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ステマの事例とは?過去の具体例やステルスマーケティング炎上例を解説

ステマの事例とは?過去の具体例やステルスマーケティング炎上例を解説
  • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
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    西川 暢春(にしかわ のぶはる)

    咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
  • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で400社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

令和5年10月から、日本でもステルスマーケティング(ステマ)ついて、景品表示法による法規制が導入されました。

規制が導入された背景として、これまで日本ではステマに関する法規制がなく、ペニーオークション詐欺事件等で度々社会問題として取り上げられながらも、ステマ行為が広がり続けていたという現状がありました。

実際に、消費者庁が実施したアンケートによると、インフルエンサー300人のうち41%が「広告主からステルスマーケティングを依頼されたことがある」と回答し、そのうちの45%のインフルエンサーが、「その依頼を受けた」と回答しています。このような結果からも、ステマが蔓延していることがわかります。(▶参照元:消費者庁「資料4 ステルスマーケティングに関する実態調査(事務局説明資料)」資料14ページ(pdf)

ステマには故意によるものもありますが、不注意や知識不足により、気が付かないうちにステマ行為として炎上した事例も多くあります。過去に起きた事例の炎上の経緯や内容等を知ることで、同様の事態を防ぐことが重要です。

この記事では、ステマについて実際に起きた事例や、過去に炎上した事例などについて解説します。

この記事を読めば、過去に起きたステマの事例や、具体的にどういったステマ行為があるのかを知ることができ、自社の商品やサービスを広告する際に注意することができるはずです。

それでは見ていきましょう。

 

▶参考:なお、ステルスマーケティングに関する法規制の内容は、以下をご参照ください。

ステマ規制とは?ステルスマーケティングの法規制と違法になる場合の罰則

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

気づかないうちに不注意でステマに見えてしまうということが起こる危険性があり、実際に、これから紹介する事例の多くが、ステマについての正しい知識やステマであるという意識が欠けていたために発生しています。

一度ステマをしたことが発覚すると、多くの消費者から批判を受けることになり、その後の売上や企業活動に大きな影響が出てしまう恐れがあります。また、令和5年10月以降は景品表示法による法規制の導入により、ステルスマーケティングは景品表示法違反となり、消費者庁の措置命令の対象にもなっています。

 

▶参考:景品表示法や景品表示法違反については、以下を参考にしてください。

景品表示法(景表法)とは?重要ポイントをわかりやすく解説

景品表示法違反の3つのペナルティとは?事例をもとに解説

 

消費者に対する広告や宣伝を計画する際は、ステマに該当することのないように、事前に弁護士によるリーガルチェックを受けていただくことをおすすめします。

 

▶参考:ステマに関連する景品表示法に関して弁護士に相談すべき理由や弁護士費用などについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

景品表示法に関して弁護士に相談すべき理由と弁護士費用

 

▶ステマ対応に関して今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

【お問い合わせについて】

※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。

「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

 

 

1.「ステマ(ステルスマーケティング)」とは?

ステマ(ステルスマーケティング)とは、商品やサービスを、事業主による広告だと消費者に気づかれないような方法で宣伝することを指します。

ステマには、主に以下の2つの類型があります。

 

(1)なりすまし型

消費者に対して、それが事業者側の広告や宣伝であることを隠したまま、あたかも無関係な第三者の口コミやレビューであるかのように発信する行為を指します。

例えば、事業者が第三者を装ってECサイトの口コミページに高評価を付けたり、一般消費者を装ってSNS上に自社商品を高く評価する内容の投稿をするような行為が該当します。

また、自社の商品やサービスを評価するような行為だけでなく、競合他社の商品やサービスに低評価を付けるような口コミやレビューを投稿することも、この「なりすまし型」に当てはまります。

 

(2)利益提供秘匿型

事業者が第三者に報酬や利益提供をしたうえで宣伝を依頼しているにも関わらず、その事実を隠したまま宣伝活動を行うことを指します。

例えば、インフルエンサーや芸能人が、宣伝の依頼を受けて金銭報酬を得ているにもかかわらず、そのことを隠して自主的な投稿であるかのように見せかける行為が例として挙げられます。

 

2,ステマの何が問題なのか?

