従業員からセクハラ行為があったと被害申告があった場合には、会社としては、どのような調査をすればよいでしょうか。
大阪地裁平成23年9月16日判決「P大学(セクハラ)事件」は、男性教授が女性准教授を飲酒に誘い2人で飲酒した際にセクハラ行為をしたとして、大学が男性教授を減給処分にしたケースに関する判決です。
大学はセクハラ行為があったとして減給処分の正当性を主張しましたが、裁判所はセクハラがあったとは認めがたいとして減給処分を無効とし、減給分の支払を大学に命じました。
こういった男性の上司と女性の部下が2人で飲みに行く、あるいは出張に行くというケ ースはセクハラのトラブルが頻発するケースの1つです。
セクハラの訴えがあった場合、会社として必要な対応はどういったものでしょうか?
まず、本当にセクハラがあったかどうかを慎重に調査する必要があります。
セクハラされたと訴える被害者、セクハラをしたとされる加害者の双方から、詳しい事 情を聴かなければなりません。
このとき、被害者あるいは加害者の説明に対して、それは「相手が言っていることと違う」とか「それはちょっとおかしいんじゃないか」といったような評価を加えてはいけません。
まずは、被害者、加害者双方が訴える事実をそのまま聴き取り、正確に記録することが必要です。
セクハラが起こった時のことだけでなく、2人で飲みに行った経緯、どちらがどのようにして飲みに誘ったか、セクハラがあったとされる日以後の2人のやりとりなどについても丁寧に聴き取りをする必要があります。
その上で、被害者の説明と加害者の説明が食い違う場合は、そのどちらが事実かを判断 することになります。
そのときに確認しておく必要があるのは、加害者と被害者のメールの履歴です。
セクハラ行為が起こったとされる前後で加害者と被害者が交わしたメールの履歴は、裁判所でも重要な証拠とされますので必ず確認しておくことが必要です。
この事件では、セクハラがあったとされる飲酒の後で、被害者が加害者にお礼のメールを送り加害者を気遣う内容になっていたことが、裁判所がセクハラを否定した大きなポイントとなりました。
また、セクハラの被害の申告があった以上、同じ職場に被害者とされる者と加害者とさ れる者を配置して置くのは適切ではありません。
被害者と加害者の接触を避けるように、配置転換等を検討しなければなりません。
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