最近、ドメインをめぐる紛争が増えています。
ドメインをめぐる紛争には
① 有名ブランドの名前と類似するドメイン名を使って、ホームページを開設し、海賊版を販売するなどして不正
な利益を得るパターン
② 大手企業の社名でドメインを登録して、会社に対して法外な金額で買い取りを求めるパターン
の主に2つのパターンがあります。
裁判になったケースも多くありますが、今回は
① ジェイフォンの事例と
② 電通の事例
を題材にお話ししたいと思います。
まず、①のJ-フォンの事例です。
これはある食品販売会社が「J-PHONE.CO.JP」を登録して、アダルト・グッズや携帯電話関連用品を販売したのに対し、当時携帯電話通信大手のJ-フォン株式会社がドメインの使用差し止めを求めた事件です。
裁判所はJ-フォンを勝訴させ、食品会社によるドメインの使用の差し止めを認めました。
さらに、一般消費者にJ-フォン社のサイトと混同させる目的でドメインを不正利用し、同社の信用を損なわさせたなどとして、裁判所はこの食品会社に対して300万円をJ-フォン株式会社に支払うように命じました。
次に、②の電通の事例です。
これはある個人(ここでは「Aさん」とします)が「dentsu.vc」「dentsu.org」など「dentsu」の文字列を含むドメインを8つを取得し、株式会社電通に対し、これを10億円以上の高値で買い取るように求めた事件です。
株式会社電通は正攻法で対応し、Aさんに対する裁判を起こしました。
裁判の中で、株式会社電通はAさんよるドメイン保有の禁止を求め、さらに裁判に要した弁護士費用等として約200万円の損害賠償をAさんに求めました。
裁判所は、Aさんによるドメイン保有の禁止を命じ、株式会社電通が被った損害として50万円の損害賠償をAさんに命じました。
このように最近ではドメインにまつわる紛争が裁判になり、損害賠償まで命じられるケースが増えています。
不正な目的で著明な会社の名称に類似するドメインを取得した人に対して法的措置がとられるケースだけでなく、問題のドメインの取得を代行した会社までトラブルに巻き込まれるケースも増えています。
ドメインの取得を代行する事業をされている方は、ドメイン申込みの際にこのような不正な目的で著明な会社の名称に類似するドメインを取得しようとしているケースでないかを確認し、不正が疑われる場合は取引をお断りすることが今後のトラブルを避ける上で重要になります。
ドメインに関するトラブルでお困りの方は顧問弁護士にご相談いただくか、ぜひ当事務所にご相談ください。
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著者:弁護士 西川 暢春
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