こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
プライバシーポリシー(個人情報保護方針)を作らなければならなくなって困っていませんか?そもそもプライバシーポリシー(個人情報保護方針)とは何でしょうか?作成は義務なのでしょうか?
プライバシーポリシー(個人情報保護方針)には個人情報の利用目的を記載しますが、十分に検討せずに記載した結果、あとでプライバシーポリシーに記載した利用目的以外の目的で個人情報を利用する必要が出てきて、困ることがよくあります。場合によっては、これまで取得した顧客情報を、自社で思うように利用できなくなり、事業に重大な支障を生じることもあります。
このようなことがないように、プライバシーポリシー(個人情報保護方針)は十分検討したうえで自社の実情にあったものを作成することが必要です。
今回は、プライバシーポリシー(個人情報保護方針)について、弁護士がわかりやすく解説します。
それでは見ていきましょう。
最近では個人情報についての権利の意識が高まり、プライバシーポリシーの内容に非常に敏感な消費者が増えています。
その結果、企業側がプライバシーポリシーを守れていないケースを消費者から指摘されて、ネット上で炎上したり、クレームを受けるケースが増えています。
プライバシーポリシーを作る際に、安易にひな形を利用して作成すると、このようなトラブルが発生してしまいます。プライバシーポリシーの作成は必ず弁護士に依頼いただくか、弁護士のチェックを受けてください。
▶【関連動画】西川弁護士が「プライバシーポリシーとは?必要な理由と作り方【令和4年4月改正を反映しています】」について詳しく解説中!
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今回の記事で書かれている要点(目次)
1,プライバシーポリシー(個人情報保護方針)とは?
プライバシーポリシーとは、企業が自社における個人情報の利用目的や管理方法を文章にまとめて公表したものをいいます。「個人情報保護方針」あるいは「プライバシーステートメント」とも呼ばれます。
2,プライバシーポリシー(個人情報保護方針)の作成は義務なのか?
結論から言うと、プライバシーポリシーの作成は企業の義務です。
プライバシーポリシーを作成しないで、個人情報に関する法律上の義務を果たすことはできないからです。
その理由としては以下の2つがあります。
(1)企業は個人情報の利用目的を本人に伝える義務がある
まず、企業が個人情報を取得するときは、個人情報の利用目的を公表するか、または、本人に伝えることが義務付けられています(個人情報保護法第21条1項)。
そして、個人情報の利用目的を、公表したり、あるいは、個人情報を取得した全員に伝えるためには、あらかじめ利用目的を文章にまとめておくことが必要になります。
そのため、個人情報の利用目的を文章化したものとして、プライバシーポリシーが必要になるのです。
(2)企業は個人データの開示や訂正の手続きを公表する義務がある
次に、企業が個人データを保有しているときは、本人から請求があったときに保有している個人データの内容を本人に開示したり、個人データに間違いが見つかったときに訂正に応じたりするための手続きを定めて、公表することが義務付けられています(個人情報保護法第32条1項3号)。
ここでいう「個人データ」とは、個人情報のうち、検索可能な方法で管理しているもの(例えばエクセルで一覧にしていたり、50音順の名簿で管理しているもの)をいいます。
企業であれば、従業員の氏名や顧客の氏名をデータや名簿で管理していることが通常ですから、個人データを保有していない会社というのはほとんどありません。
そして、個人データの開示や訂正の手続きを定めて公表するためには、その手続きを文章化してプライバシーポリシーとしてまとめておくことが必要になるのです。
3,プライバシーポリシー(個人情報保護方針)の作成には社内の個人情報の洗い出しが必要
実際にプライバシーポリシーを作るためには、まず、自社がどのような個人情報を保有しているかを洗い出すことが必要です。
これは、プライバシーポリシーには、自社における個人情報の利用目的を記載することが必須になりますが、そもそもどのような種類の個人情報を保有しているかを把握しておかないと、その利用目的を記載することができないからです。
個人情報といっても、以下のようなさまざまなものがあります。
- 顧客や取引先担当者の情報
- 商談中あるいは営業中の見込み顧客の情報
- 従業員の情報
