退職前の有給休暇申請への対応
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退職前の有給休暇申請への対応

2014年09月12日

 

従業員が退職するときに、これまでとれなかった有給休暇の取得をまとめて申請されるというケースは多いと思います。

この場合、会社は有給休暇の取得を認めなければならないのが原則です。

 しかし、退職日まで引き継ぎ業務に従事してもらう必要がある場合も、有給休暇の取得を認めなければならないのでしょうか?

 

参考になる裁判例として、東京地方裁判所平成21年1月19日判決をご紹介したいと思います。

 

この事件は、退職する従業員がそれまでとれなかった有給休暇の取得(34日分)を、退職前にまとめて申請したのに対し、会社が退職日まで引き継ぎ業務をすることを命じて有給休暇の取得を拒否した事案です。

 

この従業員は会社の引き継ぎ業務の命令に従わず、出社しませんでした。

 

そこで、会社がこの従業員が出社しなかった期間については給与を支払わなかったところ、従業員は「有給休暇の申請をして休んだのに会社が給与を支払わなかったのはおかしい」として、給与の支払を求める裁判を起こしました。

 

この事件で、裁判所は、会社が従業員の有給休暇の取得申請について「時季変更権」を行使したことは適法であるとして、この従業員の請求を認めず、会社を勝訴させました。

 

従業員が有給休暇を請求してきたとき、会社は原則として「従業員が希望する日」に有給休暇を取得させなければなりません。ただし、従業員が希望する日に有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」は例外的に会社は従業員が希望する日を変更することができ、これを「時季変更権」と呼びます。

 

この裁判では、会社が退職前の引き継ぎ業務に従事させるために時季変更権を行使したことが認められるかどうかが問題になりました。

 

この問題については、退職日より後に有給休暇をとることはできない以上、退職前の有給休暇申請については、会社に時季変更権はなく、会社は従業員の希望する日に有給休暇をとらせなければならないという考え方が一般的でした。

 

しかし、この事件で、裁判所は、会社が退職前の引き継ぎ業務に従事させるために時季変更権を行使することはできると判断しました。

 

もちろん、退職前の有給休暇申請のすべてを断ることができるわけではなく、原則として申請があれば取得を認めなければなりません。退職日までまだ期間がある場合は、有給休暇の希望期間より前に引き継ぎを終わらせもらい、有給休暇を取得させなければなりません。

 

しかし、従業員が希望する退職日がせまっていて、退職日まで引き継ぎ業務を行わせる必要があるようなケースでは、会社が有給休暇の取得を断って業務に従事するように求めることができます。

 

従業員が退職の際に、引き継ぎ業務をきちんとやってくれるかというのは大事なポイントです。従業員側の都合で退職の希望を出され、退職日までの有給休暇を申請されると、引き継ぎ業務がされず、会社の業務に重大な支障が生じることがあります。

 

そのため、就業規則でも、退職するときは、引き継ぎ業務を行わなければばらないことを定めた上で、

 

・退職する場合は退職希望日の何日前までに退職の意思表示をしなければならないか

 

・退職日の何日前まで現実に就労しなければならないか

 

・引き継ぎ業務の必要がある場合は、会社が時季変更権を行使して有給休暇の申請を認めないことがあること

 

を明記しておくことをお勧めします。

 

従業員とのトラブルが一番発生しやすいのは退職の時です。

 

そのため、就業規則の中でも、退職に関する規定は特に重要です。

 

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