従業員が会社の車や機械を破損させた場合の弁償について
その他

従業員が会社の車や機械を破損させた場合の弁償について

  • ツイート
  • シェア
  • はてブ
  • LINEで送る
  • Pocket
  • 2011年01月15日

    従業員が会社の車や機械を破損させてしまった場合に、 修理費用を従業員に弁償させることができないかというご相談を受けることがあります。

    従業員には会社の車や機械を破損させないように注意して仕事をする義務がありますから、 従業員が不注意で会社の車や機械を破損させた場合は、会社はその従業員に対し、損害賠償を請求できます。

    ただし、全額請求できるかどうかは別問題です。
    このようなケースでは、会社が従業員に損害賠償請求できるのは、修理費用の一部に限定されるというのが裁判例です。
    たとえば、従業員が深夜作業中に居眠りをして会社の機械を破損させたケースで、名古屋地方裁判所は従業員に対して修理費用の 4分の1に限って弁償義務を認めています。

    会社と従業員の負担能力に差があること、会社としても事故が起こりうる仕事に従業員を従事させていること、 会社として保険に加入しておくこともできたことなどから、弁償の範囲は制限されるのが通常です

    したがって、このようなケースで従業員に対して全額の弁償を求めるのは無理があると言わざるを得ません。
    実際に事故が起きてから会社と従業員の間で負担の範囲を話し合うというやり方では、うまくいかないことが多いですので、 就業規則等事故による破損の場合の費用の分担についてであらかじめ、規定しておくとよいでしょう。

    なお、事故が起きた場合に修理費用を従業員の給与から天引きすることは、従業員の同意がある場合に限りできるとされています。

    従業員が同意していないのに天引きしたり、従業員に無理矢理同意させて天引きすることは、 労働基準法違反となりますので、注意が必要です。

    最悪のケースでは天引きを受けた従業員が労働基準監督署にかけこみ、会社が監督署から指導を受けることもあります。

    天引きをする場合は、天引きについて従業員の同意があったことを書面で残しておくとともに、 毎月の天引き額についても従業員にとって過大な負担にならないように十分配慮することが必要です。
    弁護士に相談してそのアドバイスを聞きながら、天引きの方法を決められることをおすすめします

    ▼ この記事を読んでいただいた方にお勧めの記事はこちらです。 ▼

    ○ 業務上のミスについて従業員に対して損害賠償請求する場合の問題点 https://kigyobengo.com/blog/2907

    ○ 就業規則のない会社が従業員と裁判になったときに困ること https://kigyobengo.com/blog/labor/306

    ○ 労働問題でお困りの方はこちら http://roumubengo.com/

    ○ ご相談はこちらから https://kigyobengo.com/contact

    ○ ブログの一覧はこちらから https://kigyobengo.com/blog

     

    ご相談はhttps://kigyobengo.com/contactから気軽にお申し込みください。

    顧問契約をご希望の経営者の方の面談を随時行っておりますので、

    https://kigyobengo.com/adviser.html からお申し込みください。

    なお、このブログの内容はメールマガジンによる配信も行っております。https://kigyobengo.com/mailmagazinにメールマガジン登録フォームを設けておりますので、ぜひご登録をお願いいたします。

     

  • ツイート
  • シェア
  • はてブ
  • LINEで送る
  • Pocket
  • 業法務に特に強い弁護士が揃う 顧問弁護士サービス

    企業法務の取扱い分野一覧

    企業法務に強い弁護士紹介

    西川 暢春 代表弁護士
    西川 暢春(にしかわ のぶはる)
    大阪弁護士会/東京大学法学部卒
    小田 学洋 弁護士
    小田 学洋(おだ たかひろ)
    大阪弁護士会/広島大学工学部工学研究科
    池内 康裕 弁護士
    池内 康裕(いけうち やすひろ)
    大阪弁護士会/大阪府立大学総合科学部
    片山 琢也 弁護士
    片山 琢也(かたやま たくや)
    大阪弁護士会/京都大学法学部
    堀野 健一 弁護士
    堀野 健一(ほりの けんいち)
    大阪弁護士会/大阪大学
    所属弁護士のご紹介

    書籍出版情報


    労使トラブル円満解決のための就業規則・関連書式 作成ハンドブック

    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2023年11月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:1280ページ
    価格:9,680円


    「問題社員トラブル円満解決の実践的手法」〜訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方

    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2021年10月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:416ページ
    価格:3,080円


    書籍出版情報一覧へ

    運営サイト

    大阪をはじめ全国の中小企業に選ばれ続けている顧問弁護士サービス
    弁護士西川暢春の咲くや企業法務TV
    中小企業や士業(社労士・税理士)のための労務セミナー情報サイト

    弁護士会サイト

    大阪弁護士会
    日本弁護士連合会
    企業法務のお役立ち情報 咲くや企業法務.NET遠方の方のご相談方法