会社がタイムカードを用意したのに、従業員が打刻せず、会社が従業員の残業時間を把握できていなかった場合、どのような問題が起こるのでしょうか?
東京地方裁判所の平成23年10月25日判決の「スタジオツインク事件」は、映画の企画、制作会社の課長が退職後に残業代の支払を求めて会社に裁判を起こした事件です。
この裁判では、在職期間約8か月のうち、約4か月分のタイムカードがきちんと打刻されておらず、その点が裁判でも問題になりました。
これについて、裁判所はタイムカードをきちんと打刻していなかった期間についても、残業代の支払を会社に命じました。
タイムカードがきちんと打刻されていない場合、従業員から残業代の請求を受けても、実際にその従業員が残業をしていたのかどうか会社が確認することができないことがほとんどです。
このとき、会社としてはそれはきちんと打刻していないのが悪いと言いたいのが人情かもしれません。
しかし、一般に、会社は従業員の健康管理や残業代の支払のために従業員の労働時間を把握する責任があります。
のため、従業員側からの残業代請求にタイムカードなどの根拠がない場合には、裁判所からは会社が把握している労働時間を確認されることになります。
そして、会社がこれに答えられない場合は、会社側は一定のペナルティを受けると考えておかなければなりません。
もちろん、従業員の請求通りの内容が通るわけではありませんが、会社として労働時間の管理をしていなければ、裁判所から実際には働いていなかった時間についてまで残業代の支払を命じられるリスクがあります。
このように正しい労務管理のためには、まず従業員の労働時間を正しく把握することが必要です。
会社はタイムカードの打刻状況を少なくとも毎月確認しなければならず、残業代請求の裁判が起こってからタイムカードが打刻されていないことに気付いたとすれば、労務管理の方法を変える必要があります。
また、タイムカードを導入していない会社も多いと思いますが、今後、タイムカードやICカードなど客観的な方法で時間管理ができるように準備していく必要があります。
ぜひ咲くやこの花法律事務所にご相談いただき、一緒にトラブルを乗り切っていきましょう。
なお、タイムカードを導入しているのに従業員が毎日打刻しないというような場合や、従業員が勤務終了後すぐにタイムカードを打刻しないといったことがある場合、決して放置してはいけません。
毎日確実に打刻することができるようになるまで、逐一指導することが必要です。
弁護士法人咲くやこの花法律事務所では、会社と従業員のトラブルについて経営者の側の立場で御相談をお受けしています。
従業員とのトラブルでお困りの方は咲くやこの花法律事務所にご相談下さい。
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