ステマの問題点は、消費者の判断が阻害されることです。

例えば、同じ「ある商品を高く評価する情報」であっても、それを「事業者による広告」であると認識したうえで見るか、「中立的な第三者の口コミ」であると認識したうえで見るかで、情報の受け取り方が大きく異なります。

「事業者による広告」であると分かったうえでその情報を見る場合、消費者は通常、情報にある程度の誇張や宣伝が含まれていると理解した上で情報を受け取りますが、「中立的な第三者の口コミ」であると認識したうえで見る場合、その情報が売り手とは無関係な第三者による「信頼性の高い情報(口コミ)である」と認識するため、情報をよりストレートに受け取ってしまいます。

そのため、ステマが行われると、誤った情報に基づいて購入するかどうかの意思決定をしてしまうことになり、消費者の自主的かつ合理的な選択が阻害されることになります。

 

3,ステマ行為を行なう事業者のリスク

では、このようなステマ行為を行うことについて、事業者側にはどのようなリスクがあるのでしょうか?

 

(1)信用を失う

最も重要な問題点は、消費者や取引先からの信用を失うことです。

ステルスマーケティングについての法規制が導入され、ステマ行為に対する調査や通報の受付を行政が行うことになり、従来以上にステマ行為が発覚しやすくなっています。ステマが発覚した場合、宣伝・広告に携わったインフルエンサーや広告代理店はもちろん、事業者自身にも厳しい目が向けられ、消費者や取引先が離れてしまうリスクがあります。

そして、一度失った信頼はなかなか元には戻りません。その後、襟を正して健全な宣伝活動を行ったとしても、「またステマをしているのではないか」と疑われ、一度根付いた嫌悪感や不信感から売上にも影響が出る恐れがあります。

実際に、「9,アニメーション映画におけるステマの事例」で紹介する事例では、事件から3年以上経つにもかかわらず、事件に関与した漫画家に対して未だに「ステマをした漫画家」であるとの印象を持ち続け、その漫画家の他の投稿についてもステマを疑うような言及をするユーザーが存在します。

 

(2)炎上のリスクがある

2つ目の問題点は、炎上のリスクがあることです。

消費者はステマに対し強い嫌悪感を抱いており、一度ステマが発覚すると大きく炎上する傾向にあります。

ステマが発覚した場合、消費者のクレーム等により、通常の業務に支障が出たり、取引先から離反され、事業に支障をきたす恐れがあります。また、怒った消費者から不買運動を起こされる可能性もあるなど、多大な不利益を被る恐れがあります。

 

4,Instagram(インスタ)やTwitterなどのSNSは特にステマが行われやすい

Instagram(インスタ)やTwitterなどのSNSは特にステマが行われやすい

特にステマが行われやすい媒体が、Instagram(インスタ)やTwitter等のSNSです。

SNSは情報を短時間で広く共有することができ、従来の広告に比べて、かかるコストや手間が少ないことから、商品の宣伝を行う事業者にとって魅力的なプラットフォームである一方で、不正な業者によるステマも行なわれやすい環境にあります。

SNSがステマの温床となっている主な要因は、情報の拡散の速さとユーザー数の多さにあります。

まずは、情報の拡散の速さです。SNSはリアルタイムに広く情報共有をすることが可能であり、投稿や共有が瞬時に行われます。これにより、事業者は迅速に情報を拡散させることができます。特に話題のトレンドやハッシュタグに関連した投稿は、多くの人々に注目されやすく、拡散される可能性が高くなります。そのため、ステマを行う者にとってSNSは最も都合の良い媒体となっているのです。

次に、ユーザー数の多さについてです。SNSは世界中の数億人以上のユーザーが利用しており、その数の多さから、ステマの拡散力や影響力も非常に大きなものになります。また、SNS上での情報共有やユーザー間のつながりが盛んであるため、ステマが拡散される範囲も広くなります。

以下では、Instagram(インスタ)とTwitterについて、それぞれの特徴やステマ行為との関係についてご説明します。

 

(1)Instagram(インスタ)

