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立ち退き料の相場はどのくらい?4つのケースに分けて詳しく解説

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  • 立ち退き料の相場はどのくらい?4つのケースに分けて詳しく解説
    • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
    • この記事を書いた弁護士

      西川 暢春(にしかわ のぶはる)

      咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
    • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で300社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

    立ち退き料のことでお困りではないでしょうか?

    立ち退き料とは、貸主側の事情で賃借人に対して、退去を求める場合に、賃借人の損害を補填する意味で貸主から借主に支払う金銭をいいます。立ち退き料には、移転費用のほか、移転することにより家賃が値上がりする場合はその差額分の補填、店舗などの立ち退きでは移転先での内装費用や移転により顧客を失うことによる損害の補填などの意味合いが含まれます。

    立ち退き料には、大きく分けて、以下の4つのケースがあり、ケースごとに金額も大きく異なります。

     

    ケース1:
    アパートやマンション、戸建住宅など居住用建物の立退料

    ケース2:
    飲食店や理髪店、物販店など営業用店舗、テナントの立退料

    ケース3:
    事務所、オフィスなど事業用賃貸の立退料

    ケース4:
    建物ではなく土地を賃貸している場合の立退料

     

    ケース1の居住用建物の立ち退き交渉では、高齢あるいは病気のために転居が難しい等といった入居者の移転の困難さや、移転先との家賃の差額が問題になるケースが多く、その補償として立ち退き料を支払って解決するという意味合いが強くなります。

    これに対して、営業用店舗の立ち退き交渉では、新店舗の内装費や、移転によって常連客を失うリスクに対する補償(営業補償)がテーマとなり、立ち退き料が高額化する傾向にあります。

    このように、それぞれのケースで考え方が異なりますので、この記事では筆者の経験や最近の判例をもとに上記の4つの立ち退き料のケースについて1つずつご説明したいと思います。

    この記事を最後まで読んでいただくことで、実際のケースに即した立ち退き料の相場をご理解いただき、立ち退き交渉に役立てていただくことが可能です。

    それでは見ていきましょう。

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」
    立ち退き料の交渉を当事者間でやろうとすると、双方に適切な妥協点がわからないうえ、交渉が感情的になり、こじれることになりがちです。

    立ち退き料の交渉については、早めに弁護士にご相談いただくことをおすすめします

    咲くやこの花法律事務所では、立ち退きに関してご相談を受け、サポートを行ってきました。咲くやこの花法律事務所の実績の一部を以下でご紹介していますのでご参照ください。

     

    貸店舗所有者からテナントの立ち退き交渉について依頼を受け、賃借人請求額約1300万円に対し、半額以下で解決できた事例

     

    ▼【動画で解説】西川弁護士が「立ち退き料とは?3つのケースに分けて相場」について詳しく解説中!

     

    ▶立ち退き料に関して今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

    「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

     

     

    1,立ち退き料とは?

    立退料とは、賃貸人側の事情で、賃借人を立ち退かせる場面で、賃貸人が賃借人に支払う金銭をいいます。

    立ち退きを求める事情としては、「老朽化した賃貸建物を建て替えるため」、「再開発のため」あるいは「賃借している物件を賃貸人自身が利用したいため」などといったものがあります。

     

    2,立ち退き料が必要になる場面

    立退料が必要になる場面としては、「大家都合で退去を求める場合」、「マンションや店舗の建て替えの場合」、「再開発による立ち退きの場合」などがあります。

     

    (1)大家都合で退去を求める場合

    賃貸人自身が建物を利用するために、賃借人に立ち退きを求めるケースです。

    賃借人がほとんど、賃貸建物を利用していないといった例外的な事情がない限り、立退料の支払が必要になることが通常です。

     

    (2)マンションや店舗の建て替えの場合

    賃貸建物を建て替えるために、賃借人に立ち退きを求めるケースです。

    判例上、建物の老朽化、耐震性の不足などの事情があったとしても、極端に老朽化して重大な危険がある場合を除き、立退料の支払が必要になることが通常です。

     

