先日、モバイルゲームやオンラインゲームの制作を、フリーのスタッフに頼んだり、あるいは制作会社に外注に出す場合の注意点が3つありますということをお話ししました。
① 外注に出したゲームのプログラムや映像の著作権をちゃんと自社に移転しているかどうか
② 外注に出したゲームのプログラムや映像の著作人格権をきちんと処理できているかどうか
③ 外注するゲームの仕様をきちんと特定できているか
という3点です。
これは、システムの開発や、映像の制作、ソフトウェアの開発を他社に外注する場合でも同じことです。
今回は、一番トラブルの原因になりやすい③についてお話ししたいと思います。
たとえば、A社がゲームの製作をB社に外注する場合、一番トラブルになるのは、A社が考えているゲームの仕様がB社にうまく伝わっていないというケースです。
ゲームというのは作り始めてみないとイメージが具体化しないという面もあり、仕様を具体的に決められないまま、開発がスタートされることが非常に多いです。
その結果、開発途中の確認の場あるいは、B社がA社にゲームを納品しA社が内容を確認した段階で、A社からB社に対し「思ってたものと違う」とクレームがつくことになります。
そして
「A社がB社に対し無償での修正、追加を要求する。」
→ 「B社が無償での作業に耐えられなくなって修正を拒否する」
→ 「だったら、A社としては代金は支払えないと、B社に対して支払いを拒絶して、トラブルになる。」
→ 「B社が代金の支払いを求めて裁判を起こす」
あるいは
「A社が前払いした代金の返還を求めて裁判を起こす」
・・・・という流れをたどります。
このようなトラブルの原因はそもそもA社がB社にゲームの制作を外注する際にゲームの仕様が特定されていないという点にあります。
開発作業に入る前の段階で必ず契約書を作成し、その中でゲームの仕様についてできるかぎり具体的に記載する必要があります。
私のこれまでの経験で見るところ、契約書の段階で仕様を特定できているかというのは、ゲーム制作会社、システム制作会社の社運を決める重要事項です。
仕様を特定しないまま作業にかかる制作会社は結局、発注者とトラブルになったり、発注者から膨大な修正を要求されてプロジェクトが赤字になったりして、市場から撤退していきます。
これに対し、順調に発展している制作会社ももちろんありますが、そういった会社は契約書がきちんと作られ、契約書の中で仕様が特定されています。
まさに、契約書の出来不出来が企業の運命を決するのです。
会社を守るため、従業員を守るために、契約書は必ず作りましょう。
システムの開発については、経済産業省がモデル契約書を発表していますので、参考にしてみてください。
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/keiyaku/model_keiyakusyo.pdf に公表されています。
ゲームやシステム開発、ソフトウェア開発の際の契約書作成で困られた時は、顧問弁護士にご相談いただくか、ぜひ当事務所までご相談ください。
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