Instagramは写真等のビジュアルコンテンツに特化したSNSです。

その性質から女性ユーザーの割合が多いのが特徴です。総務省情報通信政策研究所の調査「【令和3年度】主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(全年代・年代別)」によると、令和3年度のInstagramの利用率は男性の42.3%、女性が54.8%となっており、女性ユーザーの割合が高いことがわかります。

 

▶参考:令和3年度のInstagramの利用率

令和3年度のInstagramの利用率データ

・出典元:総務省「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(pdf)

 

そのため、化粧品や洋服など、写真映えするような商品や女性向けの商品の広告が多く行なわれ、その中に紛れて、これらの商品についてのステマ行為が行なわれやすい傾向にあります。

また、その特性上、インフルエンサーや芸能人が商品を写した自撮りと共に商品を高く評価する内容の投稿をするといった、利益提供秘匿型のステマが行われやすい環境となっています。

 

(2)Twitter

Twitterもステマの標的となりやすいSNSです。Twitterはリアルタイムな情報共有ができ、他のユーザーの投稿を拡散できる「リツイート」という機能があることから、情報の拡散力が高いという特徴があります。

Twitterでは、基本的に140文字以内の文章の投稿がメインとなっており、写真を4枚まで添付することができます。

匿名性が高く、気軽かつ自由に投稿できることから、男女問わず多くのユーザーに利用されている一方、その匿名性の高さから、なりすまし型のステマが行われやすい環境にあります。

 

5,ステマが行なわれやすい商品やサービス

これまでステマが問題になることが多かった商品やサービスとして、以下の例があげられます。

 

  • 化粧品
  • サプリメント
  • 健康食品
  • デジタルガジェット

 

特に、ダイエットや薄毛治療、豊胸といったような、人にあまり言えないコンプレックスや劣等感の改善に役立つような商品、いわゆる「コンプレックス商材」と呼ばれるような商品やサービスにおいてステマが行われやすいと言われます。

こういったコンプレックス商材については家族や友人にも話しにくく、リアルで口コミや体験談を入手できる機会が少ないため、多くの消費者はネット上の口コミに頼る傾向にあり、よりステマの影響を受けやすいとされています。

 

6,芸能人の関与が問題にされたステマ疑惑の事例

次に、過去に芸能人の関与が問題にされたステマ疑惑の事例をご紹介します。

 

(1) ペニーオークション詐欺事件

1つ目が、芸能人によって行われた、ペニーオークション詐欺事件に関するステルスマーケティングです。

 

1.ペニーオークション詐欺事件の概要

ペニーオークション詐欺事件とは、運営会社が入札しても落札できない仕組みのペニーオークションサイトを用いて入札者から手数料をだまし取ったとされる詐欺事件です。

そのオークションサイトは「入札すればするほど運営会社に手数料が入る」システムになっており、運営会社は架空の会員名義による入札を繰り返し価格を不当に吊り上げ、入札者がなかなか落札できないように細工を行っていたとされています。

また、家宅捜索の結果、そもそも商品のほとんどを仕入れた形跡がなく、最初から入札者に商品を販売する意思がなかったことが発覚したとされ、サイトの運営者は詐欺罪で懲役3年、執行猶予5年の判決を受けました。

このペニーオークションサイトの運営会社は複数の芸能人に依頼し、高額な商品を格安で落札することができるように見せかける宣伝を行っていました。

芸能人らは自身のブログに、運営会社からの依頼であることを隠し、「オークションサイトで商品を安く落札できた」などとあたかも高額商品を格安で落札できたかのような文章を書き込んでいましたが、事件発覚後、実際には入札すらしておらず、業者からの依頼で書いていたステマであったことが判明しました。

その後、ステマに関与した芸能人らは謝罪したものの世間からの批判は凄まじく、一部の芸能人は芸能活動の自粛や休止に追い込まれています。

 

(2)東京キー局の女性アナウンサーによるステマ疑惑の事例

もう1つが、これは芸能人ではありませんが、ある東京キー局の女性アナウンサー複数名によって行われたステマ疑惑の事例です。

女性アナウンサー複数名が有名美容室にて、無料でサービスを提供してもらうのと引き換えに、施術後の自撮り写真をSNS上に投稿していたことが判明しました。

問題のアナウンサーが所属するキー局は「ステマには該当しない」とのコメントを公表しましたが、世間からは「ステマに当たらないとしても倫理に反している」として多くの批判が集まりました。

