会社で従業員に対して、WEBや書籍を利用した自宅での学習を指示することがあると思います。
そういった場合、この時間は労働時間として扱われるのでしょうか。
この点に関して参考になるのが、大阪地方裁判所平成22年4月23日判決です。
この事件は、NTT西日本の関連会社に勤務していた従業員が、会社から指示されていたWEBでの学習を行った時間について、残業代の支払を請求した事件です。
会社側はこのWEBでの学習は会社から強制しているわけではなく、自宅でも可能であったから、労働時間にはならないと反論しました。
しかし、裁判所は、WEBでの学習時間についても労働時間であると認定し、残業代の支払を命じました。
会社として費用をかけて行う研修について、残業代まで負担しなければならないというのはなんとも納得がいかない話です。
しかし、裁判所は、前述のように一定の研修については労働時間であるとして、残業代を認めるのが一般的です。
ただし、研修というのは大きく分けて、ふたつの種類があり、労働時間として扱わなければならないものと、そうでないものがあります。
ひとつは、その職種に就く以上どこの会社に勤めても必要になるような一般的な学習内容に関する研修です。
たとえば、営業職であれば、どういう方法で見込客にアプローチし、どのような営業トークをして、どうやってクロージングしていくかということは、どこの会社に勤めても必要になる一般的な学習内容です。
そして、こういったどこの会社に勤めても必要になる学習内容に関する研修は、雇用関係があるからこそする研修とはいえず、労働時間と考える必要はありません。
これに対して、ある特定の会社に勤めるからこそ必要にある学習内容に関する研修があります。
たとえば、営業職の場合、勤務先が販売する商品の商品知識を学習する必要がありますが、こういった内容は、その会社に勤めているからこそ必要となる学習内容です。
こういった、ある特定の会社に勤めるからこそ必要になる学習内容に関する研修は、裁判所では労働時間と判断される傾向にあります。
こういった時間については、きっちりと時間管理をして、実際の学習時間を超えた過大な請求がされないように注意しなければなりません。
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