    (3)再開発による立ち退きの場合

    再開発にともない、賃貸建物を解体するために、賃借人に立ち退きを求めるケースです。

    この場合も、立退料の支払が必要になることが通常です。

     

    3,立ち退き料が必要になる事情

    前述のような場面で支払が必要になる「立退料」は法律や判例でも認められている制度です。

    立退料の相場のご説明に入る前に、まず、「なぜ立退料が必要になるのか」についてご説明します。

     

    (1)立退きを求めるためには「正当な理由」が必要

    住居や店舗、事務所など建物の賃貸借契約には、借地借家法という法律が適用されます(ただし、平成4年7月までに契約された賃貸借契約については借家法が適用されます)。

     

     

    借地借家法でも借家法でも、建物の賃貸借契約について賃貸人の側から、賃貸借契約の解約を申し入れる際は、正当な理由が必要であるとしています。

    そして、この「正当な理由」のルールは、賃貸借契約の期間が満了したときに、賃貸人の側から次回の更新を拒否する場面にも適用されます。

    契約期間が満了した場合でも「正当な理由」がなければ賃貸人の側から更新を拒否することはできません。

     

    (2)「正当な理由」には立退料の支払が必要

    前述の「正当な理由」は、「老朽化した賃貸建物を建て替えるため」、「再開発のため」あるいは「賃借している物件を賃貸人自身が利用したいため」などということだけでは、通常は認められません。

    建物の老朽化などの事情に加えて、立ち退きを余儀なくされる賃借人に対して一定の金銭的補償をしなければ、「正当な理由」を認めないとする判例が大多数を占めています。

     

    事例1
    居酒屋の立退料算定事例(平成30年7月20日東京地方裁判所判決)

    老朽化したビルの居酒屋(賃料8万8457円)の立退料を1156万1000円と算定した事例

     

    事例2
    賃貸アパートの立退料算定事例(平成29年1月17日東京地方裁判所判決)

    築44年の賃料7万4000円のアパートの立退料を200万円と算定した事例

     

    このようなルールがあるため、賃貸人側から、「正当な理由」があるとして立退きを求めるためには、賃借人に対する金銭的補償(立退料)の支払が必要になってくるのです。

     

    4,立ち退き料が不要なケース

    立退料が必要な事情についてご説明しましたが、以下のケースでは立退料は不要です。

     

    (1)賃借人側に家賃の滞納などの契約違反があり、賃貸借契約を解除できる場合

    賃借人側に家賃の滞納や無断転貸などの契約違反がある場合は、賃貸人は賃貸借契約を解除することにより、賃借人に貸室の明け渡しを求めることができます。

    この場合、立退料は必要ありません。

    家賃滞納の場合の強制退去については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

     

     

    (2)定期建物賃貸借契約の場合

    定期建物賃貸借契約では、賃貸借契約の更新をしないことが法律上認められています。

    そのため、賃貸人は、契約期間が満了すれば、「正当な理由」があるかどうかにかかわらず、賃借人に明渡しを求めることが可能であり、立退料は必要ありません。

     

    (3)建物が極端に老朽化して重大な危険がある場合

    建物が極端に老朽化して重大な危険がある場合は、立退料を支払わなくても、立退きを求める「正当な理由」があるとされるケースがあります(平成28年9月6日東京地方裁判所判決等)。

    ただし、これはごく例外的な場面に限られます。

     

    5,アパート・マンション、戸建てなどの居住用賃貸の立ち退き料の相場はいくらか?

    アパート・マンション、戸建てなどの居住用賃貸の立ち退き料の相場はいくらか?

