リフォーム工事において、顧客が細部にわたってなんども工事のやりなおしを要求し、それを拒否すれば何度も際限なく電話をかけてくる、あるいはいつまでたっても工事の完了を認めず工事残金を支払わないというトラブルが増えています。
こういった顧客に対してリフォーム会社としてはどう対応すればよいのでしょうか。
今回は、クロスの貼り方に関するクレームについて考えてみます。 当然のことですが、顧客がクロスの貼り方について気に入らなければ、顧客が納得いくまで貼り替え工事をしなければならないというわけではありません。
通常求められる水準の工事をしていれば、顧客が納得するかどうかはともかく、補修の要求を断ることができます。 問題はどういう場合に補修をしなければならいかという点です。
これについては、クロスの端ですきまが生じている箇所や,クロスを貼った際に用いられたボンドがはみ出ている箇所,クロスとクロスの継ぎ目にすきまが生じてしまっている箇所については、工事の瑕疵にあたり、補修しなければならないとされるのが一般です。
しかし、その場合でも、補修の方法としては、クロスの全面貼替えは必要ありません。
裁判所の判例でも、リビングのクロスの貼り方が問題になった事例があります。
この裁判例で、裁判所は、壁紙の端ですきまが生じてしまっている箇所については、その部分にコークボンドを注入してすきまを埋めれば足りるとしています。
また、ボンドがはみ出ている箇所についてはこれをぬぐい取れば足りる、継ぎ目にすきまが生じている箇所は,すきまが出ている付近の壁紙に改めて接着剤を塗って貼り直せば足りるとしています。
こういったクレームのケースでは、顧客はクロスの貼り方が気に入らなければ、全面貼り替えを求めてくるのが通常です。
しかし、そのような要望にこたえることは法的には必要ありません。
このようにリフォームの工事では、顧客が納得するまでやり直し工事に応じなければならないわけではありませんし、顧客が納得するまで残金を支払わせることができないわけではありません。
顧客に残金を支払わせることができるかどうかの判断基準は、「そのリフォーム工事が当初予定していた最後の工程まで終えているかどうか」です。
つまり、クロスの貼り方に問題があったとしても、当初予定していた最後の工程まで終えていれば、残金を請求できます。
この判例でも、裁判所はリフォーム代金の残金が約150万円あるのに対し、工事に瑕疵があるとしてもその補修に要する費用は約12万円にすぎないとして、顧客にリフォーム代金残金の支払を命じています。
顧客の側は慰謝料なども含め約350万円の賠償をリフォーム会社に請求していましたが、裁判所はクロスの張り替えの費用やその他の補修費用として約12万円について顧客の請求を認めたのみでした。
工事会社として誠実に対応する必要があることはもちろんですが、顧客の中には際限なく要求をエスカレートさせる者もいます。そういった顧客に対しては、どの程度まで要求に応じる必要があるかを見極めた上で、工事が完了した時点で残金を請求していくことが必要になります。
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