労働者派遣法の改正について解説!派遣労働者を受け入れる場合に会社が注意すべきポイント
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労働者派遣法の改正について解説!派遣労働者を受け入れる場合に会社が注意すべきポイント

2012年08月16日

今回は

労働者派遣法の改正によって、以前は違法派遣が発覚しても指導程度ですんだのが、改正後は、違法派遣があれば、派遣労働者を正規労働者にしなければならない場合が出てきた

という点についてお話させていただきます。

 

 

平成24年3月28日に労働者派遣法が改正されました。

 

重要な改正点は何点かあるのですが、今回の改正で追加された条項の中で、特に注意が必要なのが労働者派遣法第40条の6です。

 

 第40条の6で定められているのは、簡単に言えば、次のようなことです。

 

 

派遣先の会社は、一定の労働者派遣法違反があった場合には、派遣労働者に対して、

「派遣のときと同じ条件で、労働契約の申し込みをしたもの」

とみなされます。

 

 

つまり、一定の労働者派遣法の違反があった場合には、派遣先の会社は、派遣労働者から「派遣のときと同じ条件で直接雇用契約を締結して、正規の従業員にしてほしい」と言われれば、断れないというわけです。

 

問題となる労働者派遣法への違反は、次の4つです。

 

 

① 派遣労働者を、労働者派遣禁止業務で働かせること

② 無許可または無届の派遣会社から、派遣労働者を受け入れること

③ 派遣可能期間を超えて派遣労働者を受け入れること

④ 偽装請負で労働者を受け入れたこと

 

 

このうち、今回は一番問題となりやすい③と④についてお話します。

 

 

派遣労働者を受け入れることができる期間は、原則として1年間あるいは3年間という上限があります。

 

ただ、「専門26業務」という専門的な知識・技能を必要とする業務については、例外的に派遣可能期間の制限がありません。

 

この「専門26業務」は労働者派遣法の施行令で定められています。

具体的には、ソフトウェア開発業務、事務用機器操作業務、財務処理業務、取引文書作成業務、秘書業務、ファイリング業務などです。

 

このことから、派遣労働者の業務が単なる事務作業などであってこの「専門26業務」に当たらないのに、「専門26業務」に当たるように装って、派遣可能期間を超えて派遣労働者として働いてもらうといったことが横行しているのが実情です。

 

労働者派遣法の改正前であれば、このようなことが発覚しても指導を受ける程度ですんだのですが、改正後は、派遣労働者の側から派遣を受け入れていた会社に対し、「直接雇用にしてほしい」と言われれば、断れないことになってしまいます。

 

そのため、労働者派遣法の改正後は、派遣労働者の業務が「専門26業務」に当たるのかどうか、派遣の受入会社において、これまで以上に慎重に検討する必要があります。

 

厚生労働省の見解としても、「専門26業務」にあたらない業務が1割以上含まれている場合は、業務の大半が「専門26業務」にあたる場合であっても、派遣可能期間の制限を受けるとされていますので、注意が必要です。

 

派遣労働者に、お茶くみ、銀行への入金作業、郵便物の振分け、会議の準備等を行わせた場合には、「専門26業務」に該当しなくなる可能性があるのです。

 

「専門26業務」に該当しないのに「専門26業務」に該当するとして、派遣可能期間を超えて派遣労働者の受け入れを続けた後、派遣労働者から派遣可能労働期間を超えているので直接雇用してくれと要求された場合、要求に応じなければならなくなりますので、注意が必要です。

 

 

 

次に④の偽装請負についてお話します。

 

偽装請負とは、形式的には「請負」という形で仕事を発注し、実際には派遣と同じように受注先の従業員に発注元の会社の事業所まで来てもらい、発注元の会社の責任者の指示を受けて作業を行うというもので、少し前までは広く行われていました。

 これは、実質を見れば派遣と変わらないのに、受注先は派遣業者としての許可申請や届出を行っていませんし、発注元は派遣可能期間を超えて受注先の従業員に働いてもらっていますので、当然労働者派遣法に違反することになります。

 

 労働者派遣法の改正以前は、偽装請負が発覚した場合であっても、指導を受ける程度で、発注元の会社が受注先の従業員を直接雇用する義務を負うということにはなりませんでした。

 しかし、労働者派遣法の改正後は、偽装請負が発覚してしまった場合に、発注先元の会社が、受注先の従業員から「これまでと同じ条件で、この会社の正規の従業員にしてほしい」と言われれば、断ることはできません。

 

そのため、仕事を発注して、受注先の従業員に事業場にきて作業を行ってもらう場合には、これまで以上に、「偽装請負」に当たらないように、十分注意することが必要です。

 

具体的には、次のような場合に特に偽装請負と評価されやすいですので、注意が必要です。

 

 

・受注先の会社の管理責任者が発注元の会社に行っておらず、受注先の会社の従業員が発注元の会社の従業員の指示を直接に受けているような場合

 

・発注元の会社の事業所内で、発注元の会社の従業員の作業スペースと受注先の会社の従業員の作業スペースが分かれていないような場合

 

・受注先の会社の従業員が発注元の会社の資材や機会を使うに当たって、受注先の会社が発注元の会社に対して何の対価も支払っていないような場合

 

 

このように、労働者派遣法の改正後は、派遣先の会社が労働者派遣法への違反により被る負担は非常に大きいものとなってしまいました。

 

これまでは派遣についての契約関係は、派遣会社まかせにしていたという会社も、今後は自社において、きっちりと派遣法違反がないかをチェックしなければ、思わぬ負担をしょいこむことになります。

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