 

7,化粧品・美容関連のステマ事例

次に、化粧品や美容に関する商品におけるなりすまし型のステマの事例をご紹介します。

ある化粧品会社に広報担当として勤務する社員が、自身の身分を隠したまま、SNS上で美容系インフルエンサーとして、自社やそのグループ会社の商品を高く評価する内容の投稿を複数回行った事案が問題になりました。

このインフルエンサーはファッションや化粧品を主に紹介していましたが、ある時期を境に特定の化粧品会社の商品を何度も取り上げているとネット上で複数の指摘があり、ユーザーが調査した結果、インフルエンサーがこの化粧品会社の広報担当であることが発覚し、ネット上では「ステマだ」と多くの批判が集まりました。

事件発覚後、化粧品会社は従業員による投稿であったことを認め、公式Twitterアカウントで「入社時の社内教育が不十分であったため、社内ルールを徹底させることができていなかった」と謝罪しました。

 

8,市町村が関与し炎上した事例

次に、市町村が関与し炎上した事例をご紹介します。

 

(1)京都市と吉本興業の事例

市町村が関与したステマの事例で有名なのは、京都市と吉本興業の事例です。京都市は2018年、「京都国際映画祭」の広報を吉本興業に委託しました。2018年9~10月にかけて、吉本興業に所属するコンビ芸人2人が、Twitter上で下記のような映画祭や京都市に関する宣伝を含む内容のツイートを投稿しました。

 

▶参考:ツイート内容1

 


「今日から京都市営地下鉄各駅に京都市と京都国際映画祭のコラボポスターが掲示されています!ミキのポスターは烏丸御池駅に!他のポスターも探してみてくださいね~!なんと今くるよ師匠のスペシャル構内アナウンスも! #京都市盛り上げ隊 #京都国際映画祭2018 #コラボポスター #京都市営地下鉄」

・出典元:Twitterより

 

▶参考:ツイート内容2

 

 

「大好きな京都の街並み!!京都を愛する人なら誰でも,京都市を応援できるんやって!詳しくはここから!www2.city.kyoto.lg.jp/rizai/furusato… #京都市盛り上げ隊 #京都国際映画祭2018 #京都市ふるさと納税」

・参照元:Twitterより

 

これらのツイートに、広告主が京都市であることや、明確に広告であることの記載がなかったことから、これらの投稿がステマに当てはまるのではないかという批判が殺到し、炎上してしまいました。

なお、この事件で、京都市と吉本興業に対し、京都市民による訴訟が起こされましたが、裁判所は上記のような投稿はステマには該当しないと判断しています。

 

1,京都地方裁判所判決 令和3年4月23日

事案の概要

京都市の住民が、吉本興業のタレントがSNS(Twitter)上に投稿した発信はステマであり、公序良俗に反するとして、京都市と吉本興行に対し、京都市から支払われた委託費用420万円の返還を求めた事案です。

 

裁判所の判断

裁判所は、「芸能事務所に所属するタレントが無償で広報活動を行うなどということは通常は想定し難いから,本件各投稿を目にした消費者においても,広告主である京都市からタレントないし所属事務所に何らかの便益が提供されているであろうことは,容易に想像し得るというべきである」ことから、「本件各投稿が,消費者の自主的合理的判断を阻害する危険性の高いものであるということはできない」と判断しました。

 

このように法的にはステルスマーケティングとはいえない事案であっても、ステマであると消費者に指摘され、炎上してしまう例が見られます。

 

9,アニメーション映画におけるステマの事例

次に、アニメーション映画における有名なステマの事例をご紹介します。

世界的に大ヒットしたアニメーション映画の新作について起きた事例です。この映画の公開後に、7名の漫画家やイラストレーターにより、この映画を称賛する内容の漫画や画像が一斉にTwitterに投稿されました。

