未分類

労働組合との団体交渉の進め方について~清算条項と守秘義務条項が入った合意書を作る〜

  • ツイート
  • シェア
  • はてブ
  • LINEで送る
  • Pocket
  • 2012年02月14日

    会社と従業員との間で、解雇や残業代の支払についてトラブルとなったときに、その従業員が労働組合に駆け込み、労働組合が、問題となったトラブルについて会社に交渉を求めてくる場合があります。

     

    最近では、会社に労働組合がなくても、会社の外部の労働組合から交渉が申し入れられることも増えてきており、社内に労働組合がないからといって、安心してはいられません。

     弊事務所では団体交渉に同席して経営者側の立場にたって交渉することに取り組んでおりますが、今回は交渉が成立した場合の手続きについてお話しします。

     

    交渉の結果、会社と、労働組合、従業員との間で、トラブルになった点についての話し合いがまとまり、合意が成立した場合には、その合意を、

    「合意書」として書面化しておくことが必要です。

     

    合意書を作らずにお金を支払ってしまうと、のちのち、同じ従業員の同じ問題について、また同じような請求がされてしまうおそれがあります。

     

     

    この合意書に必ず入れておくべき

    ①守秘義務条項

    ②清算条項

    についてお話します。

     

     

    まず、①の守秘義務条項についてです。

     

    守秘義務条項とは、

    「交渉の内容、結果を、交渉の当事者以外の第三者にもらさない。」

    ということをお互いに約束する条項です。

     

    労働問題の場合、

    経営者が組合や組合員に譲歩して、金銭を支払ったりしたという話が他の従業員に広まると、それをまねて金銭の請求をしてくる従業員が出てきます。

     

     このような事態を防止するために

    会社と労働組合との合意の内容だけではなく、合意があったということ自体を秘密にしておく必要があります。

     

     具体的には、合意書に、次のような条項を入れることになります。

     

     

    第●条(守秘義務)

    株式会社○○、△△組合、△△組合員□□□□は、本協定書の存在およびその内容の一切を厳格に秘密として保持し、その理由の如何を問わず、その相手方の如何にかかわらず一切開示または漏洩しない。

     

     

     

    このような条項をきちんと明確に合意書に記載しておくことで、

    万が一、組合や組合員が、合意があったことやその内容を第三者に漏らしたときには、その責任を追及できることになり、結果的に第三者に漏れることを防ぐことができます。

     

     

     

    次に、②の清算条項についてです。

     

    これは、

    「今回話し合った問題については、会社も労働組合従業員も、これ以上、蒸し返すことはしない。この問題については、この合意でもって、最終的な解決とする。」

    ということを約束する条項です。

     

    例えば、未払い残業代の支払の問題で、会社としては、50万円を支払って解決したつもりになっていても、労働組合や従業員の側から、

    「まだ未払いの分がある!」

    と言って、問題を蒸し返し、さらなる請求をしてくるおそれがあります。

     

     清算条項を入れておけば、このような、すでに解決した問題についての組合側からの請求を拒むことができます。

     

     清算条項は、具体的には次のようになります。

     

     

    第●条(清算条項)

    株式会社○○、△△組合、△△組合員□□□□は、本協定書に定める他、株式会社○○(株式会社○○の関連会社、および株式会社○○とその関連会社の役員、従業員、株主を含む。以下同じ。)・△△組合員□□□□間において、何らの債権債務が存在しないことを相互に確認する。

     

     

    ただし、これは、問題となった組合員が退職により会社と関係がなくなる場合の清算条項です。

    会社と組合員との雇用関係が、合意書締結後も続く場合には、組合員は従業員として会社に労務を提供する義務を負いますし、会社としてはそれに対して給与を支払う義務を負うのですから、「何らの債権債務が存在しない」というわけにはいきません。

     会社と組合員との雇用関係が続く場合の清算条項は、次のようになります。

     

     

    第●条(雇用関係の継続)

    株式会社○○、△△組合、△△組合員□□□□は、株式会社○○と△△組合員□□□□との雇用関係が今後も継続することを相互に確認する。

     第●条(清算条項)

    株式会社○○、△△組合、△△組合員□□□□は、本協定書に定める他、株式会社○○(株式会社○○の関連会社、および株式会社○○とその関連会社の役員、従業員、株主を含む。以下同じ。)・△△組合員□□□□間において、何らの債権債務が存在しないことを相互に確認する。

     

     

    このように記載しておけば、

    従業員の側が今回の労使交渉で問題となった点を蒸し返して、実質的には同じ内容を形をかえて持ち出してくるということを防ぐことができます。

     

     

    これらの、

    ①守秘義務条項や、

    ②清算条項は、

    のちのちのトラブルを防止するために、トラブルの内容を問わず、合意書には必ず入れておく必要があります。

     

     

    弁護士法人咲くやこの花法律事務所では、団体交渉にお困りの経営者の方のために、団体交渉の場に経営者の方と一緒に同席して組合との交渉にあたっております。

    団体交渉でお困りの方は気軽に咲くやこの花法律事務所にご相談下さい。

     

     

     

    顧問契約をご希望の経営者の方の面談を随時行っておりますので、https://kigyobengo.com/contact.htmlからお申し込みください。

    なお、このブログの内容はメールマガジンによる配信も行っております。

    https://kigyobengo.com/mailmagazinにメールマガジン登録フォームを設けておりますので、ぜひご登録をお願いいたします。

  • ツイート
  • シェア
  • はてブ
  • LINEで送る
  • Pocket
  • 業法務に特に強い弁護士が揃う 顧問弁護士サービス

    企業法務の取扱い分野一覧

    企業法務に強い弁護士紹介

    西川 暢春 代表弁護士
    西川 暢春(にしかわ のぶはる)
    大阪弁護士会/東京大学法学部卒
    小田 学洋 弁護士
    小田 学洋(おだ たかひろ)
    大阪弁護士会/広島大学工学部工学研究科
    池内 康裕 弁護士
    池内 康裕(いけうち やすひろ)
    大阪弁護士会/大阪府立大学総合科学部
    片山 琢也 弁護士
    片山 琢也(かたやま たくや)
    大阪弁護士会/京都大学法学部
    堀野 健一 弁護士
    堀野 健一(ほりの けんいち)
    大阪弁護士会/大阪大学
    所属弁護士のご紹介

    書籍出版情報


    訴訟リスクを回避する3大労使トラブル円満解決の実践的手法―ハラスメント・復職トラブル・残業代請求

    著者:
    弁護士 西川 暢春
    弁護士 井田 瑞輝
    弁護士 木澤 愛子
    発売日:2025年1月20日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:240ページ
    価格:2,750円


    労使トラブル円満解決のための就業規則・関連書式 作成ハンドブック

    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2023年11月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:1280ページ
    価格:9,680円


    「問題社員トラブル円満解決の実践的手法」〜訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方

    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2021年10月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:416ページ
    価格:3,080円


    書籍出版情報一覧へ

    運営サイト

    大阪をはじめ全国の中小企業に選ばれ続けている顧問弁護士サービス
    業務上横領の法律相談サービスサイト
    弁護士西川暢春の咲くや企業法務TV

    弁護士会サイト

    大阪弁護士会
    日本弁護士連合会
    企業法務のお役立ち情報 咲くや企業法務.NET遠方の方のご相談方法