ミスの多い契約社員について契約の更新をしない決断をしたときに会社としてどのような点に注意するとよいでしょうか。
参考となる事件として、東京地方裁判所平成23年10月31日の日本航空事件を紹介します。
この事件は、日本航空が契約社員として勤務していた客室乗務員について、業務上のミスが多く、指導しても改まらないことなどを理由に、契約の更新を拒否ししたため、この乗務員が日本航空に契約の継続を求めて訴訟を起こした事件です。
裁判所は、会社側の主張を認め、契約の更新を拒否したことは正当であったと判断しました。
裁判所は、この乗務員について「一つ一つの過誤を取り上げてみれば,他の客室乗務員においても起こり得ることであるといえる。しかし,それが極めて多数回に及びまた繰り返されているということに問題があり,その点で上司らの見解が一致している。」として会社の主張を認めています。
この裁判で会社側の主張が認められたのは、会社側が日々の乗務員の細かいミスについて記録を残しており、これを具体的に裁判で主張することができたという点が大きいと思われます。
会社側は、
・ 乗客の手荷物を十分な説明を行わず収納したため,降機時に乗客から荷物が見あたらないとのクレームがあった。
・ 機内販売の際にクレジットカード売上票を渡し間違った
・ 乗客の靴にスープをこぼした
など、といった日々の問題点を極めて多数、具体的な日時をあげて特定して主張しています。
さらに、それについて、ベテランの指導員が指導にあたってきたが改善しなかったことも主張しており、こういったところが、会社側勝訴の結果につながりました。
このように、労働事件では、いかに具体的に詳細な主張ができるかが、裁判での勝敗をわけます。
ただし、日々の業務について、小さなミスに目を向けるのは従業員のやる気をそいでしまうかもしれません。
よいところも改善すべきところも含めてできる限り各従業員個人に目を向けていくことが必要になってくると思います。
裁判所でも結局、個々の従業員についてどの程度目を向けて指導していたかがポイントになってきます。
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