これまで、残業代の請求のリスクについて書いてきました。
ところで、残業代について、「付加金」と言う言葉をご存じでしょうか。
労働者が裁判所に不払い残業代の請求をするときに、未払い額と同額の金額を上乗せして請求できます。これが「付加金」です。
つまり、労働者が裁判で未払い残業代を請求する場合には、本来の残業代の2倍の金額を請求できるということです。
この制度は会社側にとって大きなプレッシャーになります。会社としてはこの付加金により倍額を支払わされるリスクを考えると
裁判は回避しなければなりません。その結果、会社としては残業代請求に対して何か主張したいことがあっても、裁判前に泣く泣く
労働者の請求をのまざるを得なくなるケースもあるのです。
また、不払い残業代については給料日から年利6パーセントの遅延損害金がつきます。さらに、従業員が会社を退職した日以降は、
年利14.6パーセントの遅延損害金がつきます。
これらの制度により裁判での請求額は実際の残業代の3倍程度になることも多々あります。
たとえば、月給30万円、所定労働時間月200時間の従業員が毎日2時間、サービス残業をしていたとします。
2年間の不払い残業代は約220万円になります。
これが裁判になると700万円近い請求になるリスクがあるのです。
残業代については、請求されたら払えばいいという考えは許されません。
特に営業職や管理職、年俸制の社員については、会社に悪意がなくても未払残業代が発生しているケースがあり、要注意です。
当事務所では、残業代については事前に対策を立てることで、会社の負担を最小限に抑えながら、残業代請求のリスクをなくす方法を提案しています。
次回は効果的な残業代の削減方法について書きます。