    賃料5万円~10万円程度の老朽化した賃貸住宅の立退料については200万円程度と判断した裁判例が多くなっています。

    裁判前の立退き交渉の場面でも、賃貸人側から、移転先の住居の6ヶ月分の賃料+引っ越し代を立退料として提案するなど、100万円~200万円程度が相場になることが多くなっています。

     

    (1)賃料7万4000円のアパートからの立退きについて立退料200万円とした事例

     

    1,平成29年1月17日東京地方裁判所判決の事例

    平成29年1月17日東京地方裁判所判決の事例です。

    このケースでは以下の事情がありました。

     

    1−1,賃貸人からの立退き要求を認める方向に働く事情
    • 築44年を経過して修繕工事が多発しており、建て替えが合理的
    • 他の賃借人はすべて立退きに応じて退去予定となっている

     

    1−2,立退料を高額化させる方向に働く事情
    • 借家人夫婦がうつ病にり患しており、転居は相当な負担になる。
    • 直ちに解体を要するほど建物が老朽化しているわけではない
    • 近隣に転居する場合は現在の家賃より賃料が上がる見込みである。

     

    1−3.裁判所の判断

    裁判所は、上記の事情を考慮したうえで、特に金額の根拠を示すことなく、立退料200万円の支払を受けることと引き換えに退去することを賃借人に命じました。

     

    (2)賃料7万3000円のマンションからの立退きについて立退料200万円とした事例

     

    1,平成28年7月14日東京地方裁判所判決の事例

    平成28年7月14日東京地方裁判所判決の事例です。

    このケースでは以下の事情がありました。

     

    1−1,賃貸人からの立退き要求を認める方向に働く事情
    • 賃貸人が高齢で介護が必要であり、長男夫婦と同居するために、賃貸建物を賃貸人自身が利用する必要がある。

     

    1−2,立退料を高額化させる方向に働く事情
    • 賃借人が癌治療中であり、転居について肉体的、精神的な負担を伴う。
    • 近隣の同程度の物件に転居する場合、現状よりも家賃が高くなる。

     

    1−3,裁判所の判断

    立退料200万円の支払を受けることと引き換えに、借家人に対し、退去することを命じました。

    裁判所は、本件の事情の下では、引越料相当額に賃料の2年分程度を加えた金額を立退料とするのが妥当であるとして200万円を算出しています。

     

    (3)賃料4万6750円の木造建物からの立退きについて立退料360万円とした事例

     

    1,平成29年5月11日東京地方裁判所判決の事例

    平成29年5月11日東京地方裁判所判決の事例です。

    このケースでは以下の事情がありました。

     

    1−1,賃貸人からの立退き要求を認める方向に働く事情
    • 築75年を経過し、躯体の歪みが生じるなど老朽化が進行している
    • 賃料が低額であり敷地の価値が有効利用されていると言い難い状況にある

     

    1−2,立退料を高額化させる方向に働く事情
    • 賃借人が長期間居住し、低額の賃料を前提に生活設計を立てていて、転居が容易ではない
    • 賃借人に重い病気や家族の障害,要介護状態等の事情があって、近隣の医療機関への通院や地域住民との連携等を継続する必要性が高い。

     

    1−3,裁判所の判断

    この判例で、裁判所は、借家権価格を鑑定したうえで、借家権価格に引っ越し代相当額を加算した額を、裁判所の判断で3割減額して立退料を算定しました。

    裁判所は3割減額の根拠として、建物の老朽化が進行していること、低額な賃料で長期間居住したことにより借家人が利益を得てきたことを考慮したとしています。

     

    ▶参考情報:「借家権価格について」

    借家権価格とは、建物の賃借人としての地位自体に認められる財産的価値です。

    前述の通り、賃借人の地位は、借地借家法という法律で保護されており、一定の財産的価値があります。

    立退きにより、賃借人は賃借人の地位を失うため、それについての補償として、借家権価格を立退料に組み入れる裁判例もあります。

    ただし、「借家権価格」を立退料の算定の際に使用することについては、疑問とする裁判官も多くいます。

    そのため、立退料の計算の際に借家権価格を考えない判断している裁判例も多く、一律ではありません。

     

    (4)その他の判例

    その他の最近の判例として以下のものがあります。

     

    1,平成27年7月17日付東京地方裁判所判決

    賃料5万円の戸建住宅からの立退きについて立退料200万円の支払を命じた事例

     

    2,平成27年6月30日東京地方裁判所判決

    賃料5万2000円の住宅からの立退きについて立退料200万円の支払を命じた事例

     