- 採用に応募してきた求職者の情報
これらの個人情報の種類によって、当然、その利用目的も違ってきます。
個人情報保護法上、企業は、個人情報の利用目的を「できる限り特定しなければならない」とされています(個人情報保護法第15条1項)。
そのため、プライバシーポリシーに記載する個人情報の利用目的もできる限り具体的に記載する必要があり、個人情報の種類ごとに利用目的を整理して記載する必要があるのです。
4,プライバシーポリシー(個人情報保護方針)の記載事項
プライバシーポリシーに書くべき一般的な記載事項は以下の通りです。
- (1)個人情報取り扱いに関する基本方針
- (2)個人情報の定義
- (3)個人情報の取得方法
- (4)個人情報の利用目的
- (5)個人情報の管理方法
- (6)個人データの共同利用について
- (7)個人データの第三者提供について
- (8)個人データの開示、訂正等の手続きについて
- (9)個人情報の取扱いに関する相談や苦情の連絡先
- (10)SSLセキュリティについて
- (11)Cookie(クッキー)について
このうち、(6)はグループ会社などと個人情報を共同利用する場合に必要な項目です。個人情報の共同利用の予定がない場合は記載の必要はありません。
また、(10)、(11)は、ウェブサイト経由で個人情報を取得することがあるECサイト運営者などが記載すべき項目であり、ウェブサイト経由で個人情報を取得しない場合は必要ありません。
具体的なプライバシーポリシーの作成方法は以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
5,プライバシーポリシー(個人情報保護方針)の変更について
すでにプライバシーポリシーを作っている場合にも、定期的に見直しが必要です。
見直しが必要になる理由は主に2つです。
(1)理由1
まず、1つは事業内容の変化にともない、個人情報の種類や利用目的が変わっていくことです。
プライバシーポリシーで個人情報の利用目的を変更することは可能ですが、以前のプライバシーポリシーのもとで取得した個人情報については、本人に新しいプライバシーポリシーに同意してもらわない限り、前のプライバシーポリシーが適用されることになりますので注意が必要です。
(2)理由2
定期的な見直しが必要になるもう1つの理由は、個人情報保護法が改正されることにより、プライバシーポリシーの変更が必要になる場合があるためです。
常に最新の法令をチェックし、それにあったプライバシーポリシーを用意することが必要です。
なお、平成27年9月の個人情報保護法改正に伴い必要となるプライバシーポリシーの変更については以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
6,プライバシーポリシーに関して弁護士に相談したい方はこちら(法人専用)
咲くやこの花法律事務所では、プライバシーポリシーの作成や整備に関するご相談を企業の経営者、担当者の方から承っています。
企業ごとに個人情報の利用目的や利用方法が違いますので、プライバシーポリシーは、自社の実情に応じてオリジナルのものを作成することが必要です。
プライバシーポリシーを安易に作成して公表してしまうと、あとで自社が思うような個人情報の利用ができなくなり、事業に重大な支障が生じることがありますので十分注意してください。
咲くやこの花法律事務所では、プライバシーポリシーの作成に精通した弁護士が、企業内で保有している個人情報の種類の洗い出し、個人情報の利用目的の設定を行うことで、会社の実情にマッチしたプライバシーポリシーを作成することが可能です。
プライバシーポリシーの作成でお困りの場合はぜひご相談ください。
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●プライバシーポリシーの作成費用 5万円程度~
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9,まとめ
今回は、プライバシーポリシーとは何かをご説明したうえで、プライバシーポリシーの作成が企業の義務であること、プライバシーポリシーを作るためには社内の個人情報の洗い出しが必要になることをご説明しました。
そのうえで、プライバシーポリシーの一般的な記載事項と、プライバシーポリシーの変更についても解説しました。
プライバシーポリシーの作成は自社内の個人情報の取扱い方法を見直す機会としても重要です。この記事がお役に立てば幸いです。
記事更新日:2022年12月7日
記事作成弁護士:西川 暢春