広告であることを示す表記がないにもかかわらず、投稿された時刻が全員ほぼ同じであったことや、同じハッシュタグが使用されており、どの投稿も一様に映画を高く評価する内容であったこと等から、「これは漫画家本人の自主的な投稿ではなく、ステマではないか?」と批判が集まり、大きく炎上しました。

その翌日、漫画を投稿した漫画家やイラストレーターから、謝罪コメントが投稿され、投稿した漫画は広告であり、映画の制作会社からの依頼によるものであったことが公表されました。

しかし、謝罪文の内容が7人ともほとんど同じような内容であったことや、近い時間帯で投稿されたことから、「この謝罪文も制作会社の指示によるものではないか」と再び批判が集まり、再度炎上する事態となりました。

その後も炎上は収まらず、映画の制作会社は公式サイトに「コミュニケーションの齟齬により、本来はPR表記を付ける予定だったが抜け落ちてしまった」という旨を説明した謝罪文を掲載しました。

 

 

10,グルメサイトのステマ事例

次に、口コミグルメサイトで行われたステマの事例についてご紹介します。

2012年1月4日、国内の大手口コミグルメサイトで、業者による「やらせ」の口コミが何件も投稿されていたことが判明し、話題になりました。

事の発端は、サイトの運営会社に、飲食店から「不正業者にグルメサイトへの口コミ代行の営業を受けた」と通報があり、事件が発覚しました。

事件発覚後、サイトの運営会社はランキングを口コミの多い順の表示から、店の評価が高い順に表示されるよう切り替えたり、携帯電話のSMS認証の導入による不正行為の防止等の対策を取っています。

 

11,ECサイトにおけるやらせレビューや不正レビュー

ECサイトでは、少数の有名インフルエンサーに依頼して口コミを行うパターンとは異なり、多数の一般人に報酬を支払って口コミを投稿させる手法のステマが行われ、商品を購入していないにもかかわらず口コミを投稿する不正レビューも横行しています。

また、SNS上で、「簡単に稼げる」「副業紹介」といった誘い文句により一般人に向けて不正レビューの募集が多くされていることも、不正レビューが蔓延している要因の一つです。

これらの不正レビューにより、本来ランキング上位に位置するはずの高品質な商品が、不正レビューを利用する低品質な商品に追いやられたり、故意に大量の低評価を付けられる等の被害を受ける業者も出てきています。

また、不正レビューによりランキングの表示と実際の商品の質に乖離が生じ、高品質な商品を見つけることが難しくなったり、誤認して低品質な商品を購入してしまう等、消費者にも悪影響を及ぼしています。

また、最終的に和解で終結したため判決には至っていませんが、以下のように、EC業者が不正レビューを投稿した会社に対して訴訟を起こした事案も存在します。

 

(1)EC業者が不正レビューを投稿した会社に対して訴訟を起こした事案

事案の概要

大手ECサイト「楽天市場」を運営する楽天グループ株式会社が、サイト内で商品に関する「やらせレビュー」を11万件以上投稿していたシステム開発会社に対し、2億円の損害賠償を請求した事案です。

 

結果

不正投稿を認め再発防止を誓約することと、和解金1千万円の支払いを条件に、和解が成立しました。

 

12,措置命令を受けた事例

ステルスマーケティングが景品表示法の規制対象となる前にも、ステマが優良誤認表示等にあたる場合は、景品表示法違反として措置命令を受ける例がありました。

以下でご紹介します。

 

(1)美容サプリメントの販売会社が景品表示法違反で措置命令を受けた事例

あたかもサプリメントを服用することで豊胸効果が得られると消費者に誤認させるような投稿をInstagramに投稿し、問題となった事例です。

また、これらの投稿は販売会社からインフルエンサーへの依頼によるものであり、商品を無償で提供する代わりに、商品モニターであることを隠して投稿するよう指示するといった、典型的な利益提供秘匿型のステルスマーケティングが行われていました。

以下はインフルエンサーが実際に投稿した文章の一例です。

 

▶参考例:

美容サプリメントの販売会社が景品表示法違反で措置命令を受けた事例の画像

「Jewel Up(ジュエルアップ)をご紹介します♥バストアップサプリメントです✨最近は有効成分のプエラリアの副作用なんかが騒がれたりしてますが、こちらはプエラリア不使用なので安心して飲めます☺ 無添加なのも嬉しいですね😆♡ 1日2錠。寝る前に飲むのがオススメらしいです!嫌なにおいもないしとても飲みやすい👍 貧乳が悩みなので2カップアップが目標!目に見える効果が出たらいいなぁ😍」、「#ジュエルアップ」、「#jewelup」、「#バストアップ」、「#バストケア」、「#ボディケア」、「#育乳」、「#美乳」、「#美容」、「#女子力アップ」、「#マシュマロボディ」、「#美ボディ」、「#サプリメント」、「#バストアップサプリ」、「#バストサプリ」、「#バストアップ効果」、「#バストアップしたい」、「#魅力アップ」、「#胸大きく」、「#bustup」、「#bustcare」「#bodycare」

 

また、この他にもサプリメントを服用することで豊胸効果が得られると消費者に誤認させるような内容の広告をウェブ上に掲載していました。

消費者庁はこれらの広告が景品表示法第5条第1号の優良誤認に当たるとして、サプリメントの販売会社と通販事業の運営会社に対して措置命令を行いました。

 

▶参照:以下の消費者庁で公開されている情報も参考にご覧ください。

消費者庁「株式会社アクガレージ及びアシスト株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(pdf)

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

上記の事例では措置命令の対象となったのはステマ行為自体ではありませんでしたが、令和5年10月以降はステマ行為について景品表示法で規制がされたことにより、ステマ行為自体が景品表示法違反になり得ます。

 

13,咲くやこの花法律事務所なら「こんなサポートができます!」

 

最後に、咲くやこの花法律事務所の弁護士による、景品表示法のステルスマーケティング規制に関する企業向けサポート内容についてご説明したいと思います。

咲くやこの花法律事務所の弁護士による、景品表示法に関する企業向けサポート内容は以下の通りです。

 

(1)景品表示法に関するご相談

咲くやこの花法律事務所では、企業からの景品表示法に関する以下のようなご相談を承っております。

 

  • 自社の広告表示が法的に問題がないかどうかのご相談
  • 景品表示法違反を指摘された場合の対応方法に関するご相談
  • 措置命令や課徴金納付命令に対する対応のご相談
  • 適格消費者団体による差止請求に対する対応のご相談

 

広告表示のコンプライアンスや景品表示法に精通した弁護士がご相談を承ります。

弁護士費用

・初回相談料:30分5000円+税(顧問契約の場合は無料)

 

(2)顧問弁護士サービスによるサポート

ステマには故意に行われているものもありますが、中にはステマについての正しい知識や認識が欠けていたために不注意で起こってしまった事例もあります。

咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスでは、日頃から広告企画についての相談や、顧問弁護士によるリーガルチェックを受けることができ、気付かないうちにステマ行為や景品表示法違反を行ってしまい、トラブルに巻き込まれることを防ぐことができます。

咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスの詳細は以下をご参照ください。

 

 

14,まとめ

今回は、実際に起きたステマの事例として、主に以下の事例をご紹介しました。

 

  • 芸能人がステマに関与した事例
  • 化粧品会社の広報担当の社員によるなりすまし型の事例
  • 市町村がステマを疑われ炎上した事例
  • アニメーション映画の宣伝において大きく炎上した事例
  • グルメサイトのやらせレビューについての事例

 

どれもSNSやサイトなどのネット上の行為が問題となっており、特にTwitterやInstagramなどのSNSは、低コストかつ宣伝効果が高いことからステマの問題が起こりやすいことがわかります。

ステマをしたことが発覚すると、多くの消費者から批判を受けるのはもちろん、景品表示法違反として消費者庁から措置命令を受ける可能性があるため、その後の売上や企業活動に深刻な損害が生じる恐れがあります。

消費者に対する広告や宣伝を計画する際は、ステマに該当することのないように、必ず事前に弁護士によるリーガルチェックを受けていただくことをおすすめします。

 

15,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法

今すぐのお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

【お問い合わせについて】

※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。

「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

 

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記事作成日:2023年7月11日
記事作成弁護士:西川 暢春

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