    (5)高級マンションの賃貸人の立退きの事例

    やや特殊な事例として、三井不動産レジデンシャル株式会社が賃貸する都心の高級マンション(賃料月65万円)について立退料を8300万円と算定した事例があります(平成30年9月14日東京地方裁判所判決)。

     

    (6)立退料を支払っても立ち退きを強制できないケース

    立退きは、賃借人に多くの負担をかけるため、立退料を支払えば必ず立ち退きが認められるというものではありません。

    裁判所で、賃貸人側の立退きを求める必要性が小さいと判断された場合は、立退料を支払ったとしても、賃借人に対し立退きを強制できないと判断されています。

    例えば以下のケースがあります。

     

    1,平成29年6月15日東京地方裁判所判決

    賃貸人との関係が悪化した賃借人を他の賃借人に入れ替える目的で立ち退きを求めたが、認められなかったケース

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」
    このように立ち退きを求める必要性が乏しいと判断されるリスクがある事例で、賃貸人側から立ち退きを求める場合は、裁判になると立ち退きが認められないリスクがあるため、交渉により決着することが特に重要になります。

     

    6,店舗、テナントの立ち退き料の決め方について

    店舗、テナントの立ち退き料の決め方について

    ここまで居住用賃貸の立退料についてご説明してきましたが、営業用店舗の立退料については、居住用賃貸の立退料よりも高額化する傾向にあります。

    これは、以下の点が主な要因です。

     

    理由1:
    店舗の移転により店舗側は常連客を失う恐れがあり、それに対する補償(営業補償)が必要になること

    理由2:
    新店舗の内装の費用や、新店舗を常連客に案内する広告費などが必要になること

     

    このような考え方から、賃料10万円前後の小規模の飲食店や理髪店の立退きの場面では、建物が老朽化しているなどの事情があっても、1000万円から1500万円程度の立退料の支払と引き換えに立退きを命じる判決が多くなっています。

    また、より賃料が高い物件については、さらに立退料が高額になる傾向があります。

    立ち退き交渉は裁判によらずに進めることが原則ですので、必ずしも裁判例の相場にこだわる必要はありませんが、交渉にあたっては、判例でのオーソドックスな立退料の決め方や、判例上の立退料の相場をおさえておくことは重要です。

    店舗の立退料の決め方や相場については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

     

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」
    店舗の立ち退きについて賃貸人側の立場で交渉する場合、近隣に同程度の移転先があることを積極的に示して、現在の店舗にこだわる合理性が乏しいことを賃借人に理解させることが1つのポイントとなります。

    筆者の最近の担当事例の中にも、大阪市中央区中心部の店舗(賃料30万円)の立ち退きについて賃貸人側から依頼を受け、近隣に空き店舗があることなどを示して交渉した結果、賃借人側からの請求額約1300万円に対し、立退料600万円で解決できたケースがあります。

     

    7,事務所、オフィスの立ち退き料の目安はいくらか?

    事務所やオフィスとして利用されている貸室の立退きについては、再開発などの事情で、老朽化に至る前に立ち退きを求めるケースが多くなっています。

    事務所やオフィスとしての利用の場合、営業用店舗の立退きとは異なり、移転により常連客を失うことに対する営業補償は問題にならないケースが多いです。

    そのため、移転費用や借家権価格を算定して立退料が決められているケースが多くなっています。

     

    ▶参考情報:借家権価格については、「(3)賃料4万6750円の木造建物からの立退きについて立退料360万円とした事例」の解説を参照して下さい。

     

    裁判例は様々ですが、事務所、オフィスの立退料については、立ち退きを求める貸室の賃料の2年分がおよその目安ということができます。

     

    (1)参考判例:
    東京地方裁判所平成24年8月28日判決

    築18年程度のオフィスビルについて賃貸人住友不動産株式会社が賃借人である法律事務所(賃料共益費合計約58万円)の立退きを求めたところ、立退料は賃料共益費合計の約2年分にあたる1400万円が相当とした事例

     

    (2)参考判例:
    東京地方裁判所平成22年8月9日判決

    築55年程度だが老朽化の証拠まではないビルに6年間入居していた賃借人(賃料共益費合計約19万円)の立退料について571万円と判断した事例

     

