一日の業務が終了した後に、従業員が顧客と食事等に行くことは、どの業態であってもよくあることだと思います。
このようないわゆる接待業務で従業員の帰宅が遅くなることが増えてきた場合、会社としてはどのような配慮が必要でしょうか。
東京高等裁判所平成23年10月26日判決の「国・大阪中央労基署長事件」は、世界的通信機器メーカーの日本法人の大阪事務所長の地位にあった責任者がくも膜下出血により亡くなり、その遺族が死亡は過労が原因であるとして労災認定を求めた事件です。
裁判所では、月80時間以上の残業が続いている従業員が心臓疾患あるいは脳疾患で死亡した場合、過労が原因であるとして労災と判断する傾向にあります。
本件で裁判所は、この責任者が顧客に対する接待業務や協力会社との会食に出向くことが多く、そういった接待や会食の時間も合わせて考えれば、月80時間近くの残業をしていたといえるうえ、24時間携帯電話の携帯を義務付けられ通信障害などの対応が求められていたとして、この従業員の死亡を過労を原因とする労災であると判断しました。
会社経営にあたっては、従業員の勤務時間がどのくらいになっているかは、従業員の健康に直結する問題として確実に把握し、残業が月80時間を超えているような場合には残業を減らす措置をとることが必要です。
また、今回の事件のように、顧客接待や協力会社との会食の時間が多い従業員については、その接待や会食が業務上の必要性によるものであれば、その時間についても残業時間に含めた上で、残業が月80時間を超えないかどうかに配慮する必要があります。
接待や会食についてもあらかじめ時間を決めるなどして、時間を把握する工夫が必要です。
また、終業時間後もトラブル発生に備えて携帯電話の対応を義務付けるなどしている場合は、そういった点も踏まえて、業務が過重になりすぎていないか注意を払う必要があります。
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