように「管轄裁判所の合意」は、いざトラブルになったときには大変重要な意味をもつ規定です。

     

     「管轄裁判所の合意」は単に書ければよいというものではなく、書き方も重要です。

    ▼ この記事を読んでいただいた方にお勧めの記事はこちらです。 ▼

    ○ 取引基本契約書を作成する場合に注意しなければならない商法526条に関連する注意点 https://kigyobengo.com/blog/contract/345 

    ○ 契約書を作るときの注意点(合意管轄条項の書き方) https://kigyobengo.com/blog/contract/420 

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