    (3)貸室利用の必要性が低い場合の立退料は比較的少額

    事務所が通常のオフィス利用ではなく、データセンターや書類の保管のみに利用されるなど、あまり場所を選ばない目的で使用されている場合は、代替の貸室を検討する選択肢も多くなります。

    この場合は、賃借人側にあえて立退きを求められている貸室の利用を続ける必要性が低いことから、より低額な立退料で立退きを認める例があります。

     

    1,参考判例:
    東京地方裁判所平成29年2月14日判決

    築47年を経過したビルの貸室をデータのバックアップや書類の保管目的で利用していたケース(賃料4万2000円)の立退料について、賃料の10ヶ月分が相当として43万2000円と判断した事例

     

    「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」
    事務所やオフィスの立退料の算定については、移転のための引っ越し代金、取引先への移転通知にかかる費用、オフィスが登記されている場合は登記の変更費用、移転先との家賃の差額の補償などを考慮する必要があります。

     

    8,【補足】借地権上の持ち家や所有店舗の立ち退き料に関する判例

    ここまで建物の賃貸借契約の立ち退きについてご説明してきました。

    これに対して、地主が土地を貸して、借地人が土地上に建物を建てている場合は、借地の明渡の問題となります。

    借地からの立ち退きについては、地主の土地利用の必要性の程度や、借地人の借地の利用状況、借地契約の経過年数によって、立退料の額が大きく変わってきます。

    以下では、「借地上建物を借地人が利用中の場合」と「借地上の建物の利用があまりされていない場合」にわけて、判例をもとにご説明したいと思います。

     

    (1)借地上建物を借地人が利用中の場合

    借地上に借地人が建物を建てて利用中の場合、建物を建てた借地人に投下資本回収の機会を与えることを考慮する必要があり、立退料が高額になる傾向にあります。

    不動産鑑定士が借地権価格を鑑定評価したうえで、その借地権価格をもとに立退料を算定することが多くなっています。

     

    1,参考判例:
    過去の判例の借地の立退料の算定例

     

    ●東京地方裁判所平成30年6月27日判決:

    薬局店舗用地として利用されている借地(更地価格3億1600万円相当)の立退料を1億3000万円と判断

     

    ●東京地方裁判所平成25年3月14日判決:

    住宅用地として利用されている借地(更地価格約8000万円)の立退料を5000万円と判断

     

    (2)借地上建物の利用があまりされていない場合

    一方、借地上建物の利用があまりされていない場合は、立退料も低額化する傾向にあります。

     

    1,参考判例:
    過去の判例の借地の立退料の算定例

     

    ●東京地方裁判所令和元年6月10日判決:

    借地上建物に誰も居住せず借地を利用していないことを理由に、立退料を借地権価格の2割相当の110万円と算定した事例

     

    ●東京地方裁判所平成30年3月5日判決:

    借地上建物が一応倉庫として利用されているが、借地人には他にも倉庫があり、必ずしも借地を利用する必要性が低いことなどを考慮して、立退料の支払を要しないとした事例

    借地からの立ち退きの際の立退料については以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

     

     

    9,支払時期

    立ち退き交渉の結果、立ち退きの時期や立退料について合意に至った場合は、立退料の金額や支払時期について、合意書をとりかわします。

    立退料の支払時期は、賃借人が立ち退いた後に支払うとすることが一般的です。

    ただし、賃借人の経済面から先に立退料の支払を受けなければ移転が困難なケースでは、立退料の全部または一部を退去の前に支払って、移転費用にあててもらうなどの工夫が必要になります。

     

    10,立ち退き料の交渉のポイント

    立退料の交渉にあたっては、賃貸人側はできるだけ安く済ませたい、賃借人側はできるだけ多くもらいたいということにあり、交渉が難航しがちです。

    このような場面で賃貸人の立場からの立退料の交渉を行う場合は、立ち退きにあたっての交渉項目が「立退料」だけではないことに着目することがポイントです。

    例えば、敷金の返還や立ち退きの時期、あるいは立退料の支払時期も交渉材料とすることで、賃貸人側として無理なく譲歩できるポイントを見つけ、それを交渉材料に賃借人側の譲歩を引き出していくことが必要です。

    賃貸人側で移転先候補を探し、賃借人に積極的に提案していくことも交渉をすすめるうえで有効になることがあります。

    なお、上記のような交渉をしても賃借人が不当に高い立退料を要求して交渉が進まないときは、立ち退きを求める裁判を起こし、裁判所で立退料を決めてもらうという選択肢も含めて考えることが必要です。

    立退料について交渉のポイントは以下の記事に詳しく書きましたので参照してください。

     

     

    11,立ち退き料を支払ってくれない場合に賃借人がとれる対応

    賃借人側の立場からは、立退料を支払ってもらえない場合は、立ち退きを拒むという選択肢があります。

    立退料の支払がない場合、通常は、賃貸人側からの賃貸借契約の解約に必要な「正当事由」が認められないため、賃借人は立ち退きを拒むことが可能です。

    賃貸人側はこの点を踏まえて立ち退き交渉を行う必要があります。

     

    12,税金について

    立退料の税務処理についても解説しておきたいと思います。

     

    (1)賃貸人側の税務処理

    賃貸人側では、立退料は不動産所得の計算上、必要経費とすることができます。

     

     

    (2)賃借人側の税務処理

    賃借人側で立退料を受け取ったときは、それは収入として計上したうえで、移転費用等を経費として計上することになります。

     

     

    (3)消費税は非課税

    立退料には消費税は課税されません。

     

    13,立ち退き問題に強い弁護士へのご相談のご案内

    咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

    最後に咲くやこの花法律事務所の、賃貸建物の立退きに関するサポート内容をご案内します。

     

    (1)賃貸人側からの立ち退き交渉に関するご相談

    咲くやこの花法律事務所では、建物の老朽化による建て替えなどを目的とする立ち退き交渉について、賃貸人側からのご相談を承っています。

    賃貸人側で立ち退き交渉をする場合、建物の耐震性が低いことや、耐震工事よりも建て替えが合理的であることなどについて、資料を示して交渉すること、賃借人に代替の移転先を提案することなど、さまざまな交渉のポイントがあります。

    また、遅くとも立退きの2年前には交渉をスタートすることにより、期限ぎりぎりの交渉にならないようにすることも重要なポイントです。

    立退料については、その金額の相場感に大きな幅があり、交渉の方法によって、結果も大きく変わってきます。

    咲くやこの花法律事務所では、不動産トラブルに強い弁護士がご相談を承りますので、お困りの際はご相談ください。

     

    不動産トラブルに強い咲くやこの花法律事務所の弁護士への相談料

    ●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)

     

    (2)オフィスや店舗の賃借人側からの立ち退き交渉に関するご相談

    咲くやこの花法律事務所では、オフィスや店舗について立ち退きを求められた賃借人の立場からの交渉についてもご相談を承っています。

    特に長期間営業した店舗や長期間利用したオフィスを立ち退く場合、その経済的なデメリットは大きく、それに見合う補償を立退料として受領する必要があります。

    ところが、賃貸人側から提示される立退料は、裁判例などの基準と比較すると大幅に低い水準になっていることがほとんどです。

    また、立退料について賃貸人からの提示をベースに増額交渉を行うのではなく、賃借人側から自身の計算に基づく立退料を請求して交渉しなければ、正当な立退料を得ることができません。

    立退料については、営業補償や借家権価格といった実費以外の部分の交渉も重要です。交渉の方法によって、結果が大きく変わってきます。

    咲くやこの花法律事務所では、不動産トラブルに強い弁護士がご相談を承りますので、お困りの際はご相談ください。

     

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    14,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法

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    記事作成弁護士:西川 暢春
    記事更新日:2021年07月28日

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    西川 暢春 代表弁護士
    西川 暢春(にしかわ のぶはる)
    大阪弁護士会/東京大学法学部卒
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    著者:弁護士 池内 康裕
    発売日:2019年03月05日
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    ページ数:52ページ
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